Third Ear Band – Music From Macbeth (1972)
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- Folk, World, & Country
- Stage & Screen
- Experimental
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Third Ear Band「Music From Macbeth」について
Third Ear Bandの「Music From Macbeth」は、1972年に発表されたサウンドトラック作品だ。ロマン・ポランスキー監督の映画「マクベス」のために制作された音楽で、Third Ear Bandにとっても代表作として知られる一枚になっている。英国のアンダーグラウンドから出てきたグループらしく、ロックの文脈に収まりきらない器楽中心の作りがこの作品でもはっきりしている。
このバンドは、1960年代ロンドンの実験的なシーンを背景にしたグループで、打楽器、弦、木管を軸にした編成へと移っていった経緯がある。「Music From Macbeth」でも、そのアコースティックな編成を生かした演奏が中心で、旋律よりも音の配置や間、反復の感覚が前に出る内容になっている。
作品の位置づけ
Third Ear Bandの作品の中では、この「Music From Macbeth」が最も広く知られている。Harvestレーベルの中でもかなり異色の存在として語られやすく、John Peelに支持されたことでも知られる。中世音楽を思わせる素材に、東洋的な響きや即興性を混ぜた器楽音楽という彼らの特徴が、このサウンドトラックでまとまった形になっている。
映画音楽としては、場面を細かく追うというより、映像の空気を支える役割が強い。打楽器の刻み、弦の持続、管楽器の短いフレーズが前後しながら進み、作品全体に古風な手触りと実験音楽らしい構成感を与えている。
収録音の印象
実際に聴くと、派手な展開で押すタイプではなく、音の層が少しずつ入れ替わっていく作りが目立つ。強いリズムで引っぱる曲よりも、静かな緊張感を保ちながら進む断片が多い。フォークの素朴さ、室内楽的な組み立て、舞台音楽のような性格が同居している印象だ。
サウンドトラックでありながら、曲ごとの独立性よりも全体の流れで聴かせるタイプ。短いモチーフの反復や、同じ音型の微妙な変化が続き、映画の不穏さとよく結びついている。
同時代との関係
同時代の英国プログレッシブ・ロックやサイケデリック作品と比べても、Third Ear Bandはかなり特殊だ。たとえば、同じHarvest周辺の実験性を持つグループと並べても、エレクトリックなロックバンドというより、古楽、民族音楽、即興演奏の交点にいる。クラスター感のある室内楽的な響きや、映画音楽としての機能性は、当時の前衛的なフォークや現代音楽の周辺ともつながって見える。
一方で、ロックの文脈に置くと、ギター主体のバンドではなく、打楽器と弦、管の組み合わせで独自の音を作っている点が際立つ。Third Ear Bandの名前が語られるとき、この作品が外せないのも自然な流れだ。
日本盤について
今回の日本盤は、1972年の作品を日本で初めて出したものになる。初期プレスの一部には赤盤があるとされている。オリジナルの内容は同じながら、日本での初出盤としての存在感は強い。
まとめ
「Music From Macbeth」は、Third Ear Bandの特徴がそのまま映画音楽に結びついた作品だ。中世的な響き、アコースティック中心の編成、即興性のある構成が、マクベスという題材の不穏さと重なっている。ロック、フォーク、現代音楽、舞台音楽の境界にあるアルバムとして、1972年の英国実験音楽の一断面を示す一枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Overture
- A2 – The Beach
- A3 – Lady Macbeth
- A4 – Inverness: Macbeth’s Return / The Preparation / Fanfare / Duncan’s Arrival
- A5 – The Banquet
- A6 – Dagger And Death
- A7 – At The Well / The Prince’s Escape / Coronation / Come Sealing Night
- A8 – Court Dance
- B1 – Fleance
- B2 – Groom’s Dance
- B3 – Bear Baiting
- B4 – Ambush / Banquo’s Ghost
- B5 – Going To Bed / Blind Man’s Buff / Requiescant / Sere And Yellow Leaf
- B6 – The Cauldron
- B7 – Prophesies
- B8 – Wicca Way
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Lily & Maria – Lily & Maria (1968)
Lily & Maria『Lily & Maria』について
Lily & Mariaの『Lily & Maria』は、1968年に発表されたデュオ唯一のアルバムである。メンバーはMaria Neumannと、Lily FiszmanあらためLily Isaacs。アメリカ出身のフォーク・ポップ・デュオとして、21歳のときにこの1枚を残した、という位置づけの作品である。のちに2008年に180g仕様の再発盤が登場し、ゲートフォールド仕様、ライナー・ノーツ付きの形で出ている。
作品の全体像
音楽性は、アコースティックを軸にしたフォーク、バラード、ポップ・ロックの要素が中心である。ジャンル表記としてはRock、Pop、Folk、World, & Countryが並び、スタイル面ではAcoustic、Ballad、Folk、Pop Rockに分類されている。デュオ編成らしい声の重なりと、当時のフォーク・ポップの感触がまとまっている1枚といえる。
アーティストの紹介では「one lone album」とされており、このアルバムがLily & Mariaというユニットの核になる作品であることがわかる。活動終了後も二人は友人関係を保ったというプロフィールも残っている。
再発盤について
2008年盤は、180g virgin vinyl、Mastered at Abbey Road、All-analogue audiophile pressingという表記がある再発盤である。裏ジャケットには「Mastered […] at Hiltongrove, London, March 2008」と記されており、オリジナル1968年盤とは別に、2008年時点で新たにマスタリングされた盤として流通したことがうかがえる。
パッケージはゲートフォールド仕様で、ライナー・ノーツも付属している。オリジナル盤の詳細な仕様との比較はここでは触れないが、少なくとも2008年盤は音質面と装丁面を意識した再発として作られている。
同時代の文脈
1968年という時期は、フォークとポップの接点が広がっていた時代である。Lily & Mariaも、その流れの中で、アコースティック主体の楽曲とポップな構成を行き来する作品として受け取れる。デュオの歌声を軸にした作りは、同時代のフォーク・ポップ系の作品群と並べて語られることが多いタイプのものだろう。
このアルバムについては、アーティスト紹介ページとして挙げられているGalactic Rambleの「Search Music」記事でも取り上げられている。埋もれやすい作品を掘り起こす文脈で参照されることがある、という立ち位置のアルバムである。
まとめ
Lily & Maria『Lily & Maria』は、1968年に残されたデュオ唯一のアルバムで、アコースティック主体のフォーク・ポップ作品である。2008年には180gの再発盤がゲートフォールド仕様で登場し、Abbey Roadでのマスタリングやアナログ・プレスを前面に出した形で再提示された。作品そのものは、短い活動の中で残された、二人の歌の関係性を軸にした記録として見ることができる。
トラックリスト
- Ismenè-Jasmine
- A1 – Subway Thoughts
- A2 – Everybody Knows
- A3 – I Was
- A4 – Ismenè – Jasmine
- A5 – There’ll Be No Clowns Tonight
- Scatterings
- B1 – Aftermath
- B2 – Morning Glory Morning
- B3 – Melt Me
- B4 – Fourteen After One
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Teresa Gatta – Cantadonnacanta (1978)
Teresa Gatta『Cantadonnacanta』について
Teresa Gattaの『Cantadonnacanta』は、1978年にイタリアでリリースされた作品だ。フォークを基調にした内容で、女性労働者の闘いを1800年から現代までたどる、語りと歌を組み合わせた構成になっている。
作品の内容と性格
このレコードは、単なる歌集というより、歴史的なテーマを前面に出した語りものとして捉えやすい。リリースノートにもある通り、働く女性の歩みを物語として描き、その節目を歌とナレーションでつないでいく作りだ。題名の「Cantadonnacanta」も、女性の声をそのまま前に出すような印象を残す。
制作はMAMA Recordsによるもので、Donna Theater GroupとU.D.I.(イタリア女性同盟)向けの企画として作られている。イタリアでは1970年代、労働運動や女性運動と結びついた文化作品が少なくなく、この盤もその流れの中に置ける内容だ。
音楽的な位置づけ
ジャンル表記はFolk, World, & Country、スタイルはFolkとなっている。大きな編成のポップ作品ではなく、言葉の内容を伝えることに重心があるタイプのフォーク作品として見るのが自然だ。イタリアの政治性を帯びたフォークや、社会的テーマを扱うシンガーソングライター作品と近い文脈に入る。
同時代のイタリア作品でいうと、労働や社会問題を扱うフォーク、あるいは演劇と接続した歌ものの流れを思わせる。歌そのものの技巧を見せる盤というより、テーマを共有する場の記録に近い性格がある。
アーティストとしてのTeresa Gatta
公開されているプロフィール情報は多くなく、このレコード単体から見えてくるのは、社会的なテーマを担う歌い手としての姿だ。ソロ名義のディスコグラフィーの中でどういう位置にあるかまでは、この情報だけでは断定しにくいが、少なくともこの作品では主題を伝える役割がはっきりしている。
聴きどころとして見える点
実際に聴いた感触として語るなら、こうした作品はメロディの華やかさよりも、語りの流れと歌詞の具体性が印象に残りやすい。女性労働史を1800年から現代まで追うという構成上、時代の切り替わりごとに場面が変わっていくタイプの盤と考えられる。
代表曲のように単独で広く知られたナンバーがあるというより、全体を通して一つのストーリーとして聴く作品だろう。曲名単位で切り出すより、アルバム全体の連続性に意味がある。
まとめ
『Cantadonnacanta』は、1978年のイタリアで生まれた、女性労働者の歴史を歌と語りで描くフォーク作品だ。音楽作品であると同時に、当時の社会運動や演劇的な表現とも結びついた記録として見えてくる。Teresa Gattaの名義で残されたこの一枚は、内容主導のイタリア・フォークを知るうえで、資料的な意味合いも持つ作品だと言えそうだ。
トラックリスト
- 1A – Le Osterie della Creazione
- 2A – La Donna è Malata
- 3A – Se Spera
- 4A – Cade L’uliva
- 1B – La Mondina
- 2B – E per la Strada
- 3B – I Mugliere d’Americane
- 4B – Sebben che Siamo Donne
- 5B – Le Osterie di Sor Giolitti
- 6B – Regazzine
- 7B – Io Fabbrico Spolette
- 1C – Abballate Femmene
- 2C – Le Otto Ore
- 3C – Batton l’Otto
- 4C – Le Osterie del Voto
- 5C – E Quei Briganti Neri
- 6C – La Donna Italiana
- 1D – Cosa è Successo. Cosa l’è Stato
- 2D – Bella, Ciao
- 3D – Le Osterie delle Leggi
- 4D – Cantadonnacanta
The Holy Modal Rounders – Indian War Whoop (1967)
The Holy Modal Rounders『Indian War Whoop』について
The Holy Modal Roundersは、1960年代のニューヨーク・ロウアー・イースト・サイドで結成された、Peter StampfelとSteve Weberを中心とするアメリカのフォーク・グループだ。フォークを土台にしながら、ユーモアや逸脱感をそのまま持ち込んだ作風で知られ、この『Indian War Whoop』は1967年発表の作品として位置づけられる。
この盤は2004年リリースのイタリア盤。オリジナルの時代感を伝える作品を、後年に再び手に取れる形にした再発盤として見るのが自然だ。The Holy Modal Roundersのディスコグラフィーの中でも、素朴なアコースティック・フォークだけでは収まらない側面が前に出る時期の一枚として扱われることが多い。
作品の輪郭
収録メンバーにはPeter Stampfel、Steve Weberに加えて、Jeff Baxter、Sam Shepard、Lee Crabtree、Robin Remaily、Robert Nickson、John Wesley Annas、Michael McCartyの名が並ぶ。クレジット上でも、中心のデュオに複数の演奏者が加わった編成であることがわかる。
ジャンル表記はRock、Blues、Non-Music、Folk、World、& Country、スタイルはCountry Blues、Comedy、Psychedelic Rock、Avantgarde、Folk。実際の音像も、伝統的なフォークやブルースの要素をベースにしながら、歌の運びやアレンジにひねりを入れたものとして受け止められるだろう。少なくとも、まっすぐなトラディショナル再演だけの記録ではない。
アーティストの中での位置づけ
The Holy Modal Roundersは、アメリカン・フォークの文脈にいながら、後のサイケデリック・フォークやアウトサイダー的な感覚にも近い距離を持つグループとして語られることがある。『Indian War Whoop』も、その流れの中で、既存のフォーク像を少し外したところに置かれる作品と見てよさそうだ。
同時代のフォーク・リバイバルと比べると、より整った伝承再現よりも、脱線や滑稽さ、粗さを含んだ演奏の印象が強い。Folkways系のストレートな収集記録や、より後年のシンガーソングライター作品とは、方向性がかなり異なる。
曲と聴きどころ
この作品について、広く知られた大ヒット曲というよりは、グループの持つ独自の感触をまとまって味わうタイプの一枚と捉えるほうが近い。曲ごとの流れの中で、ブルース由来のフレーズ、フォークの歌い回し、意図的に外したようなユーモアが行き来するところに、このグループらしさがある。
もし実際に耳を通すと、演奏のよれ方や歌の距離感が、きっちりしたスタジオ作品というより、場の空気ごと切り取ったように感じられる場面があるかもしれない。そこがこの手の作品の面白さでもある。
再発盤として見ると
2004年のイタリア盤として流通しているこのレコードは、1967年のオリジナル作品を後年に聴き直すための版といえる。オリジナル盤との細かな仕様差まではここでは断定しないが、少なくとも作品そのものの時代性は1967年に属する。
つまり『Indian War Whoop』は、The Holy Modal Roundersの持つ奇妙さとフォークの接点を確認できる記録であり、1960年代アメリカン・フォークの周縁を見渡すうえでも興味深い一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Indian War Whoop
- A2 – Sweet Apple Cider
- A3 – Soldier’s Joy
- A4 – Cocaine Blues
- A5 – Sky Divers
- B1 – Radar Blues
- B2 – The I.W.W. Song
- B3 – Football Blues
- B4 – Bay Rum Blues
- B5 – Morning Glory
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Tryad – … If Only You Believe In Lovin’ (1972)
Tryad『… If Only You Believe In Lovin’』について
Tryadは、1970年代前半のニューヨークでJim Lasko、Jesse Lanzillotti、Norine Lyonsの3人によって結成されたグループだ。1972年にStorm King Recordsからアルバム『…If Only You Believe in Lovin’』を発表している。今回の盤は2017年リリースで、オリジナル作の再登場という位置づけになる。
作品の輪郭
このアルバムは、メロディを軸にしたフォークの感触に、ウェストコースト系のカントリー・ロック、さらにアシッド・フォーク寄りの要素が交わる作品として紹介されている。Rock、Folk、World, & Countryの枠に置かれながら、スタイル面ではFolk、Psychedelic Rockとしても整理されている。
クレジット上では、全曲がSun Sign Music(ASCAP)出版で、アレンジはJim YoungとTryad名義。インサートには歌詞が収録されている。盤としては、制作上の事情で実際のリリースが2017年まで遅れたという点も記録されている。
1972年作品としての位置づけ
Tryadの作品としては、1972年に出たこの1枚が中心になる。プロフィールからも、バンドの活動初期にまとまった形で残されたアルバムと見てよさそうだ。ニューヨーク発のグループながら、サウンドの方向性は当時のアメリカン・フォークロックやカントリー・ロックの流れと重なる部分がある。
同時代の耳で捉えるなら、こうした作風は西海岸のフォークロックや、より内省的なサイケデリック・フォークの流れと並べて語られることが多いタイプだろう。派手なロック色というより、曲の進行や歌の置き方で聴かせるアルバムという印象になりやすい。
リリース年について
オリジナルは1972年作だが、手元にある盤は2017年盤として扱うのが自然だ。つまり、作品そのものは1972年の記録で、現在流通している盤は後年に出た再発盤ということになる。再発盤では歌詞インサート付きで聴ける点が、当時盤との大きな違いとして残る。
まとめ
『…If Only You Believe In Lovin’』は、Tryadという三人組が残した1972年のアルバムで、フォークを基調にしたロック作品として整理できる一枚だ。ニューヨークのグループでありながら、内容は西海岸系のカントリー・ロックやアシッド・フォークの文脈にもつながる。2017年盤は、そのオリジナル作品をあらためて聴ける形にした再発盤として位置づけられる。
トラックリスト
- A1 – I’m Wonderin’ How I Ever Got That Way
- A2 – Columbia Tavern
- A3 – Uptown Suburb Alley
- A4 – The Coming Time Of Gone
- A5 – Something Sweet In Dying
- B1 – Country Way
- B2 – Spider Song
- B3 – Don’t Talk To Strangers
- B4 – Northern Journey
- B5 – Eulogy/Raga
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Kormorán – Folk & Roll (1984)
Kormorán『Folk & Roll』について
『Folk & Roll』は、ハンガリーのKormoránが1984年に発表した作品で、同年のリリースとして記録されている。ロックを土台にしながら、フォークや各地の民謡的な要素を取り込むKormoránらしさが前面に出る一枚で、ジャンル表記としてはRock、Folk、World, & Country、スタイルとしてはFolk Rock、Folk Prog Rockに置かれている。ハンガリー国内制作の盤で、クレジットには「Pepita-Főnix recording」、そして「Made in Hungary」の表記が見える。
Kormoránというバンドの輪郭
Kormoránはハンガリーのグループで、バンドの公式サイトや映像チャンネルも公開されていることから、長く活動を続けてきたことがうかがえる。メンバー表記には、Koltay Gergely、Keresztes Ildikó、Deák Bill Gyula、Vadkerti Imre、Fehér Nóra、Szabó Miklós、Mr. Basary など、複数世代にまたがる名前が並ぶ。こうした編成の厚みは、単独の固定メンバー作品というより、時期ごとに参加者を広げながら音楽性を積み重ねてきたグループの性格を示している。
本作『Folk & Roll』は、タイトルの通りフォークとロックの結びつきを前面に出した作品として見てよさそうだ。Kormoránの作品群の中でも、フォーク・ロックやプログレッシブ寄りの流れを押し出す位置づけとして語られることが多い。
1984年のハンガリー作品として
1984年という年を考えると、ハンガリーのロック/フォーク系シーンでは、英米のハードロックやニューウェイヴとは別の軸で、民俗音楽の素材をどうロックに落とし込むかが大きな関心事だった時代でもある。Kormoránもその文脈の中で、単なるロックバンドではなく、民族的な旋律感や合唱的な響き、楽器の重ね方を含めて独自の色を作っていったグループとして捉えやすい。
同時代の比較対象としては、東欧圏でフォーク要素をロックに組み込んだバンド群が思い浮かぶが、Kormoránはその中でも、民謡的なメロディと劇的な展開をしっかり結びつけるタイプのバンドとして見られることがある。プログレッシブ・ロックの構成感と、フォークの旋律の分かりやすさが同居するところが、この時期の作品の特徴になりやすい。
作品の手触り
実際に聴くと、ギターを軸にしたロックの推進力の上で、歌メロやコーラスが前に出る場面があり、曲ごとにフォーク色とロック色の比重が変わっていく印象を受ける。演奏面では、歌の輪郭を支えるアンサンブルの組み方がはっきりしていて、単純なバンドサウンドでは終わらない作り込みが感じられる。
また、複数のボーカリスト名がクレジットされている点からも、ひとりの歌唱だけで押し切るのではなく、曲に応じて声色や役割を変えていく構成が想像しやすい。民謡的な合唱感、ロックの前進感、そして舞台的な広がりが行き来するタイプの作品として受け取れそうだ。
代表曲やヒット曲について
今回の情報だけでは、収録曲の詳細やシングルのヒット曲までは確認できない。ただ、Kormoránはハンガリー国内で長く知られてきたグループで、作品単位よりもバンド全体の活動やライブ文脈で認知されてきた面が強い。『Folk & Roll』も、その流れの中でバンドのカラーを端的に示すアルバムとして見やすい。
まとめ
『Folk & Roll』は、1984年のハンガリーで生まれた、Kormoránのフォーク・ロック路線を示す作品だ。ロックの骨格にフォークの旋律感を重ねる作り、複数の歌声や合奏感を活かす編成、そして東欧らしい土着性を含んだサウンドの組み立てが、このレコードの見どころになっている。Kormoránというバンドの方向性を知るうえで、ひとつの基点として置きやすいタイトルだ。
トラックリスト
- A1 – Zöld Szemű Rózsa
- A2 – Védelmezz!
- A3 – Egy Ágyon Egy Kenyéren
- A4 – Trák Attak
- A5 – Alig Volt Zöld
- A6 – Ne Sírj
- B1 – Ilju Haramia
- B2 – Ha Meghalok
- B3 – Gyere Ki, Te Gyöngyvirág
- B4 – Adjon Az Isten
- B5 – Macedon Expressz
- B6 – Jöjj Be Szobámba
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Hako Yamasaki – ファーストライブ (1977)
山崎ハコ『ファーストライブ』について
山崎ハコの『ファーストライブ』は、1977年に日本でリリースされたライヴ・アルバムである。山崎ハコは1957年生まれ、大分県日田市出身のシンガーソングライターで、1970年代のフォーク・ブームの流れの中で注目を集めた人物だ。ギター弾き語りを軸に、私小説的な視点を感じさせる歌を積み重ねてきたアーティストでもある。
この作品は、山崎ハコにとって初のライヴ盤にあたる。スタジオ録音とは違って、当時の歌声や演奏の空気感をそのまま伝える位置づけの一枚として捉えやすい。1970年代後半の日本のフォーク・シーンを知るうえでも、彼女の活動の初期を確認する資料性の高い作品と言える。
作品の位置づけ
山崎ハコは1975年から長く作品を発表し続けたが、『ファーストライブ』はその初期の段階で出たライヴ記録である。デビュー後まもない時期の演奏を収めた作品として、当時の歌の輪郭やステージ上での表現をそのまま追えるのが特徴だ。後年の作品群と比べると、まずは歌とギターの関係を前面に出した内容として受け取られることが多い。
1970年代の日本のフォークでは、地声の強さや語りに近い歌唱、シンプルな伴奏で感情を運ぶスタイルが広く見られた。山崎ハコもその流れの中に位置しつつ、同時代の他の女性シンガーソングライターと比べても、歌詞の切実さや独特の間合いで印象を残している。
聴きどころ
ライヴ盤なので、まず耳に入るのは歌の生々しさである。スタジオ盤のように整え込まれた音像というより、会場の空気や歌い出しの緊張感がそのまま残るタイプの作品として想像しやすい。ギター弾き語りを中心に、声の揺れや言葉の置き方がその場で立ち上がる感触がある。
山崎ハコの代表曲として広く知られる「呪い」など、初期の作品群に通じる緊張感のある歌は、ライヴという形式で聴くとまた違った重みを持つ。楽曲そのものの輪郭に加えて、ステージ上での呼吸や間が見えやすいのが、この種のライヴ盤の面白さだろう。
同時代の文脈
1970年代後半の日本では、フォークからシンガーソングライターへと受け止められ方が広がっていった時期でもある。山崎ハコは、その中で女性の視点から内面を強く押し出す歌を続けた存在として語られることが多い。たとえば、同時代の荒井由実や中島みゆきと並べて語られることもあるが、山崎ハコはよりシンプルな編成の中で、言葉と声の密度を前に出すタイプとして捉えやすい。
『ファーストライブ』は、そうした1970年代日本フォークの空気を、ライヴという形でそのまま留めた一枚である。作品単体というより、山崎ハコの初期像を確認する入口として見られることが多いだろう。
まとめ
『ファーストライブ』は、山崎ハコの初期活動をライヴの形で記録した1977年作品である。派手な演出よりも、歌とギター、会場の空気感が前に出る内容として受け取れる。1970年代日本のフォークの文脈の中で、山崎ハコの声と歌の重さを確かめられる一枚だ。
トラックリスト
- A1 – ハーモニカ吹きの男 (5:21)
- A2 – ききょうの花 (4:45)
- A3 – クレイジーラブ (4:37)
- A4 – 水割り (4:46)
- A5 – 二日酔い (5:01)
- B1 – ひとり唄 (4:13)
- B2 – 気分を変えて (3:27)
- B3 – サヨナラの鏡 (5:21)
- B4 – 帰ってこい (5:13)
- B5 – 向かい風 (6:28)
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The Patron Saints – Fohhoh Bohob (1969)
The Patron Saints『Fohhoh Bohob』
The Patron Saintsは、1966年にニューヨークで結成された米国のバンド。The Stones、The Beatles、Jimi Hendrix、Cream、The Butterfield Blues Band、The Doors、Moby Grape、The Yardbirdsなどの影響を受けた5人編成として出発し、1969年には3人編成になっている。そんな流れのなかで録音されたのが『Fohhoh Bohob』で、オリジナルは1969年にバンド自身が100枚限定で自主制作・自主発表した作品である。
2007年にUS盤として再発されたこのレコードは、限定1000枚のリリース。オリジナルの流通がごく少なかった作品だけに、再発盤の存在はこのバンドの記録をたどるうえで重要な位置づけになっている。
作品の位置づけ
このアルバムは、The Patron Saintsが5人編成から3人編成へ移ったあとの時期に残した記録。プロフィールにある通り、1969年6月にアルバムを録音している。バンドが当時どんな音を鳴らしていたかを知るうえで、中心的な資料といえる作品だろう。
また、バンドは現在も活動を続け、新作も発表している。そうした長い活動歴のなかでは、初期の自主制作盤として『Fohhoh Bohob』が特別な意味を持つ。デビュー作というより、バンドの初期像をそのまま封じ込めたアーカイブ的な一枚、という見方がしやすい。
音の方向性
ジャンル表記はRock、Pop、Folk、World, & Country。スタイルにはPower Pop、Psychedelic Rock、Folk、Prog Rock、Honky Tonkが挙がっている。バンドの背景にある60年代後半の米国ロックの文脈を思わせる並びで、同時代のThe Beatles、The Doors、Moby Grape、The Yardbirdsあたりを参照点にした音作りが想像しやすい。
パワー・ポップ寄りのメロディ感、サイケデリック・ロックの感触、フォークやホンキートンクの要素まで含む構成は、当時のロックがひとつの型に収まりきらなかった時期らしい面白さがある。プログレッシブ・ロックの要素も含まれていて、単純なガレージ・ロックに回収されない広がりを持つ作品として見られることが多そうだ。
再発盤について
2007年盤は、オリジナルの100枚限定盤に対して1000枚限定での再発。オリジナル盤が極端に少ないため、この再発盤は作品に触れる現実的な入口になっている。盤の流通量が大きく違う点は、この作品の受け取られ方にも影響していそうだ。
まとめ
『Fohhoh Bohob』は、The Patron Saintsが1969年に残した初期記録。60年代末の米国ロックの気配をまといながら、ポップ、サイケデリック、フォーク、プログレ、ホンキートンクまでを含む広い射程を持つ一枚として整理できる。バンドの出自と活動の継続性を踏まえると、単なる珍盤ではなく、グループの出発点を示す作品として見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Flower (4:28)
- A2 – Nostalgia Trip (3:30)
- A3 – Reflections (3:41)
- A4 – Do You Think About Me? (3:10)
- A5 – White Light (5:40)
- B1 – Relax (6:15)
- B2 – My Lonely Friend (4:01)
- B3 – Andrea (5:58)
- B4 – The Goodnight Song (4:20)
- C – Shine Of Heart
- D – Do It Together
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Alice Island Band – Splendid Isolation (1974)
Alice Island Band『Splendid Isolation』について
Alice Island Bandの『Splendid Isolation』は、1974年に作品としてまとまった、スペイン発のレコードです。盤としては2019年にリリースされたもので、オリジナル作品をあらためて楽しめる形になっています。収録内容は、フォークやバラードの要素を軸にした、歌もの中心の作品と見てよさそうです。
作品の成り立ち
このアルバムは1968年の夏に構想され、1973年のクリスマスに録音されたとされています。制作の時間差がはっきりしていて、完成までにかなり長い期間を経た作品です。2019年盤には4ページの歌詞インサートが付属し、限定500枚でのリリースでした。
クレジット上で確認できるメンバーはTim Phillipsです。アーティストの詳細プロフィールや関連情報は多く出ていませんが、作品単位で見ると、かなり個人的な視点と手触りを持ったレコードに見えます。
音の方向性
ジャンル表記はPop、Folk、World、& Country、スタイルはFolk、Ballad。実際のところ、派手なアレンジを前面に出すタイプというより、歌と曲の流れを中心に聴かせる作りが想像しやすいです。タイトルの『Splendid Isolation』という言葉にも、外側へ広く開くというより、内側に向かって丁寧に組み上げた印象があります。
フォーク寄りのバラード作品は、同時代のシンガーソングライターや英国圏のフォーク作品と並べて語られることが多いですが、この作品もその流れの中で、語り口の強さや曲の輪郭を味わうタイプのアルバムとして受け取れそうです。
2019年盤について
2019年盤は再発としての位置づけで、オリジナルの1974年盤に対して、歌詞インサート付きで入手しやすい形になっているのが特徴です。限定500枚という点も含めて、コレクション性のあるリリースでした。オリジナル盤との細かな音質差や編集差については、確認できる範囲では明記されていません。
聴きどころの見方
- 1968年に構想、1973年に録音という制作の時間差
- 歌詞インサート付きの2019年再発盤
- フォーク、バラード寄りの曲作り
- 限定500枚のプレス
曲名や代表曲の情報は確認できませんでしたが、アルバム単位でじっくり聴くことで、制作時期の長さや歌詞の存在感が見えてくるタイプの作品といえそうです。
トラックリスト
- A1 – Goodbye Cindy
- A2 – Smoke
- A3 – She Is An Island
- A4 – Stranger In A Crowd
- A5 – Anna Clare
- A6 – The Man That I Am
- A7 – Everything That Meets My Eyes
- B1 – Sleepiness
- B2 – The Lover
- B3 – Hostages
- B4 – Devil’s Island
- B5 – Nickel Island
- B6 – As I Get Older
- B7 – Package Tour Mona Lisa
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Kapela Ze Wsi Warszawa – Uwodzenie / Waterduction (2020)
Kapela Ze Wsi Warszawa「Uwodzenie / Waterduction」について
Kapela Ze Wsi Warszawaは、ポーランドのフォーク・バンドとして知られるグループで、この「Uwodzenie / Waterduction」は2020年の作品として扱われるタイトルだ。リリース国もポーランドで、ジャンル表記はFolk, World, & Country、スタイルはFolk。バンド名のとおり、ワルシャワの村の音楽を思わせる土着感と、現代的な編成をあわせ持つグループとして認識されている。
この盤は2022年リリースのもの。オリジナル作品の年は2020年なので、作品そのものは2020年時点の内容として見るのが自然だ。盤としては後年に出た形になる。
作品の輪郭
収録名からもわかるように、この作品はポーランドの伝統音楽を軸にした世界観を持つ。Kapela Ze Wsi Warszawaは、民謡の旋律やリズムをベースにしながら、バンド編成で立体的に聴かせるタイプのグループで、アコースティックな響きと合奏の推進力が前に出ることが多い。クレジットされているメンバー数も多く、合奏としての厚みが作品の要点になっている印象だ。
参加メンバーは Paweł Mazurczak、Maja Kleszcz、Magdalena Sobczak、Maciej Szajkowski、Wojciech Krzak、Mariusz Dziurawiec、Sylwia Świątkowska、Piotr Gliński、Miłosz Gawryłkiewicz、Wiktoria Długosz、Anna Jakubowska、Ksenia Malec、Marcin Kozak、Małgorzata Śmiech、Ewa Wałecka、Robert Jaworski、Katarzyna Szurman。人数の多さからも、単独のシンガー中心というより、複数の演奏者が重なっていく構成が想像しやすい。
Kapela Ze Wsi Warszawaというバンドの位置
このグループは、ポーランドのフォークを現在形で扱う存在として語られることが多い。伝統音楽をそのまま保存するというより、バンドとしての演奏感を前に出しながら聴かせるスタイルで、同時代のヨーロッパ民俗音楽の流れの中でも存在感がある。ワールド・ミュージック系の文脈でも見かけることがあり、ポーランドの地方音楽を広く伝える役割も担っている。
関連サイトとしては、公式サイト http://www.kzww.pl/、http://www.warsawvillageband.net/、Facebookページ https://www.facebook.com/WarsawVillageBand/ がある。Myspaceにもアーカイブ的なページが残っている。
聴きどころとして見えやすい点
実際に触れると、こうしたバンドの作品は、旋律の反復とアンサンブルの積み重ねが軸になりやすい。メロディを細かく飾る場面、リズムを強く押し出す場面、声と楽器が近い距離で絡む場面など、フォークの基本的な要素が前面に出る形が想像しやすい。タイトルにも英語表記の Waterduction が添えられていて、作品名の見せ方にも現代的な意識がうかがえる。
2020年のオリジナル作品、2022年盤という時間差もあり、作品を追う際はこの2つの年を分けて見ると整理しやすい。オリジナルの時点での内容を軸に、のちの盤で流通したものとして捉えるのがよさそうだ。
まとめ
「Uwodzenie / Waterduction」は、Kapela Ze Wsi Warszawaらしいポーランド・フォークの文脈にある作品だ。大人数のメンバー編成、伝統音楽を土台にした合奏感、そして2020年作品としての位置づけがポイントになる。ポーランドの民俗音楽を現在のバンド表現で聴かせるグループとして、このタイトルもその流れの中に置いて理解しやすい一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Uroda
- A2 – Oracja Do Wody
- A3 – Spławiany
- A4 – Uwodzenie
- A5 – Potopielka
- B1 – Chasydzki Z Urzecza
- B2 – Rzeceńka
- B3 – Krępiański
- B4 – Kołyska
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Tim Hardin – Painted Head (1972)
Tim Hardin「Painted Head」について
Tim Hardinは、アメリカのフォーク・シンガー/ソングライターとして知られる人物だ。
「If I Were a Carpenter」や「Reason to Believe」といった楽曲で広く名前が残っているが、「Painted Head」は1972年に発表された作品で、彼のフォーク・ブルース寄りの持ち味がまとまった一枚として位置づけられる。
作品の輪郭
このレコードは1981年に日本でリリースされた盤で、ジャケットや資料に日本語インサートが付いた仕様になっている。
オリジナルは1972年の作品なので、盤としては後年の再発にあたる。日本盤ならではの丁寧な付属物がある点も、この時期の輸入盤・国内再発らしいところだ。
サウンド面では、フォークを土台にしつつ、ブルース・ロックの要素が重なる構成。
Tim Hardinの作品らしく、歌と曲の骨格が前に出るタイプで、派手なアレンジで押すというより、言葉とメロディの流れで聴かせる印象がある。
Tim Hardinというアーティストの中で
Tim Hardinは、同時代のフォーク・シーンの中でも、シンガーとしての存在感とソングライターとしての評価が強い人だ。
自作曲が多くのアーティストにカバーされてきたことからも、楽曲そのものの強さがよくわかる。特に「If I Were a Carpenter」は、Bobby Darin、Joan Baez、Johnny Cash、The Four Tops、Robert Plantなど、多くの歌手に取り上げられた代表曲として知られている。
また「Reason to Believe」も重要な楽曲で、Rod Stewartのヒットでも広く知られる。
こうした曲と比べると、「Painted Head」はヒット曲の単独の知名度で押すというより、アルバム全体でTim Hardinの書く歌の手触りを追う作品という見え方になりやすい。
ジャンルの文脈
この作品は、Rock、Blues、Folk、World, & Countryという広い枠で整理されている。
実際のところ、60年代フォークの延長線上にあるシンガー・ソングライター作品として聴かれることが多そうだが、そこにブルース・ロックの感触が加わることで、単なる弾き語り中心の作品とは少し違う輪郭を持つ。
同時代の感覚でいえば、フォークの語り口とロックの帯域を行き来するアーティストたち――たとえばより広い意味でのシンガー・ソングライター作品群の中に置くと、Tim Hardinの独特な書き方が見えやすい。
歌詞を前面に出しながら、曲の流れ自体で引っ張るタイプの一枚、と言えそうだ。
まとめ
「Painted Head」は、Tim Hardinの代表曲で知られる作家性を、アルバム単位で確かめられる作品だ。
1972年のオリジナル作品を、1981年の日本盤で聴く形になるため、当時の日本での受け止め方も含めて残された一枚として見ておくと、より位置づけがつかみやすい。
トラックリスト
- A1 – You Can’t Judge A Book By The Cover (4:09)
- A2 – Midnight Caller (3:09)
- A3 – Yankee Lady (4:24)
- A4 – Lonesome Valley (4:29)
- A5 – Sweet Lady (3:44)
- B1 – Do The Do (3:44)
- B2 – Perfection (3:02)
- B3 – Till We Meet Again (3:11)
- B4 – I’ll Be Home (5:42)
- B5 – Nobody Knows You When You’re Down And Out (6:23)
Kings Of Convenience – Peace Or Love (2021)
Kings Of Convenience『Peace Or Love』について
Kings Of Convenienceは、ノルウェー・ベルゲン出身のデュオ。Erlend ØyeとEirik Glambek Bøeの2人によるユニットで、どちらも歌い、どちらも作曲を手がける。細かなギターの絡みと、落ち着いた歌声で知られるグループだ。
『Peace Or Love』は2021年にリリースされた作品で、Kings Of Convenienceにとってこの時期の活動をそのまま反映したアルバムとして聴ける1枚。リリース国はヨーロッパ盤。ジャンル表記はPop、Folk、World, & Country、スタイルはFolk、Indie Popとなっている。
作品の印象
この作品では、Kings Of Convenienceらしい、音数を抑えたアレンジと、2人の歌声の呼吸が前に出る構成が中心になる。ギターのフレーズは細かく、演奏の隙間がそのまま曲の輪郭になっているタイプ。派手な展開で押す作品というより、声と弦の動きで曲を組み立てる作りだ。
聴き進めると、メロディの見せ方がかなり丁寧なことがわかる。短いフレーズの反復や、声の重なり方で曲を進める場面が多く、Kings Of Convenienceの既知の持ち味がそのまま出ている印象。いわゆるインディー・フォークやインディー・ポップの文脈に置くと、余白のある編曲と柔らかい歌唱が軸になる作品として見やすい。
アーティストにとっての位置づけ
Kings Of Convenienceは、デビュー以降、派手さよりも曲の細部を積み上げるスタイルで知られてきたユニット。この『Peace Or Love』も、その延長線上にあるアルバムとして捉えやすい。ベルゲン出身という背景も含め、北欧のインディー・フォークらしい静かな手触りを感じさせる。
同時代のインディー・フォーク、インディー・ポップの流れの中では、Broken Social Sceneのような大編成の動きとは対照的で、Sufjan StevensやThe Acornの一部作品に見られるような、音の配置を細かく整える方向と比べやすい。とはいえ、Kings Of Convenienceはあくまで2人の声とギターのやり取りに重心がある。
ひとこと
『Peace Or Love』は、Kings Of Convenienceの名前から連想しやすい、控えめな編曲とデュオの歌の組み合わせがそのまま表に出た作品。2021年作として、彼らの持ち味を確認できるアルバムだ。
トラックリスト
- A1 – Rumours (4:09)
- A2 – Rocky Trail (3:30)
- A3 – Comb My Hair (3:06)
- A4 – Angel (3:15)
- A5 – Love Is A Lonely Thing (2:45)
- A6 – Fever (3:56)
- B1 – Killers (3:53)
- B2 – Ask For Help (4:07)
- B3 – Catholic Country (3:00)
- B4 – Song About It (3:04)
- B5 – Washing Machine (2:46)
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Hako Yamasaki – 歩いて (1980)
Hako Yamasaki『歩いて』(1980)について
山崎ハコの『歩いて』は、1980年に日本でリリースされた作品。フォークを軸にしながら、ロック、ブルース、ポップスの要素もにじむ一枚で、アコースティックな手触りを土台にした歌世界が印象に残る。1970年代のフォーク・ブームをくぐり抜けてきた山崎ハコの流れの中でも、80年代に入る時期の作品として位置づけられるタイトルだ。
サウンドの輪郭
全体の中心にあるのは、ギターを軸にしたシンプルな響きと、声の存在感。派手な装飾で押すというより、言葉と旋律を前に出す作りで、フォークの直線的な感触がよく出ている。アコースティックな質感が強く、曲ごとの温度差や呼吸がそのまま伝わってくるタイプの作品として受け取れる。
山崎ハコというアーティストの文脈
山崎ハコは、1957年生まれ、大分県日田市出身の日本のフォーク・シンガーソングライター、ギタリスト、女優。1970年代のフォーク・ブーム期から存在感を示し、その後も長く作品を発表し続けてきた。『歩いて』は、そうした活動の流れの中で、80年代初頭の山崎ハコの表現を確認できる作品として見ておきたい。
同時代とのつながり
この時期の日本のフォークやシンガーソングライターの作品には、歌詞の輪郭をはっきり聴かせる作りや、ギター主体の編成を基調にしたものが多い。山崎ハコの音楽も、その文脈の中で語られることが多く、フォークの語法を保ちながら、ブルースやロックの感触も差し込むあたりに特徴がある。派手さよりも、歌の芯で聴かせる方向性。
作品の位置づけ
『歩いて』は、山崎ハコのディスコグラフィーの中で、80年代に入った時期の一作として見ると流れがつかみやすい。1970年代のフォーク・ブームの延長線上にありつつ、時代の変化の中でも自分の歌の形を保っている、そんな印象のタイトルだ。
まとめ
『歩いて』は、山崎ハコの持つ直線的な歌声、アコースティック中心の響き、フォークを土台にした表現がまとまった1980年の作品。日本のフォーク/シンガーソングライター史の流れの中でも、彼女の立ち位置を確認しやすい一枚といえる。
トラックリスト
- A1 夢
- A2 我が里
- A3 道を探せ
- A4 黒いバス
- A5 小さな海
- B1 歪み板
- B2 何もいらない
- B3 君は自由か
- B4 13の女の子
- B5 歩いて
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Manduka – Manduka (1972)
Manduka / Manduka
Mandukaの『Manduka』は、チリで1972年に発表されたアルバムで、ブラジル出身のシンガー/コンポーザー、Mandukaの初期作品として知られる一枚です。フォークを軸に、ラテン、ワールド・ミュージックの要素が重なる内容で、70年代前半の南米らしい空気をまとった作品として位置づけられます。
作品の輪郭
Mandukaは1952年、リオデジャネイロ州ペトロポリス生まれの音楽家で、詩人Thiago de Melloの息子としても知られます。70年代初頭にチリへ移り、現地で最初期のアルバムを発表しながら、他の音楽家たちと活動を重ねていきました。この『Manduka』は、そうした時期の仕事のひとつで、彼のキャリアの出発点を示す作品といえる内容です。
同時代のチリや周辺地域のフォーク/シンガーソングライター作品と比べても、政治や詩の気配を含んだ語り口が見えやすい一枚です。ブラジルのMPBや南米フォークの流れの中で聴かれることも多いタイプのアルバムです。
サウンドの特徴
音の中心はアコースティックな編成で、ギターを軸にした弾き語り感、言葉の輪郭が前に出る作りが印象的です。派手な装飾よりも、歌と演奏の距離の近さが際立つタイプで、録音全体にも1970年代初頭の素朴な質感が残っています。フォークらしい直線的な進行の中に、ラテン圏ならではのリズム感が差し込まれるところも見どころです。
Mandukaのキャリアの中で
このアルバムのあと、Mandukaはアルゼンチン、ベネズエラ、ヨーロッパへと活動の場を移し、各地で作品を発表していきます。そうした後年の広がりを踏まえると、『Manduka』は彼の音楽活動の原点にあたる記録として聴ける作品です。のちに多国籍な展開を見せる前段階として、ここでは南米のフォーク/シンガーソングライターとしての輪郭がはっきりしている印象です。
関連する文脈
Mandukaは、ブラジルの詩や歌を横断する表現者として語られることが多く、同時代の南米フォーク、プロテスト・ソング、MPBの流れと近い場所にあります。彼の周辺にはLos JaivasやPablo Milanés、Naná Vasconcelosといった名前も並び、南米の音楽家たちが国境を越えてつながっていた時代背景もうかがえます。
まとめ
『Manduka』は、Mandukaの初期の立ち位置をそのまま伝えるアルバムです。アコースティック中心の構成、歌詞を重視したフォーク寄りの作り、そして70年代南米の空気感。そうした要素がまとまった一枚として、彼の音楽をたどるうえで重要な記録になっています。
トラックリスト
- A1 Brasil 1500 (10:30)
- A2 Entra Y Sale (5:46)
- A3 Naranjita (5:10)
- B1 De La Tierra (4:21)
- B2 Patria Amada Idolatrada Salve Salve (4:56)
- B3 Oiticumana (2:05)
- B4 De Un Extranjero (4:54)
- B5 Qué Dirá El Santo Padre (4:46)
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Bridget St. John – Thank You For… (1972)
Bridget St. John『Thank You For…』について
Bridget St. Johnの『Thank You For…』は、1972年に発表された作品で、ブリティッシュ・フォークの流れを感じさせる1枚だ。John PeelのDandelionレーベルで知られる彼女にとって、1969年から1972年にかけての活動期を代表する時期の作品群のひとつに数えられる。
盤としては2010年のリリースで、オリジナル発表から時間を置いて改めて流通したタイトルになる。Bridget St. Johnの初期の作品を追ううえで、彼女の歌とギターの距離感をつかみやすい内容といえる。
サウンドの印象
ジャンル表記はFolk、スタイルはFolk。派手な装飾よりも、弾き語りを軸にした構成が中心で、音数を抑えた作りが耳に残る。ギターの手触りと声の近さが前に出るタイプで、室内的な空気を持ったフォーク作品という印象だ。
John Martynをギター面での手本として挙げていることもあり、単純な伴奏にとどまらない弦の運び方や、歌との間合いに特徴がある。ブリティッシュ・フォークの文脈の中でも、Kate Bush以前の女性シンガーソングライター像とは少し違う、素朴さと演奏の確かさが同居したタイプと受け取れる。
Bridget St. Johnにとっての位置づけ
Bridget St. Johnは、1969年から1972年のあいだにJohn PeelのDandelionレーベルで3枚のアルバムを残したことで知られる。この時期は彼女の評価が高まった時期でもあり、『Thank You For…』もその流れの中にある作品だ。
また、BBC RadioやPeel sessionsへの参加も多く、当時のUKの大学やフェスティバル・サーキットで活動していたことからも、ライブ感覚の強いシンガーソングライターとして受け止められていたことがうかがえる。
同時代の文脈
同じ時代の英国フォークには、Nick DrakeやJohn Martynのように、歌とギターの細かなニュアンスを重視するアーティストがいる。Bridget St. Johnもそうした流れの中で語られることが多く、内省的な曲作りと、アコースティックな編成のバランスがポイントになっている。
John Peelが彼女を「この国で最も優れた女性シンガーソングライター」と評したことでも知られていて、当時の評価の高さを示すエピソードとしてよく引かれる。
関連する活動
Bridget St. Johnは自作だけでなく、Mike Oldfield、Kevin Ayers、Robin Frederickとの仕事でも知られる。後年にはNick Drakeへのトリビュート公演で「Northern Sky」と「One of These Things First」を歌い、2006年にはフランスのミニマル系ミュージシャン、Colleenとともに日本ツアーも行っている。
『Thank You For…』は、そうした長い活動歴の出発点に近い時期の記録として見ると、彼女の歌とギターの基本形が見えやすい作品だ。
まとめ
『Thank You For…』は、1972年のブリティッシュ・フォークの空気をそのまま伝えるような、静かな手触りのある作品だ。Bridget St. Johnの初期代表作群の一角として、歌、ギター、間合いの取り方が端的に表れている。
トラックリスト
- A1 Nice (3:19)
- A2 Thank You For… (3:33)
- A3 Lazarus (4:20)
- A4 Goodbaby Goodbye (2:07)
- A5 Love Minus Zero, No Limit (3:18)
- B1 Silver Coin (3:04)
- B2 Happy Day (3:55)
- B3 Fly High (3:19)
- B4 To Leave Your Cover (3:21)
- B5 Every Day (4:30)
- B6 A Song Is As Long As It Wants To Go On (1:07)
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Hako Yamasaki – 流れ酔い唄 (1978)
Hako Yamasaki「流れ酔い唄」について
「流れ酔い唄」は、山崎ハコが1978年に発表した作品である。フォークを軸にしながら、ロックやブルースの要素もにじむ一枚で、当時の日本のシンガーソングライター作品らしい、歌とギターを中心にした作りが印象に残る。
作品の位置づけ
山崎ハコは1970年代のフォーク・ブームを支えた存在のひとりで、10代のうちから作品を重ねてきたアーティストである。1978年の「流れ酔い唄」は、その活動がすでに広く知られ始めていた時期のアルバムとして捉えやすい。初期の持ち味である、言葉の強さと歌い回しの確かさが前面に出る時期の作品といえる。
サウンドの特徴
全体としては、アコースティックな手触りを軸にしたフォーク色の強い内容で、そこに少しざらついたロック感、ブルース寄りの進行、土の匂いのする歌の温度が重なる。サイケデリックというスタイル表記もあるが、派手な装飾よりも、曲の流れや響きの中に独特の揺れが出るタイプの作品として受け取りやすい。
録音の空気感も、当時の日本のフォーク作品らしい近さがあり、歌声の輪郭がはっきり伝わる。静かな場面でも、ただ柔らかいだけではなく、声の芯が残る感じがある。
同時代の文脈
1970年代後半の日本では、フォークの流れがシンガーソングライターの表現へと広がっていった時期である。「流れ酔い唄」もその文脈の中に置くと見えやすい。山崎ハコの作品は、同時代の女性フォーク歌手の中でも、私小説的な語り口と、少し硬質な歌の運びが特徴として語られやすい。
比較対象としては、同じ時代のフォーク系シンガーソングライターや、ブルース感覚を持つ日本語ロックの流れが思い浮かぶ。とはいえ、この作品はそうした要素をそのままなぞるというより、山崎ハコ自身の歌い方に収束している印象である。
曲目について
作品全体としては、アルバム単位で聴かれる性格が強い。特定のヒット曲だけを押し出すタイプというより、曲ごとの言葉と声の重なりで流れを作る一枚としてまとまっている。
まとめ
「流れ酔い唄」は、1978年時点の山崎ハコの表現を知るうえでわかりやすい作品である。フォークを基調にしながら、ロックやブルースの気配も抱えたサウンド、そして歌そのものの存在感。1970年代日本のシンガーソングライター作品の中でも、山崎ハコらしさが前に出たアルバムとして位置づけやすい。
トラックリスト
- A1 流れ酔い唄 (5:17)
- A2 罪 (4:43)
- A3 青信号 (3:56)
- A4 うちと一緒に (3:43)
- A5 ヨコハマ (5:08)
- B1 さいなら (6:36)
- B2 今日からは (5:48)
- B3 きまぐれ (4:02)
- B4 夜明け前 (7:00)
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Mark McGuire – VDSQ – Solo Acoustic Volume Two (2009)
Mark McGuire『VDSQ – Solo Acoustic Volume Two』について
Mark McGuireは、アメリカ・オハイオ州クリーヴランド生まれのギタリストで、ソロ活動に加えてEmeraldsのメンバーとしても知られるアーティストだ。ギターを軸にしながら、ボーカル、テープ、キーボードなども扱う人物で、この『VDSQ – Solo Acoustic Volume Two』は2009年に発表された作品になる。
作品の輪郭
本作は、タイトルの通りアコースティック・ギターを中心に据えた内容で、ジャンルとしては Folk, World, & Country、スタイルとしては Acoustic、Folk に位置づけられている。エレクトリック寄りの音作りで知られる文脈とは少し距離を置き、弦の鳴りや指のタッチがそのまま伝わるような、素朴な質感が前に出る一枚という印象だ。
音の重なりや派手な展開で押すタイプではなく、ギターのフレーズを軸にした静かな進行が中心になりそうな作品だ。アコースティック・フォークの基本線に沿いながら、Mark McGuireらしい演奏感がにじむ位置づけとして捉えられる。
Mark McGuireというアーティストの中で
Mark McGuireは、Emeraldsでの活動を通じて知られる一方、ソロではギター表現を中心にした作品を展開している。本作は、そのソロ活動の中でもアコースティックな側面を示すタイトルとして見ておける。バンドでの音響的なアプローチとは別に、個人の演奏に近い距離感を感じさせる内容になっている可能性が高い。
同時代の文脈
2000年代後半のアメリカでは、インディー・フォークやアコースティック・ギターを軸にした作品が多く見られた時期でもある。Mark McGuireのように、実験的なバックグラウンドを持ちながらフォーク/アコースティックの形式に向かう動きは、この時代の流れの中でも興味深い位置だ。純粋なシンガーソングライター作品というより、演奏そのものに意識が向いたギター作品として受け取られやすいだろう。
まとめ
『VDSQ – Solo Acoustic Volume Two』は、2009年のMark McGuireによるアコースティック・ギター作品として整理できる。Emeraldsでの活動ともつながるアーティストの輪郭を踏まえると、ソロでの弦楽器表現を確認できる一作として見えてくる。ジャンル表記はフォーク寄りだが、演奏の質感を楽しむタイプの作品として位置づけられる。
トラックリスト
- A1 At First Sight
- A2 Vitamins
- A3 Second Thoughts
- B1 Front Porch Breeze
- B2 Burning Leaves
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Devendra Banhart – Ma (2019)
Devendra Banhart「Ma」について
Devendra Banhartは、テキサス生まれのベネズエラ系アメリカ人シンガーソングライター/ヴィジュアル・アーティスト。フォークを軸にしながら、カントリー、トラディショナル、サイケデリックな感触を行き来してきた人で、2019年作の「Ma」もその流れの中にある作品だ。
タイトルの「Ma」は、アーティスト自身の表現の中でもかなり端的な一作という印象がある。大きく飾り立てるというより、歌とアコースティックな響きを中心に置いた作りで、声の近さや弦の鳴り方が前に出るタイプのアルバム。フォークの基本形に沿いながら、曲ごとの輪郭を丁寧に見せる構成になっている。
サウンドの特徴
本作は、いわゆる派手なバンドサウンドよりも、素朴な質感が印象に残る。ギターや歌の距離感が近く、演奏の細部が聴き取りやすい。フォークの枠組みの中で、メロディの運びや言葉の置き方に重心がある作りだ。
Devendra Banhartの作品群の中では、実験性の強い側面よりも、歌そのものを見せる方向に寄っている時期の一枚として捉えやすい。初期から続くフォーク・リファレンスを踏まえつつ、より落ち着いた視点でまとめられたアルバムという見方もできる。
作品の位置づけ
2019年の「Ma」は、Devendra Banhartのディスコグラフィの中で、フォーク・シンガーとしての輪郭をあらためて確認できる作品だ。派手な話題性よりも、曲作りと歌唱のバランスに目が向く内容で、彼の作家性を知るうえで分かりやすい一枚になっている。
同時代のフォーク周辺の動きと比べても、アコースティックな編成やパーソナルな歌詞の置き方に耳が向くタイプで、フォーク・リバイバル以降の流れの中にある作品として整理しやすい。Cat PowerやIron & Wineのように、歌の質感を軸に聴かれるアーティスト群と並べて語られることもある。
まとめ
「Ma」は、Devendra Banhartのフォーク志向がまっすぐに出た2019年作。音の数を詰め込むより、歌と演奏の距離感を保ちながら、曲の輪郭を見せるアルバムだ。フォーク、ワールド、カントリーの要素を背景に持ちながら、全体としてはかなりストレートな歌ものとして聴ける内容になっている。
Hako Yamasaki – ライブII 歌在りて (1979)
山崎ハコ『ライブII 歌在りて』について
山崎ハコの『ライブII 歌在りて』は、1979年に日本でリリースされたライブ作品。フォークを軸にした弾き語りの世界を、そのまま会場の空気ごと切り取ったような一枚で、山崎ハコという表現者の輪郭がよく見える内容になっている。
山崎ハコは、1970年代の日本のフォーク・ブームを支えたシンガーソングライターのひとり。ギターを手にした歌唱と、自作曲を中心にした活動で知られ、1975年から2024年まで継続的に作品を発表してきた。歌と語りの距離が近いタイプのアーティストで、このライブ盤でもその持ち味が前面に出ている印象がある。
サウンドの印象
編成はシンプルで、アコースティック寄りの質感が中心。大きな音の演出よりも、歌声の抑揚や言葉の運び、ギターの細かなニュアンスが耳に残るタイプの作品といえる。リズムも派手さより、歌のテンポに寄り添う形で進んでいく。
ライブ録音らしく、スタジオ盤とは違う呼吸感があるのも特徴。観客の気配を含めて、曲がその場で立ち上がっていく感覚が伝わってくる。
作品の位置づけ
1979年時点の山崎ハコは、すでにフォーク系シンガーソングライターとして確かな存在感を持っていた時期。『ライブII 歌在りて』は、その活動の中でも、歌そのものに焦点を当てた記録として捉えやすい。タイトルにある「歌在りて」という言葉も、この作品の性格をそのまま示しているように見える。
同時代の日本のフォークやアコースティック系の流れの中では、語り口の強さや、私的な感情をそのまま歌に置き換える作風が印象に残る。山崎ハコの作品は、吉田拓郎や中島みゆきなどと並べて語られることもあるが、このライブ盤では特に、ひとりの歌い手としての存在感が前に出ている。
作品の輪郭
- アーティスト: 山崎ハコ
- タイトル: 『ライブII 歌在りて』
- リリース年: 1979年
- 国: 日本
- ジャンル: Folk, World, & Country
- スタイル: Folk, Acoustic
山崎ハコのライブ作品として、歌声とギターの距離感をそのまま楽しめる一枚。1970年代末の日本のフォークの空気を、記録としても感じやすい内容になっている。
トラックリスト
- A1 島原地方の子守唄
- A2 ひえつき節
- A3 檜原ふるさと
- A4 望郷歌
- B1 こきりこ
- B2 花嫁人形
- B3 ソーラン節
- B4 佐渡おけさ
- B5 五木の子守唄
- C1 テンポイントの唄
- C2 ヨコハマ
- C3 ボロボロ
- C4 心の中は何かでいっぱい
- C5 日没
- D1 望郷
- D2 二丁目の子守唄
- D3 白い花
- D4 向かい風
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- 山崎ハコ (Hako Yamasaki) – ライブII 歌在りて (Live II Uta Arite) | 01. 島原地方の子守唄 (Shimabara chihou) [1979.11.21]
- 山崎ハコ (Hako Yamasaki) – ライブII 歌在りて (Live II Uta Arite) | 02. ひえつき節 (Hietsukibushi) [1979]
- 山崎ハコ (Hako Yamasaki) – ライブII 歌在りて (Live II Uta Arite) | 03. 檜原ふるさと (Hinohara furusato) [1979.11.21]
- 山崎ハコ (Hako Yamasaki) – ライブII 歌在りて (Live II Uta Arite) | 04. 望郷歌 (Boukyouka) [1979.11.21]
- 山崎ハコ (Hako Yamasaki) – ライブII 歌在りて (Live II Uta Arite) | 05. こきりこ (Kokiriko) [1979.11.21]
Alan Stivell – Trema’n Inis = Vers L’ile (1976)
Alan Stivell「Trema’n Inis = Vers L’ile」(1976)
フランス出身のマルチ・インストゥルメンタリスト、Alan Stivellによる1976年の作品。ケルト・ハープの普及で知られる彼らしい視点が、フォーク、ポップ、ロック、ワールド・ミュージックの要素をまたいでまとまった一枚になっている。
作品の輪郭
アコースティックな質感を軸に、民謡由来の旋律感と現代的なバンド・サウンドが並ぶ内容。リズムは派手すぎず、弦の響きや楽器同士の重なりを前に出した作りで、曲ごとにフォーク寄りの親密さと、ロック寄りの推進力が行き来する印象。
タイトルの「Trema’n Inis = Vers L’ile」は、島へ向かうイメージをそのまま示すような言葉づかいで、作品全体にも旅や土地の気配がにじむ。英語圏のフォーク・ロックや、同時代のケルト系リバイバルとも並べて語られやすいタイプの音楽だが、ここではハープを中心にした独自の手触りがはっきりしている。
Alan Stivellという位置づけ
Alan Stivellは、ケルト・ハープを広く知らしめた人物として重要な存在。60年代から活動を重ね、この時期には伝統音楽をそのまま再現するだけでなく、ロックやポップの文法を取り込みながら、自分の音楽として組み直していく段階にある。1976年のこの作品も、その流れの中に置ける一枚。
アーティストとしては、ブレトン音楽やケルト文化を軸にしつつ、より広いリスナーに届く形へと音を開いていく時期の作品として見やすい。ハープの響きが前面に出る場面と、歌やアンサンブルが前に進む場面の切り替えが、作品の骨格になっている。
サウンドの印象
- アコースティック楽器の輪郭がはっきりした音像
- フォーク由来の旋律と、ロック的な流れの併存
- 軽やかさよりも、演奏の積み重ねを感じる構成
- ケルト・ハープの存在感が中心
補足
この作品は、1976年当時のオリジナル作品として捉えるのが自然だろう。ジャンル表記としてはRock、Pop、Folk、World & Countryにまたがり、スタイル面ではAcoustic、Folkの色合いが強い。
Alan Stivellの代表的な文脈を追ううえでも、ケルト音楽がロックやポップと接続していく1970年代の流れをたどるうえでも、ひとつの節目として見えてくる作品。
トラックリスト
- A1 Stok Ouzh An Enez = En Vue De L’Île (4:08)
- A2 Hommes Liges Des Talus En Transe (16:36)
- B1 Rinnenn XX = Arcane XX (3:36)
- B2 An Eur-se Ken Tost D’ar Peurbad = Cette Heure Si Près De L’Éternel (5:13)
- B3 Negro Song (4:14)
- B4 E-tal Ar Groaz = Face À La Croix (5:37)
- B5 Ar Chas Doñv’yelo Da Quez = Les Chiens Redeviendront Sauvages (1:50)
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The Incredible String Band – The Hangman’s Beautiful Daughter (1968)
The Incredible String Band『The Hangman’s Beautiful Daughter』
1968年に発表された、スコットランド出身のサイケデリック・フォーク・バンド、The Incredible String Bandの作品。エディンバラ/グラスゴーを拠点に1966年に結成されたグループで、この時期のUKフォークの流れと、60年代後半のサイケデリックな感覚が重なった1枚として知られている。
作品の輪郭
フォークを土台にしながら、世界各地の音楽要素や実験的な構成を取り込んだ内容。アコースティック楽器を中心にした響きが軸にありつつ、曲ごとにリズムや組み立てが変わっていく。素朴さと変則性が同居するような作りで、いわゆる直線的なロックとは少し距離のある質感。
Mike HeronとRobin Williamsonを中心にした制作で、2人の個性がそのまま作品の方向性に出ている印象。メロディは親しみやすさを残しながら、展開にはひねりがある。演奏の手触りは生々しく、録音全体にも当時らしい空気感がある。
アーティストの中での位置づけ
The Incredible String Bandにとっては、代表作のひとつとして扱われることが多いアルバム。フォークの枠内に収まりきらない拡張性がはっきり出ていて、バンドの方向性を示す作品といえる。Scottish psychedelic folkというプロフィールをそのまま示すような内容。
同時代とのつながり
同時代のUKフォークやサイケデリック・ロックの文脈で語られることが多く、Fairport Conventionのようなブリティッシュ・フォーク勢や、より実験性の強いサイケデリック作品群とも並べて見られることがある。とはいえ、The Incredible String Bandは民族音楽的な要素や独自の曲作りが強く、単純な比較では収まらないところもある。
ジャケットにまつわるメモ
初期のUK盤では、Mike HeronとRobin Williamsonの青空を背景にした写真が前面に使われている。US盤、ヨーロッパ盤、そして後年のプレスでは裏面のデザインが使われる形になっている。
曲の印象
アルバム全体でまとまった流れを持つ作品で、ヒット曲を前面に押し出すタイプではない。曲ごとの変化を追う楽しさがあり、フォーク、ワールド・ミュージック的な感触、サイケデリックな構成が一体になっているところが聴きどころ。
- アーティスト: The Incredible String Band
- タイトル: The Hangman’s Beautiful Daughter
- オリジナル・リリース年: 1968年
- リリース国: US
- ジャンル: Folk, World, & Country
- スタイル: Psychedelic, Folk
60年代後半のフォークの広がりを、そのまま作品の形にしたような1枚。
トラックリスト
- A1 Koeeoaddi There (4:41)
- A2 The Minotaur’s Song (3:18)
- A3 Witches Hat (2:30)
- A4 A Very Cellular Song (12:55)
- B1 Mercy I Cry City (2:40)
- B2 Waltz Of The New Moon (5:01)
- B3 The Water Song (2:41)
- B4 Three Is A Green Crown (7:40)
- B5 Swift As The Wind (4:50)
- B6 Nightfall (2:29)
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Various – Wayfaring Strangers: Lonesome Heroes (2009)
Various『Wayfaring Strangers: Lonesome Heroes』について
Various名義で2009年にリリースされた『Wayfaring Strangers: Lonesome Heroes』は、US発のFolk、World、& Countryの流れにあるコンピレーション作品として受け取れる一枚です。タイトルからも伝わる通り、ひとりで道を行くような感触を持つフォーク曲を集めた内容で、Acousticを軸にした編成が中心になっているようです。
この種の作品では、派手な展開よりも、歌声と弦の響き、そして録音の距離感が前に出ます。打ち込みのリズムではなく、ギターや弦楽器の手触り、歌の間合い、空気を含んだ録音の質感が印象に残るタイプの構成が想像しやすいです。静かなテンポ感の中で、ひとつひとつのフレーズを追う楽しさがある作品群といえそうです。
作品の位置づけ
Various名義のため、特定の一人のアーティスト像で語るよりも、フォーク・アコースティックの文脈をまとめて見せる役割が大きい作品です。2000年代後半のリリースとして、古いフォークの感触を現代の盤として聴き直す入口にもなっている、そんな位置づけが見えてきます。
サウンドの印象
- アコースティック楽器中心の編成
- リズムは控えめで、歌と演奏の輪郭が前に出る構成
- 録音は密度よりも距離感が気になるタイプ
- 土着的なフォーク、カントリー寄りの響き
ジャンルの文脈
Folk、World、& Country、そしてAcousticというタグからは、アメリカのフォーク・トラディションを軸にした流れが見えてきます。シンガーソングライター系の弾き語りや、カントリーの素朴な響き、あるいは70年代以降のフォーク再発見の文脈ともつながる内容として捉えやすいです。
タイトルにある「Lonesome Heroes」という言葉も、そうした孤独感や旅の感覚を思わせます。作品全体としては、派手さよりも曲そのものの輪郭を追うタイプのコンピレーションとして記憶されやすい一枚です。
トラックリスト
- A1 Before
- A2 It’s So Profound
- A3 As I Walk
- A4 No Love Lost
- B1 Hummingbirds
- B2 Ooh Pah Do Pah Do
- B3 R.N.B. II
- B4 The Tailor
- B5 Little Children
- C1 Dear Father
- C2 Deep Night
- C3 Autumn
- C4 Good Morning
- D1 Kiss Another Day Goodbye
- D2 I Am The Moonlight
- D3 Close Of The Day
- D4 O’Light
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Sebastian Agnello – Head Roach (1971)

Sebastian Agnello「Head Roach」について
「Head Roach」は、Sebastian Agnelloによる1971年の作品。アーティストはカナダ出身のシンガー/ソングライター/ミュージシャン/プロデューサーで、Sound Canada Recording Centreのハウスバンドでも長く活動していた人物として知られている。ジャンルはFolk, World, & Country、スタイルはFolk。アコースティックな手触りを軸にした、当時のフォーク・シーンの流れの中に置いて聴ける一枚という印象。
作品の位置づけ
1971年という時期は、フォークがシンガーソングライター寄りの表現や、録音作品としてのまとまりを強めていった時代。Sebastian Agnelloもその文脈の中で、歌と演奏を前面に出した形で作品を残している。USで制作・流通された盤として見れば、同時代の北米フォークの空気を感じやすいタイトル。
サウンドの印象
音の中心は、歌と弦楽器の組み合わせに置かれているタイプ。派手な装飾よりも、演奏の間合いやリズムの取り方、録音の近さが印象に残りやすい。フォーク作品らしい素朴な質感を持ちながら、曲ごとの運びで聴かせる構成になっているように受け取れる。
同時代とのつながり
1970年代初頭のフォーク作品としては、アメリカやカナダのシンガーソングライター系の流れと重ねて語りやすい。アーティスト自身が制作現場にも関わっていた背景を踏まえると、単なる弾き語りの記録というより、当時の録音文化の中で形になった作品として見えてくる。
リリース情報
- アーティスト: Sebastian Agnello
- タイトル: Head Roach
- オリジナル・リリース年: 1971年
- 盤のリリース年: 2005年
- 国: US
- ジャンル: Folk, World, & Country
- スタイル: Folk
1971年のフォーク作品として、Sebastian Agnelloの活動と北米の同時代的な音楽の流れをつなぐ一枚。
トラックリスト
- A1 Let’s Go To The Drug Store (1:20)
- A2 Don’t Step On That Roach (3:04)
- A3 My Baby Put A Spell On Me (2:29)
- A4 Jack The Ripper (2:21)
- A5 Ballad Of The Werme (3:06)
- A6 Werme’s Woman (2:34)
- A7 Toking Alone (2:03)
- B1 Cut Up #1 (0:23)
- B2 They Call Her Pig (2:05)
- B3 Cut Up #2 (0:24)
- B4 Life In A Bottle (3:06)
- B5 Cut Up #3 (0:23)
- B6 Air Pollution Blues (1:43)
- B7 Cut Up #4 (0:20)
- B8 Booking Agent Blues (3:14)
- B9 Cut Up #5 (3:17)
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Donovan – Donovan (1975)

Donovan / Donovan
Donovanは、スコットランド出身のシンガーソングライター、ギタリストであるDonovanによる1975年の作品。ロック、ポップ、フォーク、カントリーの要素をまたぐ活動で知られるアーティストの、70年代半ばの一枚として位置づけられる。
作品の輪郭
本作は1975年のリリースで、同年のDonovanの音楽的な姿をそのまま伝えるタイトル作。フォークを土台にしながら、クラシック・ロック寄りの感触も見える内容で、アコースティックな響きとバンド的な推進力が並ぶ構成になっている。派手さを前面に出すというより、曲の流れや言葉の運びを追いやすい作りの印象。
録音の雰囲気は、70年代のフォーク・ロックらしい距離感がある。リズムは過度に主張せず、ギターや歌のラインを支える形で進むことが多く、音の重なりも比較的すっきりしている。ポップな輪郭とフォークの語り口が同居するタイプのサウンド。
アーティストとしての位置づけ
Donovanは1960年代から活動を続け、フォーク、ロック、ポップを横断してきた人物。1975年という時期は、初期のフォーク色と、その後に広がったロック寄りの感覚が接続されるタイミングとして見ることができる。のちにRock and Roll Hall of FameとSongwriters Hall of Fameに名を連ねることになるが、この作品もその作家性の延長線上にある一枚。
同時代との関係
文脈としては、同時代のフォーク・ロックやクラシック・ロックの流れに置きやすい。Bob Dylan周辺に通じる語り口、あるいは英国フォーク系の流れを思わせる場面もあるが、Donovan自身の持つポップ寄りの感覚が加わっているところが特徴になっている。
まとめ
1975年のDonovanを知るうえで、タイトル通りにアーティスト像が前に出る作品。フォークの素地、ロックの推進力、ポップの親しみやすさが並ぶ内容で、70年代半ばの空気を反映した一枚として受け止めやすい。
トラックリスト
- A1 Universal Soldier (2:10)
- A2 To Sing For You (2:43)
- A3 Colours (2:44)
- A4 To Try For The Sun (2:36)
- A5 Hey Gyp (Dig The Slowness) (3:10)
- A6 Candy Man (3:26)
- B1 Catch The Wind (2:16)
- B2 Josie (3:25)
- B3 Remember The Alamo (3:02)
- B4 Donna, Donna (2:54)
- B5 Circus Of Sour (1:50)
- B6 Sunny Goodge Street (2:52)