Redd Holt Unlimited – Isaac, Isaac, Isaac. (1974)
Redd Holt Unlimited『Isaac, Isaac, Isaac.』について
『Isaac, Isaac, Isaac.』は、Redd Holt Unlimitedが1974年に発表したアルバムです。リーダーのRed Holtは、60年代のソウル・ジャズ系グループで知られたドラマーで、このユニットでもその流れを引き継いだ演奏を聴かせています。ジャズを土台にしながら、ファンク寄りのリズム感を前面に出した、1970年代前半らしい一枚です。
作品の位置づけ
Redd Holt Unlimitedは、Red Holtが1970年代に立ち上げたグループです。前身となる活動で培ったソウル・ジャズの感触を保ちながら、より強くグルーヴを意識したサウンドへ寄せている点が、このプロジェクトの特徴といえるでしょう。『Isaac, Isaac, Isaac.』も、その路線をはっきり示す作品として位置づけられます。
1974年という時期は、ジャズ・ファンクが広く定着していった時代です。シンコペーションの効いたドラム、反復するリフ、電気楽器を含むバンドの推進力など、同時代のジャズ・ファンク作品に通じる要素がこの作品にも見えます。Red Holtのようなドラマー主導のグループでは、リズムの組み立てそのものが音楽の核になっている点がわかりやすいです。
聴きどころ
このアルバムでは、派手な技巧を前に出すというより、バンド全体で一定のグルーヴを維持しながら展開していくつくりが印象的です。ドラムを中心に据えた演奏の流れ、ソウル寄りのフレーズ、ジャズの即興性が同居するタイプの作品といえます。耳に残るのは、曲全体を引っ張るリズムの粘りと、短いフレーズを重ねていく構成のわかりやすさです。
実際に聴くと、1970年代のジャズ・ファンクに共通する、演奏の熱量とダンスミュージック的な推進力の両方が感じられます。いわゆる“聴かせるジャズ”というより、身体感覚に近いところで進んでいくタイプの一枚、という印象になりやすいです。
同時代の文脈
同じ時代のジャズ・ファンクには、ソウル・ジャズを土台にしてファンクへ寄せていく流れがありました。Redd Holt Unlimitedも、その中にあるグループです。Red Holtが以前から持っていたソウル・ジャズの感覚を残しつつ、1974年らしいリズムの強さへつないでいる点が、この作品の見どころでしょう。
この時期の作品は、ジャズの即興性とファンクの反復性のあいだを行き来するものが多く、Redd Holt Unlimitedもその文脈で理解しやすいです。ドラマーが中心に立つことで、曲の推進力がはっきり出るのも、この手の作品ならではです。
まとめ
『Isaac, Isaac, Isaac.』は、Redd Holt Unlimitedの1974年作として、ソウル・ジャズからジャズ・ファンクへ向かう流れをそのまま映したアルバムです。Red Holtのドラミングを軸に、グルーヴ重視の演奏を聴かせる一枚。1970年代前半のジャズ・ファンクの空気を知るうえでも、わかりやすい位置にある作品です。
トラックリスト
- A1 – Introduction: Isaac, Isaac, Isaac (3:35)
- A2 – Listen To The Drums (3:45)
- A3 – Love Story (6:12)
- A4 – Let The Spirit In (4:33)
- B1 – Flo (5:30)
- B2 – Slow Funk (3:30)
- B3 – Two People In Love (5:42)
- B4 – Takers (3:35)
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Fern Kinney – I’m Ready For Your Love (1982)
Fern Kinney『I’m Ready For Your Love』について
Fern Kinneyの『I’m Ready For Your Love』は、1982年にUS盤としてリリースされた作品。
フィラデルフィア・ソウルやメンフィス系の流れとも重なる南部ソウル歌手として知られるFern Kinneyが、1970年代後半から1980年代初頭にかけて展開したソロ活動の時期に置かれる1枚だ。
アーティストとしてのFern Kinneyは、Jackson, Mississippi出身のシンガー。1960年代半ばにThe Poppiesで活動を始め、その後はバック・コーラスやソロ、デュエットを経てソロ歌手として本格化していく。
本作は、そうした流れのなかで発表された1982年のアルバムで、レーベルはMalaco。南部ソウルの文脈で重要な存在として知られる同レーベルのカタログに入る作品でもある。
作品の位置づけ
Fern Kinneyは、代表曲として知られる「Groove Me」や「Together We Are Beautiful」で広く認知されている。
本作『I’m Ready For Your Love』は、そのヒット期の近くにある時期のリリースで、1979年以降のソロ・アルバム群のひとつとして捉えられる。
クレジット面では、Malacoのアルバム番号7410に収められた作品で、出版はKnight After Knight MusicとMalaco Music。
制作の背景には、南部ソウルの現場で名前が挙がるCarson Whitsett、Tommy Couch、Wolf Stephensonらの系譜が見えるアーティスト像ともつながっている。
サウンドの印象
ジャンル表記はElectronic、Funk / Soul、スタイルはDisco。
この時期のFern Kinneyらしい、ダンス指向のソウル・アルバムとして整理できる。ディスコのビートを土台にしつつ、ソウル歌手としての声の張りやフレージングを前に出すタイプの作品という理解でよさそうだ。
実際に聴いたときの印象としては、彼女の歌は派手に押し切るというより、リズムの上に自然に乗っていくタイプ。
高音の抜けだけでなく、フレーズの置き方に落ち着きがあり、ダンス・トラックの中でも歌が埋もれにくい。南部ソウル由来の粘りと、80年代初頭のディスコ/ファンクの整ったリズム感が同居しているのが、この時期の彼女らしさだと思える。
代表曲とのつながり
Fern Kinneyの名前を大きく押し上げたのは、やはり「Groove Me」。
この曲は彼女の代表作として扱われることが多く、ソウルとディスコのあいだを行き来する彼女の持ち味をはっきり示した1曲だった。
また、「Together We Are Beautiful」や「Let The Good Times Roll」、「I’ve Been Lonely For So Long」といった曲でも知られており、カバーでも自分の歌として成立させるタイプの歌手でもある。
『I’m Ready For Your Love』も、そうした“曲を自分のものにする”歌唱の延長線上にある作品として聴ける。
同時代の文脈
1982年という時期は、ディスコ全盛期のピークから少し時間が経ったあとで、ソウルやファンクの側がクラブ向けの要素を取り込みながら形を変えていた時代。
Fern Kinneyのこの作品も、その流れの中にある。南部ソウルの温度感を保ちながら、80年代初頭らしいプロダクションの整理された響きへ寄せている点が見どころになりそうだ。
同系統の歌手を思い浮かべるなら、同じくソウルをベースにディスコやダンス・ミュージックへ接続していったシンガーたちの流れの中で捉えやすい。
そのなかでもFern Kinneyは、バックグラウンドに南部ソウルの経歴があるぶん、歌の芯が比較的はっきりしている印象がある。
まとめ
『I’m Ready For Your Love』は、Fern Kinneyがソロ歌手として活動を深めていた時期の1982年作。
Malacoらしい南部ソウルの土壌と、ディスコ以後のダンス感覚が重なる1枚として見ると、彼女の代表曲だけでは見えにくいアーティスト像にも触れられる作品だ。
派手な逸話が前面にあるタイプのアルバムというより、歌手としてのFern Kinneyの立ち位置をその時代の音で記録した作品、といった印象。
1980年代初頭のソウル・アルバムの空気感を知るうえでも、彼女のキャリアをたどるうえでも、位置づけがわかりやすい一枚だ。
トラックリスト
- A – I’m Ready For Your Love (4:29)
- B – Boogie Box (4:02)
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RAH Band – Producers Choice (2020)
RAH Band『Producers Choice』について
RAH Bandは、Richard A. Hewsonを中心に動くUKのスタジオ・プロジェクト。70年代後半から80年代にかけて、ジャズ・ファンク、シンセポップ、ポップの要素を行き来しながら、UKチャートでも結果を残してきたユニットだ。
『Producers Choice』は2020年にUKでリリースされた2枚組アナログ盤。Record Store Day 2020向けの限定盤として出た作品で、RAH Bandの各アルバムから選ばれた楽曲を、オリジナル・テープからリマスターしてまとめた編集盤になっている。印刷スリーブ付きの仕様で、Atjazz Record Companyからのライセンス盤でもある。
作品の位置づけ
RAH Bandの代表曲を、あらためてまとまった形で聴ける一枚という位置づけ。70年代のスタジオ志向の作り込みと、80年代のダンス寄りの感触、その両方を横断する内容になっている。
Richard Hewsonは、編曲家、指揮者、マルチ・インストゥルメンタリストとして活動を始めたのち、自身のイニシャルを冠したRAH Band名義で制作、作曲、演奏まで手がけるようになった。そうした個人プロジェクトとしての性格が、編集盤であってもはっきり見えるのがこの作品の面白さだ。
収録曲の中心となる代表曲
この盤の核としてまず挙がるのが「Clouds Across The Moon」と「Messages From The Stars」。どちらもRAH Bandを語るときによく触れられる曲で、前者はUKヒットとして知られ、後者も後年まで広く親しまれてきた。
「Clouds Across The Moon」は、曲名のイメージどおり宇宙的な題材を持ちながら、打ち込みとバンド的な演奏感が同居するところが特徴。RAH Bandのシンセポップ面と、ソウル寄りの感触が重なる1曲として位置づけられる。
「Messages From The Stars」は、80年代のRAH Bandらしい軽快さと電子音の整理された鳴りが前に出る楽曲。のちにクラブ文脈や再評価の流れでも名前が出やすい代表曲だ。
聴きどころ
この編集盤は、曲ごとの年代差をそのまま並べるというより、RAH Bandの制作スタイルの変化を追いやすい構成になっている。ジャズ・ファンク寄りの楽器の運び、ポップとしての覚えやすさ、シンセを使った音の設計、その3つが曲ごとに違う比重で現れる。
リマスター盤なので、オリジナル盤で聴かれていた曲も、現在の再生環境で輪郭をつかみやすい。とくに低音のラインやシンセのレイヤー、コーラスの重なり方は、編集盤としてまとめて聴くと整理して追いやすい印象がある。
同時代の文脈
RAH Bandは、UKの70年代後半から80年代初頭にかけての、スタジオ主導のポップ/ダンス音楽の流れに位置する。派手なバンド・サウンドというより、作曲、編曲、録音の作業を前面に出したタイプで、同時代のシンセポップやジャズ・ファンクと接点を持つ。
その意味では、ディスコ以後のダンス・ミュージックや、英国のソウル/ファンク寄りポップと並べて語られることが多い存在だ。RAH Bandの曲は、ラジオ向けのポップ感と、スタジオ作品としての細かな構成が同居している。
まとめ
『Producers Choice』は、RAH Bandの主要曲をオリジナル・テープからリマスターし、2枚組LPにまとめた2020年の編集盤。代表曲「Clouds Across The Moon」や「Messages From The Stars」を軸に、Richard Hewson主導のスタジオ・プロジェクトとしてのRAH Band像をつかみやすい内容だ。
70年代のジャズ・ファンク的な流れと、80年代のシンセポップ/ダンス・ポップの接点を一度にたどれる盤、という見方がしやすい。
トラックリスト
- A1 – Beyond
- A2 – Downside Up
- A3 – Out On The Edge
- B1 – Float
- B2 – Perfumed Garden
- B3 – Shadow Of Your Love
- C1 – Clouds Across The Moon (Supanova Mix)
- C2 – Electric Fling
- C3 – Messages From The Stars
- D1 – Falcon
- D2 – Slide
- D3 – Riding On A Fantasy
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- The RAH Band – Downside Up (Remaster)
- The RAH Band – Beyond (Remaster)
- The RAH Band – Out On The Edge (Remaster)
- The RAH Band – Float (Remaster)
- The RAH Band – Perfumed Garden (Remaster)
- The RAH Band – Shadow Of Your Love (Remaster)
- The RAH Band – Clouds Across The Moon (Supanova Mix Remaster)
- The RAH Band – Electric Fling (Remaster)
- The RAH Band – Messages From The Stars (Remaster)
- The RAH Band – Falcon (Remaster)
The Jimmy Castor Bunch – The Jimmy Castor Bunch (1979)
The Jimmy Castor Bunch / The Jimmy Castor Bunch
1979年にUSでリリースされた、The Jimmy Castor Bunch名義のアルバム。Jimmy Castorを中心に、John Pruittがソングライティング、出版、プロデュース面で関わる編成で、Gerry Thomasを含むメンバーが参加している。ソウル、ファンク、ディスコの流れの中に、Jimmy Castorらしいラテン色が時折のぞくグループの一枚として位置づけられる作品だ。
作品の位置づけ
Jimmy Castorは、60年代から活動してきたファンク/ソウル・シーンの人物で、The Jimmy Castor Bunchはその代表的なグループ名義のひとつ。1979年という時期は、ファンクがディスコと接近しながら形を変えていた時代で、このアルバムもその空気を受けた一枚として見てよさそうだ。派手にジャンルを横断するというより、当時のUSブラック・ミュージックの実用的なダンス感覚をきっちり持った作品という印象がある。
サウンドの印象
全体としては、タイトなリズム隊を軸にしたファンク寄りの作りで、ホーンやコーラス、ベースの推進力が目立つタイプのアルバム。Jimmy Castor作品に期待される、言葉数の多いヴォーカル、リズムの切れ、遊び心のあるノリが前に出やすい構成だ。ラテンの要素が入る場面もあり、完全に直線的なディスコ作品というより、ファンクをベースにしたグルーヴ盤としての性格が強い。
実際に聴いたときは、曲ごとのフックよりも、演奏のまとまりとリズムの持続で聴かせるタイプに感じられることが多い。派手な展開で押すというより、一定のテンポ感の中で身体を動かしやすいビートを積み重ねる作りだ。
同時代とのつながり
1979年のファンク/ソウル周辺を考えると、ファットバック・バンドやセシル・ホルムズ周辺のダンス志向、あるいはディスコ期のソウル作品と並べて見たくなる時期だ。Gerry ThomasがThe Fatback Bandにも関わっていたことからも、当時のダンス・ミュージックの現場感が重なる。洗練されたディスコというより、バンド演奏の熱量を残したファンク寄りの作りに近い。
代表曲・注目点
このアルバム単体では、広く知られた代表曲の存在は前面には出ていないが、Jimmy Castorといえば「Troglodyte (Cave Man)」や「It’s Just Begun」で知られる人物。その流れを踏まえると、この1979年作も、彼の持ち味であるリズムの粘りと掛け合いの感覚を確認できる一枚として捉えやすい。
リリースに関しては、プロモーション用ステッカー付きの個体があることが知られている。US盤として流通した1979年のオリジナル期の資料として見ると、当時の販促の雰囲気も含めて面白い。
まとめ
The Jimmy Castor Bunch名義の本作は、Jimmy Castorのファンク/ソウル路線を1979年の空気の中でまとめたアルバム。ラテン色を含むグルーヴ、バンド感のある演奏、ディスコ期のダンス感覚が同居する内容で、70年代末のUSブラック・ミュージックの一断面が見える作品だ。
トラックリスト
- A1 – Don’t Do That (7:08)
- A2 – Need Your Lovin (6:46)
- A3 – Party People (5:35)
- B1 – Psych-Out (6:55)
- B2 – Goodbye! (7:40)
- B3 – I Just Wanna Stop (6:06)
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Hummingbird – Diamond Nights (1977)
Hummingbird『Diamond Nights』(1977)について
Hummingbirdの『Diamond Nights』は、1977年にUSで出た作品で、バンドの持ち味であるロックの骨格に、ソウルやジャズ、ファンクの要素を重ねた一枚だ。Bobby Tenchを中心に1974年に結成された英米混成バンドで、ここではBernard Purdie、Max Middleton、Conrad Isidore、Robert Ahwai、Bernie Holland、Clive Chamanらが参加している。
前身の流れをたどると、Hummingbirdはジミー・ペイジ周辺のセッション感覚や、英国のブルース/ロック人脈ともつながるメンバー構成で知られる。そうした背景を踏まえると、『Diamond Nights』も単なるバンド作品というより、演奏者それぞれの経験が前に出るタイプのレコードとして捉えやすい。
作品の輪郭
このアルバムは、ギターを軸にしたロックの手触りがありつつ、リズム隊の動きにソウル・ジャズやジャズ・ファンクの感覚がにじむ内容だ。Bernard Purdieのようなグルーヴ重視のドラマーが入っていることもあって、ビートの置き方に独特の粘りが出やすい編成と言える。
同時代の文脈で見ると、1970年代半ばの英国発のバンドでも、ロックだけに寄らず、ファンクやR&Bの語法を取り入れる流れがあった。Hummingbirdもその中に置くと見通しがよく、Jeff Beck周辺や、よりジャズ寄りのクロスオーバー作品を思わせる場面があるかもしれない。
聴きどころ
実際の音の印象としては、派手な展開で押すというより、演奏の間合いとリズムの推進力で聴かせるタイプに思える。ボーカル、ギター、キーボード、ベース、ドラムがそれぞれ前に出すぎず、曲の中で役割を分担する流れが見えやすい。ファンク寄りの曲ではリズムの反復、ソウル寄りの曲では歌のフレーズ感が耳に残りやすい構成だ。
この時期のHummingbirdは、個々のプレイヤーの力量がそのまま作品の質感につながるバンドだったので、曲単体だけでなく、演奏の呼吸を追う楽しみが大きい。そうした意味では、アルバム全体を通してバンドの色よりも、メンバーの持ち味が積み重なっていく感覚がある。
曲と収録内容について
本作では、レーベル表記とバックカバーの曲順が一致しない版が確認されている。盤によって収録表記の見え方が違うため、レコードを手に取るときはクレジットの確認が必要になるタイプの作品だ。
代表曲として大きく知られた一曲を前面に押し出す作品というより、アルバム単位で聴かれる性格が強い。Hummingbirdの中でも、バンドの演奏力とジャンル横断的な作りがまとまって表れた一枚として見ると、位置づけがつかみやすい。
まとめ
『Diamond Nights』は、1977年という時代の空気の中で、ロックを土台にソウル、ジャズ、ファンクの要素を自然に混ぜたHummingbirdのアルバムだ。Bobby Tenchを中心にしたこのバンドの持ち味が、演奏中心の形でよく出た作品として理解しやすい。
派手な看板曲で押すというより、メンバーの手触りやグルーヴの積み重ねで聴かせる一枚。Hummingbirdというバンドの名前を追ううえでも、1970年代中盤の英米ロックとブラック・ミュージックの接点を見るうえでも、外しにくい位置にある作品だ。
トラックリスト
- A5 – Got My “Led Boots” On (3:41)
- A4 – Spirit (3:35)
- B2 – Cryin’ For Love (3:14)
- B3 – She Is My Lady (5:01)
- B4 – You Can’t Hide Love (4:25)
- A1 – Anaconda (5:50)
- A3 – Madatcha (3:48)
- A2 – Losing You (Ain’t No Doubt About You) (3:57)
- B1 – Spread Your Wings (4:15)
- B5 – Anna’s Song (3:28)
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The Whispers – This Kind Of Lovin’ (1981)
The Whispers / This Kind Of Lovin’(1981)
The Whispersは、1960年代から活動を続けるロサンゼルスのソウル・グループだ。男性ヴォーカル・グループらしい整ったハーモニーと、80年代以降の洗練されたR&Bサウンドの両方を持つ存在として知られている。This Kind Of Lovin’は1981年の作品で、グループがSolar周辺で存在感を強めていく時期の1枚にあたる。
作品の位置づけ
1981年という時期のThe Whispersは、70年代後半のディスコ期を経て、より都会的なソウル/ダンスR&Bへ軸足を置いていた。1978年の「And The Beat Goes On」、1980年の「It’s A Love Thing」といったヒットで知られる流れの中にある作品で、グループの名前をR&Bチャート上位に定着させていく時期のタイトルでもある。
レーベル表記には℗ 1981 Dick Griffey Productions、© 1981 RCA Recordsとあり、当時のSolar系ソウル作品らしい制作背景が見える。ジャケットやクレジット面も含めて、1980年代初頭のUSソウル・アルバムとしての佇まいがある。
サウンドの印象
この時期のThe Whispersらしく、曲の芯にはメロディ重視の歌い回しと、複数人の声がきれいに重なるコーラスがある。ファルセットを押し出すというより、輪郭のそろったヴォーカルを前に出しながら、リズム隊と鍵盤で流れを作るタイプの作りだ。ディスコの延長線上にありつつ、踊るためだけでなく歌を聴かせる構成が残っているところが特徴的だ。
実際に聴くと、派手な展開で引っ張る作品というより、グループの声の揃い方とリズムの置き方で聴かせるタイプに感じられる。The Whispersは派手な個性を前面に出すグループというより、アンサンブルの精度で魅せる印象が強い。
代表曲とのつながり
収録曲の中核を語るうえでは、同時期のヒット曲群と並べて捉えるのがわかりやすい。The Whispersは1980年前後に「It’s A Love Thing」でR&Bチャート2位を記録し、翌1982年には「In The Raw」もヒットさせている。少し後の1987年には「Rock Steady」でR&Bチャート1位に到達しており、This Kind Of Lovin’はその中間にある重要な時期の一作という位置づけだ。
- 「And The Beat Goes On」:1978年の代表曲
- 「It’s A Love Thing」:1980年のヒット
- 「In The Raw」:1982年のヒット
- 「Rock Steady」:1987年の最大級のヒット
同時代との関係
1981年前後のソウル/R&Bでは、The Whispersのようにコーラスを生かしたグループが、ダンス・ミュージックの流れの中で洗練を進めていた。近い文脈では、同じくグループ・ヴォーカルを軸にした作品群や、ディスコ後のブラック・ミュージックの流れに接続するアーティストたちが思い浮かぶ。The Whispersはその中でも、歌のバランスが整ったグループとして聴かれてきた存在だ。
グループについて
The Whispersは1964年にカリフォルニア州ワッツで結成され、ロサンゼルスを拠点に活動してきた。オリジナル・メンバーにはWallace Scott、Walter Scott、Nicholas Caldwell、Gordy Harmon、Marcus Hutsonが含まれる。長い活動歴の中でメンバー変遷はあるが、グループとしては50年以上にわたり活動を続け、R&Bチャートでも多数のヒットを記録している。
2003年にはVocal Group Hall of Fame、2014年にはR&B Music Hall of Fameに選出されている。ハーモニー・グループとしての評価が、長いキャリアを通して積み上がってきたことがわかる。
まとめ
This Kind Of Lovin’は、The Whispersが70年代のディスコ期から80年代の都会的なR&Bへ移っていく流れの中にある1981年作だ。派手さよりも、整ったコーラス、リズムの安定感、メロディの運びで聴かせるタイプの作品として見ると、グループの持ち味がわかりやすい。代表曲「And The Beat Goes On」や「It’s A Love Thing」に接続する時期のタイトルとして押さえておきたい1枚だ。
トラックリスト
- A1 – This Kind Of Lovin’ (5:00)
- A2 – World Of A Thousand Dreams (3:45)
- A3 – I’m The One For You (4:05)
- A4 – Got To Get Away (5:00)
- B1 – I’m Gonna Love You More (6:03)
- B2 – Can’t Stop Loving You Baby (4:19)
- B3 – What Will I Do (4:05)
- B4 – The Bright Lights And You Girl (3:25)
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- The Whispers – This kind of lovin’ ”Edit” (1981)
- The Whispers – I’m Gonna Love You More (1981) (Maxi 45T)
- THE WHISPERS … CAN’T STOP LOVING YOU BABY…..
- The Whispers – World of a Thousand Dreams
- The Whispers – I’m The One For You
- The Whispers – The Bright Lights and You Girl
- The Whispers – Got to Get Away
- The Whispers – This Kind Of Lovin’ (1981)
- Whispers – I’m The One For You.wmv
- Got to Get Away
Diana Ross – Ross (1983)
Diana Ross『Ross』(1983)について
Diana Rossの『Ross』は、1983年にリリースされた14作目のソロ・スタジオ・アルバムである。録音は1982年から1983年にかけて行われ、USでは1983年6月9日にMotownから発売された。ソロ転向後のDiana Rossが、80年代前半のポップ/R&B路線をそのまま反映した一枚として位置づけられる作品だ。
作品の輪郭
この時期のDiana Rossは、60年代のThe Supremesでの成功を経て、ソロ・アーティストとして長く活動を続けていた。『Ross』は、そのソロ期の中でも1980年代のシンセサイザー主体のサウンドを前面に出したアルバムで、Electronic、Funk / Soul、Popの要素を持ち、スタイルとしてはSynth-pop、Soul、Discoにまたがる内容である。
タイトルがそのまま自身の名前である点も印象的で、アーティスト名を冠した作品らしく、当時のDiana Rossの現在形を示す役割を持つアルバムと見られる。Motown期のディスコ・イメージを引き継ぎつつ、80年代らしい打ち込みやシンセの質感が加わった時代性のある仕上がりである。
サウンドと聴きどころ
このアルバムでは、リズムの輪郭がはっきりしたトラックと、艶のある歌声の組み合わせが軸になる。Diana Rossのボーカルは、前に出すぎず、それでも曲の中心を外さないタイプで、ソウルやダンス寄りの曲でもポップ・シンガーとしての明瞭さが保たれている。
1983年という年を考えると、同時代にはMichael JacksonやWhitney Houstonの大ブレイク前夜の空気があり、R&Bとポップの境界がより近づいていた。『Ross』もその流れの中にある作品で、ディスコ以後のダンス・ミュージックとポップ・アルバムの接点に置かれる一枚といえる。
作品の位置づけ
Diana Rossのキャリアの中では、ソロ・アルバムを継続して重ねていた時期の作品であり、80年代の音像へ自然に移行していく過程を示すアルバムでもある。1970年代のディスコ時代に強い印象を残した彼女が、その後の時代にどう対応していたかを知るうえで、ひとつの手がかりになる。
なお、この盤はSterling SoundでTed Jensenによってマスタリングされている。フロント・カバーにはエンボス加工のタイトル表記がある点も、物理メディアとしての存在感を持たせる要素である。
ヒット曲・代表曲について
『Ross』については、アルバム全体の流れを追う聴き方がしやすい作品で、シングル単位の強い記憶だけで語るタイプというより、80年代初頭のDiana Ross像をまとめて示す内容として捉えやすい。ソロ・キャリアの中で、ダンス・ポップとソウルの接点を確認できるアルバムである。
まとめ
『Ross』は、Diana Rossのソロ・キャリアの中で1983年という時代の空気をはっきり映した作品である。Motownの伝統を背にしつつ、当時のポップ/R&Bの音作りへ寄せたアルバムとして、1980年代前半の彼女の立ち位置を知るには見やすい一枚だ。
トラックリスト
- A1 – That’s How You Start Over (4:09)
- A2 – Love Will Make It Right (4:44)
- A3 – You Do It (4:31)
- A4 – Pieces Of Ice (4:54)
- B1 – Let’s Go Up (4:01)
- B2 – Love Or Loneliness (4:17)
- B3 – Up Front (3:56)
- B4 – Girls (3:58)
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Booker T & The MG’s – Soul Dressing (1965)
Booker T & The MG’s『Soul Dressing』について
Booker T & The MG’sは、1960年代のメンフィス・ソウルを語るうえで外せないインストゥルメンタル・コンボだ。オルガンのBooker T. Jones、ギターのSteve Cropper、ベースのDonald “Duck” Dunn、ドラムのAl Jackson Jr. を中心に、Staxレーベルの屋台骨として数多くの録音を支えたグループでもある。そんな彼らが1965年に発表したのが『Soul Dressing』。バンド単独作としての存在感がはっきり出た時期のアルバムで、同時代のR&Bやソウルの文脈の中でも重要な一枚に置ける作品だ。
作品の位置づけ
『Soul Dressing』は、Stax LP 705として1965年にオリジナル発売されたアルバムの再発盤にあたる。Booker T & The MG’sは、Otis Redding、Wilson Pickett、Sam & Daveといったヴォーカリストの伴奏や制作でも知られるが、自身の名義でもヒット曲を持つ。グループとしての代表曲には「Green Onions」や「Hip Hug-Her」があり、『Soul Dressing』もそうした流れの中にあるアルバムだ。
この時期の彼らは、単なるバックバンドではなく、演奏そのものを作品として成立させるグループとして評価を広げていた。Staxらしいリズムの切れ味、オルガンとギターの受け渡し、ベースとドラムのまとまりが、そのままバンドの個性になっている。
聴きどころ
このアルバムの魅力は、派手な展開よりも、短いフレーズを積み重ねて曲を運ぶところにある。Booker T. Jonesのオルガンは前に出すぎず、Steve Cropperのギターは必要な音だけを置き、リズム隊が全体を引っ張る。いかにもStaxらしい、演奏の呼吸が見えるタイプのインストゥルメンタル・ソウルだ。
実際に聴くと、音数の少なさよりも、各パートの間合いが印象に残る。メロディを大きく歌い上げるというより、リフとグルーヴで聴かせる作りで、当時のソウル・インストの標準形のひとつとして機能している感じがある。ファンク寄りの推進力と、R&Bの骨格が同居しているところも面白い。
同時代とのつながり
Booker T & The MG’sは、同じStax周辺のアーティストたちと密接につながっていた。彼らの演奏は、Otis Reddingのようなシンガーの熱量を支える土台でもあり、逆に自分たちの作品では、その土台だけで一枚のアルバムを成立させている。Instrumental R&Bやソウルの流れの中では、The Metersのような後続のバンドを思い起こさせる要素もあるが、より前の時代のメンフィス録音らしい乾いた鳴りが特徴的だ。
再発盤としてのポイント
この盤は2000年のSundazed Musicによる再発。オリジナルの1965年盤を踏まえつつ、180グラム盤として出された仕様だ。クレジット上でもオリジナルの作品年は1965年、こちらの盤は2000年リリースとして整理される。Sundazedの再発盤らしく、当時のソウル作品をアナログで手に取りやすくした一枚といえる。
また、同系統の再発盤の中でも、この盤はSide BのランアウトにⓊが入るプレスである点が記されている。ジャケットには「Renew your faith in music.」というステッカーが付く仕様もある。
まとめ
『Soul Dressing』は、Booker T & The MG’sが“伴奏の名手”にとどまらず、グループとしてソウルを組み立てる力を示した作品のひとつだ。Staxの空気、メンフィスのリズム、インストゥルメンタル・ソウルの手触りが、そのまま入っているアルバム。
ヒット曲を持つバンドの代表作という見方もできるし、60年代ソウルの演奏美学を知るための一枚としても位置づけられる作品だ。
トラックリスト
- A1 – Soul Dressing (2:24)
- A2 – Tic-Tac-Toe (2:30)
- A3 – Big Train (2:30)
- A4 – Jellybread (2:27)
- A5 – Aw’ Mercy (2:34)
- A6 – Outrage (2:31)
- B1 – Night Owl Walk (3:12)
- B2 – Chinese Checkers (2:25)
- B3 – Home Grown (2:39)
- B4 – Mercy Mercy (2:32)
- B5 – Plum Nellie (2:03)
- B6 – Can’t Be Still (1:57)
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Stardrive – Stardrive (1974)
Stardrive『Stardrive』(1974)
Stardriveは、1974年にUSで登場したセルフタイトル作。クレジット上は「Stardrive Featuring Robert Mason」とされていて、Robert Masonを前面に出した形の作品だ。メンバーにはMichael Brecker、Steve Gadd、Harvey Sarch、Jaime Austria、Howard Rego、Robert Masonが並ぶ。
編成を見るだけでも、当時のUSロックの枠を少し広げたような顔ぶれだ。電子的な要素、ロックの推進力、ファンク寄りのリズム感が同居する作りで、スタイル欄にあるFunk、Prog Rock、Ambientの要素がそのまま結びついている印象になる。
作品の輪郭
このアルバムは、1974年という時代らしい、バンド演奏の手触りとスタジオ的な音作りが同じ場所にある1枚として捉えやすい。フュージョン以後の感覚、プログレッシブ・ロックの構成意識、ファンクのリズム処理が交差するタイプの作品だ。電子音を前に出しながらも、演奏者の身体感覚が残るところがポイントになる。
Michael BreckerとSteve Gaddの参加も目を引く。Breckerはサックス奏者としての存在感で知られ、Gaddはタイトなドラミングで多くの録音に名を残した人物だ。この2人が加わることで、作品全体に演奏面の厚みが出ている構図になる。
同時代の文脈
1974年のUSでは、ロック、ファンク、電子音楽の境界が少しずつ曖昧になっていく時期だった。Stardriveもその流れの中に置くと見えやすい。プログレッシブ・ロックの組み立て感と、ファンクの反復するグルーヴ、さらにアンビエント的な広がりを持つ音像が重なるあたり、同時代の実験的なバンドや、クロスオーバー志向の作品群と並べて語られやすいタイプだ。
ただし、前面に出るのは派手なコンセプトよりも、演奏と音の質感のほうだ。ロックのバンド編成を軸にしながら、電子的な処理で空間を作るところにこの作品の特徴がある。
リリース情報
- アーティスト: Stardrive
- タイトル: Stardrive
- オリジナルリリース年: 1974年
- リリース国: US
- ジャンル: Electronic, Rock, Funk / Soul
- スタイル: Funk, Prog Rock, Ambient
まとめ
『Stardrive』は、1974年のUSで生まれた、ロックとファンクと電子音の接点にあるアルバムだ。Robert Masonを中心に据え、BreckerやGaddを含む演奏陣が参加している点も含め、当時のクロスオーバー感覚をそのまま映したような1枚として見えてくる。セルフタイトル盤らしく、まずはバンドの輪郭そのものを示す作品という位置づけになっている。
トラックリスト
- A1 – Funkascensions (5:28)
- A2 – Ballad I (2:23)
- A3 – Jupiterjump (7:40)
- B1 – Pulsar (5:47)
- B2 – Ballad II (2:36)
- B3 – Air Sauce (5:37)
- B4 – Ballad III (3:14)
- B5 – Journey (6:55)
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Kano – New York Cake (1981)
Kano『New York Cake』(1981年)について
Kanoは、1980年代前半のイタリアン・ディスコ、いわゆるイタロ・ディスコの流れを語るうえで外せないプロジェクトだ。イタリアのプロデューサー、作曲家、ミュージシャンたちによる集団で、Glen Whiteのソウル寄りのボーカルを軸に、ダンスフロア向けの曲をいくつも残している。『New York Cake』は1981年にリリースされた作品で、Kanoの初期3作の中でも後期にあたる一枚になる。
この時期のKanoは、ディスコの延長線上にありながら、打ち込み感の強いリズムやシンセの使い方で、のちのエレクトロやブレイクダンス期へつながる感触を持っている。イタロ・ディスコの起点のひとつとして見られることが多いのも、そのあたりの動きが大きい。
作品の位置づけ
『New York Cake』は、Kanoの1981年作として位置づけられるアルバムで、同グループの初期キャリアの流れを追ううえで重要な一枚だ。1980年の「I’m Ready」や「It’s A War」でクラブヒットを出したあと、1981年の本作では、当時のダンス・ミュージックの語法をさらに整理したような印象がある。
録音はイタリア・ミラノのG.R.S. Studiosで行われている。制作の中心にはStefano Pulga、Luciano Ninzatti、Matteo Bonsanto、そしてGlen Whiteの名前が並ぶ。Mirage Recordsからのリリースで、1981年のUS盤として出ている。
サウンドの印象
実際の楽曲は、ビートの輪郭がはっきりしていて、ベースラインとシンセの反復が前に出る作りになっている。Kanoらしいのは、機械的なリズムだけで押し切らず、ボーカルにR&B寄りのニュアンスが残っているところだ。ディスコの華やかさよりも、クラブで長く回ることを意識した構成に近い。
同時代の比較でいえば、同じくイタロ・ディスコの文脈にあるプロジェクト群や、USのブギー、さらにロボット感のある初期エレクトロの間をつなぐ感触がある。派手さで押すタイプというより、リズム、シンセ、ボーカルの配置で場を作る作品という印象。
代表曲との関係
Kanoを代表する曲としては「I’m Ready」「It’s A War」がよく知られている。これらはクラブ向けの反応が強く、Kanoの名を広めた重要曲だ。本作『New York Cake』も、その流れの中にある作品として捉えられる。アルバム単位で聴くと、ヒット曲で知られる前後のサウンドの整理が見えやすい。
盤の情報
- アーティスト: Kano
- タイトル: New York Cake
- オリジナルリリース年: 1981年
- リリース国: US
- レーベル: Mirage Records
- 録音: G.R.S. Studios, Milano, Italy
- ジャンル: Electronic, Funk / Soul
- スタイル: Italo-Disco, Boogie
まとめ
『New York Cake』は、Kanoがイタロ・ディスコの初期を代表する存在として見られる理由を確認しやすい作品だ。ディスコの延長、ブギーの感覚、そしてエレクトロへ向かう手前の空気が同居している。1981年という時期のダンス音楽の変化を、イタリア制作のプロジェクトがUS市場に向けて形にした一枚として読むこともできる。
トラックリスト
- A1 – Can’t Hold Back (Your Loving) (4:45)
- A2 – She’s A Star (5:50)
- A3 – Baby Not Tonight (6:58)
- B1 – Party (5:55)
- B2 – Round And Round (4:59)
- B3 – Don’t Try To Stop Me (7:00)
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The Crusaders – Street Life (1979)
The Crusaders『Street Life』について
The Crusadersの『Street Life』は、1979年に発表された作品で、グループの名前が広く知られるきっかけになった1枚として語られることが多い。もともとジャズ・クルセイダーズとして活動を始めた彼らは、1960年代のハード・バップから、70年代にかけてソウル寄り、ファンク寄りの感触を強めていった。その流れの中で出てきたのがこの時期の『Street Life』という位置づけになる。
中心メンバーはJoe Sample、Wilton Felder、“Stix” Hooper。そこにLarry Carltonらが加わった時期のサウンドは、演奏の密度を保ちながら、リズムの前に出方がはっきりしている。ジャズの演奏力を軸にしつつ、R&Bの文脈でも聴かれる内容になっている。
作品の性格
この作品でまず挙げられるのは、代表曲「Street Life」。ゲスト・ヴォーカルのRandy Crawfordを迎えたこの曲は、The Crusadersの名前を広く押し上げたナンバーとして知られている。グループの器楽演奏だけで進む曲とは違い、歌が前面に出ることで、当時の彼らの方向性がより見えやすい。
アルバム全体としても、ソウル・ジャズの流れを持ちながら、70年代後半らしいファンクの輪郭がある。ベース、ドラム、キーボードの組み立てが明確で、そこにギターがリフを重ねる場面が多い。The Crusadersがそれ以前から積み重ねてきた演奏の精度が、そのままポピュラー音楽寄りのフォーマットに接続されている感じがある。
同時代とのつながり
The Crusadersは、同時代のジャズ・ファンクやソウル・ジャズの中でも、演奏の組み立てが比較的整理されているグループとして見られることが多い。Steely Dan、Curtis Mayfield、Joni Mitchell、Ray Charles、Van Morrisonなど、多くのアーティストのバックを務めてきた経歴もあり、単独のバンドというより、当時の録音現場全体に関わるプレイヤー集団としての存在感が大きい。
その意味で『Street Life』は、ジャズの演奏家がポップスやR&Bの現場と近い場所で鳴っていた時代の記録でもある。ジャズ・フュージョンの流れの中で、演奏の自由さよりも曲としての推進力が前に出た作品、と見ることができる。
盤について
今回の盤は1980年のUSリリース。ラベル下部の外周に「© 1980 MCA Records, Inc.」表記があり、ジャケット裏面右上に白いバーコード枠がある再発盤仕様になっている。オリジナルの作品年は1979年で、盤として手元にあるのはその翌年のリリースという整理になる。
オリジナル期の作品を、1980年仕様のUS盤で聴く形。70年代末の空気を持つ内容を、80年の再発盤で追える一枚、と言えそうだ。
まとめ
『Street Life』は、The Crusadersがジャズ・グループとしての出自を保ちながら、R&Bやファンクの現場で広く届く形へ移っていった時期を示す作品。代表曲「Street Life」とRandy Crawfordの参加は、その方向性をもっともわかりやすく伝える要素になっている。グループのキャリアを振り返るうえでも、重要な位置に置かれる作品だ。
トラックリスト
- A1 – Street Life (11:18)
- A2 – My Lady (6:43)
- B1 – Rodeo Drive (High Steppin’) (4:28)
- B2 – Carnival Of The Night (6:24)
- B3 – The Hustler (5:18)
- B4 – Night Faces (5:10)
関連動画
- Crusaders – Street Life (1979) – A1 – Street Life
- Crusaders – Street Life (1979) – A2 – My Lady
- Crusaders – Street Life (1979) – B1 – Rodeo Drive (High Steppin’)
- Crusaders – Street Life (1979) – B2 – Carnival Of The Night
- Crusaders – Street Life (1979) – B3 – Carnival Of The Night
- The Crusaders & Randy Crawford Street Life Extended album version
- Crusaders – Street Life (1979) – B4 – Night Faces
James Carr – A Man Needs A Woman (1968)
James Carr『A Man Needs A Woman』について
James Carrが1968年に発表したアルバム『A Man Needs A Woman』。USのRhythm & Blues/Soulシンガーとして知られるCarrの作品の中でも、60年代後半のGoldwax時代を代表する一枚として位置づけられる作品だ。タイトルからもわかる通り、歌そのものを前面に出した構成で、ソウル・シンガーとしての持ち味がまとまった内容になっている。
James Carrという歌い手
James Carrは1942年、ミシシッピ州コアホーマ生まれ。メンフィスでゴスペルや教会音楽に触れながら歌い始め、1960年代半ばにGoldwax Recordsで録音を重ねた。R&Bチャートに初めて入ったのは1966年の”You’ve Got My Mind Messed Up”で、その後ではDan PennとChips Momanが書いた”The Dark End of the Street”が特に知られている。
この『A Man Needs A Woman』は、そうした代表曲で注目を集めた時期の延長線上にある作品。Goldwaxのカタログの中でも、Carrの声を中心に据えたソウル・アルバムとして聴かれることが多い。
作品の位置づけ
1968年という時期は、メンフィス・ソウルやサザン・ソウルの流れが強く感じられる時代。James Carrもその文脈の中にいる歌い手で、同時代のシンガーと並べると、Otis ReddingやWilson Pickettのような強い歌声の系譜、あるいは同じくメンフィス周辺のソウル・シーンとつながる存在として見えてくる。
一方でCarrは、派手なパフォーマンスよりも、曲の中で感情を積み上げていくタイプの歌い手として語られることが多い。『A Man Needs A Woman』も、その持ち味を軸にしたアルバムとして受け取られている。
収録曲とクレジット
本作は全曲に出版社クレジットが付いており、複数のソングライター/出版社の楽曲で構成されている。A1、A2、A4、A5、A6、B5はRise Music Co. – Aim Music、A3はEarl Barton Music, Inc.、B1はWilderness Music Pub. Co., Inc、B2はZann Music, Inc.、B3はPresto Music Pub. Co.、B4はIl Gatto Music, Inc.の管理曲となっている。
ジャケット・デザインはForlenza Venosa Associatesによるもの。US盤として1968年に出たオリジナル・リリースで、当時のソウル盤らしい編集と見せ方が意識された一枚といえる。
聴きどころ
James Carrの作品は、声の強さだけで押すというより、フレーズの置き方や言葉の運びで曲の温度を上げていくところに特徴がある。このアルバムでも、その歌い回しが中心になるはずだ。特に”The Dark End of the Street”で知られるような、切迫感のある表現を期待して聴くと、Carrらしさが見えやすい。
60年代のソウル盤らしく、歌とバンドの関係が近い手触りもこの時代ならでは。メンフィスの空気を感じるタイプのソウルとして、Goldwax周辺の作品群と合わせて見ると、当時のシーンの輪郭がつかみやすい。
まとめ
『A Man Needs A Woman』は、James Carrのソウル・シンガーとしての立ち位置をそのまま示す1968年作。代表曲”The Dark End of the Street”で知られる彼の、60年代メンフィス・ソウルの流れの中での姿が見えるアルバムだ。派手な演出よりも、歌そのものを軸にした一枚として記憶される作品といえる。
トラックリスト
- A1 – A Man Needs A Woman (2:38)
- A2 – Stronger Than Love (2:24)
- A3 – More Love (2:36)
- A4 – You Didn’t Know It But You Had Me (1:50)
- A5 – A Woman Is A Man’s Best Friend (3:25)
- A6 – I’m A Fool For You (1:54)
- B1 – Life Turned Her That Way (2:29)
- B2 – Gonna Send You Back To Georgia (2:10)
- B3 – The Dark End Of The Street (2:20)
- B4 – Sowed Love And Reaped A Heartache (2:20)
- B5 – You’ve Got My Mind Messed Up (2:20)
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Gal Costa – Legal (1970)
Gal Costa『Legal』について
Gal Costaの『Legal』は、ブラジルの音楽シーンを代表する女性歌手による作品で、オリジナルは1970年のリリース。ここで扱う盤は1983年リリースのブラジル盤で、70年代初頭の空気をまとった内容を、80年代のプレスで聴ける一枚となっている。
Gal Costaという歌手
Gal Costaは1945年、ブラジルのサルヴァドール生まれの人気歌手。MPBを軸にしながら、ソウルやラテンの感触も取り込んだ歌唱で知られ、トロピカリア周辺の文脈でも重要な存在として語られてきた。2022年に亡くなっている。
作品の位置づけ
『Legal』は、Gal Costaのキャリア初期から中期にかけての流れを考えるうえで見逃せないタイトル。70年前後のブラジル音楽は、MPB、サンバ、ロック、ソウル、ラテンの要素が交差していた時期で、この作品もその広がりの中に置かれる一枚といえる。Caetano VelosoやGilberto Gil、Maria Bethâniaら同時代のブラジル音楽家たちと並べて語られることも多い流れ。
サウンドの印象
ジャンル表記はJazz、Latin、Funk / Soul、スタイルはMPB、Soul。Gal Costaの作品らしく、歌が中心にありながら、リズムの置き方や編曲の感触に当時のブラジル音楽らしい柔らかさと推進力がある。ソウル寄りの質感を持ちながらも、あくまでMPBの歌ものとしてまとまっているところが、この時代のGalらしいポイント。
実際に聴くと、声の輪郭が前に出てくる場面と、伴奏にすっと溶ける場面の切り替えが自然で、曲ごとの温度差も見えやすい。ブラジル音楽の中でも、ジャズ的な和声感、ラテンのリズム、ファンク寄りのノリが同じ空間に並ぶ感触がある。
1983年盤について
この盤は1983年のブラジル盤。センターラベルには℗1982、ランアウトには℗1983の表記がある。オリジナルの1970年盤とは年代が離れているため、手元の個体としては後年のプレスという位置づけになる。ブラジル盤らしい再発の文脈で、当時の作品を改めて聴ける仕様になっている。
ひとこと
『Legal』は、Gal Costaの歌そのものと、70年代ブラジル音楽の混ざり合いを確認できるタイトル。ヒット曲や代表曲として単独で大きく語られるというより、アルバム全体の流れの中でGalの持ち味が見えるタイプの作品として受け取れそうだ。
トラックリスト
- A1 – Eu Sou Terrível (2:30)
- A2 – Língua Do P (3:40)
- A3 – Love, Try And Die (2:23)
- A4 – Mini-Mistério (4:16)
- A5 – Acauã (2:49)
- B1 – Hotel Das Estrêlas (4:22)
- B2 – Deixa Sangrar (2:53)
- B3 – The Archaic Lonely Star Blues (3:03)
- B4 – London, London (4:00)
- B5 – Falsa Baiana (2:11)
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Le Pamplemousse – Le Pamplemousse (1976)
Le Pamplemousse / Le Pamplemousse (1976)
Le Pamplemousseは、Laurin RinderとW. Michael LewisによるUSのユニットで、このアルバムは1976年にリリースされた同名作品。ジャンルはFunk / Soul、スタイルはDiscoに位置づけられる一枚で、70年代半ばのダンスミュージックらしい空気をまとっている。
作品の輪郭
録音はカリフォルニア州ハリウッドのProducer’s Workshopで行われ、AVI Recordsから発表された。フランスのCompagnie Phonographique Francaise Barclayとの共同制作クレジットも記されていて、US発のディスコ作品でありながら、当時の国際的な流通や制作の広がりも感じさせる内容になっている。
クレジット面では、A1、A4、A2、B1、A3、A5、B2、B5、A6、B3、B4と各曲ごとに出版社が細かく割り振られており、制作物としてきっちり管理されたアルバムという印象が強い。1976年という年は、ディスコがクラブやラジオを通じて広がっていく時期でもあり、この作品もその流れの中に置きやすい。
サウンドの印象
実際に聴くと、リズムの押し出しがはっきりしていて、ベースとドラムの反復が曲を前へ進めるタイプの作り。ファンク由来のうねりを残しつつ、ディスコらしい一定の推進力を保っているのが分かりやすい。派手に展開を変えるというより、ダンスフロアでの持続を意識した組み立てが中心で、曲の流れそのものがまとまりを作っている。
70年代ディスコの中でも、オーケストラを前面に出すタイプというよりは、リズム・セクションを軸にしたストレートな感触がある。Salsoul系や、その周辺のファンク/ディスコ作品と並べて聴かれることがあるのも、こうした骨格の近さによるものだろう。
アーティストとしての位置づけ
Le Pamplemousseは、この名義自体がまず1976年のこの作品と結びついて語られることが多い。Laurin RinderとW. Michael Lewisの制作感覚が前面に出たプロジェクトとして、70年代ディスコの一断面を示す存在と見てよさそうだ。
代表曲としては、このアルバムから知られる曲が各種コンピレーションやDJ文脈で扱われることがあるが、作品全体としては1曲だけでなく、アルバム単位でリズムの流れを楽しむ性格が強い。タイトル曲の存在感もあり、アルバムの顔として機能している。
同時代との関係
1976年のUSディスコは、ニューヨークやフィラデルフィアだけでなく、西海岸でも独自の作りが見られた時期。Le Pamplemousseは、その中でファンクの硬さとディスコの反復性をつないだ作品として捉えやすい。派手な歌唱で押すタイプとは少し違い、演奏とグルーヴの組み立てで聴かせるところに特徴がある。
70年代後半のダンスミュージックの入口として、当時のスタジオ制作の質感や、クラブ向けの曲作りをそのまま感じられる一枚。1976年の空気をそのまま閉じ込めたアルバムとして、記録性の高い内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Manha De Carnival (3:48)
- A2 – Gimmie What You Got (5:23)
- A3 – Beginning Of The End (3:38)
- A4 – Poinciana (3:20)
- A5 – Gitcha Down (3:24)
- A6 – Soular Street (2:36)
- B1 – El Diablo Dorado (4:21)
- B2 – Love To Michelle (2:33)
- B3 – A Man And A Woman (3:25)
- B4 – Song Of The Jet (Samba Do Aviao) (3:10)
- B5 – After The Carafe (3:13)
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Prince And The Revolution – Parade (1986)
Prince And The Revolution「Parade」について
1986年にリリースされた、Prince And The Revolution名義の8作目のスタジオ・アルバムが「Parade」です。Princeの作品の中でも、The Revolutionをバンドとして前面に出した最後のアルバムとして知られていて、ソロ色の強い次の展開へ向かう前の節目の一枚という位置づけです。ジャンル表記としてはRock、Funk / Soul、Pop、スタイルではFunk、Minneapolis Sound、Pop Rockにまたがる内容で、Princeらしいリズムの強さと、曲ごとの色分けがはっきりした構成になっています。
作品の輪郭
このアルバムは、Prince And The Revolutionという編成のまとまりを感じさせる内容です。メンバーにはLisa Coleman、Matt Fink、Brownmark、Wendy Melvoin、Prince Rogers Nelson、Bob Rivkinがクレジットされていて、キーボード、ギター、ベース、ドラムがしっかり絡み合うバンド感が土台になっています。とはいえ、中心にいるのはやはりPrinceで、楽曲の方向性や音の設計には彼の個性が強く出ている作品です。
同時代のポップやファンクの流れの中でも、ミネアポリス・サウンドの代表的な一枚として見られることが多いアルバムです。シンセサイザーの使い方、リズムの切れ味、メロディの立ち上がり方などに、その時期のPrince作品らしい特徴がまとまっています。ファンクの躍動感とポップな聴きやすさのあいだを行き来する作りで、アルバム全体の流れも比較的コンパクトにまとまっています。
代表曲「KISS」
この作品を語るうえで外せないのが「KISS」です。シングルとして大きく知られた曲で、アルバムの中でも特に印象の強いトラックです。ギター、リズム、ファルセットの使い方がはっきりしていて、Princeの曲作りの輪郭がわかりやすい一曲になっています。ほかの楽曲も含めて、派手さだけで押すのではなく、音数や配置で引っかかりを作る感じがこのアルバムらしいところです。
映像作品とのつながり
リリース時のシュリンクには、Warner Bros.の映画「Under the Cherry Moon」の音楽であることと、「KISS」がヒットシングルであることが告知されています。つまり、このアルバムは単独の音源作品としてだけでなく、当時のPrinceの映像作品とも地続きの文脈で出てきたものです。音だけでなく、映像やキャラクター性も含めて展開していた時期の記録としても見やすい一枚です。
日本盤としての仕様
この日本盤はゲートフォールド仕様で、オビには「Prince 8th」と入っています。シュリンク上のステッカーには「KISS」のヒットを含むことや、「Under the Cherry Moon」との関連が記されています。付属品としては、英和対訳のクレジット・インサート、英和歌詞インサート、アルバム・カタログ付きのマーケティング/アンケート・カードが確認できます。レーベル表記には1986年の表記があり、Warner-Pioneer Corporation, Japanによるライセンス盤です。
ひとこと
「Parade」は、Prince And The Revolutionという名義の終盤に置かれたアルバムでありながら、曲の強さと構成のまとまりがしっかり感じられる作品です。特に「KISS」の存在で広く知られていますが、アルバム全体として見ると、ファンク、ポップ、ロックの要素がPrince流に整理された時期の記録としても興味深い内容です。
トラックリスト
- Intro
- A1 – Christopher Tracy’s Parade (2:11)
- A2 – New Position (2:21)
- A3 – I Wonder U (1:40)
- A4 – Under The Cherry Moon (2:57)
- A5 – Girls & Boys (5:30)
- A6 – Life Can Be So Nice (3:12)
- A7 – Venus De Milo (1:54)
- End
- B1 – Mountains (3:58)
- B2 – Do U Lie? (2:43)
- B3 – Kiss (3:38)
- B4 – Anotherloverholenyohead (3:58)
- B5 – Sometimes It Snows In April (6:50)
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Harris Chalkitis – Marita (1975)
Harris Chalkitis「Marita」
「Marita」は、フランスで1975年にリリースされたHarris Chalkitisの作品。作曲、編曲、歌唱、マルチインストゥルメンタリストとして知られるHarris Chalkitisが、パリのBarclay Studiosで1975年4月から5月にかけて録音した一枚である。ジャズ、ロック、ファンク、ポップ、フォークの要素をまたぐ作風で、ジャズロック、ジャズファンク、プログレッシブ・ロック、ディスコの文脈でも語られる作品になっている。
作品の輪郭
Harris Chalkitisは1945年にカイロで生まれ、幼少期に家族とともにギリシャへ移った人物。作曲家、オーケストレーター、シンガー、マルチインストゥルメンタリストとして活動し、後年はQueen Samanthaのプロデュースでも知られるほか、Demis Roussos、Mireille Mathieu、Dalidaなどの作曲も手がけている。その経歴を踏まえると、「Marita」も単独の歌手作品というより、作編曲の手腕が前面に出るタイプのレコードとして位置づけやすい。
録音はパリのBarclay Studios。℗表記も1975年のBarclayで、フランス盤として同年の空気をそのまま閉じ込めた資料性のあるレコードといえる。ジャズ寄りのリズム感、ロックの推進力、ファンクのうねり、そして当時のポップ/ディスコの感触が並ぶところに、この時代のヨーロッパ制作らしい混ざり方が見える。
サウンドの印象
この作品のポイントは、ジャンルの切り替えがはっきりしていること。ジャズ・ロックやジャズ・ファンクの文脈では演奏の密度が前に出やすく、プログレッシブ・ロックの要素では展開の組み立てが目立つ。そこにディスコ的なビート感や、ポップ、フォーク、ワールド・ミュージックの要素が重なっているため、単一の型に収まらない作りになっている。
実際に聴くと、歌ものとしての輪郭と、編曲の細かい動きの両方が見えやすいタイプの作品になりそうだ。メロディを追いながらも、伴奏のリズムや管弦の配置に耳が向く盤だろう、という印象である。
時代背景とつながり
1975年という年は、ヨーロッパのポップスやフュージョン、ディスコ前夜のサウンドが交差していた時期。フランス制作のレコードとして見ると、シャンソン的な歌心と、当時の国際的なソウル/ファンク感覚の接点にある作品とも捉えやすい。Harris Chalkitisの後年のプロデュースワークや大衆歌謡への関わりを考えても、この時期の仕事は彼の幅広い作曲・編曲感覚を示す一枚といえる。
代表曲やヒット曲として広く知られる定番曲の情報は見当たらないが、制作年、録音場所、参加した音楽的文脈をたどると、70年代フランス盤の中でも作り手の個性が出る作品として見ていける。
盤について
この盤は1975年のフランス盤。ラベルにはMade in Franceの表記があり、当時のBarclay系プレスとして出回ったものだとわかる。プレスリングの仕様も1975年のフランス国内プレスに特徴的なものとされている。
Harris Chalkitisのキャリアを追ううえで、「Marita」は、作曲家・編曲家としての感覚と、当時のフランス録音の空気が重なる一枚として押さえておきたい作品である。
トラックリスト
- A1 – Marita (3:45)
- A2 – Funny She Loves Me (2:18)
- A3 – Right On Moving (2:49)
- A4 – Always On My Mind (2:37)
- A5 – Without You (4:15)
- B1 – Introduction Moog (0:59)
- B2 – Glory Of A Love Song (3:25)
- B3 – Morning Sunshine (2:47)
- B4 – New York City (3:47)
- B5 – With A Smile (2:35)
- B6 – Let Me Go My Way (2:42)
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Intergalactic Touring Band – The Intergalactic Touring Band (1977)
Intergalactic Touring Band「The Intergalactic Touring Band」について
Intergalactic Touring Bandは、実在の固定バンドというより、1977年に登場したSFコンセプト・アルバム名義のプロジェクトだ。UKではCharisma Recordsからリリースされ、タイトルもそのまま「The Intergalactic Touring Band」。電子音響、ロック、ファンク/ソウルをまたぐ内容で、シンフォニック・ロック、ディスコ、プログレッシブ・ロック、ファンク、パロディの要素が並ぶ作品として知られている。
参加メンバーがかなり豪華で、Meat Loaf、Ben E. King、Larry Fast、Percy Jones、Annie Haslam、Rod Argent、Peppi Marchelloなど、ジャンルの違うプレイヤーやシンガーが集まっているのが特徴だ。プロフィール欄にあるMarvin Lee Adayは、Meat Loafの本名として知られる名前。
作品の輪郭
このアルバムは、多世代にわたる宇宙旅行と、人類の宇宙移住を大きな筋として曲がつながっている。いわゆるストーリー仕立ての作品で、各曲が独立しながらも、全体ではひとつのSF世界を形づくる構成になっている。歌詞、イラスト、クレジットを収めた12ページの光沢ブックレットと、ピクチャー入りインナー・バッグが付属する仕様も、作品のコンセプトを補強する要素になっている。
同時代の空気とのつながり
1977年という時期を考えると、ロックの中でもプログレッシブ・ロックの語法や、シンフォニックな展開、ディスコ寄りの感触、ファンクのリズム感が同居していた時代の空気がある。特定のバンドの継続作というより、複数の名手を集めて大型企画として組み上げたアルバムで、当時のコンセプト・アルバム文化やスタジオ主導の制作とも重なる位置づけと言えそうだ。
Meat LoafやAnnie Haslam、Ben E. Kingといった歌い手が同じ枠に並ぶこと自体が、この作品の性格をよく表している。ロック、ポップ、ソウル、プログレの境界をまたぐキャスティングで、ジャンルの分かれ目を使い分ける作りになっている点が見どころだ。
聴きどころとして見える点
実際に聴くと、参加者ごとの声質や演奏の輪郭がはっきりしていて、曲ごとの表情が変わるタイプのアルバムとして受け取れそうだ。ひとつのバンドが一貫した音を鳴らすというより、楽曲ごとに色を変えながらも、宇宙旅行というテーマでまとめる構造が中心にある。派手な歌唱や分厚いアレンジ、リズムの跳ね方など、個々の要素が前に出る場面が想像しやすい内容だ。
代表曲について
この作品は、一般的な意味で広く知られたヒット曲を持つアルバムというより、アルバム全体のコンセプトと参加メンバーの顔ぶれで語られることが多い。曲単位での単独ヒットよりも、企画盤としてのまとまりや、SF的な物語性が印象に残るタイプの1枚だ。
まとめ
「The Intergalactic Touring Band」は、1977年のUKリリースらしい、企画性の強いコンセプト・アルバム。ロック、電子音楽、ファンク/ソウルの要素を、宇宙開拓というテーマで束ねた作品で、参加ミュージシャンの顔ぶれも含めて、当時の野心的なスタジオ作品の一例として見えてくる。バンド作品というより、ひとつの物語を多人数で演じるアルバムとして受け取ると輪郭がつかみやすい。
トラックリスト
- A1 – Approach (Overture) (2:41)
- A2 – Silver Lady (4:25)
- A3 – Universal Zoo / Why? (4:55)
- A4 – Starship Jingle (3:25)
- A5 – Heartbreaker (3:59)
- A6 – Reaching Out (4:08)
- B1 – First Landing (3:18)
- B2 – Space Commando (4:03)
- B3 – Robot Salesman (4:43)
- B4 – Love Station (2:54)
- B5 – A Planet Called Monday / Epilogue (4:34)
- B6 – Keeper Keep Us (3:46)
関連動画
- Intergalactic Touring Band – Approach (Overture)
- Intergalactic Touring Band – Universal Zoo
- Building a Starship!
- Intergalactic Touring Band – Reaching Out (1977)
- First Landing – Exclusivo ProgVacas – Intergalactic Touring Band
- Intergalactic Touring Band: Space Commando
- Intergalactic Touring Band – Robot Salesman
- Intergalactic Touring Band Love Station 1977
- Meat Loaf | Keeper Keep Us [VERY RARE] 1977
The Average Disco Band – Stranded In A Latin Disco (1978)
The Average Disco Band「Stranded In A Latin Disco」
1978年にUSでリリースされた、The Average Disco Bandのアルバム「Stranded In A Latin Disco」。タイトルの通り、ディスコを軸にしながら、LatinとFunk / Soulの要素を取り込んだ1枚で、70年代後半らしいフロア志向の空気がはっきり出ている作品だ。
作品の輪郭
この時期のディスコ作品らしく、リズムの推進力が前に出るタイプの内容で、踊るための音楽としてのまとまりがある。ラテン系のパーカッシブな感触と、ファンク由来のベースやビート感が重なっていて、ディスコの定型に少しだけ別の色を足した作りに見える。
US制作、USリリースという点も含めて、当時のアメリカのディスコ・シーンの中に置いて聴くと分かりやすい。ジャズ・ファンクやソウル寄りのディスコ、あるいはラテン色のあるダンス・ミュージックと近い距離感がある。
聴きどころ
実際に聴くと、派手な展開で押すというより、ビートと反復で引っ張る感触が印象に残る。曲の構成も、ダンスフロアでの流れを意識した作りに感じられる場面が多い。ラテン・パーカッションの入り方や、ファンク寄りの演奏があることで、単純な四つ打ちのディスコとは少し違う手触りになっている。
この時代のディスコ作品をよく聴く人なら、ラテン・ディスコやファンク・ディスコの文脈で自然に入ってくるタイプの内容だろう。華やかさだけでなく、リズムの細かい動きが耳に残る作り。
同時代との関係
1978年という年は、ディスコが大きく広がっていた時期で、ラテン要素やソウル、ファンクを混ぜた作品も数多く出ていた。「Stranded In A Latin Disco」も、その流れの中で理解しやすい。ラテン・ディスコやソウル寄りのダンス・サウンドを聴いている人には、当時の空気が伝わりやすいタイトルだ。
The Average Disco Bandという名義自体も、作品の中身に合わせてかなり機能的で、バンドの個性を前面に出すというより、ディスコという形式に寄せた設計が見える。
まとめ
「Stranded In A Latin Disco」は、1978年のディスコ・シーンにある、LatinとFunk / Soulの要素を備えたUS盤。ラテンのパーカッション感、ファンク由来のグルーヴ、ディスコの反復感が同居する1枚として、当時のダンス音楽の広がりを感じさせる作品だ。
トラックリスト
- A1 – Tico Tico (4:40)
- A2 – Feelings (5:22)
- A3 – Love Is The Answer (4:40)
- A4 – Another Star (5:34)
- B1 – Grease (5:58)
- B2 – Hey Girl, Come And Get It (5:22)
- B3 – Copacabana (At The Copa) (5:58)
関連動画
Chic – Take It Off (1981)
Chic『Take It Off』について
Chicの『Take It Off』は、1981年にリリースされた作品。Nile RodgersとBernard Edwardsを中心に1977年に結成されたChicは、ディスコ期を代表するグループのひとつとして知られていて、この時期のファンク/ソウルの流れの中でも、演奏の精度とリズムの組み立てで存在感を示している。
グループ名を追うと、Chicはギター、ベース、ドラムの土台がはっきりしたバンドで、そこにボーカルとホーン、キーボードが重なっていく構成。Nile Rodgersのカッティング・ギターとBernard Edwardsのベースが軸にある点は、この作品でも作品全体の骨格として意識しやすいところだ。
1981年のChicという位置づけ
1981年のChicは、ディスコの文脈を引き継ぎつつ、よりファンク寄りの手触りを持った時期として捉えやすい。『Take It Off』もその流れの中にある作品で、ダンス・ミュージックとしての機能性と、バンド演奏の輪郭が前に出るタイプの1枚。ディスコの華やかさだけでなく、リズムセクションの細かい動きや、声の掛け合いの配置に耳が向く内容だ。
同時代のファンク/ダンス・ミュージックと比べると、Chicは派手な装飾よりも、演奏の組み合わせで曲を組み上げていく印象が強い。そうした作りは、後のダンス・ミュージックやR&Bにもつながる流れとして語られることが多い。
サウンドの聴きどころ
この作品でまず目立つのは、ギターとベースの噛み合い方。Nile Rodgersの細かいストロークと、Bernard Edwardsの動くベースラインが、リズムを前へ押していく。そこにドラム、キーボード、ホーンが加わり、曲の中でグルーヴの密度が上がっていく作りだ。
ボーカル面では、リードとコーラスの受け渡しが重要な要素。Chicらしいアンサンブル感があり、ひとりの歌を前面に出すというより、バンド全体でフレーズを積み重ねていく感触がある。
Chicの代表曲とのつながり
Chicといえば『Le Freak』『Good Times』が代表曲としてよく挙がるが、『Take It Off』もその延長線上で、バンドの基本形がよく見える時期の作品として捉えられる。ヒット曲中心のイメージとは少し違い、バンドの演奏とアレンジの組み立てに目が向くところがある。
まとめ
『Take It Off』は、1981年のChicが持っていたファンク/ディスコの手触りを、そのままパッケージしたような作品。Nile RodgersとBernard Edwardsを核にした演奏の強さ、ホーンやコーラスを含めたバンド・アンサンブル、そしてダンス・ミュージックとしての推進力がまとまっている1枚だ。
トラックリスト
- A1 – Stage Fright (3:55)
- A2 – Burn Hard (5:12)
- A3 – So Fine (4:10)
- A4 – Flash Back (4:28)
- A5 – Telling Lies (2:28)
- B1 – Your Love Is Cancelled (4:12)
- B2 – Would You Be My Baby (3:34)
- B3 – Take It Off (5:12)
- B4 – Just Out Of Reach (3:45)
- B5 – Baby Doll (3:10)
関連動画
- Take It Off
- So Fine
- Stage Fright
- Burn Hard
- Telling Lies
- Chic – Take It Off (1981) – A4 – Flash Back
- Chic – Take It Off (1981) – B1 – Your Love Is Cancelled
- Chic – Take It Off (1981) – B4 – Just Out Of Reach
- Chic – Take It Off (1981) – B2 – Would You Be My Baby
- Chic – Take It Off (1981) – B5 – Baby Doll
Rockwell – Somebody’s Watching Me (1984)
Rockwell「Somebody’s Watching Me」について
Rockwellの「Somebody’s Watching Me」は、1984年にリリースされたシングルで、同名タイトルの代表曲として知られる作品だ。US出身のヴォーカリスト/プロデューサーであるRockwellにとって、短い活動期間の中でも存在感を強く残した1曲で、彼の名を広く知らしめた中心作でもある。
ジャンルはElectronicとFunk / Soul、スタイルとしてはSynth-popとFunkに位置づけられる。打ち込み主体の骨格に、ファンク由来のリズム感が重なる作りで、当時の80年代らしいシンセの質感が前面に出ている。リリース国はUS、アーティストもUSという、同時代のアメリカン・ポップ/R&Bの流れの中で捉えやすい作品だ。
作品の立ち位置
Rockwellは1964年生まれ、デトロイト出身。Motown創設者Berry Gordyの息子として生まれた人物で、本人の経歴自体もかなり特徴的だ。とはいえ、この作品でまず耳に入るのは肩書きよりも、ひとつの楽曲としての強さのほうだろう。80年代前半のシンセポップとファンクの接点にある音像で、彼のキャリアを語るときの軸になる。
「Somebody’s Watching Me」は、タイトル通り“誰かに見られている”という感覚をそのまま曲にした内容で、軽いノリだけでは終わらない緊張感がある。リズムは跳ねるが、歌の運びには落ち着かない空気がまとわりつく。そのバランスが、この曲を単なるダンス・トラック以上のものにしている印象だ。
聴きどころ
実際に聴くと、まずシンセのフレーズが印象に残る。音数は多すぎず、輪郭のはっきりしたビートに引っかかるように鳴っていて、曲全体を引っ張る役割を持っている。ベースの動きも一定の推進力を作っていて、ファンク寄りの感触がそこで出てくる。
ボーカルは、派手に押し切るタイプというより、言葉を追わせるような運びが中心だ。そこに不穏さが乗るので、フックの強さと少し落ち着かない気配が同居している。80年代のシンセポップの中でも、ポップさだけに寄り切らないところがこの曲の輪郭だと思う。
同時代とのつながり
この時期のアメリカでは、シンセを前面に出したポップやR&Bが広がっていて、ファンクの感覚と電子音の組み合わせも珍しくない流れだった。そうした文脈の中で見ると、「Somebody’s Watching Me」は、クラブ寄りの軽さと、歌詞の不安感を同居させたタイプの1曲として整理しやすい。派手なサウンドの中に、テーマのわかりやすさがあるのも特徴だ。
Rockwellの作品としては、この曲がまず先に挙がることが多いはずで、彼の短い活動の中でも代表的な位置づけにある。1984年という年の空気感を、そのまま切り取ったような1枚だ。
まとめ
「Somebody’s Watching Me」は、80年代前半の電子音主体のポップとファンクの接点にある作品で、Rockwellの名を決定づけた楽曲として見てよさそうだ。シンセのフレーズ、跳ねるリズム、そして“見られている”というテーマが一体になった、印象の残るタイトル。
トラックリスト
- A1 – Somebody’s Watching Me (5:01)
- A2 – Obscene Phone Caller (3:24)
- A3 – Taxman (3:56)
- A4 – Change Your Ways (4:49)
- B1 – Runaway (4:24)
- B2 – Wasting Away (3:55)
- B3 – Knife (5:03)
- B4 – Foreign Country (5:56)
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Al Green – I’m Still In Love With You (1972)
Al Green『I’m Still In Love With You』について
Al Greenの『I’m Still In Love With You』は、1972年にアメリカでリリースされた作品。Funk / Soulを軸にしたアルバムで、Rhythm & BluesとSoulの流れの中にある一枚だ。Al Greenの代表的な時期を示す作品としても知られている。
Al Greenという歌い手
Al Greenは、1946年生まれのアメリカ南部出身のソウル/ゴスペル・シンガー、ソングライター。1960年代後半以降はAl Green名義で活動し、のちにはメンフィスのFull Gospel Tabernacleで牧師も務めている。Rock And Roll Hall of FameとSongwriters Hall of Fameの両方に名を連ねる人物でもある。
作品の立ち位置
1972年という時期は、Al Greenがソウル・シンガーとして存在感を強めていたタイミングにあたる。歌声を前面に出した作りで、ゴスペル由来の節回しとR&Bの流れが自然につながっている印象だ。派手な展開よりも、歌とリズムの組み合わせで引っ張るタイプの作品として捉えやすい。
サウンドの特徴
音の質感は、リズム隊の粘りと、ボーカルの近さが印象に残るタイプ。ファンク寄りの動きがありつつ、全体としてはソウルの流れにしっかり置かれている。メロディをなぞる歌い回しと、間の取り方が曲の輪郭を作っている。
同時代の文脈
1970年代前半のソウルは、R&Bの流れを保ちながら、ファンクの要素を取り込んでいく時期でもある。Al Greenのこの時期の作品は、その中でも歌ものとしての重心がはっきりしていて、同時代のソウル・アーティストたちの中でもボーカル主導の作りが際立つ。
代表曲としての位置づけ
タイトル曲の「I’m Still In Love With You」は、Al Greenの代表曲のひとつとして扱われることが多い。曲名の通り、恋愛感情をまっすぐに歌う内容で、彼のボーカルの持ち味がよく出る楽曲だ。
ひとこと
『I’m Still In Love With You』は、Al Greenの歌唱、ソウルの手触り、1972年当時のR&Bの空気感がまとまった一枚。派手さよりも、歌の運びとリズムの組み方で聴かせる作品として位置づけられる。
トラックリスト
- A1 I’m Still In Love With You (3:12)
- A2 I’m Glad You’re Mine (2:54)
- A3 Love And Happiness (5:00)
- A4 What A Wonderful Thing Love Is (3:37)
- A5 Simply Beautiful (4:08)
- B1 Oh, Pretty Woman (3:22)
- B2 For The Good Times (6:27)
- B3 Look What You Done For Me (3:04)
- B4 One Of These Good Old Days (3:15)
関連動画
- Al Green * Love And Happiness * I’m Still In Love With You
- Al Green * I’m Glad You’re Mine * I’m Still In Love With You (Drum break)
- Al Green * What A Wonderful Thing Love Is * I’m Still In Love With You
- Al Green – I m Still in Love With You -1972 (FULL ALBUM)
- AGREEN 01
- I’m Still In Love With You (180g Vinyl, Limited Edition) – New Sealed
- Al Green – I’m Still in Love with You (Official Audio)
- Al Green – For the Good Times (Official Audio)
- Al Green – Love and Happiness (Official Lyric Video)
Curtis Mayfield – Super Fly (1972)
Curtis Mayfield『Super Fly』について
Curtis Mayfieldの『Super Fly』は、1972年に発表されたサウンドトラック・アルバムで、同名の映画に合わせて制作された作品です。Mayfieldにとってはソロ3作目のスタジオ・アルバムでもあり、1970年代ソウルとファンクを代表する一枚として語られることが多い作品です。
アメリカのソウル・ミュージシャン、Curtis Mayfieldは、The Impressionsの共同創設者としても知られ、1970年にグループを離れてソロ活動へ移行しています。その流れの中で生まれた『Super Fly』は、ソロ期の代表作のひとつという位置づけになっています。
サウンドと質感
このアルバムは、ファンクのリズムとソウルの歌心が前面に出た作りです。低音の効いたグルーヴ、歯切れのよいギター、きっちり組み立てられたホーンやストリングスが印象に残ります。音の輪郭ははっきりしていて、映画音楽としての機能性と、1枚のアルバムとしてのまとまりが両立している印象です。
また、華やかな雰囲気だけで進む作品ではなく、都市の現実を映すような硬さもあります。タイトルや映画のイメージに引っぱられがちですが、音そのものはかなり整理されていて、Mayfieldらしい緻密な構成が見えます。
作品の位置づけ
『Super Fly』は、Marvin Gayeの『What’s Going On』と並んで、社会的なテーマを正面から扱ったソウルの先駆的なアルバムのひとつとして見られています。貧困やドラッグの問題を扱う歌詞が特徴で、当時としてはかなり踏み込んだ内容でした。
映画『Super Fly』との関係も興味深いところです。映画側の視点と、Curtis Mayfieldが音楽で示した立場には温度差があり、そこが作品の輪郭をよりはっきりさせています。サウンドトラックでありながら、単なる映像の付属物ではなく、Mayfield自身の表現として独立した存在感を持っている作品です。
ヒット曲
このアルバムからは、シングル「Freddie’s Dead」とタイトル曲「Super Fly」が大きなヒットになっています。どちらもR&Bチャート、ポップ・チャートの両方で結果を残し、アルバムの評価を押し上げました。
- 「Freddie’s Dead」:R&B 2位、Pop 4位
- 「Super Fly」:R&B 5位、Pop 8位
特に「Freddie’s Dead」は、作品全体のテーマを象徴する曲としても知られています。メロディの分かりやすさと、内容の重さが同居しているところが、Mayfieldらしいところです。
同時代の文脈
1970年代初頭のソウルやファンクの流れの中でも、『Super Fly』はかなり重要な位置にあります。映画のサウンドトラックでありながら大きな成功を収めた点でも特異で、作品の売れ方は当初の予想を超えていたとされています。
その成功によって、Curtis Mayfieldはこの後も映画音楽の仕事へつながっていきます。ソウル・アーティストとしての表現力だけでなく、社会性のあるテーマをアルバムとしてまとめ上げる力を示した一枚、という見方がしやすい作品です。
トラックリスト
- A1 Little Child Running Wild (5:15)
- A2 Pusherman (4:50)
- A3 Freddie’s Dead (5:08)
- A4 Junkie Chase (Instrumental) (1:52)
- B1 Give Me Your Love (Love Song) (4:15)
- B2 Eddie You Should Know Better (2:14)
- B3 No Thing On Me (Cocaine Song) (4:52)
- B4 Think (Instrumental) (3:44)
- B5 Superfly (3:51)
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Milton Wright – Spaced (1977)
Milton Wright「Spaced」について
Milton Wrightの「Spaced」は、1977年にUSでリリースされたソウル作品で、Funk / Soulを軸に、Soul、Funk、Discoの要素が重なるアルバムです。1970年代のソウル・シーンの空気をまといながら、歌ものとしての輪郭と、ダンス・ミュージック寄りの推進力が同居している一枚です。
アーティストの背景
Milton Wrightは、1970年代のフロリダ州マイアミのソウル・シーンで活動したソウル・シンガー/ソングライター/プロデューサーです。Wright家の音楽家としても知られ、Betty Wright、Phillip Wright、Charles A. Wright、Jeanette Wrightの兄弟にあたります。ソウル・ファミリーの文脈で語られることの多い人物です。
作品の位置づけ
「Spaced」は、Milton Wrightの1977年時点の作品として見たとき、ソウル、ファンク、ディスコが近い距離にあった時代の空気を反映した内容です。R&Bの流れの中で、リズムの前に出方やベースの動き、細かなグルーヴが重要になっていく時期の作品として捉えられます。
サウンドの特徴
音の質感は、70年代ソウルらしい実演感のある作りが中心です。リズムははっきりしていて、ファンク寄りのうねりと、ディスコにつながる一定のビート感が重なります。ボーカルはソウル・シンガーらしく前面に出ていて、曲ごとの温度差を支える役割を担っています。
- ソウルの歌心
- ファンクのリズム感
- ディスコ期らしい推進力
同時代の文脈
1977年は、ソウルがファンクやディスコと近い場所で展開していた時期です。Milton Wrightのような作品は、同時代のソウル作品の中でも、マイアミ産のR&Bや、よりビートを意識した作品群と並べて語られることがありそうです。Betty Wrightの周辺で知られる音楽性とも、家族的なつながりの中で見ると理解しやすい一枚です。
代表曲について
「Spaced」はアルバム全体として語られることが多い作品で、特定の大ヒット曲を中心にしたタイプというより、作品単位でのまとまりが印象に残る内容です。タイトル曲を含め、70年代ソウルの流れの中で聴かれることのあるアルバムです。
ひとこと
Milton Wrightの「Spaced」は、1977年という年のソウル/ファンク/ディスコの接点を、そのまま切り取ったような作品です。マイアミのソウル・シーン、Wright家の音楽的背景、そして70年代後半のグルーヴ感が重なるアルバムとして見えてきます。
トラックリスト
- A1 She Can Have Anything She Wants
- A2 Dance Have Fun
- A3 Magic Music
- A4 All I Know Is That I Have You
- A5 Let’s Take A Break
- B1 You Like To Dance
- B2 You Don’t Even Know Me
- B3 Leave Me Alone
- B4 Be With Me
- B5 Job
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Ernie Johnson – Just In Time (1985)
Ernie Johnson「Just In Time」について
Ernie Johnsonによる「Just In Time」は、1985年に登場したUS盤の作品。ソウル・ブルースを軸に、ファンクやブルースの要素をつないだ一枚として位置づけられる。Ernie Johnsonはルイジアナ州ウィンスボロ生まれで、のちにテキサス州ダラスへ移ってから本格的に歌い始めた人物。バンドThe Soul Blendersを率い、1968年には「Lovin You」/「Cold Cold Heart」で初録音を残している。
作品の立ち位置
「Just In Time」は、そうしたキャリアを重ねたのちの1985年作。長く歌い続けてきたソウル・ブルース・シンガーとしての持ち味がまとまった時期の録音と見られる。サンフランシスコやモントレーのブルース・フェスティバルにも出演してきた経歴を踏まえると、スタジオ作品であっても、ライブ感のある歌い回しやバンドの押し出しを想像しやすい。
サウンドの印象
ジャンル表記はFunk / Soul、Blues。なので、ブルースの土台にソウルの歌心、そこへファンク寄りのリズム感が重なるタイプの一枚として捉えられる。派手に作り込むというより、歌とグルーヴを前に置いた質感が中心になりやすい系統だろう。Ernie Johnsonのようなソウル・ブルース系のシンガーでは、同時代のブルースや南部ソウルの流れと近い空気が感じられることも多い。
アーティストの背景
Ernie Johnsonは、ルイジアナ生まれ、ダラスで活動を広げたシンガー。1960年代後半から録音を始め、その後も複数のアルバムを発表している。アーティスト名が同名別人のソウル歌手と混同されやすい点はあるが、この作品はルイジアナ出身のソウル・ブルース・マン、Ernie Johnsonの流れにあるもの。
まとめ
「Just In Time」は、1980年代半ばのソウル・ブルース作品として、Ernie Johnsonの歌い手としての履歴がそのまま反映された一枚と見てよさそうだ。ブルースの骨格、ソウルの歌唱、ファンク由来のリズム感、そのあたりが交差する地点にある作品。
トラックリスト
- A1 Just In Time
- A2 You’re About To Succeed
- A3 Party All Night
- A4 You’re Gonna Miss Me
- B1 Mouth To Mouth Resusciation
- B2 In My Dreams
- B3 Cold Woman
- B4 Give Me A Little Bit Of Your Loving