Hako Yamasaki – 飛・び・ま・す (1976)

Hako Yamasaki『飛・び・ま・す』
山崎ハコの『飛・び・ま・す』は、1976年に日本でリリースされた作品。フォークを軸に、フォークロックやアコースティックの質感が前面に出た一枚で、70年代日本のフォーク・ブームの空気をよく伝える内容になっている。
作品の印象
ギターを中心にした編成がまず印象に残る。音数は多くなく、演奏の輪郭がはっきりしていて、歌の存在感が強いタイプの録音。リズムは大きく押し出すというより、曲の流れを静かに支える場面が目立つ。全体としては、乾いた響きと近い距離感のある音作りが感じられる。
山崎ハコの歌声は、硬質さと繊細さが同居しているように聴こえることが多く、この作品でもその持ち味が前に出ている。派手な展開に頼らず、言葉とメロディの運びで引き込むタイプのアルバムという印象。
アーティストの位置づけ
山崎ハコは1970年代日本のフォーク・ブームを支えたシンガーソングライターのひとり。1975年から2024年まで継続的に作品を発表しており、初期の活動期にあたるこの時期は、作風の土台が形になっていくタイミングとも見られる。『飛・び・ま・す』は、その初期の代表的な一枚として語られることが多い。
同時代とのつながり
1970年代半ばの日本では、フォークがロックやポップスと接近しながら、より個人的な歌や内省的な表現へと広がっていた。『飛・び・ま・す』も、そうした流れの中にある作品として捉えやすい。アコースティック主体の響きの中に、当時のシンガーソングライター文化らしい直接的な歌の強さがある。
ひとことで言うと
70年代日本フォークの空気をまとった、歌とギターの距離が近い作品。山崎ハコの初期像をつかむうえで、重要な位置にある一枚。
トラックリスト
- A1 望郷 (4:11)
- A2 さすらい (6:01)
- A3 かざぐるま (4:12)
- A4 橋向こうの家 (4:14)
- A5 サヨナラの鐘 (5:28)
- B1 竹とんぼ (4:25)
- B2 影が見えない (6:09)
- B3 気分を変えて (3:40)
- B4 飛びます (6:28)
- B5 子守唄 (3:55)
関連動画
Marissa Nadler – Ballads Of Living And Dying (2009)

Marissa Nadler『Ballads Of Living And Dying』
Marissa Nadlerは、アメリカ・ワシントンD.C.出身のシンガーソングライター/ペインター。『Ballads Of Living And Dying』は2009年リリースの作品で、ロック、フォーク、ワールド/カントリーの文脈に置かれる一枚だ。スタイルとしてはフォーク・ロック、アコースティック、フォーク寄りの内容。
作品の輪郭
このアルバムは、Marissa Nadlerの声とギターを軸にした、比較的シンプルな構成が印象に残る作品。装飾を抑えた音作りの中で、歌の輪郭が前に出るタイプのレコードだ。アコースティックな響き、静かなテンポ、余白のある録音の雰囲気が全体を支えている。
リズムは強く押し出すというより、曲の流れに沿って穏やかに進む印象。音の質感も、きらびやかさよりは乾いた手触りや、少し距離のある空気感が目立つ。フォークの素朴さと、フォーク・ロックの曲としてのまとまりが同居している感じ。
サウンドの特徴
- アコースティック・ギター中心の編成
- 静かなテンポと控えめなリズム感
- 声の存在感が前面に出る録音
- ざらつきよりも、空間の広さを感じる質感
アーティストの中での位置づけ
Marissa Nadlerは、2000年代以降のアメリカン・フォーク/インディーの流れの中で、繊細な歌とアコースティックな表現で知られる存在。『Ballads Of Living And Dying』も、その持ち味がよく見える作品として捉えられそうだ。派手な展開より、歌と音の距離感で聴かせるタイプのアルバム。
時代背景のメモ
2000年代後半のフォーク/インディー周辺では、素朴な編成やローファイ寄りの質感を生かした作品が多く見られた。このアルバムも、そうした流れの中で、アコースティック主体の静かな表現を前に出している一枚といえる。