The Roys – Kicked Off The Train (1986)
The Roys「Kicked Off The Train」について
The Roysの「Kicked Off The Train」は、UKのバンド、The Roysの1986年にリリースされた作品。盤も同年のもので、1986年という時代の空気をそのまま閉じ込めた一枚として見てよさそうだ。スタイルはソフトロック寄りで、ロックの中でも耳当たりのよさや歌の流れが前に出るタイプの作品として捉えやすい。ブリティッシュ・ロックシーンに襲いかかるアメリカン・インディの新鋭らしい。どっちなんだ。
作品の印象
タイトルから受ける勢いに対して、内容はソフトロックらしい聴きやすさが軸になっている印象だ。硬さ一辺倒ではなく、メロディや曲の運びを重視したつくりが想像しやすい。1980年代半ばの日本盤ロックとして見ると、過度に派手さへ寄せるというより、曲そのものをしっかり聴かせる方向の作品群の中に置けるかもしれない。
実際に聴いた人の感覚としては、音の輪郭が比較的はっきりしていて、ボーカルと演奏のバランスを追いやすいタイプに受け取られることが多そうだ。ソフトロックの文脈では、強いビートで押し切るよりも、コード感やサビの抜け方で印象を残す作りが見どころになりやすい。
1986年の位置づけ
1986年は、ロックの中でもAORやポップスとの距離感が近い作品が目立つ時期でもある。この「Kicked Off The Train」も、その時代らしい整った音作りの中で、ロックの骨格とソフトロックの聴きやすさが同居する一枚として見ると、輪郭がつかみやすい。
The Roysについては詳しいプロフィール情報が見当たらないが、少なくともこの作品では、タイトル曲を含めて作品単位でのまとまりが意識された可能性がある。アルバム全体で流れを聴かせるタイプなら、1曲単位の派手さよりも、通して聴いた時の連続性が印象に残りやすい。
曲やヒット曲について
現時点では、この作品の中で特に広く知られた代表曲やヒット曲として断定できるものは確認しにくい。とはいえ、タイトル曲「Kicked Off The Train」は作品名を背負っているぶん、アルバムの軸になっている可能性が高い。こうした作品では、タイトル曲にバンドの方向性や当時のサウンド感が集まりやすい。
盤について
この盤は1986年の日本盤として流通したもの。見本盤としての記録があるため、一般流通盤とは扱いが少し異なる可能性があるが、作品そのものは1986年当時のリリースとして受け取れる。
トラックリスト
- A1 – Kicked Off The Train
- A2 – Little Nam
- A3 – Hard Time
- A4 – Mediacs
- A5 – Serious
- B1 – Dog Day
- B2 – Rise Up Youth
- B3 – Don’t Go With Strangers
- B4 – Cabbage Town
- B5 – Who Shot That Man
Andrew Gold – Whirlwind (1980)
Andrew Gold『Whirlwind』について
『Whirlwind』は、アメリカのシンガーソングライター/プロデューサー、Andrew Goldが1980年に発表した作品。ソフトロックの流れを受け継ぐ耳なじみのよいメロディと、ロック寄りの輪郭を持ったサウンドが並ぶ一枚として知られている。1970年代のアメリカン・ソフトロックを支えた人物のひとりらしく、作曲とアレンジの手つきが前面に出た内容になっている。
サウンドの印象
全体としては、ギター、鍵盤、コーラスのまとまりがよく、音の立ち上がりもきれいな作り。派手に押し切るタイプではなく、曲の流れやフックを丁寧に積み上げていくタイプのアルバムという印象が強い。ソフトロックらしい整った質感の中に、ロックの推進力がほどよく入っている。
Andrew Goldというアーティストの位置づけ
Andrew Goldは、1951年にカリフォルニア州バーバンクで生まれたアメリカのシンガーソングライター/プロデューサー。ソフトロックの文脈で語られることが多く、1970年代のアメリカン・ポップ/ロックの感触をつくった人物のひとりとして見られている。『Whirlwind』は、そうしたキャリアの中で、彼のソングライターとしての持ち味がまとまって表れた時期の作品といえる。
同時代の文脈
1980年という時期を考えると、AORやソフトロックの流れが引き続き残っていた頃でもある。洗練されたコード感、過不足のない演奏、メロディ重視の作りは、同時代のアメリカ西海岸系のポップ/ロックとも通じる部分がある。TotoやChristopher Crossのような、後のAOR的な耳触りを思わせる要素と並べて語られることもありそうな立ち位置だ。
作品の聴きどころ
- メロディの明快さ
- ソフトロック寄りの整ったアレンジ
- ロックの骨格を残した演奏感
- 作曲家としての手堅さが見える構成
『Whirlwind』は、派手な装飾よりも曲そのものの組み立てで聴かせるタイプのアルバム。Andrew Goldの持つポップな感覚と、アメリカン・ロックの実直さが同じ場所に置かれた作品として、80年代初頭の空気を映している。
トラックリスト
- A1 Kiss This One Goodbye (4:03)
- A2 Whirlwind (4:16)
- A3 Sooner Or Later (3:31)
- A4 Leave Her Alone (3:30)
- A5 Little Company (4:16)
- B1 Brand New Face (4:43)
- B2 Nine To Five (4:04)
- B3 Stranded On The Edge (4:03)
- B4 Make Up Your Mind (5:06)
関連動画
Colin Blunstone – Collected (2014)
Colin Blunstone『Collected』について
Colin Blunstoneの『Collected』は、2014年にリリースされたコンピレーション作品。英ロック/ポップの文脈で知られる彼のソロ活動を、まとめて追いやすい一枚になっている。2018年盤として流通しているが、作品そのものは2014年のリリースとして扱われる。
Colin Blunstoneという歌声
Colin Blunstoneは、The Zombiesのシンガーとして出発したイングランドの歌手、ソングライター、ミュージシャン。1960年代から活動を続け、ソロでは1971年の『One Year』で本格的に独立したキャリアを築いた人物だ。The Zombiesでの活動と並行して、ソロでも長く作品を重ねてきたことが、この『Collected』にもつながっている。
作品の輪郭
収録内容は、RockとPopを軸にしたソロ期の楽曲群。スタイルとしてはSoft Rock、Symphonic Rockの要素が見えやすい。バンド時代の緊張感よりも、声の柔らかさやメロディの運びが前に出るタイプで、楽器の厚みを持たせたアレンジと、落ち着いた歌唱が印象に残る構成になりやすい。
Colin Blunstoneの音楽は、同時代の英国ポップ/ロックの流れの中でも、The Zombiesや、近い質感を持つソフトロック系のアーティストと並べて語られることが多い。派手さよりも、旋律の流れと声の存在感で聴かせるタイプという見方がしやすい。
ソロ活動の位置づけ
この『Collected』は、The Zombiesのヴォーカリストという顔だけでなく、ソロ・アーティストとしてのColin Blunstoneを見渡すための編集盤という位置づけになりそうだ。1960年代のバンド活動、1970年代以降のソロ作品、そして後年の活動までを通して、彼の歌声がどのように機能してきたかを確認できる内容。
ひとこと
Colin Blunstoneの作品は、派手な主張を前面に出すというより、歌声とメロディの輪郭でじわりと聴かせるタイプ。『Collected』も、その持ち味をコンパクトに追える編集盤として位置づけられる一枚だ。
トラックリスト
- A1 She’s Not There
- A2 Tell Her No
- A3 Summertime
- A4 Time Of The Season
- A5 Say You Don’t Mind
- A6 Caroline Goodbye
- A7 Misty Roses
- A8 I Don’t Believe In Miracles
- B1 How Could We Dare To Be Wrong
- B2 Andorra
- B3 Keep The Curtains Closed Today
- B4 Exclusively For Me
- B5 Pianes
- B6 Ain’t It Funny
- B7 I Want Some More
- C1 What Becomes Of The Broken Hearted
- C2 Wonderful
- C3 The Tracks Of My Tears
- C4 Old And Wise
- C5 The Eagle Will Rise Again
- C6 Miles Away
- D1 Home
- D2 Sanctuary
- D3 In My Mind A Miracle
- D4 Any Other Way
- D5 The Ghost Of You And Me
- D6 Though You Are Far Away
- D7 So Much More
Andy Summers – XYZ (1987)
Andy Summers『XYZ』
Andy Summersは、The Policeで知られる英国出身のギタリスト。そのソロ作『XYZ』は1987年の作品で、ロックを軸にソフトロックやポップロックの感触を交えた一枚になっている。バンドでの鋭いギター・ワークとは少し違い、ここでは曲の流れや音の重なりを意識した作りが目立つ印象だ。
作品の雰囲気
サウンドは、ギターの細かなフレーズを中心に組み立てられたもの。リズムはきっちりとした骨組みを保ちながら、音数を詰め込みすぎない構成が続く。ロックの推進力を持ちつつ、ポップな聴きやすさも感じさせるあたりが特徴的だ。派手さを前面に出すというより、音の配置で流れを作るタイプの作品といえる。
Andy Summersにとっての位置づけ
1980年代後半のソロ活動の中で見ていくと、『XYZ』はギタリストとしての持ち味をそのままに、より個人の作家性を前に出した時期の作品として捉えやすい。The Policeの文脈で語られやすい人物だが、ソロではロックだけでなく、ジャズ・フュージョンやニューエイジ、フォークまで含む広い作風を持っている。その流れの中で、ここではソフトロック寄りの整理された感触が印象に残る。
同時代の空気
1987年という時期を考えると、ロックの中でも洗練されたアレンジや、メロディを重視した作りが目立つ頃。Andy Summersの音も、その流れと無理なく接続している。ギター主体のロックでありながら、過度に硬質には寄らず、ポップロックとしての輪郭を保っている点が見どころだ。
まとめ
『XYZ』は、Andy Summersのギタリストとしての感覚と、ソロ作ならではの構成感が合わさった1987年のロック作品。The Policeのイメージを知っていると、そこから少し距離を取った落ち着きのある音作りが見えやすい一枚だ。
トラックリスト
- A1 Love Is The Strangest Way (4:20)
- A2 How Many Days (6:11)
- A3 Almost There (4:30)
- A4 Eyes Of A Stranger (4:47)
- A5 The Change (2:53)
- B1 Scary Voices (4:37)
- B2 Nowhere (4:35)
- B3 XYZ (2:46)
- B4 The Only Road (3:40)
- B5 Hold Me (4:48)
関連動画
The Stars Of Heaven – Sacred Heart Hotel (1986)
The Stars Of Heaven『Sacred Heart Hotel』
『Sacred Heart Hotel』は、アイルランドのザ・スターズ・オブ・ヘヴンが1986年にリリースしたアルバム。翌年以降の動きではなく、この年の作品として位置づけられる1枚で、Rough Tradeからの発表作でもある。メンバーはStephen Ryan、Stan Erraught、Bernard Walsh、Peter O’Sullivanの4人編成。
バンドは1983年に結成され、The ByrdsやGram Parsonsの影響を強く受けたグループとして語られてきた。実際、「The Byrds、Gram Parsons、Velvet Undergroundを一つにまとめたような存在」と評されることもある。そうした背景を踏まえると、このアルバムもギターの鳴りと歌の運びを軸にした、ソフトロック寄りのインディー・ロック作品という印象がつかみやすい。
サウンドの輪郭
ジャンル表記はRock、スタイルはSoft Rock、Indie Rock。リズムは派手に前へ出るタイプではなく、曲の流れを支える役回り。音の質感も、過度に厚くせず、ギターとボーカルの距離感を保った作り。派手な展開よりも、曲の骨格をそのまま聴かせるタイプのアルバムといえる。
ルーツ志向のコード感と、80年代インディーらしい素朴な鳴りが同居している点もこの時代らしいところ。Rough Tradeから出ていることも含め、当時のUKインディーの文脈の中で聴かれる作品だろう。
作品の位置づけ
『Sacred Heart Hotel』は、彼らのRough Trade期を代表するアルバムのひとつ。UK Independent Chartでは11位まで上昇しており、バンドにとっても一定の存在感を示した作品になっている。John Peelの支持を受けていたことも知られていて、BBC Radio 1でのセッションのうち最初のものはこのアルバムにも収録されている。
その後も彼らはシングルやEPを発表し、1988年には2作目『Speak Slowly』をリリースしているので、『Sacred Heart Hotel』は初期の到達点として見やすい1枚。バンドの持っていたルーツ・ロック寄りの感触と、インディー・バンドとしての輪郭が、ここでまとまっている。
関連するエピソード
デビュー・シングル「Clothes of Pride」はHotwireレーベルから出され、John Peelのオンエアを得た。そこからRough Tradeへとつながり、『Sacred Heart Hotel』へ至る流れ。バンドにとっては、ラジオでの支持が作品の広がりにつながった例としても印象的。
また、のちにEverything But the Girlが「Lights Of Tetouan」をカバーしていることでも、バンドの楽曲が後年まで参照されていることがわかる。そうした周辺の動きも含めて、このアルバムは80年代UKインディーの一断面として見えてくる。
クレジット
- アーティスト: The Stars Of Heaven
- タイトル: Sacred Heart Hotel
- リリース年: 1986年
- リリース国: UK
- ジャンル: Rock
- スタイル: Soft Rock, Indie Rock
トラックリスト
- A1 Sacred Heart Hotel (3:39)
- A2 Talk About It Now (2:55)
- A3 Moonstruck (2:46)
- A4 So You Know (3:18)
- B1 You Only Say What Anyone Would Say (3:40)
- B2 Folksong (2:22)
- B3 Man Without A Shadow (2:18)
関連動画
Opus – Daydreams (1980)
Opus『Daydreams』について
『Daydreams』は、オーストリアのロック・バンド、Opusが1980年に発表した作品。のちに「Live Is Life」で国際的に知られることになる彼らの、初期の時期を示す一枚として位置づけられる。バンドは1973年に結成され、ギター、ヴォーカル、鍵盤、リズム隊を軸にした編成で活動していた。
ジャンルとしてはロック、ポップにまたがり、スタイル面ではアリーナ・ロック、ポップ・ロック、ソフト・ロック、プログレッシブ・ロックの要素が並ぶ。楽曲の作りは、メロディを前に出しながらも、演奏のまとまりや展開の組み立てを意識したタイプに見える。録音の質感も、80年代初頭のロック作品らしい、輪郭のある音像が想像しやすい。
作品の立ち位置
Opusにとって『Daydreams』は、1985年の大きな成功以前の時期にあたる作品。後年の代表曲で広く知られる前の段階で、バンドの基本的な方向性を確認できる時期のリリースとして見ることができる。アーティストの活動史の中では、初期カタログの一つとして重要な位置づけ。
サウンドの印象
アリーナ・ロック寄りの押し出しと、ポップ・ロックの分かりやすさが同居するタイプ。そこにソフト・ロック的な聴きやすさや、プログレッシブ・ロック由来の構成感が少し重なる、という見方ができる。リズムは前に進む感触を持ちつつ、メロディの輪郭を崩しすぎない作り。
同時代の文脈
1980年前後のヨーロッパのロックには、ハードな音圧よりも、歌のフックやアレンジのまとまりを重視する流れがあった。Opusもその文脈の中で、英米の大規模なロック・サウンドを参照しながら、自国オーストリアのバンドとして独自の活動を進めていたように見える。AORやポップ・ロック周辺の作品と並べて語られることもありそうなタイプ。
メンバー
- Günter Timischl
- Günter Grasmuck
- Ewald Pfleger
- Peter Niklas Gruber
- Herwig Rüdisser
- Kurt René Plisnier
- John Palier
『Daydreams』は、Opusの初期を知るうえで押さえておきたい一枚。後年の代表的なイメージだけでなく、1980年時点のバンドの輪郭を確認できる作品として読むことができる。
トラックリスト
- A1 Seeming Out Of Reach (2:55)
- A2 My Style (4:37)
- A3 In Town (4:16)
- A4 Juice Queen (Call On 95 65 95) (3:49)
- A5 Go On Your Way (4:38)
- B1 Not The Way (7:22)
- B2 Austria (3:36)
- B3 No Remedy (4:24)
- B4 As Clear As (4:05)
- B5 Daydreams (3:17)
関連動画
Yosui Inoue – 9.5 Carats (1984)

井上陽水の1984年作「9.5 Carats」
「9.5 Carats」は、井上陽水が1984年に発表した作品。日本のシンガーソングライターとして知られる彼の、80年代前半の空気をまとった一枚として位置づけられる。ロック、ポップス、電子音楽の要素が交わる中で、歌謡曲やソフトロック、シンセポップ、バラード、シティポップの感触が見える作品だ。
作品の印象
全体としては、当時らしいシンセの質感や整ったリズムが目立つタイプのサウンドが想像しやすい。生楽器の手触りに加えて、電子的な音色が曲の輪郭をくっきりさせる構成。メロディを前に出しながらも、80年代の録音らしい少し乾いた響きや、都会的な空気感が感じられる作りになっている。
井上陽水の作品は、言葉の運びと旋律の強さが印象に残ることが多いが、この時期のアルバムでは、その持ち味に加えて、時代のポップな音作りが重なっている。バラードの流れと、軽快さをもつ楽曲の並び、その対比も見どころになりそうだ。
時代背景とのつながり
1984年という年は、日本のポップスがシンセサイザーや打ち込みの感触を取り込みながら、洗練された都市的サウンドへ寄っていった時期でもある。その流れの中で、この作品も歌謡曲の親しみやすさと、当時のポップな音響の両方を抱えた一枚として見えてくる。
井上陽水というと、70年代から続く大きな実績を持つアーティストだが、1980年代の作品群では、時代の音と自身の作家性がどう交わるかがひとつの焦点になる。「9.5 Carats」も、その流れの中で聴かれることの多い作品だろう。
基本情報
- アーティスト: Yosui Inoue
- タイトル: 9.5 Carats
- オリジナルリリース年: 1984
- リリース国: Japan
- ジャンル: Electronic, Rock, Pop
- スタイル: Kayōkyoku, Soft Rock, Synth-pop, Ballad, City Pop
トラックリスト
- A1 はーばーらいと
- A2 ダンスはうまく踊れない
- A3 Transit
- A4 A.B.C.D.
- A5 恋の予感
- B1 いっそ セレナーデ
- B2 飾りじゃないのよ 涙は
- B3 からたちの花
- B4 ワインレッドの心