Brainbox – To You (1972)
Brainbox『To You』について
Brainboxは、1968年にアムステルダムで結成されたオランダのロック・グループだ。Jan Akkerman、Pierre van der Linden、Kazimierz Lux(Kaz)を中心に始まり、のちにメンバーを入れ替えながら活動した。『To You』は1972年にオランダで出た作品で、Brainboxという名前で追うときに、バンドの流れをたどるうえで重要な一枚として見えてくる。
作品の基本情報
- アーティスト: Brainbox
- タイトル: To You
- オリジナル・リリース年: 1972年
- リリース国: Netherlands
- ジャンル: Rock
- スタイル: Classic Rock, Blues Rock
盤の表記では、B.V. Bovema/EMI, Haarlem Hollandで録音・製造され、N.V. Litho Zwanenburg, Hollandによる印刷表記もある。オランダ国内盤らしいクレジットが並ぶ仕様だ。
Brainboxというバンドの位置づけ
Brainboxは、Jan Akkermanの存在で語られることが多いバンドだ。AkkermanはのちにFocusでも知られるギタリストで、Brainboxでは初期から強い個性を持ち込んでいる。Pierre van der Lindenも同じく重要なメンバーで、後年のオランダ・プログレ系ロックの流れを考えると、このバンドの名前は外しにくい。
一方で『To You』の時期は、初期Brainboxの編成とは少し離れた段階にある。メンバー表を見ても、Robert Verwey、Shell Schellekens、Frans Smit、Cees Van Der Laarse、Michel van Dijk、André Reijnen、John Schuursma、Rudy de Queljoe、Herman Meyer、Ronnie Meyjes、Tony De Queljoe らがクレジットされていて、バンドが複数回の変化を経てきたことがわかる。そうした人員の移り変わりも含めて、Brainboxの作品群の中では時期の違いを感じやすい一枚だ。
内容の印象
この作品は、クラシック・ロックとブルース・ロックの軸をはっきり持った内容として受け取られている。ギター主体の展開、ロックの骨格を保った演奏、ブルース由来のフレーズ感が見えやすいタイプの作品だ。Jan Akkermanの名前から連想される流麗なギターワークは、Brainboxというバンドの魅力を考えるうえで大きな要素になっている。
同時代のオランダ勢でいうと、Focusのような組み立ての細かいロックよりも、こちらはよりロックの直進性やブルースの感触に寄った印象で語られやすい。英国ロックの流れで見れば、ギター主導のハード寄りクラシック・ロックや、ブルースを土台にしたバンド群と並べて語られることが多い。
ヒット曲・代表曲について
Brainboxは、作品単位で語られることが多く、特定の大ヒット曲だけで知られるバンドというよりは、Jan AkkermanやKaz Luxを含む演奏の流れで評価されてきた印象が強い。『To You』についても、アルバム全体のまとまりで聴かれることが多いタイプの作品だ。
オリジナル盤と盤の違い
この盤には、裏ジャケットに「Een Habo hoes」がないものと、あるものが区別されている。提示されている盤は「Without “Een Habo hoes” on the back cover」の版にあたる。レコード・コレクションの文脈では、同じ1972年盤でもこうした細部の違いが識別点になる。
また、ランアウトはエッチング、スタンパー番号はスタンプで入っており、二重のスタンパー番号(20, 40, 37, 44)は左右反転している、という物理的な特徴もある。こうした情報は、オランダ盤の製造工程を確認する手がかりになる。
まとめ
Brainbox『To You』は、オランダのロック史の中で、Jan Akkermanをはじめとするバンドの流れをたどる際に押さえておきたい1972年作だ。クラシック・ロックとブルース・ロックの要素を持つ一枚として、Brainboxの変遷と当時のオランダ・ロックの空気を映す作品として見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Virgin (3:40)
- A2 – Amsterdam, The First Days (3:30)
- A3 – Sinner’s Prayer (2:19)
- A4 – Dark Rose (5:24)
- A5 – Cruel Train (2:21)
- B1 – Down Man (2:44)
- B2 – Woman’s Gone (3:57)
- B3 – To You (3:16)
- B4 – Summertime (4:02)
- B5 – Doomsday Train (3:00)
- C1 – Between Alpha And Omega (2:19)
- C2 – Baby, What You Want Me To Do (2:22)
- C3 – Scarborough Fair (5:55)
- C4 – The Flight (3:13)
- C5 – So Helpless (2:28)
- D1 – The Smile (Old Friends Have The Right To) (2:55)
- D2 – Reason To Believe (2:13)
- D3 – Sea Of Delight (2:51)
- D4 – Mobilae (5:55)
- D5 – Good Morning, Day (2:40)
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Tim Hardin – Painted Head (1972)
Tim Hardin「Painted Head」について
Tim Hardinは、アメリカのフォーク・シンガー/ソングライターとして知られる人物だ。
「If I Were a Carpenter」や「Reason to Believe」といった楽曲で広く名前が残っているが、「Painted Head」は1972年に発表された作品で、彼のフォーク・ブルース寄りの持ち味がまとまった一枚として位置づけられる。
作品の輪郭
このレコードは1981年に日本でリリースされた盤で、ジャケットや資料に日本語インサートが付いた仕様になっている。
オリジナルは1972年の作品なので、盤としては後年の再発にあたる。日本盤ならではの丁寧な付属物がある点も、この時期の輸入盤・国内再発らしいところだ。
サウンド面では、フォークを土台にしつつ、ブルース・ロックの要素が重なる構成。
Tim Hardinの作品らしく、歌と曲の骨格が前に出るタイプで、派手なアレンジで押すというより、言葉とメロディの流れで聴かせる印象がある。
Tim Hardinというアーティストの中で
Tim Hardinは、同時代のフォーク・シーンの中でも、シンガーとしての存在感とソングライターとしての評価が強い人だ。
自作曲が多くのアーティストにカバーされてきたことからも、楽曲そのものの強さがよくわかる。特に「If I Were a Carpenter」は、Bobby Darin、Joan Baez、Johnny Cash、The Four Tops、Robert Plantなど、多くの歌手に取り上げられた代表曲として知られている。
また「Reason to Believe」も重要な楽曲で、Rod Stewartのヒットでも広く知られる。
こうした曲と比べると、「Painted Head」はヒット曲の単独の知名度で押すというより、アルバム全体でTim Hardinの書く歌の手触りを追う作品という見え方になりやすい。
ジャンルの文脈
この作品は、Rock、Blues、Folk、World, & Countryという広い枠で整理されている。
実際のところ、60年代フォークの延長線上にあるシンガー・ソングライター作品として聴かれることが多そうだが、そこにブルース・ロックの感触が加わることで、単なる弾き語り中心の作品とは少し違う輪郭を持つ。
同時代の感覚でいえば、フォークの語り口とロックの帯域を行き来するアーティストたち――たとえばより広い意味でのシンガー・ソングライター作品群の中に置くと、Tim Hardinの独特な書き方が見えやすい。
歌詞を前面に出しながら、曲の流れ自体で引っ張るタイプの一枚、と言えそうだ。
まとめ
「Painted Head」は、Tim Hardinの代表曲で知られる作家性を、アルバム単位で確かめられる作品だ。
1972年のオリジナル作品を、1981年の日本盤で聴く形になるため、当時の日本での受け止め方も含めて残された一枚として見ておくと、より位置づけがつかみやすい。
トラックリスト
- A1 – You Can’t Judge A Book By The Cover (4:09)
- A2 – Midnight Caller (3:09)
- A3 – Yankee Lady (4:24)
- A4 – Lonesome Valley (4:29)
- A5 – Sweet Lady (3:44)
- B1 – Do The Do (3:44)
- B2 – Perfection (3:02)
- B3 – Till We Meet Again (3:11)
- B4 – I’ll Be Home (5:42)
- B5 – Nobody Knows You When You’re Down And Out (6:23)
Caravan – Caravan (1969)
Caravan『Caravan』について
Caravanの『Caravan』は、1969年にオリジナルが出た初期作品で、Canterbury系プログレッシブ・ロックの出発点を確認できる1枚。こちらは1982年に日本で出た盤で、ジャケットやクレジットからも、当時の国内流通盤としての位置づけが見えてくる。録音は1968年10月、ロンドンのAdvision Studios。バンドがまだ初期段階にあった時期の記録である。
バンドの成り立ちと、この作品の位置
Caravanは、Wilde Flowersの流れをくむメンバーを中心に1968年に結成された英国のバンド。Canterbury周辺の音楽シーンを代表する存在として知られ、のちの『In the Land of Grey and Pink』で高い評価を受けることになるが、この『Caravan』はその少し前、バンドの輪郭が固まりつつある時期の作品にあたる。
この時点では、後年の代表作で前面に出てくる組曲的な展開や、ジャズ寄りの複雑な構成というより、ロックを土台にブルースの要素を含んだ演奏が中心。Canterbury系の中でも、比較的ストレートなバンド・サウンドとして聴こえる一面がある。
収録曲と聴きどころ
本作では、長めの展開を持つ曲と、比較的コンパクトな曲が並び、初期Caravanらしい試行の幅が見える。代表曲としてまず挙がるのは「Place of My Own」「Magic Man」あたりで、バンド名義の初期レパートリーとしても重要な存在。特に「Place of My Own」は、のちのCaravanを知ってから聴くと、すでにメロディの運びにこのバンドらしさが出ていることが分かる。
演奏面では、デヴィッド・シンクレアのキーボード、パイ・ヘイスティングスのギターとヴォーカル、リチャード・シンクレアのベース、リチャード・コフランのドラムという初期の核がそのまま機能していて、バンドとしてのまとまりがはっきりしている。各パートがきっちり役割を持ち、派手に押し切るというより、曲の流れを崩さず進めていくタイプの演奏。
同時代との関係
1969年という時期を考えると、英国ではプログレッシブ・ロックの輪郭が見え始め、サイケデリック・ロックやブルース・ロックもまだ強く残っていた頃。Caravanはその交差点にいるバンドで、同じCanterbury系のSoft Machineと並べて語られることも多い。とはいえ、本作ではジャズ色の強い方向へ深く振り切る前段階として、ロック・バンドとしての輪郭がはっきりしている。
後年のCaravanを知っていると、この盤には「完成された代表作」よりも、バンドの初期衝動や方向性の確認といった意味合いが強く感じられる。そこがこの作品の面白いところでもある。
1982年日本盤について
この1982年の日本盤は、オリジナルが1969年という作品を国内向けにあらためて届けた盤。クレジットには「Manufactured by Polydor K. K., Japan」とあり、当時の日本盤らしい仕様になっている。オリジナル盤との内容差については、この情報からは特に別テイクや大きな改訂は読み取れず、作品としては初期Caravanの記録をそのまま伝えるものとして扱える。
まとめ
『Caravan』は、Canterbury系プログレの本流に入る前のCaravanを確認できる初期作。ブルース・ロックを土台にしつつ、のちのバンド・カラーにつながる要素がすでに見えている。代表作の影に隠れがちだが、バンドの始まりをたどるうえでは外せない1枚である。
トラックリスト
- A1 – Place Of My Own
- A2 – Ride
- A3 – Policeman
- A4 – Love Song With Flute
- A5 – Cecil Rons
- B1 – Magic Man
- B2 – Grandma`s Lawn
- B3 – Where But For Caravan World I
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Various – The Harvest Bag (1971)
The Harvest Bag / Various (1971)
1971年にUKで出たHarvestレーベルのサンプラー盤で、レーベル・コンピレーションとしての性格がはっきりした1枚です。ロックを軸にしながら、ブルース・ロック、カントリー・ロック、ジャズ・ロック、プログレッシブ・ロックまでを一通り見渡せる内容になっていて、当時のHarvestの幅をそのまま切り取ったような作品です。
作品の位置づけ
Harvestは1971年11月にこうしたサンプラーを送り出していて、レーベルの色をまとめて示す役割が強い盤です。個別のアーティスト作品ではなく、複数の録音を通して当時のレーベルの方向性を伝える内容で、UKロックの流れの中にあるHarvestの立ち位置が見えやすい構成です。
特にこの盤は、Electric Light Orchestraの初出音源を収録していることで知られています。ELOの初期記録に触れられる点は、このレコードの大きな特徴です。
収録内容の印象
曲単位で見ると、ブルース寄りの粘り、カントリー・ロックの素朴な運び、ジャズ・ロックのリズム処理、プログレッシブ・ロックの展開感といった要素が、1枚の中で切り替わっていく構成です。レーベル・コンピレーションらしく、ひとつの作品世界を通して聴かせるというより、当時のHarvestが抱えていた音の輪郭を並べて示す内容といえる盤です。
こうしたサンプラー盤は、個々の曲の代表性よりも「その時点で何が起きていたか」を伝える資料性が前面に出やすいですが、この盤もそのタイプです。1971年のUKロックを、レーベル単位で俯瞰する入口のような位置にある作品です。
時代背景
1971年のUKロックは、ブルースの土台を残しながら、カントリーやジャズ、プログレの要素を取り込んでいく時期でした。Harvestはその流れを受け止めるレーベルのひとつで、このサンプラーにはその動きがまとまって表れています。Pink Floyd周辺で知られるレーベルという印象だけでは収まらない、もう少し広い音楽性の広がりが見える内容です。
まとめ
The Harvest Bagは、1971年のUK Harvestレーベルを一望できるサンプラー盤です。ロックを基盤に、複数のスタイルを横断する当時の空気感がそのまま入っていて、さらにElectric Light Orchestraの初出音源を含む点でも記録性の高い1枚です。作品単体というより、レーベルの断面を残したコンピレーションとして捉えると、その性格がつかみやすい盤です。
トラックリスト
- A1 – Laughed At The Judge
- A2 – River Woman
- A3 – Queen Of The Hours
- A4 – Shoot Her If She Runs
- A5 – After The Day
- B1 – Call Me A Liar
- B2 – Ain’t Gonna Do You No Harm
- B3 – Living Here Alone
- B4 – Ella James
- B5 – The City – Part 1 (The Ghetto)
関連動画
- Grease Band – 1971 – Laughed At The Judge – Dimitris Lesini Blues
- SOUTHERN COMFORT “RIVER WOMAN” (1972)
- Queen of the Hours (2001 Remaster)
- Shoot Her if She Runs
- After The Day
- Edgar Broughton Band – Call Me A Liar (1971)
- East of Eden – Ain’t Gonna Do You No Harm
- Roy Harper – Living Here Alone (UK1971)
- Ella James (2005 Remaster)
- Mark-Almond Band – The Ghetto
Jack-Knife – I Wish You Would (1979)
Jack-Knife「I Wish You Would」について
「I Wish You Would」は、1979年にUKで登場したJack-Knifeの作品。John Wetton、Curt Cress、Richard Palmer-James、John Hutchesonというメンバー構成で、UKのロック文脈の中でも、プログレッシブ・ロックとブルース・ロックの要素が重なる一枚として位置づけられる。
バンドの背景
Jack-Knifeは、元King Crimson、Passport、Emergencyのメンバーを含むアングロ・ジャーマン系のスーパーグループ。John Wettonの存在感あるベースと歌、Curt Cressのタイトなリズム、Richard Palmer-Jamesの作詞面での関与など、各メンバーの経歴がそのまま作品の輪郭に結びついている。
1970年代後半という時期を考えると、プログレッシブ・ロックが初期の大きな様式から少しずつ形を変えていた頃でもある。そうした中で、この作品も、演奏の精度や構成の練り込みを保ちながら、ブルース・ロック寄りの手触りを持つ点が特徴として見えてくる。
サウンドの印象
音の中心には、Wettonらしい芯のあるボーカルと、硬質で直線的なバンド・アンサンブルがある。派手に装飾するというより、リズム隊の押し出しとギターのフレーズで曲を引っ張るタイプのロックで、プログレの構築感とブルース・ロックの土台が同居している印象。
同時代の感覚で見ると、King Crimson周辺の緊張感や、よりハードな英国ロックの流れを思わせる部分があり、Passportのような欧州的な演奏感覚ともつながって見える。とはいえ、音のまとまりはあくまでロック・バンドとしての推進力に置かれている。
作品の位置づけ
Jack-Knifeにとっては、メンバーの経歴が前面に出る形で成立した作品といえる。John Wettonのキャリアを追う上でも、King Crimson以後のロック表現を確認できる一枚として見られることが多いはずだ。
1979年という年のUKロックは、ハードな方向性や新しい波が並走していた時期でもあり、この作品もそうした空気の中で、プログレとブルース・ロックの接点を示す存在として聴かれることになりそうだ。
まとめ
「I Wish You Would」は、Jack-Knifeという短命な括りの中でも、メンバーの来歴がそのまま音に表れやすい作品。派手な逸話よりも、演奏の組み立て、リズムの締まり、Wettonの歌声といった要素が印象に残るタイプの一枚だ。
トラックリスト
- A1 I Wish You Would (4:47)
- A2 Good Mornin’ Little Schoolgirl (2:45)
- A3 You Can’t Judge A Book By The Cover (3:28)
- A4 Confessions (4:53)
- A5 Eyesight To The Blind (3:38)
- B1 Walk On Heaven’s Ground (5:50)
- B2 Dimples (2:52)
- B3 Mustang Momma (3:13)
- B4 Adoration (6:13)
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The Greatest Show On Earth – Horizons (1970)
The Greatest Show On Earth『Horizons』
1970年にUKで登場したThe Greatest Show On Earthの作品。ホーンを含む編成を前面に出したロック・バンドとして企画されたグループで、同時代のBlood, Sweat And TearsやChicagoを思わせる路線に、ブリティッシュ・ロックらしい硬さを重ねた存在として語られることが多い。
作品の輪郭
『Horizons』は、ブルース・ロック、サイケデリック・ロック、プログレッシブ・ロックの要素が交わる1枚。ホーン・アレンジが加わることで、ギター中心のロックよりも音の層が厚く、曲の展開にも余白がある。演奏は直線的に押し切るというより、リズムとホーンの受け答えを含めて組み立てられている印象だ。
サウンドの質感としては、70年代初頭のUKロックらしい乾いた手触りがありつつ、サイケデリックな色づけと、プログレ寄りの構成感が見える。重さだけで押すタイプではなく、曲ごとに編成の出入りがあるところがこのバンドの特徴になっている。
バンドの位置づけ
The Greatest Show On Earthは、Harvest Recordsがホーン・ロック・コンボを作る意図で組んだバンドとして知られる。Blood, Sweat And TearsやChicagoのようなアプローチを英国で展開したグループとして見ると、輪郭がつかみやすい。さらに、アルバム・カバーをHipgnosisが手がけている点も、この時代のHarvest作品らしいポイントだ。
メンバーにはNorman Watt-Roy、Garth Watt-Roy、Dick Hanson、Mike Deacon、Ron Prudenceらが並ぶ。編成の厚みがそのまま作品の音像につながっている印象で、ロック、ホーン、鍵盤がそれぞれ役割を持って動くタイプのアルバムだ。
同時代とのつながり
1970年前後のUKでは、ブルース・ロックの流れと、アメリカ由来のホーン・ロック、さらにプログレッシブ・ロックの伸長が並行していた。『Horizons』はその交差点に置ける作品で、単純なブラス・ロックでも、純粋なプログレでもない中間的な立ち位置にある。そうした点で、同時代の大編成ロックや、演奏力を軸にしたバンド群と比較されることがある。
ひとこと
『Horizons』は、The Greatest Show On Earthというバンドの狙いがはっきり出た作品。ホーンを含む編成、UKロックの硬さ、そして70年代初頭らしい構成感がまとまった1枚として見える。
トラックリスト
- A1 Sunflower Morning (4:59)
- A2 Angelina (4:07)
- A3 Skylight Man (4:34)
- A4 Day Of The Lady (4:12)
- A5 Real Cool World (4:52)
- B1 I Fought For Love (4:26)
- B2 Horizons (14:01)
- B3 Again & Again (4:02)
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Bob Dylan – Highway 61 Revisited (1965)
Bob Dylan「Highway 61 Revisited」
1965年に発表された、Bob Dylanの代表作のひとつ。フォーク・ロックとブルース・ロックを軸にしながら、従来のフォークの枠を大きく広げた作品として知られている。Dylan自身のソングライターとしての存在感が前面に出たアルバムで、ロックの文脈でも重要な位置を占める一枚だ。
作品の位置づけ
Bob Dylanは、アメリカのシンガー・ソングライターとして長く活動してきた人物で、1960年代の音楽シーンに大きな影響を与えた。Highway 61 Revisitedは、その歩みの中でも、エレクトリック・サウンドへと大きく踏み出した時期の作品として語られることが多い。フォークを出発点にしながら、ロックの編成とブルースの感触を取り込んだ構成が印象的だ。
サウンドの特徴
全体としては、ギター、オルガン、リズム隊が前に出る、はっきりしたバンド・サウンド。アコースティック中心のフォーク作品とは違い、音の輪郭が太く、演奏の推進力も強い。ブルース由来のフレーズや、ロックンロール的な勢いが曲ごとに見える作りで、言葉の多い歌詞とサウンドの強さが並ぶ。
代表曲について
このアルバムには、Dylanの代表曲としてよく挙げられる「Like a Rolling Stone」が収録されている。シングルとしても広く知られ、6分を超える長さと、強いフックを持つ展開で、当時のポップ・ソングの感覚を押し広げた曲として扱われることが多い。ほかにも、タイトル曲「Highway 61 Revisited」をはじめ、アルバム全体を通して印象に残る曲が並ぶ。
同時代とのつながり
1960年代半ばのロックやフォークの流れの中で見ると、この作品は、シンガー・ソングライターが個人の言葉をロックの形式に乗せていく動きの中心にある。ブルース・ロック、フォーク・ロックの広がりとも重なり、同時代のアメリカン・ロックの変化を示す一枚としても見られている。
ひとことで言うと
Bob Dylanの作家性とバンド・サウンドが強く結びついたアルバム。1965年という年の空気を映しながら、フォークからロックへとまたがる重要作として定着している。
トラックリスト
- A1 Like A Rolling Stone (6:13)
- A2 Tombstone Blues (5:58)
- A3 It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry (4:09)
- A4 From A Buick 6 (3:19)
- A5 Ballad Of A Thin Man (5:58)
- B1 Queen Jane Approximately (5:31)
- B2 Highway 61 Revisited (3:30)
- B3 Just Like Tom Thumb’s Blues (5:31)
- B4 Desolation Row (11:20)
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Ranmadou – 乱魔堂 (1972)
Ranmadou『乱魔堂』について
Ranmadouの『乱魔堂』は、1972年に登場した日本のブルースロック作品である。ギターを中心に、ベース、ドラム、キーボード、ボーカルを備えた編成で、当時のロックの流れの中でも、リフやビートを前面に出した作りが想像しやすい一枚だ。
バンドの編成と作品の輪郭
メンバーは、Eiryu KouとNobutaka Tsugeiの2本のギター、Yukio Saruyamaのベース、Hisao Matsuyoshiのボーカル、Toshiro Yajimaのドラム、Ritsuo Kamimuraのキーボードという布陣。ツインギターに鍵盤が加わることで、ブルースロックの基本形に少し厚みを持たせた構成になっている。
音の印象としては、ロックの骨格を保ちながら、ブルース由来のフレーズや反復感が軸にあるタイプの作品として捉えやすい。派手な装飾よりも、演奏のまとまりやバンドとしての推進力が前に出るタイプのアルバムといえる。
1972年という時代の中で
1972年は、日本でもロックがさまざまな形で広がっていった時期で、ブルースロックやハードロックの要素を取り入れたバンドも多かった。Ranmadou『乱魔堂』も、その同時代的な流れの中に置いて見ると、ギター主体のロック・バンド作品として輪郭がつかみやすい。
海外の文脈でいえば、ブルースを土台にしたロックの系譜と重なる部分があり、同時代の日本のロック作品の中でも、演奏の熱量やバンド感を軸にしたタイプとして見えてくる。
2001年盤について
ここで触れているのは2001年に出た盤で、作品そのもののオリジナルは1972年のもの。つまり、2001年盤は後年に再び手に取りやすくなった形のリリースとして見るのが自然だ。
作品の位置づけ
Ranmadouにとって『乱魔堂』は、バンドの基本的な音作りと編成がわかる作品として位置づけられる。ツインギター、ベース、ドラム、キーボード、ボーカルという役割分担がはっきりしていて、当時の日本のロックが持っていた生演奏中心の感覚も伝わりやすい。
タイトルそのものも印象に残るが、作品の核はあくまでバンド演奏にある。ブルースロックの文脈で、1970年代初頭の日本のロックを見ていくときに、ひとつの手がかりになるアルバムだ。
トラックリスト
- 1 ちぇ! (3:35)
- 2 ひたすら (2:26)
- 3 出発 (4:50)
- 4 恋の赤電話 (2:35)
- 5 風がぴゅー・ぴゅー (4:29)
- 6 写生 (2:51)
- 7 可笑しな世界 (6:19)
- 8 一握りのブルース (4:38)
- 9 何の為に (6:00)
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Joe Yamanaka – To The New World (1977)
Joe Yamanaka『To The New World』(1977)
Joe Yamanakaによる1977年の作品『To The New World』。日本のヴォーカリストとして知られる彼が、Electronic、Rock、Funk / Soulを横断しながら、Psychedelic Rock、Prog Rock、Blues Rockの要素も感じさせる内容になっている。タイトルからも新しい方向性を示す一枚という印象があり、当時のロックとファンクの接点を意識した作品として捉えやすい。
サウンドの印象
この作品は、リズムの押し出しとバンドの一体感が軸になっているタイプのレコードとして見てよさそうだ。ファンク由来のグルーヴ、ロックの直進性、そして電子的な質感が重なり、曲ごとに色合いを変えていく構成が想像される。ブルース寄りの歌い回しと、プログレッシブな展開、サイケデリックな響きが混ざることで、単純なジャンル分けでは収まりにくいところもこの時代らしい。
Joe Yamanakaという存在
Joe Yamanakaは1946年9月2日に横浜で生まれ、2011年8月7日に横須賀で亡くなった日本のヴォーカリスト。日本国内のロック史の中でも、ソウルやブルースの感触を含んだ歌声で存在感を示した人物として知られている。『To The New World』は、そうした彼の音楽性がロック、ファンク、電子的なアレンジの中で表れている作品として位置づけやすい。
時代背景とジャンルのつながり
1977年という年は、ロックが細かく分岐していた時期でもある。英米ではプログレッシブ・ロックやサイケデリック・ロックの流れが整理されつつあり、ファンクやソウルの要素を取り込む動きも広がっていた。日本でもその影響は強く、洋楽的な構成感とグルーヴを意識した作品が増えていた時代。『To The New World』も、そうした空気の中に置くと見えやすい一枚だ。
作品の位置づけ
Joe Yamanakaのキャリアの中では、歌唱力を前面に出しつつ、ジャンルの境界をまたぐ方向性が確認できる作品として見ることができる。ロックの枠に収めるには要素が多く、ファンクや電子音の感触も含めて、当時の実験性と身体性が同居しているところがポイントになりそうだ。
まとめ
『To The New World』は、1977年の日本で生まれた、ロック、ファンク、エレクトロニックの要素が交差するJoe Yamanakaの作品。ブルースの芯を残しながら、プログレッシブでサイケデリックな広がりも感じさせる内容として、当時のジャンルの動きを映す一枚と言えそうだ。
トラックリスト
- A1 To The New World (6:00)
- A2 New Generation (4:06)
- A3 (You’re) A Part Of Me (4:46)
- A4 Good Morning My Moon, Good Evening My Sun (4:53)
- B1 World Rock Festival Band (2:55)
- B2 Just One Step (5:12)
- B3 Pain Of Rock (3:36)
- B4 Influence (7:43)
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The Doors – Morrison Hotel (1970)
The Doors『Morrison Hotel』について
The Doorsの『Morrison Hotel』は、1970年に発表されたアルバム。ジム・モリソン、レイ・マンザレク、ロビー・クリーガー、ジョン・デンズモアの4人を中心にした作品で、ブルース・ロックとサイケデリック・ロックの要素がはっきりと出ている1枚。
前作までの実験性を残しつつ、ここではリズムの輪郭がより前に出ている印象。ギターの切れ味、オルガンの厚み、モリソンの声の存在感が重なって、乾いた質感と粘りのあるグルーヴが同居する内容になっている。
サウンドの特徴
全体としては、ブルース由来のフレーズを軸にした演奏が目立つ。テンポの置き方は比較的はっきりしていて、ドラムとベースの推進力が曲を引っ張る場面が多い。そこに、マンザレクの鍵盤が空間を埋め、クリーガーのギターが鋭く差し込む構成。
サイケデリックな色づけは残っているが、音像はより直接的。60年代後半のThe Doorsにあった劇的な展開よりも、演奏の手触りやリフの強さが印象に残るアルバムとして捉えられることが多い。
作品の位置づけ
The Doorsにとっては、70年代に入ってからの重要な一作。バンドとしての演奏感が前面に出ていて、ブルース・ロック寄りの方向性を確認できる時期の作品でもある。ジム・モリソン在籍期の後半にあたるアルバムで、グループの輪郭を改めて示した内容。
同時代のロックの流れで見ると、同じくブルースの語法を持つバンド群と並べて語られることがある。The Rolling Stonesのようなルーツ志向の強さとは違うが、The Doorsの場合はオルガンの音色とモリソンの歌が加わることで、より独特の緊張感が生まれている。
代表曲とエピソード
- 「Roadhouse Blues」:アルバムを代表する1曲として知られるブルース・ロック・ナンバー
- 「Peace Frog」:リフとリズムの押し出しが強い楽曲
- 「Ship of Fools」:歌と演奏のバランスが印象に残る曲
- 「Maggie M’Gill」:アルバムの締めくくりを担う1曲
とくに「Roadhouse Blues」は、この時期のThe Doorsを語るうえで外しにくい曲。ライヴ感のある進行と、肩の力を抜いたようでいて芯のある演奏が特徴で、アルバムの方向性を端的に示している。
まとめ
『Morrison Hotel』は、The Doorsの中でもブルース色が前に出たアルバム。サイケデリックな感触を残しながら、より地に足のついたバンド演奏へ寄った1枚として整理できる。1970年という時代の空気と、The Doorsらしい不穏さや緊張感が同じ画面に収まっている作品。
トラックリスト
- Hard Rock Cafe
- A1 Roadhouse Blues (4:04)
- A2 Waiting For The Sun (3:58)
- A3 You Make Me Real (2:50)
- A4 Peace Frog (2:52)
- A5 Blue Sunday (2:08)
- A6 Ship Of Fools (3:06)
- Morrison Hotel
- B1 Land Ho! (4:08)
- B2 The Spy (4:15)
- B3 Queen Of The Highway (2:47)
- B4 Indian Summer (2:33)
- B5 Maggie M’Gill (4:24)
Strawberry Path – When The Raven Has Come To The Earth (1971)
Strawberry Path / When The Raven Has Come To The Earth
Strawberry Pathは、1971年に結成された日本のサイケデリック/プログレッシブ・ロック・デュオ。のちに日本のプログレッシブ・ロックを語るうえで重要な存在となるバンドへとつながっていく、初期の一枚として位置づけられる作品だ。
作品の概要
『When The Raven Has Come To The Earth』は1971年のオリジナル作品で、2022年に日本盤としてリリースされている。クレジットにはHiro Tsunoda、Isao Eto、Shigeru Narumoの名が並び、ブルース・ロック、ハード・ロック、サイケデリック・ロック、プログ・ロックの要素が重なる内容になっている。
サウンドの印象
中心にあるのは、硬めのギターリフとブルース寄りの展開、そこにサイケデリックな質感が重なる流れ。リズムは直線的に押し切る場面がありつつ、曲によっては間の取り方や展開の変化が目立つ。音の輪郭は太めで、ラフな熱量と構成の切り替えが同居するあたりが耳に残る。
当時の文脈
1970年代初頭の日本では、海外のハード・ロックやプログレッシブ・ロックの影響を受けたバンドが次々に登場していた時期で、Strawberry Pathもその流れの中にある。ブルースを土台にしながら、サイケデリックな感触とプログレッシブな組み立てをつなげていく点に、この時代らしさが見える。
位置づけ
Strawberry Pathは、1970年代の日本のプログレ・シーンへつながる前段階として語られることが多い存在。その意味でこの作品は、単独のアルバムというだけでなく、後続の展開を考えるうえでの起点のひとつとしても見えてくる。
メモ
- アーティスト: Strawberry Path
- タイトル: When The Raven Has Come To The Earth
- オリジナルリリース年: 1971年
- 盤のリリース年: 2022年
- 国: 日本
- ジャンル: Rock, Blues
- スタイル: Blues Rock, Hard Rock, Psychedelic Rock, Prog Rock
トラックリスト
- A1 I Gotta See My Gypsy Woman (5:20)
- A2 Woman Called Yellow “Z” (5:52)
- A3 The Second Fate (4:50)
- A4 Five More Pennies (6:47)
- B1 Maximum Speed Of Muji Bird (1:10)
- B2 Leave Me Woman (4:42)
- B3 Mary Jane On My Mind (5:10)
- B4 Spherical Illusion (5:55)
- B5 When The Raven Has Come To The Earth (6:40)
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Cactus – One Way… Or Another (1971)
Cactus「One Way… Or Another」について
Cactusの「One Way… Or Another」は、1971年の作品として知られるアルバムで、USハードロック/ブルースロック・バンドの持つ骨太な感触がそのまま出た一枚です。アメリカ発のバンドですが、ここではEurope盤として流通しており、70年代初頭のハードロックとブルースの接点を押さえた内容になっています。
サウンドの印象
中心にあるのは、タイトなリズムと分厚いギター、そしてブルース由来のフレーズです。ロックンロールの勢いを保ちながら、演奏はかなり直線的で、リフの押し出しが強いタイプの音作り。派手な装飾よりも、バンド全体の推進力で聴かせる構成になっている印象です。
ドラムとベースが前に出る場面も多く、そこにギターが絡むことで、硬さのあるグルーヴが生まれているのがこの時代のCactusらしいところです。ブルースロックの流れの中では、Led ZeppelinやTaste、初期のJ. Geils Bandあたりと並べて語られることもありそうなタイプの音像です。
作品の位置づけ
Cactusは1970年代のUSハードロック/ブルースロックを代表するバンドのひとつで、この作品もその文脈の中に置ける内容です。派手なヒット狙いというより、バンド演奏の密度で押し切る作りが目立ち、当時のハードロックが持っていたライブ感の延長線上にあるアルバムといえます。
メンバーにはCarmine Appice、Tim Bogert、Rusty Day、Jim McCartyといった名前が並び、演奏面の存在感も強いです。Cactusの中でも、バンドの基本線であるハードなブルースロックを確認できるタイトルとして見られる一枚です。
関連するポイント
- アーティスト: Cactus
- タイトル: One Way… Or Another
- オリジナルリリース年: 1971年
- ジャンル: Rock / Blues
- スタイル: Blues Rock / Rock & Roll
- 録音メモ: 1971年2月24日
Cactusの初期70年代らしい、ロックとブルースの境目を力強く鳴らした作品として押さえておきたいタイトルです。
トラックリスト
- A1 Long Tall Sally (6:27)
- A2 Rockout, Whatever You Feel Like (3:56)
- A3 Rock N’ Roll Children (5:40)
- A4 Big Mama Boogie – Parts 1 & 2 (4:59)
- B1 Feel So Bad (5:30)
- B2 Song For Aries (3:05)
- B3 Hometown Bust (6:38)
- B4 One Way… Or Another (5:05)
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Mo-I-Rana – Loners & Lovers (1974)
Mo-I-Rana『Loners & Lovers』について
『Loners & Lovers』は、デンマークのロック・バンド、Mo-I-Ranaが1974年に発表した作品。ブルース・ロック、プログ・ロック、クラシック・ロックの要素を含む1枚として位置づけられる。1970年代のデンマーク・ロックを知るうえで、ひとつの手がかりになるタイトルでもある。
作品の輪郭
バンド名義の演奏が前面に出るタイプの作品で、Nils Henriksen、Ken Gudman、Ole Prehn、Hans Lauridsen、Bill Hazen、Thorkild Nielsenというメンバー編成が記録されている。ロックを土台にしながら、ブルース由来の組み立てと、プログ・ロックらしい展開の意識が重なる構成が読み取れる。
同時代の英米ロックと比べると、派手な装飾よりもバンドとしてのまとまりやリズムの運びに目が向くタイプの記録として見えてくる。クラシック・ロックの枠の中で、ブルースの骨格と70年代的なロックの感触が同居している印象。
サウンドの印象
演奏は、ギターを軸にしたバンド・サウンドが中心にあるように受け取れる。リズム隊の推進力、曲ごとのテンポ感、録音の空気感が、当時のロック作品らしい生々しさにつながっている。音の輪郭は比較的ストレートで、過度に加工された感じよりも、演奏そのものの手触りが前に出るタイプの質感。
ブルース・ロック寄りの粘りと、プログ・ロック寄りの展開意識が同じアルバムの中で交差するところが、この作品の見どころになりそうだ。
1974年という位置づけ
1974年という年は、ロックの表現が細分化していく時期でもある。そうした中で『Loners & Lovers』は、デンマークのバンドが当時のロック文法を自分たちの編成で鳴らした記録として読める。Mo-I-Ranaにとっても、1970年代の活動期を示す重要な一作という見方ができる。
まとめ
『Loners & Lovers』は、1970年代デンマークのロック・バンド作品として、ブルース・ロック、プログ・ロック、クラシック・ロックの接点に置かれるアルバム。バンドの演奏感、時代の空気、ロックの基本形が見えやすい1枚として記録されている。
トラックリスト
- A1 City Rambling Boy (3:40)
- A2 Break It Up (5:15)
- A3 Rock’n’Roll Man (4:10)
- A4 A Theme For Loners & Lovers (2:40)
- A5 Since You’ve Been Gone (4:20)
- B1 Fortune & Fame (3:15)
- B2 Late Night Woman Blues (5:30)
- B3 (New Version) Alone (5:30)
- B4 Deep Within The Storm (5:10)
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Tom Waits – Small Change (1976)
Tom Waits『Small Change』について
Tom Waitsの『Small Change』は、1976年にリリースされた作品。ジャズ、ロック、フォーク、ワールド/カントリーの要素をまたぎながら、ブルース・ロックを軸にした1枚として位置づけられる。1973年の『Closing Time』に続く時期の作品で、Tom Waitsの初期像をつかむうえで重要なタイトルのひとつになっている。
作品の輪郭
この時期のTom Waitsは、歌詞の運びや語り口、しゃがれた声で強く印象を残す存在。『Small Change』でも、その特徴ははっきりしている。ジャズ寄りの空気感や、ブルースを土台にした進行、ロックの感触が重なり、楽曲ごとに場面が切り替わるような構成が見えてくる。
録音の雰囲気は、派手に作り込むというより、曲の輪郭や声の質感を前に出す方向。リズムは一定のテンポ感を保ちながらも、曲によってはゆるやかに揺れ、バンドの鳴りと歌が近い距離で並ぶ印象がある。
Tom Waitsというアーティストの中で
Tom Waitsは1949年12月7日、カリフォルニア州ポモナ生まれ。初期は『Closing Time』で知られ、その後、ブルースやビート詩の影響を背景に、独自のソングライティングを深めていく。『Small Change』は、その流れの中で、彼の声と詞の個性がより前面に出てくる時期の作品として見られることが多い。
また、Tom Waitsは音楽だけでなく映画でも存在感を持つ人物で、フランシス・フォード・コッポラ、コーエン兄弟、ジム・ジャームッシュ、テリー・ギリアム、ロバート・アルトマンらの作品に出演している。音楽と映像の両方で、独特の立ち位置を築いてきたアーティストといえる。
同時代とのつながり
1970年代半ばのアメリカでは、シンガーソングライター的な語り口と、ブルースやジャズの要素を取り込んだ作品が並んでいた。Tom Waitsの『Small Change』も、その文脈の中に置ける一枚。Howlin’ Wolfのようなブルースの系譜や、Jack Kerouacに通じるビート的な感覚が、歌詞や声の運びに滲むところがある。
ひとこと
『Small Change』は、Tom Waitsの初期キャリアの流れを追ううえで外せない1976年作。ブルース・ロックを軸に、ジャズやフォークの気配も混ざる内容で、彼の声と言葉の個性がよく見える作品。
トラックリスト
- A1 Tom Traubert’s Blues (6:40)
- A2 Step Right Up (5:39)
- A3 Jitterbug Boy (3:41)
- A4 I Wish I Was In New Orleans (4:50)
- A5 The Piano Has Been Drinking (Not Me) (3:37)
- B1 Invitation To The Blues (5:20)
- B2 Pasties And A G-String (2:32)
- B3 Bad Liver And A Broken Heart (4:46)
- B4 The One That Got Away (4:00)
- B5 Small Change (5:03)
- B6 I Can’t Wait To Get Off Work (3:20)
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Bakerloo – Bakerloo (1969)
Bakerloo / Bakerloo
イングランドのヘヴィ・ブルース・ロック・トリオ、Bakerlooによる唯一のアルバム。オリジナルは1969年作で、ここで扱う盤は2011年リリースのもの。ブルース・ロックがハード・ロックへ接近していく時期の空気を、そのまま切り取ったような1枚だ。
バンドの位置づけ
Bakerlooは、1960年代後半に活動した短命のグループとして知られている。活動期間は長くないが、後のメンバーの動きまで含めると、英国ロック史の流れの中で名前が残る存在になっている。1枚だけ残されたアルバムという点も、この時期のバンドらしい記録性を持つ作品として見やすい。
サウンドの印象
中心にあるのは、ブルースを土台にしたギター・リフと、前へ出るリズム・セクション。Clem Clempsonのギターは、フレーズの輪郭がはっきりしていて、リズムの刻みとリードの切り替えが分かりやすい。Keith Bakerのドラム、Terry Pooleのベースが支える場面では、演奏の押し出しが前面に出る。録音も、同時代の英国ロックらしい生々しさを感じさせる質感。
ブルース・ロックとしては、当時のCreamやLed Zeppelin周辺と並べて語られることのある流れの中に置ける内容だが、Bakerlooはより直線的に演奏の勢いを聴かせる場面が目立つ。派手な装飾より、バンドのまとまりと演奏の熱量が軸になっている印象。
メンバーと編成
- Clem Clempson
- Keith Baker
- John Hinch
- Terry Poole
編成の核はギター、ベース、ドラムのトリオ構成。シンプルな形だからこそ、各パートの動きが見えやすい作品でもある。
まとめ
Bakerlooの唯一作として、このアルバムはバンドの輪郭をそのまま残した記録のような存在。1969年という時代の英国ブルース・ロックの流れ、そしてその先に続くハード寄りのロックへの接続点を感じさせる内容だ。2011年盤として手に取る場合も、まずはオリジナルの時代感を踏まえて聴くと、作品の性格がつかみやすい。
トラックリスト
- A1 Big Bear Ffolly (3:55)
- A2 Bring It On Home (4:19)
- A3 Drivin’ Bachwards (2:08)
- A4 Last Blues (7:07)
- A5 Gang Bang (6:16)
- B1 This Worried Feeling (7:06)
- B2 Son Of Moonshine (14:55)
- Bonus Track:
- B3 Once Upon A Time (3:40)
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Wolfgang Ambros – Es Lebe Der Zentralfriedhof (1975)
Wolfgang Ambros「Es Lebe Der Zentralfriedhof」
Wolfgang Ambrosによる1975年のアルバム「Es Lebe Der Zentralfriedhof」。オーストリア出身のシンガーソングライターによる作品で、ロック、ブルース、ポップの要素を土台にした一枚です。1976年盤として流通したものもあり、70年代半ばの空気をそのまま閉じ込めたような内容になっている。
作品の輪郭
このアルバムでは、ブルースロックを軸にしながら、アコースティックな手触りも前面に出ている。ギターを中心にしたバンド感のある演奏の中に、言葉の置き方やメロディの運びがしっかり残るタイプで、派手さよりも曲そのものの輪郭が見えやすい構成。録音の雰囲気も、70年代のロック作品らしい自然な響きが印象に残る。
言葉と地域性
Wolfgang Ambrosはオーストリアのシンガーソングライターで、ウィーン周辺の方言や日常語感を含んだ表現でも知られる人物。この作品でも、地域性のある言葉づかいが音楽の印象を形づくっている。収録曲「Zwickt’s Mi」は、オーストリア盤では方言版、ドイツ盤ではより標準的なドイツ語に近い歌詞で収められている点が特徴。
時代背景と位置づけ
1970年代のドイツ語圏ロックの流れの中で見ると、ブルースロックやアコースティック寄りの作りを持ちながら、歌詞の個性で存在感を出すタイプの作品として捉えやすい。英語圏のロックとは別の文脈で、言葉の響きと曲の推進力が並んでいるところが面白い。Wolfgang Ambrosの代表的な時期を示すアルバムのひとつとして扱われることが多い。
基本情報
- アーティスト: Wolfgang Ambros
- タイトル: Es Lebe Der Zentralfriedhof
- オリジナル・リリース年: 1975
- 盤のリリース年: 1976
- ジャンル: Rock / Blues / Pop
- スタイル: Blues Rock / Acoustic
- アーティストの国: Germany
- リリース国: Germany
70年代ドイツ語圏ロックの中でも、言葉の温度と演奏の距離感がそのまま残る一枚。タイトル曲を含め、当時の空気を知る手がかりとしても見ていける作品。
トラックリスト
- A1 Es Lebe Der Zentralfriedhof (5:12)
- A2 Wem Heut Net Schlecht Is (3:10)
- A3 Espresso (4:50)
- A4 G’söchta (3:07)
- A5 Heite Drah I Mi Ham (4:00)
- B1 Zwickt’s Mi (3:45)
- B2 Familie Pingitzer (2:49)
- B3 De Kinettn Wo I Schlof (4:02)
- B4 A Gulasch Und A Seitl Bier (4:00)
- B5 I Glaub I Geh Jetzt (3:55)
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Guillotine – Guillotine (1971)

Guillotine「Guillotine」について
1971年にUSで発表された、フレンチ・カナディアンのジャズ・ロック・グループ、Guillotineによる同名アルバム。ジャズ、ロック、ファンク/ソウルの要素を横断しながら、ブルース・ロック、ジャズ・ロック、サイケデリック・ロックの流れの中に置ける作品だ。
作品の輪郭
Guillotineは、Pierre Nadeau、Robert Turmel、Paul Morin、Carole Brevalの4人を中心とした編成。バンド名と同じタイトルを冠したこのアルバムは、グループの基本的な方向性をそのまま示す一枚として捉えやすい。
演奏は、ロック寄りの推進力を土台にしつつ、ジャズ由来の展開やファンクのリズム感を織り込んだ構成が印象に残る。ビートを前へ押し出しながらも、単純に一直線では進まず、曲ごとに間合いや切り替えを持たせる作り。録音の質感も、当時のロック/ジャズ・ロック作品らしい生々しさが感じられるタイプだ。
サウンドの特徴
- ブルース・ロックの骨格を持つギター主体のアプローチ
- ジャズ・ロックらしいインタープレイと展開の変化
- ファンク寄りのリズムが加える推進力
- サイケデリック・ロック由来の音色や揺れのある雰囲気
この時期の北米のジャズ・ロックやジャズ・ロック寄りのロック作品と並べると、Blood, Sweat & TearsやChicagoのようなブラス中心の路線とは少し違い、よりバンド演奏の密度で聴かせる側面が目立つ。ロックとジャズの接点を、よりラフな熱量で扱うタイプの文脈に置ける。
位置づけ
1971年のこのアルバムは、Guillotineというグループの名をそのまま示した初期の記録として見やすい。ジャンルの境界をまたぐ構成で、当時のジャズ・ロックの広がりを反映した一枚という印象だ。
作品全体としては、派手な装飾よりも、演奏の組み立てとリズムの運びで聴かせる内容。ジャズ、ロック、ファンクが同じ場に置かれた時代の空気が、そのまま盤に残っているようなアルバムだ。
トラックリスト
- A1 Hands Of Children (4:31)
- A2 Those Years Have Gone By (5:15)
- A3 Don’t Need Your Love (4:52)
- A4 Anniversary (4:13)
- A5 Feel Better (2:51)
- B1 Crow Bait (2:35)
- B2 If You Don’t Call That Love (4:29)
- B3 Jonathan (4:27)
- B4 I Can’t Believe It (10:39)
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Pyg – Free With PYG (1971)

PYG『Free With PYG』(1971)について
『Free With PYG』は、1971年に日本で発表されたPYGの作品。ザ・タイガースやザ・スパイダースのメンバーを含む編成で結成された、短期間だけ活動した日本のロック・グループによる一枚である。ロックを土台に、ブルース・ロックとハード・ロックの要素を前面に出した内容として位置づけられる。
バンドの輪郭
PYGは、沢田研二、萩原健一、岸部修三、井上堯之、堀内“オーガン”など、当時の日本のロック/歌謡シーンで存在感のあるメンバーが集まったグループ。活動期間は長くなく、アルバム2作とシングル5枚を残して翌年には解散している。そのため、本作はグループの初期のまとまりをそのまま記録したような一枚として見られることが多い。
サウンドの印象
サウンドは、ギターを軸にしたバンド演奏が中心。リズム隊が前に出る場面があり、曲によっては重さのあるビートと、歯切れのよい演奏が並ぶ。ブルース・ロック寄りの粘りと、ハード・ロック的な押しの強さが同居していて、当時の日本のロックが洋楽の流れをどう受け止めていたかが見えやすい内容になっている。
録音の質感は、1971年らしい生々しさを残したもの。各楽器の輪郭が比較的はっきりしていて、スタジオでのバンド感を重視した作りに感じられる。
作品の位置づけ
このアルバムは、PYGというグループの出発点を示す作品として捉えやすい。後の日本のロックバンドにもつながる、スター級のメンバーを集めた編成、そして歌謡曲の文脈だけでは収まらないバンド・サウンドが同居している点が印象的。時代としては、英米のブルース・ロックやハード・ロックが広く浸透していた頃で、日本でもそうした流れを受けた作品が次々と出ていた。その中でPYGは、個々のキャリアの強さとバンドとしての試行が重なる存在といえる。
まとめ
『Free With PYG』は、1971年の日本のロックを語るうえで外しにくい一枚。メンバーの顔ぶれ、ブルース・ロックとハード・ロックを行き来する演奏、短命バンドならではのまとまりが、そのまま記録された作品になっている。
トラックリスト
- A1 Black Night
- A2 Walking My Shadow
- A3 Every Mother’s Son
- A4 Country Comfort
- A5 Bitch
- B1 Speed King
- B2 Cowboy
- B3 Love In Vain
- B4 To Love Somebody
- B5 Travelin’g In The Dark
- C1 The Day I Knew A Love
- C2 A Road Named No Return
- C3 Nothing Free
- C4 Sympathy For The Devil
- C5 I Put A Spell On You
- D1 Now The Time For Love
- D2 I Want To Take You Higher
- D3 Babe, I’m Gonna Leave You
- D4 To Pray
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Wilde Flowers – The Wilde Flowers (1994)

The Wilde Flowers / Wilde Flowers
Wilde Flowersは、カンタベリー・シーンの源流として語られる英国カンタベリー出身のロック・バンドである。ここで紹介する「The Wilde Flowers」は1994年にオリジナル作品として登場したアルバムで、盤としては2009年にヨーロッパでリリースされたものになる。
バンドの位置づけ
このグループは1964年に結成され、ケヴィン・エアーズ、ブライアン・ホッパー、リチャード・シンクレア、ヒュー・ホッパー、ロバート・ワイアットといった面々が在籍した。活動期間は長くないが、のちにSoft MachineやCaravanへつながるメンバーを多く含んでおり、カンタベリー・シーンの出発点として重要な存在とされている。
サウンドの印象
ジャンルはRock、Pop、スタイルとしてはBlues Rock、Pop Rock、Beat、Garage Rockにまたがる。録音の質感は、後のカンタベリー作品に見られるような洗練よりも、ビート感のあるバンド演奏や、ブルース寄りの素朴な推進力が前に出る方向にある。リズムは直線的で、ギター中心の編成感がはっきりした印象。
同時代の英ロックと並べると、BeatやGarage Rockの要素が見えやすく、のちのSoft MachineやCaravanのような流れを知る上でも、出発点としての輪郭がつかみやすい作品といえる。
メンバー
- Robert Wyatt
- Kevin Ayers
- Hugh Hopper
- Richard Sinclair
- David Sinclair
- Pye Hastings
- Brian Hopper
- Richard Coughlan
- Graham Flight
ひとこと
Wilde Flowersは、単独の代表作というより、後続のバンド群へつながる前史として見られることが多い。カンタベリー・ロックのルーツをたどるうえで、名前の重みがそのまま作品の意味につながっている、そんな一枚である。
トラックリスト
- A1 Impotence (2:09)
- A2 Those Words They Say (2:39)
- A3 Don’t Try To Change Me (2:26)
- A4 Parchman Farm (2:17)
- A5 Almost Grown (2:49)
- A6 She’s Gone (2:13)
- A7 Slow Walkin’ Talk (2:26)
- A8 He’s Bad For You (2:48)
- A9 It’s What I Feel (A Certain Kind) (2:18)
- A10 Never Leave Me (2:35)
- A11 Just Where I Want (2:09)
- B1 Time After Time (2:44)
- B2 No Game When You Lose (2:53)
- B3 Why Do You Care (3:13)
- B4 The Pieman Cometh (3:15)
- B5 Summer Spirit (3:27)
- B6 She Loves To Hurt (3:12)
- B7 The Big Show (4:11)
- B8 Memories (3:03)
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Spirit Of John Morgan – Spirit Of John Morgan (1969)

Spirit Of John Morgan / Spirit Of John Morgan
1969年にUKで登場した、Spirit Of John Morganのセルフタイトル作。John Morganを中心にしたUKのブルースロック・グループで、ブルースロックを軸にしながら、フォーク、ソウル、R&B、ポップの要素も交えたバンドとして知られる。
作品の印象
土台はブルースロックだが、演奏の組み立てにはプログレッシブ・ロック寄りの感覚も見える一枚。リズム隊でしっかり支えながら、ギターやボーカルが前に出る場面と、曲の流れを重視する場面が並ぶ構成。録音の質感は1960年代末のUKロックらしい、やや生々しい空気を残したものとして受け取れる。
派手に押し切るというより、リフやフレーズの運びで聴かせるタイプの内容。ブルース由来の骨格に、当時の英ロックらしい曲展開の工夫が重なるあたりが、この時代らしいところ。
バンドの位置づけ
Spirit Of John Morganは、1960年代後半から1970年代初頭にかけて活動したUKブルースロック・グループ。John Morganを軸に、ブルースロックとプログレ的な要素を行き来する立ち位置のバンドとして捉えやすい。69年という時期を考えると、英国ロックがブルースの延長から少しずつ広がりを見せていた流れの中にある作品でもある。
メンバー
- Phil Shutt
- Phil Curtis
- John Morgan
- Mick Walker
- Don Whitaker
- Trevor James
ひとこと
ブルースロックの基本線を保ちながら、当時のUKロックらしい広がりをのぞかせるアルバム。バンドの輪郭と、1960年代末の空気感が同時に見えてくる内容。
トラックリスト
- A1 I Want You
- A2 Honky Tonk Train Blues
- A3 She’s Gone
- A4 Orpheus And None For Ye
- B1 The Yodel
- B2 Shout For Joy
- B3 A Train For All Reasons
- B4 Yorkshire Blues
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Quatermass – Quatermass (1970)

Quatermass / Quatermass
1970年にUKで登場した、Quatermassの唯一のアルバム。メンバーはJohn Gustafson、J. Peter Robinson、Mick Underwoodの3人で、ベース、ハモンド・オルガン、ドラムスを軸にしたパワー・トリオ編成になっている。ハードなロックの推進力に、鍵盤の厚みや管弦楽的なアレンジを重ねた、当時のブリティッシュ・プログレ周辺に位置する作品。
サウンドの輪郭
全体の印象は、リズムの押し出しが強く、演奏の密度も高め。Mick Underwoodのドラムは前に出てきて、John Gustafsonのベースとボーカルが土台を作る。そこにJ. Peter Robinsonのキーボードが加わり、ハモンド・オルガンのうねりや、クラシカルな弦の響きが差し込まれる構成。ブルース・ロックの筋肉質な感触と、アート・ロック、シンフォニック・ロック寄りの装飾性が同居している印象。
録音の雰囲気は比較的ストレートで、音数は多いが輪郭は見えやすいタイプ。曲によっては展開が細かく、リフの切り替えやブレイクが目立つ。とくに「Laughin’ Tackle」では、弦楽器の大編成が加わり、ロック・バンドの枠を広げるような作りになっている。
作品の位置づけ
Quatermassは短命だったバンドで、このアルバムが唯一の作品。バンド名はBBCのSFドラマに由来し、70年代初頭の英国ロックらしい、ロックと物語性の近さも感じさせる。後年の活動につながる人脈も多く、John GustafsonはのちにBulletを結成し、Mick UnderwoodはEpisode Sixへと進む。
また「Black Sheep of the Family」は、のちにRainbowが最初に録音した曲としても知られている。そうした意味でも、このアルバムは単独作でありながら、周辺シーンへの接点がいくつも見える一枚。
同時代の文脈
1970年前後のUKでは、ブルース・ロックを土台にしながら、キーボード主体の展開やクラシカルな要素を取り込むバンドが増えていた時期。Quatermassもその流れの中で、ハードな演奏力と構築的なアレンジを両立させた作品として位置づけられる。The Niceのような鍵盤主体のプログレ、あるいは初期のハード寄り英国ロックを思わせる要素もあり、ジャンルの境目を行き来する内容になっている。
盤について
- アーティスト: Quatermass
- タイトル: Quatermass
- オリジナル・リリース年: 1970年
- 盤のリリース年: 1975年
- 国: UK
- メンバー: Peter Robinson, John Gustafson, Mick Underwood
- ジャンル: Rock
- スタイル: Blues Rock, Art Rock, Prog Rock, Symphonic Rock
トラックリスト
- A1 Entropy
- A2 Black Sheep Of The Family
- A3 Post War Saturday Echo
- A4 Good Lord Knows
- A5 Up On The Ground
- B1 Gemini
- B2 Make Up Your Mind
- B3 Laughin’ Tackle
- B4 Entropy (Reprise)
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The Alan Franklin Explosion – The Blues Climax (1970)

The Alan Franklin Explosion『The Blues Climax』(1970)
US出身のThe Alan Franklin Explosionによる『The Blues Climax』は、1970年発表のロック/ブルース作品。ブルースロックを軸に、ガレージロック、アシッドロック、サイケデリックロックの要素が重なる一枚で、時代の空気をそのまま切り取ったような手触りがある。
作品の輪郭
クレジットされているメンバーは、David Dix、Buzzy Meekins、Chris Russel、Alan Franklin。編成はシンプルだが、そこから出てくる音はかなり幅広い。ブルースの骨格を持ちながら、歪んだギターや前のめりのリズムが前に出る場面もあり、ガレージバンドらしい粗さと、60年代末から70年代初頭のサイケデリックな感触が同居している。
サウンドの印象
リズムは直線的で、ビートの押し出しが強め。録音の雰囲気も、きれいに整え込むというよりは、演奏の勢いをそのまま残したような質感が感じられる。ブルース由来のフレーズが土台にありつつ、音の揺れやギターのざらつきが加わることで、ロック色がはっきり前面に出ている。
全体としては、ブルースの形式をなぞるだけでなく、当時のUSロックが持っていた荒さや拡張感にも触れている印象。サイケデリックロックやアシッドロックの文脈で語られることにも、つながりやすい内容だと思う。
時代背景と位置づけ
1970年という年は、ブルースロックがひとつの形として定着しつつ、ガレージ的な粗さやサイケデリックな感覚がまだ残っていた時期。その中で『The Blues Climax』は、ロックとブルースの接点を比較的ストレートに示す作品として置ける。アーティストの詳細なプロフィールは多くないが、少なくともこの盤では、当時のUSロックの混ざり方が見えやすい。
関連情報
作品情報の参照先としては、Garage Hangoverのページがある。
http://www.garagehangover.com/alan-franklin-explosion-blues-climax/
トラックリスト
- A1 Bye Bye Baby
- A2 Say You Love Me At Last
- A3 Got To Make You Mine
- A4 Piece Of Your Love
- A5 Love In My Heart
- A6 Down Hearted
- B1 Blues Climax (18:10)
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Moby Grape – Live Grape

Moby Grape『Live Grape』
Moby Grapeは、1960年代のアメリカのロック・グループ。メンバー全員が歌とソングライティングに関わり、フォーク、ブルース、カントリー、ジャズの要素をロックやサイケデリック・ミュージックと重ねていくバンドとして知られている。
『Live Grape』は、そのMoby Grapeのライブ作品。リリースはドイツ盤で、タイトルどおりステージ上の演奏を収めた一枚。スタジオ盤で見せる多面的な曲作りとはまた違い、演奏の流れやバンドのまとまりが前に出る内容と受け取れる。
サウンドの印象
ジャンル表記はRock、Blues、スタイルはBlues Rock。そこからは、ギターを軸にした硬質なバンド・サウンド、ブルース寄りのフレーズ、リズムの押し出しの強さが想像しやすい。ライブ録音ならではの空気感や、少しざらついた質感もこの作品の要素になっていそうだ。
Moby Grapeは、アメリカ西海岸の60年代ロックの文脈で語られることが多いグループ。サイケデリックな色合いを持ちながら、ブルースやルーツ感覚もはっきりしているため、『Live Grape』でもその両面がそのまま出やすいタイプの作品といえる。
メンバー
- Alexander Spence
- Jerry Miller
- Jim Preston
- Bob Mosley
- Don Stevenson
- Peter Lewis
- Gordon Stevens
作品の位置づけ
ライブ盤という形は、Moby Grapeの演奏力やアンサンブルをそのまま確認できる場でもある。複数のメンバーが歌い、曲ごとに色合いが変わるバンドだけに、ステージではスタジオ盤以上に各人の役割が見えやすいはずだ。そうした意味で、『Live Grape』はバンドの実演性を前面に置いた記録として捉えやすい。
60年代ロック、ブルース・ロック、サイケデリック・ロックの交差点にいるMoby Grape。その輪郭を、ライブの流れの中で追える一枚。