David J – Etiquette Of Violence (1983)

David J『Etiquette Of Violence』について
『Etiquette Of Violence』は、UKのミュージシャン、David Jによる1983年の作品。ロックを軸にしながら、オルタナティヴ・ロック、ニュー・ウェイヴ、実験的な要素を含む一枚として位置づけられる。David Jはイングランド・ノーサンプトン出身のベーシスト、David John Haskinsとして知られ、UKのポストパンク以降の文脈ともつながる存在。
サウンドの印象
この作品は、リズムの輪郭を保ちながらも、一般的なロックの直進性だけに寄らない作りになっている。ベースを土台にした推進力、ニュー・ウェイヴ寄りの乾いた質感、実験的な処理が重なる構成。録音の空気感も、過度に装飾的ではなく、音の配置や間が前に出るタイプの印象。
ギターやリズムの動きが単純に押し切るというより、細かなフレーズの積み重ねで展開していくタイプの作品として捉えやすい。ロックの形式の中に、80年代初頭らしいひねりが入っている感じ。
アーティストの中での位置づけ
David Jにとっては、ベーシストとしての背景がそのまま反映された作品のひとつと見られる。バンド的な感覚とソロ的な表現のあいだを行き来するような立ち位置で、彼の音楽性を確認しやすい時期の記録とも言えそうだ。
同時代のUKシーンでいうと、ポストパンクからニュー・ウェイヴへ向かう流れの中に置いて聴ける内容。Bauhaus周辺に通じる緊張感や、当時の実験的なロックの感触を思わせる部分もある。
まとめ
『Etiquette Of Violence』は、1983年のUKロックの空気を背景にしつつ、オルタナティヴ、ニュー・ウェイヴ、実験性を重ねた作品。David Jの音楽的な輪郭が、比較的わかりやすく見える一枚として捉えられる。
トラックリスト
- A1 I Hear Only Silence Now (3:13)
- A2 No One’s Sending Roses (2:35)
- A3 The Fugitive (2:34)
- A4 Betrayal (3:29)
- A5 Joe Orton’s Wedding (2:30)
- A6 The Promised Land (2:27)
- B1 ‘With The Indians Perminent’ (2:49)
- B2 Say Uncle (3:49)
- B3 Disease (2:43)
- B4 Roulette (2:56)
- B5 Saint Jacqué (3:01)
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The Comsat Angels – You Move Me (One Good Reason) (1984)

The Comsat Angels / You Move Me (One Good Reason)
1984年のThe Comsat Angelsによる「You Move Me (One Good Reason)」。イングランドのシェフィールドとドンカスターを拠点にしたポストパンク・バンドによる、同年のUK盤として出た1枚である。ロックを軸に、オルタナティヴ・ロックやニュー・ウェイヴの流れに置ける作品として見えてくる内容。
作品の位置づけ
The Comsat Angelsは1978年結成、1995年に活動を終えたバンド。初期のポストパンクを背景にしながら、のちにはより整理された曲構成や、硬質なバンド・サウンドを前面に出していく印象がある。「You Move Me (One Good Reason)」も、そうした流れの中にある1984年の楽曲として捉えやすい。
Kevin Bacon、Steve Fellows、Andy Peake、Mik Glaisherに加え、Terry Todd、Simon Andersonがクレジットされている。
サウンドの印象
リズムはきっちりと前に進み、ギターは輪郭を保ったまま曲を支えるタイプ。録音も過度に飾らず、各パートの分離が見えやすい作りに感じられる。ニュー・ウェイヴ寄りの整理された感触と、オルタナティヴ・ロックの直線的な押し出しが同居している。
同時代のUKロックの文脈で見ると、同じくポストパンク以降の緊張感を持ちながら、よりメロディと構成を重視するバンド群とのつながりが意識しやすい。The Comsat Angelsらしい、派手さよりも曲の運びで聴かせるタイプの一曲として置けそうである。
バンドの流れの中で
1984年という時期は、バンドの初期衝動だけではなく、曲作りやアレンジのまとまりがより前に出てくる時期でもある。「You Move Me (One Good Reason)」は、その時点でのバンドの方向性を示す作品のひとつとして見られる。
のちにオリジナル・ラインナップで2009年のSensoria Festival出演を行い、さらに別編成で同年10月にもUKで数公演を実施、2010年12月のシェフィールド公演を最後に再結成期を終えている。そうした後年の動きまで含めると、この時期の音源はバンドの中核を知る手がかりとしても重要な位置にある。
トラックリスト
- A You Move Me (One Good Reason) (Long Version) (5:37)
- B1 Land (4:10)
- B2 Eye Of The Lens (Live Version) (4:02)
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All About Eve – Strange Way (1991)

All About Eve「Strange Way」について
All About Eveは、1984年に結成された英国のインディー・ロック/ポップ・バンド。1980年代後半から90年代初頭にかけて活動し、1991年の「Strange Way」は、その時期の流れの中で発表された作品になる。ジュリアンヌ・リーガンのボーカルを軸に、ロックとポップ・ロック、ニュー・ウェイヴの要素を行き来するバンドとして知られている。
作品の輪郭
「Strange Way」は、1991年のUKリリース。All About Eveの持つ、バンド演奏を前面に出した作りと、メロディをきちんと聴かせる構成が見えやすい一枚といえる。ギター、ベース、ドラムを中心に、鍵盤の色づけが重なる編成で、当時の英国ロックらしい整った音像に寄っている印象。
サウンド面では、リズムは比較的まっすぐで、録音も過度に荒さを強調するタイプではない。音の輪郭がはっきりしていて、ボーカルと楽器の分離も追いやすい作り。ニュー・ウェイヴ由来の端正さと、ポップ・ロックの聴きやすさが同居している感じがある。
アーティストにおける位置づけ
All About Eveは、英国のインディー・ロック/ポップの文脈で語られることの多いバンドで、この時期はバンドとしてのまとまりがよく出やすい時期でもある。1991年の「Strange Way」は、1980年代から続く流れの延長線上にありつつ、90年代初頭の英国ロックの空気も感じさせる作品として見ておけそうだ。
同時代の文脈
1991年の英国では、インディー・ロック、ニュー・ウェイヴ、ポップ・ロックの境界がわりと近いところで行き来していた。All About Eveもその中で、派手に音を崩すというより、メロディとバンドアンサンブルを軸にした作りを保っている。そうした立ち位置が、彼らの作品のまとまりにつながっているように見える。
クレジットまわり
- アーティスト: All About Eve
- タイトル: Strange Way
- オリジナル・リリース年: 1991
- リリース国: UK
- ジャンル: Rock
- スタイル: New Wave, Pop Rock
メンバーには、Julianne Regan、Rik Carter、Tim Bricheno、Mark Price、Manuela Zwingman、Andy Cousin、Derek Hood、Marty Willson-Piper、Ben Savigear、Toni Haimi、James Richard Jackson らの名前が並ぶ。バンドの編成の広がりも含めて、当時のAll About Eveの活動の一端が見えてくる作品だ。
トラックリスト
- A1 Strange Way
- A2 Drawn To Earth
- B1 Nothing Without You
- B2 Light As A Feather
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Josef K – Young And Stupid / Endless Soul (1987)

Josef K「Young And Stupid / Endless Soul」について
Josef Kは、スコットランド・エディンバラ出身のポストパンク・グループ。1979年に結成され、1982年に活動を終えている。
この「Young And Stupid / Endless Soul」は1987年の作品で、UKリリースのシングルとして残されている。
バンドの背景
メンバーはPaul Haig、Malcolm Ross、David Weddell、Ronnie Torrance。Paul Haig、Malcolm Ross、David Weddellは以前、The Exploitedのドラマーを含むTV Artでも活動していた。
同じ学校であるエディンバラのFirrhill High Schoolで顔を合わせていたことも、このバンドの出発点になっている。
バンド名は、フランツ・カフカの小説『審判』の主人公から取られている。ポストパンクの文脈に置くと、文学由来の名前も当時らしい要素のひとつに見える。
作品の位置づけ
1980年代後半のUKロックの中で、Josef Kのようなバンドはニューウェイヴとポストパンクの境目を意識させる存在として語られることが多い。
この作品も、その流れの中にある一枚として捉えやすい。
タイトル曲「Young And Stupid」と「Endless Soul」という組み合わせからは、シングルらしいまとまりがうかがえる。録音の質感やリズムの運びには、ポストパンクらしい硬さと、ニューウェイヴ寄りの整った感触が重なっているように見える。
サウンドの印象
Josef Kの音楽は、ギターの切れ味、タイトなリズム、必要以上に飾らない録音の雰囲気が特徴として挙げられやすい。
この作品でも、そうした要素が前面に出るタイプの一枚として受け取れそうだ。
関連情報
- アーティスト名: Josef K
- タイトル: Young And Stupid / Endless Soul
- リリース年: 1987年
- リリース国: UK
- ジャンル: Rock
- スタイル: New Wave, Post-Punk
公式サイトや関連ページも残っており、バンドの活動史をたどりやすい環境がある。
1980年代のUKポストパンクを振り返るうえで、Josef Kの名前とこの作品は、ひとつの線でつながる存在。
トラックリスト
- A1 Heart Of A Song
- A2 Endless Soul
- A3 Citizens
- A4 Variation Of A Scene
- A5 It’s Kinda Funny
- A6 Sorry For Laughing
- B1 Chance Meeting
- B2 Heaven Sent
- B3 Drone
- B4 Sense Of Guilt
- B5 Revelation
- B6 Romance
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Siouxsie & The Banshees – Kaleidoscope (1980)

Siouxsie & The Banshees『Kaleidoscope』
Siouxsie & The Bansheesの『Kaleidoscope』は、1980年に発表された作品。ロンドンで1976年に結成されたU.K.バンドによる、ニュー・ウェイヴ/ポストパンク期の流れをはっきり示す一枚だ。ヴォーカルのSiouxsie Sioux、ベースのSteven Severinを軸に、当時の編成でバンドの輪郭が固まっていく時期のアルバムでもある。
作品の雰囲気
リズムは硬質で、ベースの動きが前に出る場面が多い。ギターやドラムも含めて、音の隙間を残しながら組み立てる感触があり、録音全体にも冷えた質感がある。派手に押し切るというより、細部の配置で緊張感を作るタイプのサウンドだ。
ニュー・ウェイヴとポストパンクの文脈に置くと、装飾を抑えたアレンジ、反復するリズム、低音の存在感がこの時代らしい要素として見えてくる。1980年という年の空気をそのまま映したような、初期バンドの重要作という位置づけになりそうだ。
バンドの流れの中で
Siouxsie & The Bansheesは編成の変化が多いバンドとしても知られるが、『Kaleidoscope』の時期には、後の展開につながる人選が入ってくる。John McGeochがギターで参加し、Budgieがドラムを担当する体制へ移っていく流れの入口でもある。バンドの音像が次の段階へ進む前触れのような作品、と見ることもできる。
同時代との関わり
1980年前後の英国では、パンク以後の表現がニュー・ウェイヴやポストパンクとして広がっていた。その中でSiouxsie & The Bansheesは、鋭いリズム感と独特の間合いを持つバンドとして存在感を強めていく。『Kaleidoscope』も、その流れの中で位置づけやすいアルバムだ。
リリース情報
- アーティスト: Siouxsie & The Banshees
- タイトル: Kaleidoscope
- オリジナルリリース年: 1980
- リリース国: Japan
- ジャンル: Rock
- スタイル: New Wave, Post-Punk
1980年のSiouxsie & The Bansheesを知るうえで、ひとつの節目になるタイトルだ。
トラックリスト
- A1 Happy House (3:52)
- A2 Tenant (3:40)
- A3 Trophy (3:19)
- A4 Hybrid (5:32)
- A5 Clockface (1:53)
- A6 Lunar Camel (3:03)
- B1 Christine (3:00)
- B2 Desert Kisses (4:16)
- B3 Red Light (3:22)
- B4 Paradise Place (4:34)
- B5 Skin (3:49)
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Michael John – Love Will Tear Us Apart (1983)

Michael John「Love Will Tear Us Apart」について
Michael Johnの「Love Will Tear Us Apart」は、Joy Divisionのカバー。ニューウェーブとポップロックの要素を軸にした一枚として見ると、当時のUKらしい乾いた質感と、メロディを前に出した作りがイメージしやすい。
サウンドの印象
ジャンル表記どおり、リズムは大きく暴れるというより、一定の推進力を保ちながら曲を支えるタイプだろう。音の輪郭は比較的はっきりしていそうで、ギターやキーボードの配置も、勢いだけで押すというより、フックのある旋律を際立たせる方向に寄っているはずだ。録音の空気感も、80年代前半のUK作品らしい、少し硬質で整理された響きが想像される。
作品の位置づけ
1983年という時期は、ニューウェーブやポップロックが広く浸透していた頃で、この作品もその流れの中に置いて考えやすい。Michael Johnにとっての詳細なプロフィールは不明だが、少なくともこの時点での作品としては、ロックとポップの接点を意識したタイトルだったと受け取れる。
同時代の文脈
UKの1983年は、シンセの存在感とギター主体のバンドサウンドが並走していた時代でもある。「Love Will Tear Us Apart」も、その時代性の中で、派手さよりも曲の流れやメロディの印象を重視するタイプとして捉えると分かりやすい。ニューウェーブの軽やかさと、ポップロックの親しみやすさが重なるあたりに、この作品の輪郭がある。
まとめ
Michael John「Love Will Tear Us Apart」は、1983年のUKロック/ポップの空気をまとった作品だ。派手な装飾よりも、リズムの安定感や曲のまとまり、80年代前半らしい音の質感が見どころになりそうな一枚である。
トラックリスト
- A1 Love Will Tear Us Apart (12″ Version) (5:45)
- A2 Love Will Tear Us Apart (7″ Version) (3:55)
- B We’re Together
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Siouxsie & The Banshees – Cities In Dust (1985)

Siouxsie & The Banshees「Cities In Dust」
Siouxsie & The Bansheesの「Cities In Dust」は、1985年にUKでリリースされたシングル。ニューウェイヴとゴシック・ロックの要素を持つ、バンドの中でもよく知られた楽曲のひとつである。
作品の輪郭
Siouxsie Siouxのヴォーカル、Steven Severinのベース、そしてJohn Valentine Carruthersのギターが軸になった時期の作品。硬質なリズムと、輪郭のはっきりした低音、冷たさのあるギターの質感が前に出る。録音は比較的クリアで、音の配置も明確。ビートの推進力と、メロディの鋭さが同居したつくり。
サウンドの特徴
この曲では、打ち込み的な整然さというより、バンド演奏の緊張感がそのまま出ている印象が強い。ドラムは直線的で、ベースは曲全体を下から支え、ギターは細く尖った音色で空気を切るように鳴る。Siouxsie Siouxの歌唱は、感情を大きく崩さずに、フレーズの輪郭をくっきり見せるタイプ。
バンドの中での位置づけ
Siouxsie & The Bansheesは1976年にロンドンで結成されたUKバンドで、ポストパンク以降の流れの中で独自の存在感を持ってきたグループ。「Cities In Dust」は、そうした流れの中で、ゴシック・ロック寄りの質感とポップな分かりやすさが接近した時期の一曲として見える。バンドの持つ冷たい響きと、シングルとしてのわかりやすさが両立した作品。
同時代の文脈
1985年という時期は、UKのニューウェイヴやゴシック・ロックが、より洗練された録音と強いメロディを取り入れていった時代でもある。この曲も、その文脈の中で、暗さを保ちながらも輪郭のはっきりしたサウンドを示している。派手さよりも、音の密度と緊張感で印象を残すタイプの作品。
盤としては1985年のUK盤。タイトル曲として、その年のバンドの音像をそのまま切り取ったような一枚である。
トラックリスト
- Other Side
- A Cities In Dust (Extended Eruption Mix) (6:48)
- This Side
- B1 An Execution (3:51)
- B2 Quarterdrawing Of The Dog (4:59)
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Scattered Order – Career Of The Silly Thing (1985)

Scattered Order「Career Of The Silly Thing」について
Scattered Orderは、1979年にシドニーで結成されたポストパンク・バンド。本作「Career Of The Silly Thing」は1985年の作品で、電子音とロックを行き来しながら、ニューウェイブ、アートロック、シンセポップ、実験性を横断する内容になっている。
作品の輪郭
バンドのプロフィールを踏まえると、Scattered Orderはオーストラリアのポストパンク/インダストリアルの流れの中で重要な役割を担ってきたグループ。欧米の先鋭的な音楽を独自に受け止めつつ、周辺のアーティストとともにコミュニティを形成していった経緯がある。本作も、その延長線上にある1枚として捉えやすい。
サウンド面では、電子的な質感とバンド演奏のぶつかり方が印象に残る。硬質なリズム、ざらついた音像、少し距離を置いた録音の空気感。整いすぎない構成の中に、反復や変則的な展開が入り込み、ニューウェイブの枠に収まりきらない手触りがある。
同時代とのつながり
1980年代半ばという時期を考えると、ポストパンクが細分化し、シンセポップやアートロック、実験音楽の要素が混ざり合っていった頃。本作もそうした流れの中で、ロックの骨格に電子音や異物感を差し込むタイプの作品として見えてくる。派手さよりも、音の配置や質感の変化で引っ張るタイプのアルバムという印象。
アーティストの中での位置づけ
Scattered Orderは長い活動の中で作風を広げてきたバンドだが、「Career Of The Silly Thing」は、初期のポストパンク的な緊張感と、実験的な志向が重なる時期の記録として置けそうな作品。バンドの変化と持続、その両方が見えやすい1枚。
クレジット
- アーティスト: Scattered Order
- タイトル: Career Of The Silly Thing
- オリジナルリリース年: 1985
- 盤のリリース年: 1986
- ジャンル: Electronic, Rock
- スタイル: New Wave, Art Rock, Synth-pop, Experimental
トラックリスト
- A1 1,000 Gene Autrys
- A2 Tost Rust Host
- A3 Cut You Up
- A4 The Galaxy Is Dead
- A5 Life On A Bed
- A6 No Mattresses In Heaven
- B1 Career Of The Silly Thing
- B2 Escape Via Cessnock
- B3 4 Or 5
- B4 Remember May 12th
- B5 The Little Eye
- B6 The Entire Combine/Capital Of Sweden
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Rheingold – R. (1982)

Rheingold『R.』について
『R.』は、ドイツのニューウェイヴ・グループ、Rheingoldが1982年に発表したアルバム。電子音楽とロックを土台にしたNDW期の作品で、バンドの代表曲「Fan Fan Fanatisch」を含む時期の一枚として位置づけられる。前作の流れを受けつつ、当時の西ドイツのシーンらしい硬質さとポップさが同居した内容になっている。
バンドの背景
Rheingoldは、Bodo Staiger、Lothar Manteuffel、Brigitte Kunzeを中心にしたドイツのニューウェイヴ・グループ。デュッセルドルフ周辺の音楽シーンや同時代のドイツ勢の影響を受けて結成され、グループ名はオペラの題名に由来する。1980年の「Dreiklangsdimensionen」で知られ、シングル「Fluss」や「Fan Fan Fanatisch」も発表している。
サウンドの印象
このアルバムでは、シンセサイザーの輪郭がはっきりした電子的な質感と、ギターやリズム隊の直線的な動きが目立つ。録音は過度に厚くはなく、音の隙間を残した作りで、機械的なビートと冷たい空気感が前に出るタイプ。メロディは比較的明快で、ニューウェイヴらしい軽さと緊張感が同時に感じられる。
「Fan Fan Fanatisch」は、こうしたRheingoldの特徴が分かりやすく出る楽曲。反復するフレーズと鋭いリズムが印象に残り、映画『The Fan』のサウンドトラックにも使われた。作品全体でも、音の作りと曲の推進力が結びついた、当時のNDWらしい感触がある。
作品の位置づけ
『R.』は、Rheingoldにとって1980年のシングル群に続く時期のアルバムで、バンドの活動が最も注目された頃の記録として見られる一枚。後には英語版の楽曲も制作されたが、大きな広がりにはつながらず、グループは解散している。そのため、このアルバムはRheingoldの短い活動期を示す重要な作品と言えそうだ。
同時代とのつながり
1982年の西ドイツでは、NDWと呼ばれる動きが広がり、電子音、鋭いリズム、ドイツ語の歌詞を軸にしたバンドが次々と登場していた。Rheingoldもその流れの中にあり、デュッセルドルフ周辺の実験的な空気と、ポップ・ソングとしての分かりやすさを両方持っている。Kraftwerk以後のドイツ音楽の文脈を感じさせる一方で、よりバンド的な粗さも残る、そんな時期の記録。
トラックリスト
- A1 FanFanFanatisch (3:52)
- A2 Das Steht Dir Gut (4:34)
- A3 Augenblick (4:27)
- A4 F.A.N. (5:16)
- B1 Abfahrt (4:35)
- B2 Überblendung (2:21)
- B3 Stahlherz (11:26)
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Cabaret Voltaire – The Voice Of America (1981)

Cabaret Voltaire「The Voice Of America」
Cabaret Voltaireの「The Voice Of America」は、シェフィールド出身のこのグループが、ニュー・ウェイヴ、インダストリアル、実験電子音楽の要素を前面に出していた時期の作品です。1980年作として知られる一枚で、のちのエレクトロニック・ミュージックの流れを先取りするような、硬質で攻撃的な音作りが印象に残ります。
作品の輪郭
Cabaret Voltaireは、もともとダダ的なパフォーマンス性と音響実験を出発点にしたグループです。この作品でも、その背景ははっきりしています。ビートは機械的で、反復が強く、ドラムやベースの動きも単純なロックの枠には収まりません。ノイズや加工音、テープ処理を思わせる質感が前に出ていて、録音全体にもざらついた空気がまとわりついています。
音の組み立ては、ダンスミュージックの推進力と、インダストリアルらしい冷たさのあいだを行き来する感じです。メロディを強く押し出すというより、リズムの圧力、音の断片、空間の詰まり具合で聴かせるタイプの作り。シンセやエフェクトの使い方にも、実験音楽寄りの感触があります。
Cabaret Voltaireの中での位置づけ
Cabaret Voltaireは1970年代から活動し、初期の実験性を保ちながら、のちにはポップ、ダンス、テクノ、ダブ、ハウスへと接続していきます。その流れの中で「The Voice Of America」は、初期のインダストリアル・サウンドを代表する時期の作品として位置づけられる一枚です。後年のより開いたダンス志向の作品と比べると、こちらはまだ緊張感の強い時代性が濃い印象です。
同時代のイギリスのアンダーグラウンドでは、ポスト・パンク以降の実験性と、機械的なビートへの関心が少しずつ広がっていました。その文脈の中で、この作品は、ロックの編成を使いながら電子音楽的な感覚を押し出していく流れの一例として捉えやすいです。
日本盤としての見どころ
こちらは日本リリースの盤。Cabaret Voltaireの初期重要作として、国内でどう受け止められていたかを含めて、当時のエレクトロニック/インダストリアルの空気を感じられるタイトルです。荒い質感と反復の強さ、そして録音の冷えた雰囲気が、この時期のCabaret Voltaireらしさをよく示しています。
- アーティスト: Cabaret Voltaire
- タイトル: The Voice Of America
- オリジナル作品年: 1980年
- リリース国: Japan
- ジャンル: Electronic
- スタイル: New Wave, Industrial, Experimental
初期Cabaret Voltaireの、音の切り貼り感と機械的な推進力がまとまって見える作品です。
トラックリスト
- A1 The Voice Of America / Damage Is Done
- A2 Partially Submerged
- A3 Kneel The Boss
- A4 Premonition
- B1 This Is Entertainment
- B2 If The Shadows Could March? /1974
- B3 Stay Out Of It
- B4 Obsession
- B5 News From Nowhere
- B6 Messages Received
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The Snake Corps – Flesh On Flesh (1985)

The Snake Corps『Flesh On Flesh』
UKのThe Snake Corpsが1985年に発表したアルバム。前身となるSad Lovers And Giantsの解散後、Tristan Garel-FunkとNigel Pollardを中心に結成され、より硬質なサウンドを目指していたバンドの初期像が見える作品として位置づけられる。
作品の輪郭
ジャンル表記はAlternative Rock、New Wave、Goth Rock。全体としては、ニューウェーブの冷えた感触に、ゴシック寄りの陰影とロックの直線的な推進力が重なるタイプの音像。録音は派手に装飾するというより、リズム隊の存在感とギターの輪郭を前に出した作りに聴こえる。
ビートは比較的タイトで、低音は粘りを残しつつも重すぎない印象。ギターは空間を広く使うというより、鋭いフレーズや反復で曲を押していく場面が目立つ。ヴォーカルも、感情を大きく振り切るというより、やや抑制した温度で楽曲の緊張感を保っている。
バンドの中での位置づけ
この『Flesh On Flesh』は、バンドの出発点にあたる作品。後に編成の変化やキーボードの導入を経て音の幅を広げていくThe Snake Corpsだが、この時点では、より硬い質感とシンプルなバンド・サウンドを軸にしていたことがうかがえる。
Sad Lovers And Giantsの流れを引きながらも、別の方向へ踏み出そうとする初期の試みとして見ると、バンドの輪郭がつかみやすい一枚。UKのポストパンク以後の流れ、ニューウェーブからゴシック・ロックへと接続していく時代感の中に置くと、その立ち位置も見えやすい。
ひとことで言うと
硬質なギター、抑えた熱量、陰影のあるニューウェーブ/ゴシック寄りのロック。The Snake Corpsの初期の方向性をそのまま示すアルバム。
トラックリスト
- Suicide
- A1 Victory Parade (4:09)
- A2 Animals All (3:38)
- A3 Save My Heart (3:54)
- A4 Man In The Mirror (3:36)
- A5 Miracle (3:42)
- Homicide
- B1 Science Kills (5:06)
- B2 Another Monday (4:18)
- B3 Look East For Eden (4:06)
- B4 House Of Man (4:17)
- B5 Flesh On Flesh (1:54)
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Lords Of The New Church – Killer Lords (1985)

Lords Of The New Church「Killer Lords」
1985年にUKで出た、Lords Of The New Churchのレコード。English/American gothic rock groupとして1982年に結成されたグループで、パンク、ニューウェイヴ、ゴスロックの要素が交差する時期の空気がそのまま入った作品として見える。
バンドの輪郭
このバンドは、1970年代のパンク・シーンにいたメンバーたちによるスーパーグループとして知られている。The Damned、The Dead Boys、Sham 69などの流れをくむ人選で、出自の違うプレイヤーが集まった構成だ。UK発のバンドながら、音の感触には英米両方のパンクの匂いが混ざっている。
サウンドの印象
ロックを土台にしつつ、リズムは硬めで前へ押し出す感じがある。ギターは鋭く、音の輪郭もはっきりしやすいタイプ。録音の雰囲気は、派手に磨き上げるというより、少し荒さを残したままの緊張感が前に出る印象。ニューウェイヴ寄りの整った感触と、パンク由来のざらつきが同居しているように聞こえる。
ジャンルの文脈
1980年代半ばのUKでは、パンク以後の流れから、ニューウェイヴやゴスロックへ接続する動きがいくつも見られた。この作品も、その文脈の中で捉えやすい。暗めのムードを持ちながら、演奏はロックの直進性を保っているあたりが、この時代らしいバランスになっている。
作品の位置づけ
Lords Of The New Churchにとっては、バンドの特徴がまとまって見える時期の記録として扱えそうだ。メンバーの経歴が示す通り、パンクの経験を持つプレイヤーたちが、別の質感のロックへと組み替えていく流れ。その中で「Killer Lords」は、バンドの輪郭を確認しやすい一枚という印象になる。
メンバー
- Stiv Bators
- Dave Tregunna
- Nicky Turner
- Danny Fury
- Grant Fleming
- Jez Miller
- Mark Taylor
- Ozzie
- Adam Wm. Becvar
- Steven Marque
- Brian Robertson
- Steve Murray
まとめ
「Killer Lords」は、Lords Of The New Churchの持つパンクの硬さ、ニューウェイヴの整い、ゴスロックの陰影が見えやすい作品。1985年という時代のUKロックの空気を背負った一枚として、バンドの立ち位置をつかみやすい内容になっている。