Haken – Fauna (2023)
Haken『Fauna』について
Hakenは、ロンドンで2007年に結成されたイギリスのプログレッシブ・メタル・バンドだ。2010年の『Aquarius』、2011年の『Visions』でシーン内の存在感を強め、2013年の『The Mountain』で国際的な評価を広げた。その後は、より重心の低いサウンドへ進みながらも、複雑な構成や変拍子、鍵盤主体の展開を軸にした作品を重ねてきた。『Fauna』は、そうした流れの中で2023年に登場した通算7作目のアルバムである。
作品の位置づけ
『Fauna』は、バンドの初期にあったプログレ・ロック寄りの感触へ戻りつつ、近年の重い音像も保った作品として語られることが多い。『Affinity』『Vector』『Virus』で強めてきたメタリックなアプローチの延長線上にありながら、曲ごとの色分けや展開の切り替えには、Hakenらしい70年代プログレ由来の感触も残る。アーティストの歩みの中では、過去の要素を整理して現在形にまとめた一枚、という位置づけになっている。
また、2022年にキーボードのピーター・ジョーンズが再加入してからのアルバムでもある。鍵盤の動きが曲の輪郭を作る場面は多く、バンドのアレンジ面での変化を追ううえでも重要な作品だ。
音楽的な特徴
この作品では、プログレッシブ・メタルらしい緻密なリズム、急なセクション転換、長めの構成がありつつ、メロディの運びは比較的わかりやすい。ギターはリフで押し切る場面と、フレーズの切り返しで空気を変える場面の両方が目立つ。リズム隊も細かく動き、楽曲の推進力を支えている。鍵盤は単なる装飾ではなく、展開の切れ目をつなぐ役割を担っている印象だ。
同時代のプログレッシブ・メタルの中では、Dream Theater系の技巧性、Porcupine Tree以降の構成感、Leprousのような現代的な緊張感と比較されることがあるタイプだが、Hakenはその中でも曲調の切り替えと音色の整理がはっきりしている。『Fauna』でもその傾向は続いている。
曲について
『Fauna』はコンセプトを前面に押し出したアルバムではないが、各曲の役割が明確で、アルバム全体としてのまとまりがある。シングルとして先行した楽曲は作品の入口として機能しており、複雑さだけでなく、フックのある部分を見せる作りになっている。特に表題のイメージを反映した曲群は、タイトルどおり生物や自然の気配を連想させる構成で、音の切り替えにもその感覚が出ている。
盤の仕様
- 2023年リリースのブラック・ヴィニール盤
- 見開きジャケット仕様
- LPブックレット付き
- ランアウト部は手書きとスタンプの併用が見られる
まとめ
『Fauna』は、Hakenが持つ技巧性と、初期からのプログレ・ロック的な流れを改めて結び直した2023年作だ。重さだけに寄らず、鍵盤を含むアンサンブルの動きで聴かせる点が、このバンドらしさとしてよく出ている。『The Mountain』以降の多彩さ、『Affinity』以降の硬質さ、その両方を踏まえた作品として見ると、バンドの現在地がつかみやすい一枚である。
トラックリスト
- A1 – Taurus
- A2 – Nightingale
- B1 – The Alphabet Of Me
- B2 – Sempiternal Beings
- C1 – Beneath The White Rainbow
- C2 – Island In The Clouds
- C3 – Lovebite
- D1 – Elephants Never Forget
- D2 – Eyes Of Ebony