James Last – Around The World – Spain & Mexico (1970)
James Last『Around The World – Spain & Mexico』について
『Around The World – Spain & Mexico』は、James Lastが1970年に発表した作品で、同年にリリースされた日本盤です。大編成のオーケストラを軸にしたJames Lastらしいサウンドで、タイトル通りスペインとメキシコを中心にしたラテン色の強い内容になっている作品です。ジャンル表記はJazz、Latin、スタイルはEasy Listening。James Lastのディスコグラフィーの中では、各地域の音楽要素をオーケストラ編成でまとめるシリーズ的な流れにある一枚として捉えやすい作品です。
James Lastという音楽家
James Lastは1929年生まれのドイツのバンドリーダー、作曲家、演奏家です。ベースやピアノもこなしながら、自身のオーケストラを率いて数多くのアルバムを制作しました。世界的なセールスでも知られ、イージーリスニングの領域では特に存在感の大きいアーティストです。ポップス、ジャズ、各国の民俗音楽、ラテンの要素を取り込みながら、聴きやすい編成で再構成する手つきが持ち味だといえるでしょう。
作品の位置づけ
本作は1970年という時期らしく、James Lastが持っていた「オーケストラで世界の音楽をまとめる」という方向性がはっきり出た一枚です。同年に広がっていたラテン・ムード、オーケストラ・ポップ、イージーリスニングの流れの中で、James Lastの手腕がよく分かる内容です。ビッグバンド的な厚みを保ちながら、ダンス音楽としての輪郭も残すあたりが特徴になっています。
同時代の文脈で見ると、Percy FaithやMantovaniのようなオーケストラ・サウンド、あるいはラテン・アレンジを取り入れたイージーリスニング作品と並べて語られることがありそうです。ただしJames Lastは、その中でもより軽快で、リズムの押し出しが前に出る作りが目立ちます。
内容の印象
スペインやメキシコを題材にした作品だけに、フラメンコ系のリズム感、マリアッチ的な華やかさ、ブラスの明るさが軸になっているはずの内容です。James Lastの作品は、原曲や伝統的なモチーフをそのまま提示するというより、オーケストラ向けに整理し直して聴かせる構成が多く、この作品でもそうした方向が中心になっていると考えられます。
実際に聴くと、メロディの分かりやすさと編成の厚みが先に立つタイプのアルバムで、旋律が前へ出てきやすい作りになりやすいのがJames Lastらしいところです。打楽器やホーンの使い方で地域色を出しつつ、全体はきっちり整えられている印象です。
ヒット曲・代表曲について
この作品単体で特定の大ヒット曲が広く知られているというより、James Lastのアルバム作品としてのまとまりが重視される一枚です。彼の代表曲や広く知られたレパートリーは別作品やベスト盤で触れられることが多く、本作はその中でもテーマ性のあるアルバムとして位置づけられます。
日本盤としての見どころ
日本での1970年盤は、当時のJames Last人気を反映した流通の一例と見ることができます。オリジナルの1970年リリースと同年の発売なので、内容面では初出時の空気をそのまま受け取れる盤です。コレクション面では、日本市場向けにどう紹介されていたかを含めて見る楽しさがあります。
まとめ
『Around The World – Spain & Mexico』は、James Lastのオーケストラ・サウンドがラテン色の題材に向かった1970年作です。大編成の演奏、分かりやすい旋律、地域色をまとめるアレンジという、この時期のJames Lastらしい要素が詰まったタイトルです。作品全体としては、ラテンやイージーリスニングの流れを、彼らしい整理されたオーケストラ・サウンドで聴かせる一枚と言えます。
トラックリスト
- A1 – Granada
- A2 – La Malagueña Salerosa
- A3 – Valencia
- A4 – Camino Verde
- A5 – Malagueña
- B1 – Cachita
- B2 – Cu Cu Rru Cu Cu Paloma
- B3 – Mambo Nr. 5
- B4 – Guantanemera
- B5 – Mexican Hat Dance
- B6 – The Lonely Bull
Les Maledictus Sound – Les Maledictus Sound (1968)
Les Maledictus Sound / Les Maledictus Sound
Les Maledictus Sound は、1968年にイタリアで発表された、フランスの musique concrète 系サイケデリック・コンセプト・グループによるアルバム。Jean-Pierre Massiera が中心となって制作した作品で、ジャズ、ロック、ポップの要素をまたぎながら、サイケデリック・ロックとイージーリスニングの感触を同居させた1枚として知られている。
作品の輪郭
全体としては、演奏のまとまりよりも、編集や構成の感覚が前に出るタイプの内容。ビートは一定の推進力を保ちながらも、曲ごとに場面が切り替わるような作りで、録音の質感にも時代らしい独特の空気がある。ロック寄りの動きと、軽快な聴き心地を持つパートが並ぶあたりに、この作品ならではのバランスが見える。
ジャンルの並びだけを見ると幅広いが、実際には60年代後半の実験性とポップ感覚が交差する位置づけ。サイケデリック・ロックの文脈に置きつつ、同時に当時のフレンチ・ポップやライブラリー的な発想ともつながるような作りになっている。
アーティストとしての位置づけ
Les Maledictus Sound は1968年に1枚のアルバムを残したグループで、Jean-Pierre Massiera が率いたプロジェクトとして整理されることが多い。メンバーには Jean-Claude Chavanat、André Ceccarelli、Patrick Djivas らが名を連ねており、制作陣の顔ぶれからも、単なるバンド作品というより、当時のフランス周辺のスタジオ感覚が強く出た企画性のある作品として捉えやすい。
タイトルにまつわる扱い
このアルバムは、Attention や Jim-Clark、L’Experience 9 といった別題で語られることもある。いずれも同じ音楽を別の曲名でまとめた形として扱われることがあり、資料によって表記が揺れる作品でもある。
聴きどころの印象
- ロックのリズムを土台にした曲構成
- イージーリスニング寄りの明るさと、サイケデリックな処理の同居
- 録音や編集の手つきに出る、60年代末らしいスタジオ作品の気配
- ジャズ系の演奏感が下支えする、流れのあるアンサンブル
2000年には別の盤として再登場しており、オリジナルの1968年盤とはリリース年が異なる。60年代末の実験的なフレンチ・サイケを、イタリア盤としてたどれる一作として見ていくと、当時の欧州ポップ周辺のつながりも見えやすい。
トラックリスト
- A1 Kriminal Theme (2:35)
- A2 The Whistler (2:55)
- A3 Inside My Brain (2:40)
- A4 Blues Section Club (2:50)
- A5 Concerto Genocide (2:50)
- A6 Transfer From The Modulation (2:55)
- A7 Am Stram Gram (2:30)
- A8 Entrac Theme (2:15)
- B1 Radio Pirat Program (2:35)
- B2 Stupidly Made In Gaulle (2:25)
- B3 Jim Clark Was Driving Recklessly (2:15)
- B4 Dark Sky (2:30)
- B5 Crazy Circus (2:45)
- B6 Art Director (2:25)
- B7 Heathcliff Y Cry Your Name (2:50)
- B8 Monstrer Cocktail (2:35)
Charles Dumont – Trafic (Bande Originale Du Film) (1994)
Charles Dumont『Trafic (Bande Originale Du Film)』について
Charles Dumontによる『Trafic (Bande Originale Du Film)』は、映画音楽としての機能を軸にしながら、Jazz、Stage & Screenの文脈で聴けるサウンドトラック作品です。作品名のとおり映画『Trafic』のための音楽で、ジャズロックとイージーリスニングの要素が重なった、映像の流れに寄り添うタイプの内容として捉えられます。
作品の輪郭
Charles Dumontは、エディット・ピアフの代表曲群を手がけた作曲家として知られ、その後は歌手としても活動したフランスの音楽家です。本作は、そうした作曲家としての側面が前面に出るタイトルで、メロディを中心に組み立てられた映画音楽の佇まいが感じられます。ジャズの語法を取り込みつつ、過度に前へ出すぎない編成感が想像しやすい一枚です。
サウンドの印象
ジャンル表記から見ると、リズムはきっちりとした推進力を持ちながらも、硬くなりすぎない質感が想像されます。ジャズロックらしいビート感と、イージーリスニングらしいなめらかな響きが同居するタイプ。録音の雰囲気も、映画音楽らしい整理されたバランスで、旋律やアレンジの輪郭が見えやすい仕上がりである可能性が高そうです。
Charles Dumontの中での位置づけ
Charles Dumontのキャリアを見渡すと、シャンソン作家としての名声と、歌い手としての活動の両方が重要です。その中で本作は、ポップソングや歌ものとは少し違う、映像に結びついた作曲家としての仕事を示すものとして置けます。メロディの運びや曲の構成に、彼の作曲家らしさが表れやすいタイトルです。
同時代の文脈
1990年代のリリースとして見ると、映画音楽の再発や再評価が進む時期とも重なります。ジャズ、イージーリスニング、サウンドトラックの境界をまたぐ作品は、この頃のフランス系音楽や映画音楽の文脈でも自然な存在感があります。『Trafic』も、その流れの中で楽しめる一枚として捉えやすいです。
- アーティスト: Charles Dumont
- タイトル: Trafic (Bande Originale Du Film)
- リリース年: 1994年
- ジャンル: Jazz / Stage & Screen
- スタイル: Soundtrack / Jazz-Rock / Easy Listening
- 国: Japan
映画音楽としての実用性と、作曲家の手触りが同時に見えやすい作品。派手さよりも、旋律の流れと編曲のまとまりに目が向きやすい内容として受け取れそうです。
トラックリスト
- A1 Thème Trafic (3:25)
- A2 Thème La Route (1:37)
- A3 Thème Maria (2:22)
- A4 Thème La Route (1:40)
- A5 Thème Maria (1:23)
- A6 Thème Trafic (3:00)
- B1 La Course D’Autos (3:52)
- B2 Thème Maria (1:08)
- B3 Les Lignes Jaunes (0:43)
- B4 Trafic (2:34)
- B5 Marche De La R.A.I. (2:14)
- B6 Trafic (2:04)
- B7 Thème Maria (1:41)