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The Flying Lizards – The Flying Lizards = ミュージック・ファクトリー (1980)

The Flying Lizards『ミュージック・ファクトリー』について

The Flying Lizardsは、David Cunninghamを中心にした実験色の強いポップ・グループだ。1970年代後半のイギリスで始まり、既成のロックやポップの型をずらした音作りで知られている。この1980年作『ミュージック・ファクトリー』は、日本ではこのタイトルで紹介された作品で、英題はThe Flying Lizards。日本盤は1980年リリースで、帯、英日対訳の歌詞折り込み、そして日本語解説紙が付いた仕様になっている。

作品の位置づけ

オリジナル・アルバムとしては1979年のデビュー作に続く時期の作品で、The Flying Lizardsの初期の流れをつかむうえで重要な一枚といえる。バンドの核にあるのは、David Cunninghamのプロデュース感覚と、入れ替わる演奏者・ヴォーカリストの組み合わせだ。実験音楽の側面がありながら、曲の骨格はポップ寄りに保たれているところが、このグループらしさになっている。

聴こえてくるもの

この作品では、音の配置がかなり特徴的だ。リズムやボーカルが前に出たり引いたりしながら、普通のバンド演奏の流れから少し外れた場所で曲が進む。電子的な処理、硬いビート、短いフレーズの反復が目立ち、ロックの体裁を取りつつも、パンク以後の制作感覚やアート寄りの手つきが強い。

実際に聴くと、音の抜き差しがはっきりしていることが印象に残る。メロディを大きく押し出す場面より、声や音色の置き方で引っかかりを作る場面が多い。単純な「聴きやすさ」ではなく、音がどこに置かれているかを追っていくタイプの作品だ。

同時代とのつながり

1970年代末から1980年前後のイギリスでは、ポストパンクやニューウェーブの文脈で、ロックの形式を崩す試みが多く見られた。The Flying Lizardsもその流れの中に置けるが、一般的なバンド像からはかなり離れている。アート寄りの感覚、スタジオ作業の比重、既存曲の扱い方などから、同時代の実験的なポップ・アクトや、切り貼りの感覚を持つ作品群と並べて語られることがある。

David Cunninghamの関与を軸に見ると、演奏の生々しさよりも編集や構成の面白さが前に出る。David Toop、Steve Beresford、Patti Palladinらの名前が並ぶのも、このバンドの流動的な性格を示している。

日本盤の仕様

この日本盤は、ジャケットに帯が付き、英語と日本語の歌詞を収めた4ページの折り込みインサート、さらに日本語解説の一枚紙が付属する。盤を光にかざすとやや透けて見える茶色味があり、JVC Supervinylでプレスされたことがわかる仕様だ。背面表記には、ロンドンのBerry StreetとBrixtonで録音されたこと、さらにニューヨーク、ミュンヘン、Maidstoneなどでも追加録音が行われたことが記されている。制作の移動の多さも、この作品の断片的な手触りにつながっているように見える。

代表曲について

The Flying Lizardsといえば、一般にはシングル曲の印象が先に来ることが多い。特にデビュー期の「Money (That’s What I Want)」は、このグループの代表的な楽曲として知られている。『ミュージック・ファクトリー』は、その一曲だけで語れる作品ではないが、バンドの輪郭を理解するうえでは、あのずらした感覚がアルバム全体にも通じている。

まとめ

『ミュージック・ファクトリー』は、The Flying Lizardsの初期像を日本盤の丁寧な体裁で伝える1980年の一枚だ。ポップの形を借りながら、その中身を少しずつ組み替えていくような作り。ロック、電子音、編集感覚が同居する、当時の実験的な空気をそのまま閉じ込めた作品として見えてくる。

トラックリスト

  • A1 – Mandelay Song = マンドレイ・ソング (2:28)
  • A2 – Her Story = ハー・ストーリー (4:40)
  • A3 – TV (4:00)
  • A4 – Russia = ロシア (6:36)
  • A5 – Summertime Blues = サマータイム・ブルース (3:31)
  • B1 – Money = マネー (5:49)
  • B2 – The Flood = ザ・フラッド (4:56)
  • B3 – Trouble = トラブル (2:48)
  • B4 – Events During Flood = イベンツ・デュアリング・フラッド (3:24)
  • B5 – The Window = ザ・ウィンドウ (5:35)

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2026.07.09