Earth And Fire – Gate To Infinity (1977)

Earth And Fire / Gate To Infinity (1977)
オランダ、Voorschoten / Voorburg 出身のポップ・バンド、Earth And Fireによる1977年の作品。女性ヴォーカルのJerney Kaagmanを中心に、Chris Koertsのギター、Gerard Koertsのキーボードを軸にした編成で知られるグループで、シンフォニック・ロックとポップ・ロックのあいだを行き来するバンドとして位置づけられている。
作品の輪郭
Gate To Infinity は、Earth And Fireがキーボード面をさらに広げていく時期のアルバム。以前から使っていたハモンド・オルガンに加えて、メロトロンやシンセサイザーもセットに取り入れており、バンドのサウンドに厚みを持たせている。収録曲の構成でも、片面を使った長めの組曲的な展開が含まれていて、同時期のシンフォニック・ロック的な流れが見えやすい一枚。
リズム隊はしっかり前に出すぎず、演奏全体を支える役回り。そこにキーボードの層とギターのフレーズ、Jerney Kaagmanの歌が重なる形で、ポップ寄りの聴きやすさとプログレッシブな組み立てが同居している。録音の雰囲気も、楽器の音を重ねていくタイプの作りで、音像は比較的整理されている印象。
バンドの流れの中で
Earth And Fireは、1969年の「Seasons」や1970年の「Ruby is the One」「Wild & Exciting」、1971年の「Invitation」、1972年の「Memories」などで知られ、オランダ国内でヒットを重ねてきた。アルバム作品では、Song of the Marching Children や Atlantis がよく挙げられることが多く、そこからTo the World of the Future を経て、Gate To Infinity ではシンセサイザーの比重がさらに増していく流れ。
1970年代後半のヨーロッパのロック文脈では、シンフォニック・ロックがポップ寄りの要素と混ざっていく動きも見られる時期で、Earth And Fireもその一角にあるバンドとして捉えやすい。GenesisやYesのような英ロック系の大作志向とは少し距離を取りつつ、メロディを前に出した組み立てが特徴になっている。
メンバーとクレジット
- Jerney Kaagman:ヴォーカル
- Chris Koerts:ギター
- Gerard Koerts:キーボード
- Hans Ziech:ベース
- Ton van der Kleij:ドラム
クレジットには、Mark Stoop、Bert Ruiter、Ton Scherpenzeel、Ab Tamboer、Age Kat、Jons Pistoor、Theo Hurts、Ronnie Meyjes、Lysett、Cees Kalis などの名前も見える。バンドの周辺人脈の広さも、当時のオランダ・ロックの動きとつながっている。
ひとこと
Gate To Infinity は、Earth And Fireがポップ・バンドとしての輪郭を保ちながら、シンフォニックな要素とキーボード主体の展開を押し広げていた時期の一作。1977年のオリジナル盤として、バンドの変化が見えやすいアルバムになっている。
トラックリスト
- Gate To Infinity (17:19)
- B1 78th Avenue (3:02)
- B2 Smile (3:11)
- B3 Green Park Station (2:59)
- B4 Dizzy Raptures (3:17)
- B5 Driftin’ (5:36)
関連動画
Solaris – 1990 (1990)

Solaris『1990』について
ハンガリーのシンフォニック・プログレッシブ・ロック・バンド、Solarisによる1990年の作品。フルート、キーボード、ギターを軸にした編成で、インストゥルメンタル寄りの構成が想像しやすい一枚だ。ジャンル表記はElectronic、Rock、スタイルはProg Rock、Symphonic Rock。バンドの持つ演奏主体の組み立てが、そのまま作品の輪郭になっている。
バンドの背景
Solarisは1980年2月、ブダペストの大学生たちによって結成された。結成メンバーは、Kollár Attila(フルート)、Erdész Róbert(キーボード)、Cziglán István(ギター)、Seres Attila(ベース)、Tóth Vilmos(ドラム)。その後、80年代半ばにはドラムがGömör Lászlóに、ベースがPócs Tamásに交代している。現在のラインナップにはBogdán Csaba、Kisszabó Gáborも加わっている。
『1990』の位置づけ
この作品は、1990年にハンガリーで出たSolarisのオリジナル・リリース。バンド名義のディスコグラフィーの中でも、90年代の入口にあたる時期の記録として見える。80年代のプログレ文脈を引き継ぎつつ、電子的な要素も含む構成が、この時代の空気につながっている。
サウンドの印象
フルートとキーボードが前に出る編成だけに、旋律の受け渡しがはっきりしている。リズム隊は派手に押し出すというより、曲の流れを整える役回りに見える。録音はスタジオ作品らしいまとまりがあり、各楽器の輪郭を追いやすいタイプ。シンフォニック・ロックらしい展開の積み重ねと、電子音の使い方が並ぶところがポイントになりそうだ。
同時代とのつながり
ハンガリーのプログレ・ロックという文脈では、欧州圏のシンフォニック系の流れと接点を持つ作品として捉えやすい。1970年代的な組曲志向や演奏主導の作りを引きずりながら、1990年という時期らしく、ロックと電子音の接続も見える一枚。
クレジット
- アーティスト: Solaris
- タイトル: 1990
- リリース年: 1990年
- 国: ハンガリー
- ジャンル: Electronic, Rock
- スタイル: Prog Rock, Symphonic Rock
トラックリスト
- 1980
- A1 A Viking Visszatér (4:00)
- A2 Ellenpont (4:03)
- A3 Óz (5:12)
- A4 Mickey Mouse (3:16)
- A5 Éden (6:04)
- Los Angeles 2026
- B1 Los Angeles 2026 (23:21)
- Éjszakai Tárlat
- C1 Éjszakai Tárlat I. (6:09)
- C2 Éjszakai Tárlat II. (Szabadjáték) (7:32)
- C3 Éjszakai Tárlat III. (Éjféli Valcer) (3:33)
- C4 Éjszakai Tárlat IV. (Józsi Mátészalkára Megy) (5:58)
- C5 Éjszakai Tárlat V. (1990) (4:42)
- Ünnepi Koncert
- D1 E-Moll Concerto (Allegro Con Molto) (3:40)
- D2 Paella (2:30)
- D3 A Kígyó Szive (3:20)
- D4 Ez Nem Kán-Kán (0:56)
- D5 Magyar Tánc (3:33)
- D6 Duó (4:26)
- D7 Solaris 1990 (4:15)
関連動画
Quatermass – Quatermass (1970)

Quatermass / Quatermass
1970年にUKで登場した、Quatermassの唯一のアルバム。メンバーはJohn Gustafson、J. Peter Robinson、Mick Underwoodの3人で、ベース、ハモンド・オルガン、ドラムスを軸にしたパワー・トリオ編成になっている。ハードなロックの推進力に、鍵盤の厚みや管弦楽的なアレンジを重ねた、当時のブリティッシュ・プログレ周辺に位置する作品。
サウンドの輪郭
全体の印象は、リズムの押し出しが強く、演奏の密度も高め。Mick Underwoodのドラムは前に出てきて、John Gustafsonのベースとボーカルが土台を作る。そこにJ. Peter Robinsonのキーボードが加わり、ハモンド・オルガンのうねりや、クラシカルな弦の響きが差し込まれる構成。ブルース・ロックの筋肉質な感触と、アート・ロック、シンフォニック・ロック寄りの装飾性が同居している印象。
録音の雰囲気は比較的ストレートで、音数は多いが輪郭は見えやすいタイプ。曲によっては展開が細かく、リフの切り替えやブレイクが目立つ。とくに「Laughin’ Tackle」では、弦楽器の大編成が加わり、ロック・バンドの枠を広げるような作りになっている。
作品の位置づけ
Quatermassは短命だったバンドで、このアルバムが唯一の作品。バンド名はBBCのSFドラマに由来し、70年代初頭の英国ロックらしい、ロックと物語性の近さも感じさせる。後年の活動につながる人脈も多く、John GustafsonはのちにBulletを結成し、Mick UnderwoodはEpisode Sixへと進む。
また「Black Sheep of the Family」は、のちにRainbowが最初に録音した曲としても知られている。そうした意味でも、このアルバムは単独作でありながら、周辺シーンへの接点がいくつも見える一枚。
同時代の文脈
1970年前後のUKでは、ブルース・ロックを土台にしながら、キーボード主体の展開やクラシカルな要素を取り込むバンドが増えていた時期。Quatermassもその流れの中で、ハードな演奏力と構築的なアレンジを両立させた作品として位置づけられる。The Niceのような鍵盤主体のプログレ、あるいは初期のハード寄り英国ロックを思わせる要素もあり、ジャンルの境目を行き来する内容になっている。
盤について
- アーティスト: Quatermass
- タイトル: Quatermass
- オリジナル・リリース年: 1970年
- 盤のリリース年: 1975年
- 国: UK
- メンバー: Peter Robinson, John Gustafson, Mick Underwood
- ジャンル: Rock
- スタイル: Blues Rock, Art Rock, Prog Rock, Symphonic Rock
トラックリスト
- A1 Entropy
- A2 Black Sheep Of The Family
- A3 Post War Saturday Echo
- A4 Good Lord Knows
- A5 Up On The Ground
- B1 Gemini
- B2 Make Up Your Mind
- B3 Laughin’ Tackle
- B4 Entropy (Reprise)
関連動画
Ovrfwrd – Starstuff (2020)

Ovrfwrd『Starstuff』(2020)
ミネアポリスを拠点に2012年に結成された、米国のインストゥルメンタル・プログレッシブ・ロック・グループ、Ovrfwrdによる『Starstuff』。2020年の作品で、バンドの持つプログレッシブ・ロック志向と、シンフォニック・ロックの要素が前面に出た一枚として捉えやすい内容だ。
作品の輪郭
Ovrfwrdは、歌を中心に置かず、演奏そのものを軸に組み立てるバンド。『Starstuff』でもその方向性は変わらず、楽曲はリズムの切り替えや曲展開、層の厚いアンサンブルで進んでいく構成が想像しやすい。プログレッシブ・ロックらしい組曲的な流れと、シンフォニック・ロック寄りの重厚さが重なったタイプの作品といえる。
サウンドの印象
この手の文脈では、タイトなリズム隊、細かく動くギター、広がりのある音像が重要になるが、『Starstuff』もそうした要素を軸にしているように見える。録音の雰囲気は、楽器の分離感と密度の両方を意識した仕上がりが似合うジャンルで、硬質さと立体感が同居する方向性。派手な歌メロではなく、演奏の推進力で聴かせるタイプの一作だ。
アーティストにおける位置づけ
2012年に活動を始めたOvrfwrdにとって、『Starstuff』はインストゥルメンタル中心のスタイルを示す作品のひとつとして見やすい。バンドのプロフィールからも、演奏面を重視する姿勢がはっきりしていて、この作品でもその方針がそのまま反映されている印象だ。
ジャンルの文脈
2020年のプログレッシブ・ロックは、往年の長尺志向やシンフォニックな構成を踏まえつつ、現代的な音の輪郭や録音の明瞭さを取り入れる流れが目立つ。その中で『Starstuff』は、US発のインストゥルメンタル・プログレとして、演奏の複雑さと音の厚みを両立する方向に位置づけられる作品だ。
Ovrfwrdの公式サイトやSNS、YouTube、SoundCloudでは、バンドの活動や関連音源を確認できる。
トラックリスト
- A1 Firelight (5:37)
- A2 Let It Burn (King George) (5:58)
- A3 Starstuff (5:09)
- B1 Lookup (8:21)
- B2 Daybreak (2:48)
- B3 Zathras (4:35)
- B4 From Parts Unknown (6:25)
Negasphere – Disadvantage (1985)

Negasphere『Disadvantage』について
『Disadvantage』は、1985年に日本でリリースされたNegasphereの作品。日本のネオ・プログレッシブ・バンドとして、1983年から1986年ごろに活動していたグループの中で位置づけられる一枚で、のちに2012年から再始動する以前の時期を代表する記録でもある。
作品の輪郭
ジャンルはロック、スタイルはシンフォニック・ロック、プログ・ロック。タイトルからも伝わるように、硬質なロックの推進力だけでなく、鍵盤や構成の積み重ねを意識した作りが想像しやすい作品だ。1980年代半ばの日本のプログレ周辺らしい、整った演奏と緻密な展開を軸にした内容として捉えられる。
メンバーにはAkira Sato、Seiji Sakano、Kaoru Kawasaki、Hiroyoshi Majima、Shiro Hirata、Shiro Sugano、Hiroshi Tokutake、Toru Yataの名前が並ぶ。編成の厚みがそのままサウンドの層の多さにつながっていそうな印象がある。
サウンドの印象
シンフォニック・ロックとプログ・ロックの組み合わせからは、拍の流れを単純に進めるのではなく、フレーズを細かくつないでいくようなリズム感が浮かぶ。ギター、キーボード、リズム隊がそれぞれの役割を分担しながら、音の密度を作っていくタイプの作品として受け取れそうだ。録音の雰囲気も、当時の日本のロック作品らしい輪郭の見えやすさを持っている可能性がある。
アーティストの流れの中で
Negasphereにとって『Disadvantage』は、活動期の中盤にあたる時期の作品として見える。1980年代前半の日本では、洋楽由来のプログレッシブ・ロックを土台にしながら、独自の構成美や演奏感覚を持つバンドが各地で現れていた。その流れの中で、Negasphereもまたシンフォニックな方向性を持つ一組として記録されている。
まとめ
『Disadvantage』は、1985年の日本のネオ・プログレッシブ・シーンを考えるうえで、Negasphereというバンドの輪郭を確認できる作品。派手さだけで押すというより、構成、演奏、音の重なりで聴かせるタイプのロック作品として整理できる。