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Big Brother & The Holding Company – Cheap Thrills = チ―プ・スリル (1968)

Big Brother & The Holding Company『Cheap Thrills』について

Big Brother & The Holding Companyの『Cheap Thrills』は、1968年に発表されたアルバムで、Janis Joplinが在籍していた時期の代表作として知られる作品だ。サンフランシスコのブルースロック/サイケデリック・ロック周辺の空気を、そのまま閉じ込めたような一枚である。

バンドは1965年にサンフランシスコで結成され、ギターのJames Gurley、Sam Andrew、ベースのPeter Albin、ドラムのDave Getzという編成を軸に活動した。そこにJanis Joplinのボーカルが重なったことで、グループの存在感は大きく変わった。『Cheap Thrills』は、その組み合わせが最も強く刻まれた作品のひとつといえる。

作品の位置づけ

このアルバムは、Big Brother & The Holding Companyにとって最も広く知られるタイトルだ。グループ名義ではあるが、実際にはJanis Joplinのボーカルが作品全体の印象を決定づけている。バンド側のざらついた演奏と、Joplinの声の強さがぶつかり合う構図が、この作品の核になっている。

同時代のサンフランシスコ勢、たとえばJefferson AirplaneやGrateful Deadと並べて語られることも多いが、『Cheap Thrills』はその中でもブルース色の出し方がはっきりしている。サイケデリックな時代の空気を持ちながら、根っこにはブルースの歌い回しとバンドの生演奏感がある。

収録曲と代表曲

この作品でまず挙がるのは「Piece of My Heart」だろう。もともと広く知られた曲だが、Janis Joplinの歌唱で決定的に印象づけられた。荒い呼吸感と、フレーズの押し出しの強さが前面に出る。

もうひとつ重要なのが「Summertime」。George Gershwinの楽曲を、ロックの文脈で再解釈した形で収めている。テンポの置き方や声の伸ばし方に、原曲とは違う緊張感がある。

ほかにも「Ball and Chain」など、ライブでの熱量を思わせる曲が並ぶ。アルバムの中にはBill GrahamのFillmore Auditoriumで録音されたライブ素材も含まれており、スタジオ盤でありながら、会場の空気がはっきり残っている。

日本盤LPの特徴

今回の盤は1974年の日本盤。オリジナルの1968年盤とは別に、日本でCBS/SONYから製造された一枚で、帯付き、10インチの歌詞インサート、そしてCBSのプラスチック内袋が付属する仕様だ。

ジャケット裏面には「Manufactured by CBS/SONY INC.(Tokyo Japan)」の表記があり、日本で流通した盤であることが確認できる。オリジナル盤の初出時とはパッケージ面の細部が異なる、日本盤らしい作り込みがポイントになる。

聴きどころ

この作品の聴きどころは、演奏の整い方よりも、歌とバンドが同じ方向に突っ込んでいく感じにある。Janis Joplinのボーカルは、ただ強いというより、言葉を押し出す圧がある。その上で、ギターがやや荒れた質感のまま絡むので、曲ごとの勢いが途切れにくい。

また、スタジオ録音とライブ録音が混ざることで、アルバム全体の温度差が一定ではない。そのぶん、曲ごとの表情の違いが出やすい作品でもある。

まとめ

『Cheap Thrills』は、Big Brother & The Holding Companyのバンド性と、Janis Joplinの存在感が最も強く結びついたアルバムだ。1968年当時のサンフランシスコ・ロックの文脈の中でも、ブルース由来の歌と演奏を前に出した一枚として位置づけやすい。

1974年の日本盤は、帯や歌詞インサートを備えた当時の国内仕様で、オリジナル盤とは別の形でこの作品を手元に置ける盤といえる。

トラックリスト

  • A1 – Combination Of The Two = ふたりだけで (5:40)
  • A2 – I Need A Man To Love = 愛する人が欲しい (4:53)
  • A3 – Summertime = サマータイム (3:58)
  • A4 – Piece Of My Heart = 心のカケラ (4:12)
  • B1 – Turtle Blues = タートル・ブルース (4:22)
  • B2 – Oh, Sweet Mary = オー、スィート・マリー (4:17)
  • B3 – Ball And Chain = ボールとチェーン (9:31)
2026.07.06