Can – Saw Delight (1977)
Can『Saw Delight』について
Canは、ドイツ・ケルンで1960年代後半に結成された実験的ロック・バンドで、クラウトロックを代表する存在として知られている。『Saw Delight』は1977年に発表された作品で、バンドの後期にあたる時期の1枚。Damo Suzuki在籍期の即興性や反復の強さを土台にしながら、70年代後半のCanらしい整理された演奏へと移っていく流れの中にあるアルバムだ。
この作品の位置づけ
Canは初期のマルコム・ムーニー期、そして日本人シンガーのDamo Suzukiを迎えた時期に、ノイズ、マントラ的な反復、ファンク寄りのリズムを組み合わせた独自の音像を作ってきた。『Saw Delight』は、その後の編成で作られた作品で、前衛性を保ちながらも、演奏のまとまりやリズムの輪郭がよりはっきりしている時期の録音として捉えられる。
Canの中では、代表曲「I Want More」(1976)のようなポップな側面が話題になることもあるが、『Saw Delight』はそうしたヒット性よりも、バンドの演奏感覚そのものを追うタイプのアルバムという印象が強い。
サウンドの特徴
本作は、Innerspace Studioで録音され、Delta Acoustic Studioでミックスされている。盤面には「3-D Stereo (Artificial Head Stereo)」の表記があり、空間の広がりを意識した制作であることがうかがえる。Canの作品らしく、音の配置やリズムの粘りが聴きどころになりやすい。
実際に耳を通すと、各楽器が前へ出たり引いたりする感覚があり、単純なロック・バンドの録音というより、スタジオ内での音の組み立てをそのまま作品にしたような印象を受ける。ギター、ベース、ドラム、キーボードが同じ方向へ一直線に進むというより、少しずつずれながら同じグルーヴを保つところにCanらしさがある。
同時代の文脈
1970年代後半のCanは、クラウトロックの文脈の中でも、単なる“電子音楽寄り”でも“ロック寄り”でも片づけにくい立ち位置にいた。Neu!やFaust、Amon Düül IIなどと並べて語られることは多いが、Canの場合は、即興の感覚と反復の設計がより強く結びついている点が特徴的だ。
『Saw Delight』も、その流れの中で、バンドが長年積み重ねてきた演奏方法を確認できる作品として見ることができる。後年の実験音楽やポスト・パンク、ダブ、オルタナティブ・ロックへの接続も、こうしたアルバムの中に見えてくる。
1981年盤について
ここでの盤は1981年の日本盤で、Made in Japan by Victor Musical Industries, Inc.、Virgin Recordsライセンス盤として流通している。日本語インサートとアンケートカードが付属する仕様。価格表記は¥2,000。
オリジナルの作品年は1977年なので、1981年盤はその後の日本での流通盤という位置づけになる。録音内容そのものを追うなら1977年の作品として見るのが自然だが、ジャケットや付属物、当時の日本盤の仕様に関心がある場合は、こうした再プレス盤ならではの資料的な面白さもある。
Canというバンドの流れの中で
Canは、Holger Czukay、Irmin Schmidt、Jaki Liebezeit、Michael Karoliを中心に、メンバーの入れ替わりを経ながら活動を続けた。『Saw Delight』の時期も、そうした変化の中で作られた作品群のひとつで、バンドの長い歴史の中では後期の章にあたる。
代表作として語られるアルバムは多いが、『Saw Delight』は、派手なエピソードや大きなヒット曲で押す作品というより、Canがどのように演奏を組み立て、スタジオで音を彫刻していたかを示す一枚として見えてくる。
まとめ
『Saw Delight』は、1977年のCanを知るうえで重要な後期作品のひとつ。クラウトロックの中心的バンドが、即興と反復の感覚を保ちながら、より整理されたバンド演奏へ向かっていく途中の記録として聴ける。1981年の日本盤は、その作品を日本で受け取るための一枚として、ライセンス盤ならではの存在感を持っている。
トラックリスト
- A1 – Don’t Say No (6:29)
- A2 – Sunshine Day And Night (6:13)
- A3 – Call Me (5:18)
- B1 – Animal Waves (15:20)
- B2 – Fly By Night (4:07)
Far Out – 日本人 = Nihonjin (1973)
Far Out『日本人 = Nihonjin』について
Far Outは、1970年代前半の日本で活動したサイケデリック/プログレッシブ・ロック・バンド。『日本人 = Nihonjin』は1973年発表の作品で、バンドの初期を代表する1枚として扱われることが多いタイトルだ。今回の盤は2019年の再発盤で、Nippon Columbiaのオリジナル・マスターテープから直接制作された公式アナログ復刻盤になっている。
作品の位置づけ
Far Outは、国内のハードなロックやアンダーグラウンドなサイケデリック表現が広がっていた時期の日本のバンドのひとつで、同時代の日本ロック史の流れの中でも存在感があるグループだ。Fumio Miyashita、Keiju Ishikawa、Manami Arai、Eiichi Sayuの編成で残したこの作品は、グループの初期像をつかむうえで重要な資料的意味も持つ。
タイトルの『日本人 = Nihonjin』という直球の名付けからも、当時の日本語ロックや日本的な感覚を意識した空気がうかがえる。洋楽の影響を受けながらも、国内シーンの中で独自の立ち位置を作ろうとしていた時期の記録という見方ができる。
音の印象
この盤は、サイケデリック・ロックとプログレッシブ・ロックを軸にした作品として整理されている。演奏の推進力、曲展開の切り替え、楽器の重なりがポイントになりやすいタイプのレコードで、70年代初頭の日本のロックらしい緊張感が出やすい内容だ。ライブ写真付きの折り込みインサートが付属していることからも、当時のステージの熱量を含めて作品世界を伝えようとした盤面だとわかる。
実際の聴感としては、オリジナル・マスターテープからの復刻という点が大きい。再発盤でも音の芯や分離を意識した作りになりやすく、オリジナル盤の雰囲気をできるだけ保ったうえで聴きやすさを確保する方向の復刻といえる。ゲートフォールド仕様で、オビやブックレットの再現もあり、当時の日本盤らしいパッケージ性も再確認できる。
再発盤としての特徴
- 2019年の公式アナログ再発盤
- オリジナル・マスターテープ使用
- ゲートフォールド・スリーブ仕様
- オリジナル付属ブックレットの復刻
- オビの再現付き
- 当時のライブ写真を収めた2ページ折り込みインサート付き
盤面表記は、スパインが008LP、バックが008、ラベルがEPS 008。バックとラベルには℗ 1973, 2019 Nippon Columbia Co., Ltd.、© 2019 The Everland Music Group、Made in Europeのクレジットが入る。オリジナル作品の空気を残しながら、2019年の国際流通向けに整えられた再発盤という形だ。
同時代の文脈
1973年の日本のロックは、サイケデリック、ハードロック、長尺の組曲的展開、英米のプログレッシブ・ロックの影響が混ざり合っていた時期だ。Far Outもその流れの中にあり、国内の同系統バンドと並べて語られやすい。欧米のサイケデリックやプログレの文法を参照しつつ、日本のバンドとしてのテンションや土着感をどう出すか、その試行のひとつとして見ておくと輪郭がつかみやすい。
まとめ
『日本人 = Nihonjin』は、1973年の日本のサイケデリック/プログレッシブ・ロックを知るうえで外しにくいFar Outの代表的な作品のひとつ。2019年の再発盤は、オリジナルの資料性を保ちながら、付属物まで含めて当時のレコード体験を復元した内容になっている。作品そのものの存在感に加えて、パッケージ面でも70年代初期の日本盤らしさが見える1枚だ。
トラックリスト
- A – Too Many People (17:55)
- B – 日本人 = Nihonjin (19:52)
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Tenjo Sajiki – 身毒丸 (1978)
Tenjo Sajiki『身毒丸』について
Tenjo Sajikiは、寺山修司を中心に1967年に結成された日本のアンダーグラウンド劇団で、演劇、音楽、映像、詩をまたいだ活動で知られる存在だ。この『身毒丸』は、そうした天井桟敷の活動の中でも、舞台作品と音楽が強く結びついた一枚として位置づけられる作品である。オリジナルは1978年の作品として扱われており、2022年には盤として再登場している。
作品の輪郭
タイトルの『身毒丸』は、寺山修司の代表的な舞台作品のひとつとして知られる題材だ。天井桟敷の文脈では、単なる「サウンドトラック」以上に、舞台上の身体表現や物語の緊張感を音で支える役割が大きい。ジャケットやクレジットを見ても、寺山修司、横尾忠則、J・A・シーザー、カルメン・マキ、九條映子ら、天井桟敷を象徴する面々が並び、この集団の総合芸術的な性格がそのまま表れている。
音楽面では、J. A. Seazerによる劇伴の流れを軸に、サイケデリック・ロックの要素が前面に出る。ロックの形式に収まりきらない進行や、舞台作品らしい緊張の持続、コーラスや反復の使い方が特徴として挙げられる。一般的な歌謡曲的な起伏よりも、場面を切り替えるための音、あるいは儀式的に積み上がる音の連なりとして聴こえるタイプの作品だ。
天井桟敷の中での位置づけ
天井桟敷は、寺山修司の演劇活動を核に、音楽家、美術家、俳優が交差する場だった。その中で音楽は付随要素ではなく、舞台そのものの一部として機能している。『身毒丸』もその流れにある作品で、劇団の美学である言葉、歌、身体、絵画的なイメージが一体化した例といえる。
参加メンバーを見ると、J. A. Seazerだけでなく、横尾忠則、カルメン・マキ、九條映子、東由多加、萩原朔美、佐々木英明、山本百合子らが名を連ねる。音楽作品でありながら、演劇公演の記録としての性格も強い顔ぶれだ。
同時代の文脈
1970年代後半の日本では、ロックが単なるバンド・サウンドにとどまらず、演劇や前衛芸術と結びつく動きが見られた。天井桟敷の音楽は、その中でもかなり独自の位置にある。比較の軸としては、アングラ演劇と接続した表現という点で、一般的なロック作品とはかなり異なるし、劇伴としての機能を強く持つ点では映画音楽や舞台音楽にも近い。ただし、演劇のための音でありながら、単体のレコードとしても成立する強度を持つところが、この作品群の面白さだ。
2022年盤について
2022年に出た盤は、1978年のオリジナル作品をあらためて聴ける形にしたものとして見てよさそうだ。オリジナル盤と再発盤の違いとしては、一般に音質の整え方や収録体裁、クレジット表記の更新がありうるが、この作品については盤ごとの細かな差異を確認できる情報は前提に置かれていない。少なくとも、作品の核は1978年の『身毒丸』にある。
聴きどころ
- 寺山修司の舞台世界と直結した構成
- J. A. Seazerの劇音楽らしい反復と緊張感
- カルメン・マキらの参加が示す、歌と演劇の接点
- 天井桟敷らしい、美術・言葉・音の混線
まとめ
『身毒丸』は、Tenjo Sajikiの活動を語るうえで外せない、演劇と音楽の境界にある作品だ。ロック、サウンドトラック、舞台芸術という複数の文脈にまたがりながら、寺山修司と天井桟敷の方法論をそのまま音にしたような一枚として捉えられる。1978年のオリジナル作品としての重みと、2022年盤であらためて触れられる現在性、その両方を持つタイトルである。
トラックリスト
- A1 – 慈悲心鳥
- A2 – 撫子かくし
- A3 – 髪切虫
- A4 – 家族合わせ
- A5 – 地獄のオルフェ
- B1 – 藁人形の呪い
- B2 – 復讐鬼
- B3 – 阿梨樹墜つ
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The Moody Blues – Seventh Sojourn (1972)
The Moody Blues『Seventh Sojourn』について
The Moody Bluesは、1964年にイングランドのバーミンガムで結成されたロック・グループで、2018年にはロックの殿堂入りも果たしたバンドだ。フルート、キーボード、ギター、ベース、語りを含む編成で知られ、1960年代後半から1970年代前半にかけて、演奏と曲作りの両面で独自の存在感を築いていった。
『Seventh Sojourn』は、1972年に発表された8作目のスタジオ・アルバム。日本盤は1973年リリースで、OBI付き・小型ブックレット付きの仕様になっている。
作品の位置づけ
このアルバムは、The Moody Bluesのいわゆる黄金期の終盤に置かれる作品だ。前作までに確立されていた、メロディ重視のロックにシンフォニックな感触や内省的な歌詞を重ねる作風が、この時点でもはっきりしている。バンドとしては、1960年代末から続いてきたアルバム単位での完成度の高さを、そのまま1972年まで引き継いだ一枚という印象がある。
音の特徴
『Seventh Sojourn』は、The Moody Bluesらしい厚みのあるアレンジと、各メンバーの役割がはっきりした演奏が中心にある作品だ。Justin Haywardのギターと歌、John Lodgeのベースと歌、Mike Pinderのキーボード、Ray Thomasのフルートやハーモニカ、Graeme Edgeのドラムが、それぞれに曲の輪郭を作っている。プログレッシブ・ロックの文脈でも語られることがあるが、演奏が過度に技巧へ寄りすぎず、曲の流れを保っているところにこのバンドらしさがある。
同時代の英国ロックでは、YesやGenesisのように構成の複雑さを前面に出す流れが強まっていた一方で、The Moody Bluesはメロディと歌の比重を保ったまま、サウンドの広がりを作っていた。そこが比較されやすい点でもある。
代表曲について
収録曲の中では「Isn’t Life Strange」が知られている。オーケストラ的な広がりを感じさせる展開と、バンドのメロディ志向がまとまった曲として扱われることが多い。The Moody Bluesの代表的な一面、つまり叙情性の強い歌と分厚い音像が、この曲にもよく出ている。
また、アルバム全体を通して、派手な一曲で押すというより、曲ごとの雰囲気と流れで聴かせる構成になっている。作品単位で追うタイプのバンドらしさが、そのまま表れた内容だ。
聴きどころの整理
- Justin Haywardの歌とギターの安定感
- Mike Pinderのキーボードが作る空間
- Ray Thomasのフルートやハーモニカの色付け
- John Lodgeのベースが支える曲の推進力
- 1972年時点の英国ロックらしい構成感とメロディ感
日本盤としての見どころ
この盤は1973年の日本盤で、OBIと小型ブックレット付きという点が特徴になる。オリジナルの1972年盤をそのまま追うのではなく、1973年時点の日本で流通した仕様として見ると、当時の輸入盤・国内流通盤の空気も感じやすい。ジャケットや付属物を含めて楽しむタイプのレコードだ。
まとめ
『Seventh Sojourn』は、The Moody Bluesが1960年代から積み上げてきたメロディ志向、内省的な歌、厚いアレンジを、1972年の時点で整理して示したアルバムだ。派手な変化を狙う作品というより、バンドの持ち味をそのまま作品としてまとめた一枚、という見方がしやすい。
トラックリスト
- A1 – Lost In A Lost World (4:42)
- A2 – New Horizons (5:11)
- A3 – For My Lady (3:58)
- A4 – Isn’t Life Strange (6:09)
- B1 – You And Me (4:21)
- B2 – The Land Of Make-Believe (4:52)
- B3 – When You’re A Free Man (6:06)
- B4 – I’m Just A Singer (In A Rock And Roll Band) (4:18)
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Pink Floyd – Original Motion Picture Soundtrack From The Film “More” (1969)
Pink Floyd『Original Motion Picture Soundtrack From The Film “More”』
Pink Floydが1969年に発表した、Barbet Schroeder監督の映画『More』のサウンドトラック盤である。バンドにとっては3作目のスタジオ・アルバムであり、同時に初の映画音楽作品でもある。サイケデリック期のPink Floydをそのまま記録したような内容で、のちの大作志向とは少し違う、短い曲を中心にした構成になっている。
作品の位置づけ
この時期のPink Floydは、Syd Barrett脱退後の編成を固めつつあった段階にある。中心メンバーはRoger Waters、Nick Mason、Richard Wright、そしてDavid Gilmour。映画音楽という用途があるぶん、通常のアルバムよりも場面ごとの切り替わりがはっきりしていて、楽曲の長さや展開も比較的コンパクトである。
1969年のPink Floydは、実験性の強いサイケデリック・ロックの文脈にありながら、フォーク寄りの曲調や、当時の映画サウンドトラックらしい用途性も備えている。後年の『The Dark Side of the Moon』や『Wish You Were Here』のような統一感の強い作品群とは異なり、この段階ではまだ曲ごとの性格がかなりはっきりしている。
収録曲と聴きどころ
このアルバムには、のちに単独でも語られる曲がいくつか入っている。代表的なのは「Cymbaline」「Green Is the Colour」「Crying Song」あたりで、いずれも映画の空気に沿った、抑えめの演奏が印象に残る。
「Cymbaline」: 物語性のある曲調で、映画音楽としての役割が強い楽曲
「Green Is the Colour」: アコースティックな感触が前に出る曲
「Crying Song」: 短い尺の中でメロディが立つ曲
「The Nile Song」: この作品の中では異質な、硬いギターが前に出る曲
特に「The Nile Song」は、Pink Floydの初期作品の中でもかなり強い音像を持つ曲として知られる。映画サウンドトラックという枠の中で、こうした直線的なロック・ナンバーが入っているのが面白い点である。
同時代の文脈
1969年前後の英ロックでは、映画との接点を持つ作品が少なくないが、『More』はその中でも、バンドの持ち味をそのまま映画用に流し込んだタイプに入る。サイケデリック・ロック、フォーク・ロック、映画音楽の要素が同居していて、同時代の実験的な作品群、たとえば関連性のあるアート・ロックやプログレッシブ・ロックの流れとも地続きに感じられる。
ただし、この時点ではまだ巨大なコンセプト作品というより、楽曲単位の密度や色分けが前に出る。Pink Floydが後に築く“アルバム全体で聴かせる”形式への途中経過として見ると、位置づけが分かりやすい。
US盤の再発について
ここでの盤は、USのHarvest再発盤として出たもの。オリジナルのUS盤はTowerからのリリースで、再発盤ではレーベル表記やプレス工場が異なる。記録上、Winchester plantでプレスされたことが示されている。
また、ラベル上の表記に「B2」の曲名の綴り違いがあり、サイドBのランアウト表記も通常のものと異なる点がある。こうした細かな差は、当時の再発盤らしい個体差として見ておくとよい。
まとめ
『More』は、Pink Floydの初期サウンドを映画のためにまとめた作品である。サイケデリックな曲、フォーク寄りの曲、やや硬質なロックが同居し、のちの大規模なアルバム作品とは違う、1969年のバンドの姿がそのまま残っている。代表曲としては「Cymbaline」「Green Is the Colour」「The Nile Song」などが挙げられる。
映画音楽としての機能を持ちながら、Pink Floydらしい音の扱いもすでに見えている作品だといえる。
トラックリスト
- A1 – Cirrus Minor (5:16)
- A2 – The Nile Song (3:24)
- A3 – Crying Song (3:25)
- A4 – Up The Khyber (2:07)
- A5 – Green Is The Colour (2:53)
- A6 – Cymbaline (4:45)
- A7 – Party Sequence (1:10)
- B1 – Main Theme (5:27)
- B2 – Ibiza Bar (3:17)
- B3 – More Blues (2:13)
- B4 – Quicksilver (7:03)
- B5 – A Spanish Piece (1:00)
- B6 – Dramatic Theme (2:11)
Galliard – Strange Pleasure (1970)
Galliard『Strange Pleasure』について
Galliardの『Strange Pleasure』は、1968年にバーミンガムで結成されたUKのプログレッシブ/ジャズ・ロック・バンドによる初期作品のひとつで、オリジナルは1970年に発表されたアルバムだ。Galliardは同年にDeramから2作を残しており、この『Strange Pleasure』はその1枚目にあたる。翌年には解散しているため、活動期間は短いが、70年代初頭の英国ロックの流れの中では、フォーク色とサイケデリックな感触を含んだ作品として位置づけられている。
作品の位置づけ
バンドのプロフィールを見ると、GalliardはBirmingham出身の進歩的なロック・バンドであり、ジャズ・ロック寄りの演奏感を持ちながら、メロディや曲調にはフォーク・ロック、サイケデリック・ロックの要素も見える。『Strange Pleasure』は、そうした複数の要素がまとまった初期の記録として捉えやすい。バンドの後続作『New Dawn』と並べて語られることが多いが、こちらはデビュー期の輪郭を示すアルバムという印象が強い。
盤の情報と再発について
ここで扱う盤は2007年リリースのヨーロッパ盤で、カバーには「Limited Edition of 500 Copies」とあり、シュリンクの黄色ステッカーには「TPT 245, 180 gram virgin vinyl」と記載されている。オリジナルの1970年盤とは発売時期が異なる再発盤で、コレクション用途の仕様を持つ一枚だ。ジャケット裏面には、メンバー表記のLes Podrazaの名前が消され、ニックネームのBeppaが書き込まれている。こうした細部は、資料性のある再発盤らしい特徴と言える。
バンドの文脈
Galliardは、同時代の英国のプログレッシブ・ロックやジャズ・ロックの周辺にいるバンドとして見ておくとわかりやすい。バーミンガムという土地柄も含め、ロンドン中心ではないローカルな英国ロックの流れの中で成立したグループだ。プログレッシブな構成感と、フォーク寄りの語り口、サイケデリックな色合いが同居するタイプの作品として、70年前後の英国ロック史をたどるときに名前が挙がる存在だ。
収録曲について
この作品の中で広く知られた代表曲が定番化している、というタイプではない。少なくともGalliardは、シングル・ヒットで知られるバンドというより、アルバム単位で語られるグループだ。作品を通して聴くと、曲ごとの展開や演奏の組み立てにバンドの個性が出るタイプのアルバムと言える。
まとめ
『Strange Pleasure』は、Galliardの活動初期を示す1970年作であり、バーミンガム発の英国ロックとしての輪郭を持ったアルバムだ。フォーク・ロック、サイケデリック・ロック、ジャズ・ロックの要素が同居する70年代初頭らしい空気をまといながら、短命だったバンドの足跡を伝える一枚として見ておきたい。
トラックリスト
- A1 – Skillet (3:44)
- A2 – A Modern Day Fairy Tale (3:15)
- A3 – Pastorale (2:29)
- A4 – I Wrapped Her In Ribbons (3:51)
- A5 – Children Of The Sun (3:45)
- B1 – Got To Make It (4:00)
- B2 – Frog Galliard (3:22)
- B3 – Blood (3:47)
- B4 – Hear The Colours (3:47)
- B5 – I Wanna Be Back Home (4:49)
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Drnwyn – Gypsies In The Mist (1978)
Drnwyn『Gypsies In The Mist』について
Drnwynの『Gypsies In The Mist』は、1978年にオリジナル・リリースされた作品で、USのacid-psych-folk-rockバンドとして紹介されるグループの記録になっている。盤は2007年に出ており、ここでは1978年当時の作品として扱うのが自然だろう。レコード情報では、録音とミックスはオハイオ州セーラムのWilderland Recording Studiosで行われたとされている。
作品の輪郭
クレジットに並ぶメンバーは、Randy Pregibon、David W. Hoag、Cheryl McIlvaine、Kevin McIlvaine、John Volio、Nancy Fannin、Larry Davis。複数名が参加している編成で、フォークロックを土台にしながら、acid rockやpsychedelic rockの要素を重ねたバンド作品として見える。ジャンル表記もRock、Blues、Folk Rock、Acid Rock、Psychedelic Rock、Psychedelicと幅がある。
タイトル曲『Gypsies In The Mist』が作品名を担っている点からも、アルバム全体の雰囲気を象徴する曲として置かれている可能性が高い。1970年代後半のアメリカのアンダーグラウンドなフォーク/サイケデリック系作品に通じる、手作り感のある私家盤の空気を持つ作品として整理できる。
オリジナル盤と再発盤の位置づけ
オリジナルは1978年の私家盤として800枚限定でリリースされたと記録されている。2007年盤はその後に出た再発盤で、作品そのものの年代は1978年に置かれる。こうした再発盤では、音源内容は同じでも、レコードの入手経路や流通の範囲が大きく変わることが多い。『Gypsies In The Mist』も、もともと限られた枚数で出た作品として扱われている。
聴きどころとして見える点
実際の音を確定的に述べることはできないが、クレジットとスタイル表記からは、アコースティックな楽器運びを軸にしつつ、ブルース寄りの感触やサイケデリックな展開が差し込まれる構成が想像しやすい。USの70年代フォークロックやアシッド・フォーク周辺の文脈に置くと、同時代のローカルな私家盤らしい作り込みの作品群の一つとして見えてくる。
作品の背景
この作品は、商業的な大規模リリースというより、限定枚数で作られた自主制作盤の文脈にある。1978年という時期は、一般的なロックの主流から見ると少し遅い年代にもあたり、そこにフォークロックやサイケデリックの感触を持ち込んでいる点が、このレコードの性格をよく示している。アメリカの70年代ローカル・サイケやフォーク系の私家盤を追う流れの中で、名前が挙がるタイプの作品といえる。
まとめ
『Gypsies In The Mist』は、Drnwynが1978年に残した私家盤のフォークロック/サイケデリック作品。録音地や参加メンバーが明記されており、当時のローカルな制作環境と、ブルースや酸性ロックの要素を含むバンドの輪郭が見えやすい一枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Empty Bars (4:55)
- A2 – Summer Sun (4:36)
- A3 – Secrets Of The Past (4:50)
- A4 – Brothers (3:03)
- A5 – Move A Mountain (5:02)
- B1 – Gypsies In The Mist (6:27)
- B2 – Places, Faces, Pages (5:26)
- B3 – The Madman And The Angel (5:22)
- B4 – Something To Hang On To (5:17)
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Various – The Psychedelic Snarl (1984)
The Psychedelic Snarl / Various
1984年にUKのBam-Caruso Recordsから出たコンピレーション盤。タイトルどおり、1960年代のUKサイケデリック・ロック/フリークビート系の音源を集めた編集盤で、裏ジャケットには「Choice U.K. Psychotic Freakbeat from the sixties.」とある。オリジナル・マスターテープからの収録をうたい、当時のシーンをまとまった形で追える作りになっている。
作品の性格
このレコードは単なる曲寄せ集めではなく、各バンドの詳細や当時のギグ広告の複製を載せた8ページのブックレット付きで、資料性の高い編集盤になっている。厚手の黒いインナー・スリーブが付属し、パッケージ面でもコレクター向けの作りがはっきりしている。
収録曲は、レーベル表記から見るとPhilips、Fontana、DJMなどに残された音源が中心。サイケデリック・ロックの文脈の中でも、いわゆる大きなヒット曲を並べるというより、60年代UKのローカルなグループや、シングル単位で残った録音を掘り起こす性格が強い。Bam-Carusoらしい、埋もれた音源の再提示という役割を持つ一枚といえる。
収録内容と聴きどころ
曲順全体を通してみると、ギターの歪み、オルガン、モノラル録音らしい密度のある鳴りが目立つ。サイケデリックという言葉から想像される長尺の展開よりも、フリークビート寄りの推進力と、60年代後半のスタジオ実験が同居するタイプの曲が並ぶ構成。1曲ごとのキャラクターがはっきりしていて、コンピレーションとしてのメリハリが出ている。
ブックレットやクレジット面も含めて、当時のUKアンダーグラウンド・シーンを俯瞰する資料として機能する内容。裏ジャケットの表現どおり、心理的な浮遊感よりも、少し荒く、直進的で、ロックの手触りが前に出た音像が中心だ。
クレジット面の注意点
Living Daylightsのクレジットには誤記があり、Curt CresswellとBob Heatherの名前が記されているが、Bob Heatherの正しい綴りはHoatherとされる。また、この2名はそのバンドのメンバーではなく、当該録音にも参加していないとされている。こうした点も、資料盤らしい一面として押さえておきたい。
レーベルと時代背景
Bam-Caruso Recordsは、60年代英国ロックの再発掘で知られるレーベル。1980年代前半は、サイケデリックやフリークビートの再評価が進み、オリジナル盤の価値が改めて見直されていた時期でもある。この盤も、その流れの中で企画された編集盤として位置づけられる。
同時代のUKサイケ再発コンピと比べても、単なる定番集というより、レーベル横断で「当時の空気」をまとめた印象が強い。ジャケットに使われたP. St. John Nettletonの“The Third Beast In The Vase”も含め、音だけでなくアートワークまで含めて60年代UKの断片を束ねた作りになっている。
まとめ
The Psychedelic Snarlは、1960年代UKのサイケデリック/フリークビートを1984年の視点で再構成したコンピレーション盤。オリジナル盤のシングル音源を中心に、資料性の高いブックレットとあわせて、当時のローカルなバンド群を立体的に見せる内容になっている。編集盤としての骨格がしっかりした一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Atmospheres
- A2 – Faster Than Light
- A3 – Woman Of Distinction
- A4 – It’s All Over Now
- A5 – Always With Him
- A6 – Never Had A Girl Like You Before
- A7 – Cast A Spell
- A8 – The Spider And The Fly
- B1 – Rumble On Mersey Square South
- B2 – Magic Potion
- B3 – Let’s Live For Today
- B4 – I Must Be Mad
- B5 – I Will
- B6 – Grey
- B7 – Save My Soul
- B8 – The Morning After
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Big Brother & The Holding Company – Cheap Thrills = チ―プ・スリル (1968)
Big Brother & The Holding Company『Cheap Thrills』について
Big Brother & The Holding Companyの『Cheap Thrills』は、1968年に発表されたアルバムで、Janis Joplinが在籍していた時期の代表作として知られる作品だ。サンフランシスコのブルースロック/サイケデリック・ロック周辺の空気を、そのまま閉じ込めたような一枚である。
バンドは1965年にサンフランシスコで結成され、ギターのJames Gurley、Sam Andrew、ベースのPeter Albin、ドラムのDave Getzという編成を軸に活動した。そこにJanis Joplinのボーカルが重なったことで、グループの存在感は大きく変わった。『Cheap Thrills』は、その組み合わせが最も強く刻まれた作品のひとつといえる。
作品の位置づけ
このアルバムは、Big Brother & The Holding Companyにとって最も広く知られるタイトルだ。グループ名義ではあるが、実際にはJanis Joplinのボーカルが作品全体の印象を決定づけている。バンド側のざらついた演奏と、Joplinの声の強さがぶつかり合う構図が、この作品の核になっている。
同時代のサンフランシスコ勢、たとえばJefferson AirplaneやGrateful Deadと並べて語られることも多いが、『Cheap Thrills』はその中でもブルース色の出し方がはっきりしている。サイケデリックな時代の空気を持ちながら、根っこにはブルースの歌い回しとバンドの生演奏感がある。
収録曲と代表曲
この作品でまず挙がるのは「Piece of My Heart」だろう。もともと広く知られた曲だが、Janis Joplinの歌唱で決定的に印象づけられた。荒い呼吸感と、フレーズの押し出しの強さが前面に出る。
もうひとつ重要なのが「Summertime」。George Gershwinの楽曲を、ロックの文脈で再解釈した形で収めている。テンポの置き方や声の伸ばし方に、原曲とは違う緊張感がある。
ほかにも「Ball and Chain」など、ライブでの熱量を思わせる曲が並ぶ。アルバムの中にはBill GrahamのFillmore Auditoriumで録音されたライブ素材も含まれており、スタジオ盤でありながら、会場の空気がはっきり残っている。
日本盤LPの特徴
今回の盤は1974年の日本盤。オリジナルの1968年盤とは別に、日本でCBS/SONYから製造された一枚で、帯付き、10インチの歌詞インサート、そしてCBSのプラスチック内袋が付属する仕様だ。
ジャケット裏面には「Manufactured by CBS/SONY INC.(Tokyo Japan)」の表記があり、日本で流通した盤であることが確認できる。オリジナル盤の初出時とはパッケージ面の細部が異なる、日本盤らしい作り込みがポイントになる。
聴きどころ
この作品の聴きどころは、演奏の整い方よりも、歌とバンドが同じ方向に突っ込んでいく感じにある。Janis Joplinのボーカルは、ただ強いというより、言葉を押し出す圧がある。その上で、ギターがやや荒れた質感のまま絡むので、曲ごとの勢いが途切れにくい。
また、スタジオ録音とライブ録音が混ざることで、アルバム全体の温度差が一定ではない。そのぶん、曲ごとの表情の違いが出やすい作品でもある。
まとめ
『Cheap Thrills』は、Big Brother & The Holding Companyのバンド性と、Janis Joplinの存在感が最も強く結びついたアルバムだ。1968年当時のサンフランシスコ・ロックの文脈の中でも、ブルース由来の歌と演奏を前に出した一枚として位置づけやすい。
1974年の日本盤は、帯や歌詞インサートを備えた当時の国内仕様で、オリジナル盤とは別の形でこの作品を手元に置ける盤といえる。
トラックリスト
- A1 – Combination Of The Two = ふたりだけで (5:40)
- A2 – I Need A Man To Love = 愛する人が欲しい (4:53)
- A3 – Summertime = サマータイム (3:58)
- A4 – Piece Of My Heart = 心のカケラ (4:12)
- B1 – Turtle Blues = タートル・ブルース (4:22)
- B2 – Oh, Sweet Mary = オー、スィート・マリー (4:17)
- B3 – Ball And Chain = ボールとチェーン (9:31)
The Battered Ornaments – Mantle Piece (1969)
The Battered Ornaments『Mantle Piece』
The Battered Ornamentsは、Creamの作品でも知られる作詞家Pete Brownが、Cream解散後に組んだロック・バンドである。1969年に結成され、Brownのボーカルとトランペットを軸に、Chris Spedding(ギター)、Charlie Hart(オルガン、バイオリン)、George Khan(サックス)、Butch Potter(ベース)、Rob Tait(ドラムス)、Pete Bailey(パーカッション)らが参加していた。
『Mantle Piece』は、その流れの中で完成したセカンド・アルバムで、オリジナルは1969年の作品。UK制作の作品として、当時のブリティッシュ・ロックがジャズやサイケデリックな要素を取り込んでいた時期の空気がよく出ている。録音はロンドンのE.M.I. Studios, St John’s Woodで行われている。
作品の位置づけ
このバンドにとっては、Pete Brownが主導したプロジェクトのひとつとして見ていくと分かりやすい。The Battered Ornamentsは、初期LP『A Meal You Can Shake Hands With in the Dark』に続いて本作を残し、その後にBrownが離脱したことで、バンドの形も変わっていく。つまり『Mantle Piece』は、バンドの初期活動をまとめるうえで重要な一枚という位置づけになる。
クレジット面ではやや事情がある。オリジナルLPのクレジットが再発盤にそのまま載っているわけではなく、GI Recordsの限定的な再発シリーズでは、収録音源のライセンスのみを得ていたため、ジャケットは白紙に近い体裁で、タイプライター風の最小限の情報だけが記されている。1982年盤は、そうした再発の文脈で出たものとして見るとよさそうだ。
音の方向性
ジャンル表記ではJazz、Rock、Pop、スタイルではProg Rock、Experimental、Psychedelic Rockにまたがる。実際、この時期の英国ロックらしく、曲の骨格はロックに置きつつ、サックスやオルガン、バイオリンが前に出る場面もある。Chris Speddingのギターも、後年のソロ活動を知っていると、かなり早い時期から輪郭のはっきりした演奏をしていたことが分かる。
また、Pete BrownがCreamで見せたような、歌詞の感覚や言葉の運びを期待すると、ここでもその延長線上の作家性が感じられる。Cream解散直後の時代背景を踏まえると、単なるサイド企画ではなく、ブリティッシュ・ロックの拡張路線の中に置ける作品と言えそうだ。
メンバーと録音
- Rob Tait
- Chris Spedding
- George Khan
- Butch Potter
- Nisar Ahmad Khan
録音場所がE.M.I. Studios, St John’s Wood, Londonと明記されている点も、この時代の英国制作盤らしい。スタジオ作品としてのまとまりを重視した作りが想像しやすい。
まとめ
『Mantle Piece』は、Pete Brownを中心にしたThe Battered Ornamentsが1969年に残したセカンド・アルバムで、UKロックの中でもジャズや実験性を取り込んだ一枚として位置づけられる。オリジナル盤の文脈を知ると、後年の再発盤の簡素な装丁も含めて、作品の周辺情報まで含めて面白いレコードである。
トラックリスト
- A1 – Sunshades
- A2 – Late Into The Night
- A3 – Then I Must Go
- A4 – The Crosswords And The Safety Pins
- B1 – Staggered
- B2 – Twisted Track
- B3 – Smoke Rings
- B4 – Take Me Now
- B5 – My Love’s Gone Far Away
関連動画
- The Battered Ornaments “Mantle-Piece” Full Album 1969
- The Battered Ornaments – My Love’s Gone Far Away (1969) HQ
- The Battered Ornaments – Sunshades
- The Battered Ornaments. Late Into The Night
- Battered Ornaments – Take Me Now
- The Battered Ornaments – The Crossword and the Safety Pins
- Smoke Rings
- The Battered Ornaments-Living Life Backwards-1969-[UK PSYCH ROCK]
- Then I must go
- The Battered Ornaments – My Love’s Gone Far Away
The Holy Modal Rounders – Indian War Whoop (1967)
The Holy Modal Rounders『Indian War Whoop』について
The Holy Modal Roundersは、1960年代のニューヨーク・ロウアー・イースト・サイドで結成された、Peter StampfelとSteve Weberを中心とするアメリカのフォーク・グループだ。フォークを土台にしながら、ユーモアや逸脱感をそのまま持ち込んだ作風で知られ、この『Indian War Whoop』は1967年発表の作品として位置づけられる。
この盤は2004年リリースのイタリア盤。オリジナルの時代感を伝える作品を、後年に再び手に取れる形にした再発盤として見るのが自然だ。The Holy Modal Roundersのディスコグラフィーの中でも、素朴なアコースティック・フォークだけでは収まらない側面が前に出る時期の一枚として扱われることが多い。
作品の輪郭
収録メンバーにはPeter Stampfel、Steve Weberに加えて、Jeff Baxter、Sam Shepard、Lee Crabtree、Robin Remaily、Robert Nickson、John Wesley Annas、Michael McCartyの名が並ぶ。クレジット上でも、中心のデュオに複数の演奏者が加わった編成であることがわかる。
ジャンル表記はRock、Blues、Non-Music、Folk、World、& Country、スタイルはCountry Blues、Comedy、Psychedelic Rock、Avantgarde、Folk。実際の音像も、伝統的なフォークやブルースの要素をベースにしながら、歌の運びやアレンジにひねりを入れたものとして受け止められるだろう。少なくとも、まっすぐなトラディショナル再演だけの記録ではない。
アーティストの中での位置づけ
The Holy Modal Roundersは、アメリカン・フォークの文脈にいながら、後のサイケデリック・フォークやアウトサイダー的な感覚にも近い距離を持つグループとして語られることがある。『Indian War Whoop』も、その流れの中で、既存のフォーク像を少し外したところに置かれる作品と見てよさそうだ。
同時代のフォーク・リバイバルと比べると、より整った伝承再現よりも、脱線や滑稽さ、粗さを含んだ演奏の印象が強い。Folkways系のストレートな収集記録や、より後年のシンガーソングライター作品とは、方向性がかなり異なる。
曲と聴きどころ
この作品について、広く知られた大ヒット曲というよりは、グループの持つ独自の感触をまとまって味わうタイプの一枚と捉えるほうが近い。曲ごとの流れの中で、ブルース由来のフレーズ、フォークの歌い回し、意図的に外したようなユーモアが行き来するところに、このグループらしさがある。
もし実際に耳を通すと、演奏のよれ方や歌の距離感が、きっちりしたスタジオ作品というより、場の空気ごと切り取ったように感じられる場面があるかもしれない。そこがこの手の作品の面白さでもある。
再発盤として見ると
2004年のイタリア盤として流通しているこのレコードは、1967年のオリジナル作品を後年に聴き直すための版といえる。オリジナル盤との細かな仕様差まではここでは断定しないが、少なくとも作品そのものの時代性は1967年に属する。
つまり『Indian War Whoop』は、The Holy Modal Roundersの持つ奇妙さとフォークの接点を確認できる記録であり、1960年代アメリカン・フォークの周縁を見渡すうえでも興味深い一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Indian War Whoop
- A2 – Sweet Apple Cider
- A3 – Soldier’s Joy
- A4 – Cocaine Blues
- A5 – Sky Divers
- B1 – Radar Blues
- B2 – The I.W.W. Song
- B3 – Football Blues
- B4 – Bay Rum Blues
- B5 – Morning Glory
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Can – Can (1978)
Can『Can』について
Canは、1960年代末にケルンで結成されたドイツの実験音楽/ロック・バンドである。ジャキ・リーベツァイトの一定したリズム、イルミン・シュミットの鍵盤、ホルガー・シュカイの編集的なベース/テープ処理、マイケル・カローリのギターを軸に、サイケデリック・ロック、スペース・ロック、実験音楽を行き来する作風で知られる。
本作『Can』は1978年に登場した作品で、バンド名をそのまま冠したタイトル盤。レーベルや流通の事情で別名義でも出ているが、中心にあるのはCanの1980年代以前の活動をまとめる形の音源群である。録音はInner Space Studio、ミックスはベルリンのHansa-Tonstudiosで行われている。2010年盤は180グラム仕様の再発盤。
作品の位置づけ
Canのディスコグラフィの中では、1970年代後半の時期を示す一枚として見やすい。初期の強い即興性と編集感覚、リズムの反復、音の断片をつなぐ構成といった、バンドの特徴がそのまま残っている時期の記録である。
Canはクラウトロックの代表格として語られることが多く、Neu!、Faust、Amon Düül II などと並べて言及されることも多い。とはいえ、単純に同時代のドイツ産ロックというだけではなく、ロック、ファンク、ミニマルな反復、ノイズ処理、映画音楽的な場面転換が同居する点に独自性がある。
この盤で聴こえるCanらしさ
Canの音は、派手なソロや分かりやすい展開より、反復の中で少しずつズレや変化が起きる構造に特徴がある。本作でもその手触りは変わらず、リズムが前に出る場面、空間の広がりを感じる場面、断片的な歌やフレーズが差し込まれる場面が並ぶ。
実際に聴くと、演奏がきっちり固定されているというより、各パートが互いに様子を見ながら進む感じがある。ジャキ・リーベツァイトのドラムは拍を強く主張しすぎず、一定の推進力を保ちながら曲の輪郭を作る。そこにホルガー・シュカイの低音や編集的な処理が重なり、イルミン・シュミットの鍵盤が空間を埋める。ロックでありながら、曲の中心が常に少しずつ動いている印象である。
メンバーと時代背景
Canの中核は、イルミン・シュミット、ホルガー・シュカイ、ジャキ・リーベツァイト、マイケル・カローリの4人。そこにマルコム・ムーニーやダモ鈴木が加わった時期には、即興と反復のバランスがさらに際立った。1970年代後半のCanは、初期の荒さを残しつつも、より構成の意識が見える段階にある。
この時代のCanは、英国や米国のロックとは別の流れで語られることが多い。プログレッシブ・ロックのように大仰な組曲へ向かうわけでもなく、ハードロックのようにリフを前面に出すわけでもない。むしろ、反復、断片、空気感、ミックスの処理によって曲を成立させる点が重要である。
代表曲との関係
Canの代表曲としては、国際的に知られたポップ・サティア「I Want More」や、「Halleluwah」「Vitamin C」「Mother Sky」などが挙げられることが多い。本作はそうした広く知られた代表曲中心の編集盤というより、バンドの語法そのものを確認するための一枚として捉えやすい。
そのため、Canの名前だけを知っている場合でも、単発の名曲集とは違う聴き方になる。曲単位の強さより、セッション的な流れ、バンド内で共有されている反復の感覚が前面に出る。
再発盤について
2010年の盤は180グラム仕様の再発盤である。オリジナルの1978年盤とは発売時期が異なるため、音源そのものの時代と、手元にあるレコード盤の製造年は分けて見ておく必要がある。ジャケットやプレス仕様は再発盤ならではの要素で、内容面はオリジナルの作品を基にしている。
まとめ
『Can』は、Canというバンドの輪郭をそのまま示すようなタイトル盤である。クラウトロックの文脈、反復と即興のあいだを行き来する演奏、映画音楽にも通じる場面転換など、グループの核が見えやすい。
1970年代ドイツの実験ロックを知るうえで、Canの位置を確認するための一枚として整理できる内容である。
トラックリスト
- A1 – All Gates Open (8:16)
- A2 – Safe (8:36)
- A3 – Sunday Jam (4:17)
- B1 – Sodom (5:42)
- B2 – A Spectacle (5:48)
- B3 – E.F.S. Nr. 99 (“Can Can”) (3:16)
- B4 – Ping Pong (0:25)
- B5 – Can Be (3:00)
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Tryad – … If Only You Believe In Lovin’ (1972)
Tryad『… If Only You Believe In Lovin’』について
Tryadは、1970年代前半のニューヨークでJim Lasko、Jesse Lanzillotti、Norine Lyonsの3人によって結成されたグループだ。1972年にStorm King Recordsからアルバム『…If Only You Believe in Lovin’』を発表している。今回の盤は2017年リリースで、オリジナル作の再登場という位置づけになる。
作品の輪郭
このアルバムは、メロディを軸にしたフォークの感触に、ウェストコースト系のカントリー・ロック、さらにアシッド・フォーク寄りの要素が交わる作品として紹介されている。Rock、Folk、World, & Countryの枠に置かれながら、スタイル面ではFolk、Psychedelic Rockとしても整理されている。
クレジット上では、全曲がSun Sign Music(ASCAP)出版で、アレンジはJim YoungとTryad名義。インサートには歌詞が収録されている。盤としては、制作上の事情で実際のリリースが2017年まで遅れたという点も記録されている。
1972年作品としての位置づけ
Tryadの作品としては、1972年に出たこの1枚が中心になる。プロフィールからも、バンドの活動初期にまとまった形で残されたアルバムと見てよさそうだ。ニューヨーク発のグループながら、サウンドの方向性は当時のアメリカン・フォークロックやカントリー・ロックの流れと重なる部分がある。
同時代の耳で捉えるなら、こうした作風は西海岸のフォークロックや、より内省的なサイケデリック・フォークの流れと並べて語られることが多いタイプだろう。派手なロック色というより、曲の進行や歌の置き方で聴かせるアルバムという印象になりやすい。
リリース年について
オリジナルは1972年作だが、手元にある盤は2017年盤として扱うのが自然だ。つまり、作品そのものは1972年の記録で、現在流通している盤は後年に出た再発盤ということになる。再発盤では歌詞インサート付きで聴ける点が、当時盤との大きな違いとして残る。
まとめ
『…If Only You Believe In Lovin’』は、Tryadという三人組が残した1972年のアルバムで、フォークを基調にしたロック作品として整理できる一枚だ。ニューヨークのグループでありながら、内容は西海岸系のカントリー・ロックやアシッド・フォークの文脈にもつながる。2017年盤は、そのオリジナル作品をあらためて聴ける形にした再発盤として位置づけられる。
トラックリスト
- A1 – I’m Wonderin’ How I Ever Got That Way
- A2 – Columbia Tavern
- A3 – Uptown Suburb Alley
- A4 – The Coming Time Of Gone
- A5 – Something Sweet In Dying
- B1 – Country Way
- B2 – Spider Song
- B3 – Don’t Talk To Strangers
- B4 – Northern Journey
- B5 – Eulogy/Raga
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Flower Travellin’ Band – Satori (1971)
Flower Travellin’ Band『Satori』について
Flower Travellin’ Bandの『Satori』は、1971年に発表された日本のロック作品だ。バンドは、元The Flowers周辺の流れから1970年に結成され、Joe Yamanaka、Hideki Ishima、Jun Kobayashi、Joji Wadaという編成で活動した。いわゆる日本のロックが海外のハードロックやサイケデリック・ロックと強く接続していった時期の作品として知られている。
このアルバムは、Flower Travellin’ Bandの代表作として語られることが多い。バンドの初期を示すだけでなく、後の日本のヘヴィロックやアンダーグラウンドなロック作品を振り返るときにも、しばしば参照されるタイトルだ。
作品の位置づけ
『Satori』は、Flower Travellin’ Bandが短い活動期間の中で残した主要作のひとつで、バンドの輪郭をはっきり示す内容になっている。日本のバンドでありながら、演奏の密度や曲の進め方には、同時代の英米ロックに通じる要素が見える一方、歌唱やフレーズの運びには独自の色もある。
当時のサイケデリック・ロックやハードロックの文脈で見ると、同時代の作品群と並べて語られることが多い。たとえば、欧米の重厚なロックや長尺志向の作品と比較されやすく、Flower Travellin’ Bandの中でも特に存在感のある一枚として扱われている。
収録内容と聴きどころ
この作品は、曲ごとの展開を追っていくタイプのアルバムとして知られる。リリース情報にある通り、2019年盤は2017年の96kHz/24bitリマスター音源をもとにしたアナログ再発で、ディスクはEU製だ。オリジナルの1971年盤を直接聴くのとは少し事情が異なるが、現在入手しやすい形のひとつとして位置づけられる。
実際に聴いたときの印象として語られやすいのは、Joe Yamanakaの歌声の強さ、Hideki Ishimaのギターの粘り、リズム隊の重さだ。とくに、曲が進むにつれて音数を増やしながらも、演奏が散らばりすぎないところにこのバンドのまとまりがある。サイケデリックな色合いがありつつ、単なる雰囲気重視ではなく、ロック・バンドとしての推進力が前に出る作品という見方ができる。
2019年盤について
2019年の盤は、1971年オリジナル作品の再発盤だ。2017年のデジタル・リマスターを使っているため、オリジナル盤とは音の見え方が変わっている可能性がある。再発盤としては比較的新しいマスターを採用している点が特徴で、古い録音の空気を残しながら、現行の流通に乗せた仕様といえる。
盤ごとの違いに注目するなら、オリジナルの時代感をそのまま持つ初出盤と、リマスター由来の2019年盤では、聴感上の整理のされ方に差が出ることがある。もっとも、作品そのものの骨格は1971年の『Satori』のままだ。
Flower Travellin’ Bandというバンド
Flower Travellin’ Bandは、日本のロック史の中でも特に国際的な視点で語られやすいバンドだ。1970年に結成され、のちにカナダのトロントへ拠点を移したという経歴も含め、当時の日本のバンドとしてはかなり特異な歩みをしている。1973年にいったん解散し、2008年にはオリジナル・メンバーを中心に再結成している。
『Satori』は、そのバンド像を端的に示す一枚として受け止められている。日本のロックがどこまで行けるか、という問いに対して、かなり早い段階でひとつの答えを出した作品、と見ることもできる。
まとめ
『Satori』は、Flower Travellin’ Bandの代表的な1971年作品であり、日本のサイケデリック・ロックを語るうえで外しにくいタイトルだ。2019年盤は2017年リマスターを使った再発で、オリジナルの内容を現在のフォーマットで聴ける仕様になっている。バンドの演奏力、Joe Yamanakaの歌、当時のロック文脈との接点がまとまった一枚として、今でもよく参照される作品だ。
トラックリスト
- A1 – Satori Part 1 (5:22)
- A2 – Satori Part 2 (6:56)
- A3 – Satori Part 3 (9:40)
- B1 – Satori Part 4 (10:53)
- B2 – Satori Part 5 (6:56)
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Joe Yamanaka – The Times (1975)
Joe Yamanaka『The Times』について
『The Times』は、Joe Yamanakaが1975年に発表した作品です。日本のヴォーカリストとして知られるJoe Yamanakaは、横浜生まれ。ソロ作としてのこのアルバムは、ロックを軸にしながら、サイケデリック・ロックの要素も感じさせる内容として位置づけられます。
Joe Yamanakaは1946年9月2日生まれ、2011年8月7日に横須賀で亡くなっています。彼の活動をたどるうえで、『The Times』は1970年代半ばの時期を示す一枚として見ておきたい作品です。
作品の概要
本作は日本で制作・発売されたアルバムで、1975年のオリジナル・リリースです。収録内容の詳細は、英語と日本語の歌詞、バンド写真、そして日本語ライナーを含む4ページのインサート付き。作品全体を通して、当時の国内盤らしい丁寧なパッケージングがうかがえます。
リリースノートには「We would dedicate this album to those who payed the first and strongest attentions those days.」という献辞が記されています。アルバムの背景に、当時この音楽に強く反応した人たちへの意識があったことが読み取れます。
Joe Yamanakaという存在
Joe Yamanakaは、日本のロック史の中でも独特の存在感を持つヴォーカリストです。英語詞を含む表現や、力強い歌声で知られ、ソロでもグループ活動でも印象を残しています。『The Times』は、その声の個性を前面に出しやすい時期の作品として受け止められます。
1970年代の日本のロックは、国内独自の発展をしながら、海外のロックやサイケデリック・ロックの影響も強く受けていました。本作もそうした流れの中に置いて考えやすい一枚です。
サウンドの印象
このアルバムは、ロックの骨格を持ちながら、サイケデリック・ロックらしい感触が入る作品として整理できます。Joe Yamanakaのヴォーカルが中心にあることは想像しやすく、歌そのものの存在感が聴きどころになっているはずです。
実際に聴くと、英語と日本語の両方がクレジットされている点からも、言葉の扱いに意識が向いた作品として受け取れます。歌詞の内容を追いながら聴く楽しみもあるタイプのアルバムです。
同時代の文脈
1975年という時期は、日本のロックがアルバム単位で存在感を強めていた頃です。海外のサイケデリック・ロックやハードなロックの影響を受けつつ、日本語・英語の使い分けや歌い方で個性を出す流れがありました。Joe Yamanakaの作品も、その時代性の中で見ておくと輪郭がつかみやすいです。
特定のヒット曲や代表曲については、今回の情報だけでは確認できません。少なくともこの盤では、アルバム全体のまとまりとヴォーカリストとしての表現が中心にあるようです。
まとめ
『The Times』は、1975年の日本におけるJoe Yamanakaの表現を示す作品です。ロックを土台に、サイケデリック・ロックの気配も持つ内容で、英語と日本語の歌詞、そして日本語ライナーを含むインサートが当時の作品性を補っています。
1970年代半ばの日本のロックをたどるうえで、Joe Yamanakaというヴォーカリストの存在を確認できる一枚です。
トラックリスト
- A1 – Satori Pt. II (5:56)
- A2 – Satori Pt. I (5:22)
- A3 – Shadows Of Lost Days (4:45)
- A4 – Hiroshima (5:15)
- B1 – Make Up (3:02)
- B2 – Look At My Window (11:42)
- B3 – Spasms (5:20)
- B4 – I Wanna See You (4:55)
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Mankind – Pophits (2020)
Mankind『Pophits』について
『Pophits』は、スウェーデンのポップ・ロック・バンド、Mankindが2020年に発表した作品である。クレジット上のメンバーは Alex Ceci、Fredrik Diffner、Oliver Boson、Art Onion。ジャンル表記はRock、スタイルはAlternative RockとPsychedelic Rockとなっている。
作品の輪郭
Mankindはスウェーデン出身のポップ・ロック・バンドとして紹介されており、『Pophits』でもその基本線ははっきりしている。タイトルの通りポップ寄りの感触を持ちながら、ロックの骨格を保ち、さらにオルタナティヴ・ロックとサイケデリック・ロックの要素が重なる位置づけの作品と読める。派手な説明を足さなくても、バンドの音像を端的に示す題名と編成になっている。
2020年というリリース時期を踏まえると、同時代の北欧ロックやインディー寄りのサウンドの文脈に置いて見ることができる。整ったメロディ感と、少し視界をゆらすようなサイケデリックな処理を両立させるタイプの作品として整理しやすい。
メンバー構成
- Alex Ceci
- Fredrik Diffner
- Oliver Boson
- Art Onion
4人編成であることが確認できる。クレジット上では、個々の役割までは読み取れないが、バンドとしてのまとまりを前提にした作品であることは分かる。
位置づけ
『Pophits』は、Mankindの活動の中で2020年に記録されたアルバムとして捉えるのが自然である。作品名からも、バンドのポップな側面を前面に出した一枚であることがうかがえる。オルタナティヴ・ロックの直線的な推進力と、サイケデリック・ロックの音の揺らぎを同じ盤面に置く作りは、北欧のロック作品でしばしば見られる組み合わせでもある。
聴きどころとして見えやすい点
実際の曲名や代表曲の情報は確認できないが、ジャンル表記からは、メロディを前に出しつつ、音の層で変化をつける構成が想像しやすい。ロックの土台にポップなフックを載せる形、そこへサイケデリックな処理を重ねる形、そうした作法の延長線上にある作品として見ておくと分かりやすい。
まとめ
Mankind『Pophits』は、スウェーデンのポップ・ロック・バンドによる2020年作として、ロック、オルタナティヴ・ロック、サイケデリック・ロックの要素を持つ一枚である。4人編成のバンド作品として、シンプルなポップ性とロックの輪郭を同時に示すタイトルになっている。
トラックリスト
- A1 – Colours (4:08)
- A2 – Waltzing Charade (4:59)
- A3 – Pickled Love (4:46)
- A4 – Faceless Stranger (3:56)
- A5 – Silent Treament (3:27)
- A6 – Tired (4:27)
- B1 – Happy Child (3:03)
- B2 – Heart On Sleeve (2:08)
- B3 – Mother Said (4:14)
- B4 – No Doubt In My Mind (7:23)
- B5 – Simple Is Good (1:55)
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Agusa – Högtid (2014)
Agusa『Högtid』について
Agusaの『Högtid』は、2014年にスウェーデンでリリースされた1作目のアルバム。バンドは2013年にマルメで結成されたスウェーデンのヘヴィ・プログレッシブ/サイケデリック・ロック・バンドで、そこにフォークや異文化音楽の要素も持ち込む編成として知られている。タイトルの『Högtid』は「祝祭」「休日」といった意味合いの言葉で、作品全体の性格を端的に示すような題名になっている。
バンドの出発点と本作の位置づけ
Agusaは、2013年初頭にギタリストのMikael Ödesjö、ベーシストのTobias Pettersson、キーボードのJonas Bergeが、ドラマーDag Strömqvistの自宅でのジャム・セッションをきっかけに始動した。小さな村Agusaでの集まりからバンド名が取られている。結成から間もない2014年に本作『Högtid』を発表し、その後Dag Strömqvistはバンドを離れてTim Wallanderが加入した。つまり本作は、Agusaの初期形を記録したアルバムという位置づけになる。
音の印象
この作品は、プログレッシブ・ロックの組曲的な展開と、サイケデリック・ロックの反復感を軸にした内容として知られる。ギター、オルガン、ベース、ドラムの基本編成を中心に、70年代の北欧プログレを思わせる流れが前に出る。演奏は細かく畳みかけるというより、フレーズを少しずつ重ねて場面を切り替えていく作りで、曲ごとの起伏がはっきりしている印象がある。
Agusaのプロフィールからもわかる通り、彼らは単なる復古主義ではなく、スウェーデンの70年代「proggen」系バンド群や民俗音楽の感覚を意識した文脈に置かれることが多い。Mikael Ödesjöが南米音楽を含む幅広い音楽を聴き、作曲にラテンの感触を少し加えようとしていた、という話もこのバンドの背景として興味深いところだ。
同時代・関連文脈
Agusaは、スウェーデンの70年代プログレ/フォーク・ロックの流れを参照するバンドとして語られることが多い。プロフィール中でも、Dungen、Samla Mammas Manna、Hedningarna、Kaipa、Träd, Gräs och Stenar など、同時代や近い系譜の名前が挙がっている。政治性の強い「proggen」から、フォーク、トラヴァドゥール、RIO寄りの動きまで含む広い背景の中で、Agusaはその後続世代として位置づけられる。
また、Mikael ÖdesjöとTobias Petterssonは、2013年にデンマークのサイケ/ロック系ミュージシャンたちと一回限りのプロジェクト作品も残しており、北欧圏のサイケデリック/プログレッシブな音楽交流の延長線上にこのバンドがあることも見えてくる。
作品の後の流れ
『Högtid』の後、Agusaはメンバー交代を重ねながら活動を続けていく。2014年時点ではまだ始動直後の編成であり、のちのフルート加入や編成拡張の前段階にあたる。そうした意味では、本作は後年のAgusaよりも、よりストレートに初期のバンド・サウンドを刻んだ一枚として見ておける。
リリース情報
- アーティスト: Agusa
- タイトル: Högtid
- リリース年: 2014年
- リリース国: Sweden
- ジャンル: Rock
- スタイル: Prog Rock, Psychedelic Rock
- 盤の仕様: Limited edition of 100 copies on black splatter wax
限定100枚の黒スプラッター盤という仕様もあり、初期作品らしい入手性の低さも特徴のひとつ。Agusaの出発点を押さえるには、まずこの『Högtid』が重要な一枚になる。
トラックリスト
- A1 – Uti Vår Hage (11:05)
- A2 – Melodi Från St Knut (7:54)
- B1 – Östan Om Sol, Västan Om Måne (14:03)
- B3 – Stigen Genom Skogen (7:55)
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Toe Fat – Toe Fat (1970)
Toe Fat『Toe Fat』(1970年)
Toe Fatは、1969年6月に結成され、1971年まで活動したイングランドのロック・バンドだ。
このデビュー作『Toe Fat』は1970年に発表された作品で、のちにUriah Heepへ加わるKen HensleyとLee Kerslakeを含む編成としても知られている。
Cliff Bennettを軸に、ハード寄りの演奏とサイケデリック・ロックの空気感をあわせ持つ、70年代初頭らしい一枚という位置づけだ。
バンドの背景
Toe Fatは、Cliff BennettとKen Hensleyを中心に始動したグループで、メンバーにはBrian Glascock、Alan Kendall、John Glascockらが名を連ねる。
特にHensleyとKerslakeは後年のUriah Heepで重要な役割を担うため、このアルバムはその前史としても見られることが多い。
英ロックの文脈では、ブルース・ロックやハード・ロックの要素を吸収しながら、60年代末のサイケデリックな感触を残す時期の作品として置ける内容だ。
作品の印象
アルバム全体は、リフを前に出した曲作りと、オルガンやギターを軸にした厚めのサウンドが印象に残る。
Cliff Bennettのヴォーカルは、派手に崩すよりも言葉を前に届けるタイプで、バンドの演奏とぶつからずにまとまっている。
聴き進めると、曲ごとの温度差はありつつも、当時の英国ロックらしい乾いた音像と、やや泥臭いグルーヴが通っている。
実際に耳を通すと、単なる“後の大物メンバー在籍盤”というより、バンドとしての輪郭が先に立つ作品だと感じやすい。
派手な装飾よりも、リズム隊の押し出しとギター、オルガンのせめぎ合いが中心で、70年という時代の空気がそのまま残る録音だ。
同時代とのつながり
Toe Fatは、同時代の英国ロックの中でも、Uriah Heepのようなキーボードを生かした重心の低いロックや、The Nice、Early Deep Purple周辺の感触と近い場所にある。
ただし、より“バンドの初期衝動”が前に出た内容で、完成された大作志向というより、荒さを含んだセッション感が残る。
サイケデリック・ロックの名残とクラシック・ロック的な骨組みが同居する、1970年らしい着地点だ。
収録曲について
代表曲としてまず挙がりやすいのは、アルバム冒頭の「Just Like Me」だ。
この曲はバンドの方向性をつかみやすく、推進力のある演奏とヴォーカルの組み合わせがはっきり出る。
ほかの曲も、当時の英国ロックにあるラフな硬さと、少し湿ったメロディの両方が見えやすい。
この盤について
今回のUS盤は、ジャケットやラベルの表記に関して「Printed in the U.S.A.」の記載がある。
同じ1970年のオリジナル作品として見たとき、内容面では初出時代のToe Fatをそのまま伝えるタイプのリリースだ。
レーベル表記にはカバーとラベルでカタログ番号が異なる形式が見られる。
まとめ
『Toe Fat』は、後の有名バンドにつながるメンバー構成だけで語るには惜しい、1970年初頭の英国ロック作品だ。
サイケデリック・ロックの残り香、クラシック・ロックの骨格、そしてバンドの生々しい演奏が、ひとまとまりで収められている。
Toe Fatという名前の印象よりも、まずは当時のロックの質感がそのまま出た一枚として見えてくるアルバムだ。
トラックリスト
- A1 – That’s My Love For You (4:01)
- A2 – Bad Side Of The Moon (3:24)
- A3 – Nobody (6:04)
- A4 – The Wherefors And The Whys (3:43)
- A5 – But I’m Wrong (4:01)
- B1 – Just Like Me (4:12)
- B2 – Just Like All The Rest (2:31)
- B3 – I Can’t Believe (3:59)
- B4 – Working Nights (2:31)
- B5 – You Tried To Take It All (4:26)
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Lost And Found – Forever Lasting Plastic Words (1968)
Lost And Found『Forever Lasting Plastic Words』について
Lost And Foundは、1960年代半ばから後半にかけてテキサス州ヒューストンで活動したサイケデリック・ロック・バンドである。『Forever Lasting Plastic Words』は1968年に登場した作品で、同バンドの名前が知られる中核的な録音として扱われている。クレジット上では、表ジャケット右上の黒い円内に「Forever Lasting Plastic Words」とあり、裏ジャケットには「Everybody’s Here」と記されている。オリジナル盤のラベルにはアルバム・タイトル表記がない。
作品の輪郭
収録内容は、60年代後半のアメリカン・サイケデリックの流れの中にある。ヒューストンという地域性を背にしながら、当時のロックが持っていた歪み、浮遊感、曲展開のひねりを、比較的素朴なバンド編成の中で鳴らしているタイプの作品として見られる。派手な技巧で押すというより、当時のローカル・バンドらしい距離感と、サイケデリック期特有の音色変化が印象に残る一枚である。
Lost And Foundというバンドの位置づけ
Lost And Foundは、ヒューストン周辺のガレージ/サイケデリック・シーンを語る際に挙がるグループのひとつで、Pete Black、James Harrell、Steve Webb、Jimmy Frostの編成で知られている。大きな全国ヒットを持つタイプではないが、60年代後半のローカル・サイケデリック・バンドがどのようにアルバムを作っていたかを示す資料性の高い存在である。
同時代の文脈
1968年は、アメリカのロックがサイケデリックの要素を広く取り込んでいた時期で、テキサス勢でも独自の音作りを持つバンドが多く現れていた。Lost And Foundもその流れの中にあり、サンフランシスコ勢のような大規模な実験性とは少し異なる、地域バンドらしいまとまりの中でサイケデリックな響きを扱っている点が特徴といえる。ヒューストンのローカル・シーンをたどるうえでの一枚、という見方がしやすい。
曲やアルバムの印象
この作品は、タイトル表記の揺れも含めて、当時のローカル盤らしい仕様が目につく。音楽そのものは、60年代後半のロックが持つストレートなビート感と、サイケデリック期らしい音のゆらぎが同居する内容で、歌と演奏のバランスを追っていくタイプの記録である。ヒット曲として広く知られる単独曲が前面に出る作品というより、アルバム全体で当時の空気を伝える性格が強い。
まとめ
『Forever Lasting Plastic Words』は、Lost And Foundというヒューストン発のサイケデリック・ロック・バンドが1968年に残した作品で、アメリカ南部のローカル・サイケデリックの姿を今に伝える一枚である。タイトル表記の揺れや、オリジナル盤の仕様の素朴さも含めて、60年代後半の独立したバンド作品らしい佇まいがある。
トラックリスト
- A1 – Forever Lasting Plastic Words
- A2 – Everybody’s Here
- A3 – There Would Be No Doubt
- A4 – Don’t Fall Down
- A5 – Zig Zag Blues
- A6 – Let Me Be
- B1 – Realize
- B2 – Stroke Blues
- B3 – I’m So Hip To Pain
- B4 – Living Eye
関連動画
- Lost and Found, Forever Lasting Plastic Words 1968 (vinyl record)
- Lost and Found – Let Me Be
- Lost and Found – 2 Stroke Blues
- Lost and Found – I’m so Hip to Pain
- Living Eye
- Lost and Found – Forever Lasting Plastic Words
- Lost and Found – Everybody’s Here
- Lost and Found – 25 M.P.H
- Lost and Found – I Realize
- Lost & Found-Forever Lasting Plastic Words
Anaconda – Sympathy For The Madman (1969)
Anaconda『Sympathy For The Madman』について
『Sympathy For The Madman』は、UKのアシッド・フォーク・バンド、Anacondaが1969年に録音した作品で、2020年に再発された一枚だ。アーティスト表記はAnaconda、録音はイングランド。Miguel Sergidesが関わったセッションとしても知られている。
音楽性は、フォーク・ロックとサイケデリック・ロックのあいだを行き来する内容として整理されている。60年代末のUKらしい、アコースティックな手触りと、当時のサイケデリック文脈が重なるタイプの作品という位置づけになる。
作品の位置づけ
Anacondaは、1969年に10インチのアセテートを残したグループとして記録されている。この『Sympathy For The Madman』は、その時期のバンドの姿を伝える資料性の高い作品といえる。商業的に広く流通した時代のアルバムというより、当時のセッションや試作盤に近い成り立ちの一枚だ。
1969年という年は、英国のフォーク系ミュージシャンが、よりロック寄りのアレンジやサイケデリックな響きを取り込んでいった時期でもある。Anacondaもその文脈の中に置いて見ることができる。Arcadiumで知られるMiguel Sergidesが関わっている点も、同時代の英国ロック周辺のつながりを感じさせる要素だ。
2020年盤について
2020年盤は500枚限定の再発盤で、オリジナルのアセテート10インチをもとにした復刻的な扱いになっている。単体の外袋仕様で、未開封販売。内袋には、オリジナルのアセテートを写したスキャン再現のインナーが付属している。
オリジナル盤との違いとしては、まず年代の異なる再発であること、そして現物のアセテートをそのまま受け取るのではなく、資料性を重視した再現仕様であることが挙げられる。製造はdeepgroovesによるもので、バイオマス電力とエコ理念を掲げたプレスであることも記されている。
サウンドの印象
実際に聴くと、アコースティックな楽器の輪郭と、60年代末らしいざらついたロック感が前に出るタイプの録音として受け取れる。派手なヒット曲を中心にした作品ではなく、当時の空気をそのまま封じたような性格が強い。曲単位の代表性よりも、全体の流れや音の質感に意味がある一枚だ。
この作品については、シングルヒットや広く知られた代表曲が前面に出ているわけではない。むしろ、限定再発で掘り起こされた点に価値がある。60年代英国のフォーク・ロック、サイケデリック・ロックの周辺を追ううえで、記録として見ておきたいタイトルである。
補足
- アーティスト: Anaconda
- タイトル: Sympathy For The Madman
- オリジナル録音年: 1969年
- 再発盤: 2020年
- 録音地: イングランド
- 関連ミュージシャン: Miguel Sergides
- ジャンル表記: Rock, Folk, World, & Country
- スタイル表記: Folk Rock, Psychedelic Rock
トラックリスト
- A1 – It’s Not Me (3:42)
- A2 – Riding Alone (4:20)
- A3 – Who Are We? (5:36)
- B1 – Outrider (3:40)
- B2 – Sympathy For The Madman (4:20)
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The Patron Saints – Fohhoh Bohob (1969)
The Patron Saints『Fohhoh Bohob』
The Patron Saintsは、1966年にニューヨークで結成された米国のバンド。The Stones、The Beatles、Jimi Hendrix、Cream、The Butterfield Blues Band、The Doors、Moby Grape、The Yardbirdsなどの影響を受けた5人編成として出発し、1969年には3人編成になっている。そんな流れのなかで録音されたのが『Fohhoh Bohob』で、オリジナルは1969年にバンド自身が100枚限定で自主制作・自主発表した作品である。
2007年にUS盤として再発されたこのレコードは、限定1000枚のリリース。オリジナルの流通がごく少なかった作品だけに、再発盤の存在はこのバンドの記録をたどるうえで重要な位置づけになっている。
作品の位置づけ
このアルバムは、The Patron Saintsが5人編成から3人編成へ移ったあとの時期に残した記録。プロフィールにある通り、1969年6月にアルバムを録音している。バンドが当時どんな音を鳴らしていたかを知るうえで、中心的な資料といえる作品だろう。
また、バンドは現在も活動を続け、新作も発表している。そうした長い活動歴のなかでは、初期の自主制作盤として『Fohhoh Bohob』が特別な意味を持つ。デビュー作というより、バンドの初期像をそのまま封じ込めたアーカイブ的な一枚、という見方がしやすい。
音の方向性
ジャンル表記はRock、Pop、Folk、World, & Country。スタイルにはPower Pop、Psychedelic Rock、Folk、Prog Rock、Honky Tonkが挙がっている。バンドの背景にある60年代後半の米国ロックの文脈を思わせる並びで、同時代のThe Beatles、The Doors、Moby Grape、The Yardbirdsあたりを参照点にした音作りが想像しやすい。
パワー・ポップ寄りのメロディ感、サイケデリック・ロックの感触、フォークやホンキートンクの要素まで含む構成は、当時のロックがひとつの型に収まりきらなかった時期らしい面白さがある。プログレッシブ・ロックの要素も含まれていて、単純なガレージ・ロックに回収されない広がりを持つ作品として見られることが多そうだ。
再発盤について
2007年盤は、オリジナルの100枚限定盤に対して1000枚限定での再発。オリジナル盤が極端に少ないため、この再発盤は作品に触れる現実的な入口になっている。盤の流通量が大きく違う点は、この作品の受け取られ方にも影響していそうだ。
まとめ
『Fohhoh Bohob』は、The Patron Saintsが1969年に残した初期記録。60年代末の米国ロックの気配をまといながら、ポップ、サイケデリック、フォーク、プログレ、ホンキートンクまでを含む広い射程を持つ一枚として整理できる。バンドの出自と活動の継続性を踏まえると、単なる珍盤ではなく、グループの出発点を示す作品として見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Flower (4:28)
- A2 – Nostalgia Trip (3:30)
- A3 – Reflections (3:41)
- A4 – Do You Think About Me? (3:10)
- A5 – White Light (5:40)
- B1 – Relax (6:15)
- B2 – My Lonely Friend (4:01)
- B3 – Andrea (5:58)
- B4 – The Goodnight Song (4:20)
- C – Shine Of Heart
- D – Do It Together
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Pink Floyd – The Dark Side Of The Moon (1973)
Pink Floyd / The Dark Side Of The Moon (1973, UK)
Pink Floydの8作目のスタジオ・アルバム。1973年にロンドンのAbbey Road Studiosで録音され、UKのHarvestから発表された。バンドにとっては、それまでのサイケデリック色と実験性を保ちながら、より構成のはっきりした作品へ進んだ時期の到達点にあたる1枚だ。
この作品は、Pink Floydの代表作として広く知られている。音のつながり、効果音、会話の断片、曲間の切れ目の少なさが、アルバム全体をひとつの流れとしてまとめている。制作面では、ジャケットをHipgnosisが手がけ、内袋にポスターとステッカーが付く初期仕様もよく知られている。
作品の位置づけ
1960年代後半の実験的なPink Floydから、70年代の大きな成功へつながる中心作といえる。Syd Barrett在籍期のサイケデリックな側面を引き継ぎつつ、Roger Waters主導の構成意識が前面に出ている。のちの『Wish You Were Here』や『Animals』へ向かう流れの中でも、特に分かりやすく完成度の高い地点に置かれる作品だ。
同時代の英国ロックの中では、YesやGenesis、King Crimsonなどのプログレッシブ・ロック勢と並べて語られることが多い。ただし本作は、長大な組曲の技巧を見せるタイプというより、音響処理やテーマの統一感で聴かせる作りになっている。
収録曲と代表曲
アルバムを通してよく知られるのは、“Time”、“Money”、“Us and Them”、“Brain Damage”、“Eclipse”あたりだ。特に“Money”は、異色の7拍子のリフとレジスター音の導入で印象が強い。“Time”は時計の音から始まる構成がはっきりしていて、アルバムの中でも曲の輪郭が見えやすい。
“The Great Gig in the Sky”では、歌詞を持たないヴォーカル・パートが置かれていて、アルバム内の役割が明確だ。Barry St. John、Doris Troy、Lesley Duncan、Liza Strikeのバック・ヴォーカル参加も、クレジット上で細かくは目立たないが、聴こえ方には確かに影響している。
音と構成
演奏は、David Gilmourのギター、Roger Watersのベース、Richard Wrightの鍵盤、Nick Masonのドラムを軸にしている。シンセサイザーやテープ効果、環境音の使い方が曲のつなぎ目に組み込まれていて、各曲が単独で完結するというより、アルバム全体でひとつのまとまりを作る方向に寄っている。
冒頭と終盤の会話の断片も有名だ。Nick Masonの著書『Inside Out – A Personal History of Pink Floyd』では、収録された発言の出どころとして、Abbey RoadのドアマンGerry O’Driscollの「There is no dark side of the moon. Matter of fact, it’s all dark.」などが挙げられている。こうした断片が、作品のテーマ性を補強している。
オリジナルUK盤について
オリジナルのUK Harvest盤は、ラベルのプリズム図柄の仕様で見分けられることで知られる。初期には、青いプリズムがはっきりしたデザインが使われている。今回の盤は1973年リリースの初期仕様に近い位置づけで、後年の再発盤とはラベルや細部の表記が異なる。
初期のジャケットには、見開き内に2枚のポスターと2枚のステッカーが付属した。コピーによっては、黒いポリライニング内袋や、ゲートフォールドの開口部の貼り方、裏面表記の位置などに違いがある。こうした差異は、UKオリジナル期のプレスを追う際の注目点になっている。
まとめ
『The Dark Side Of The Moon』は、Pink Floydの実験性、構成力、スタジオ作品としての完成度が強く出たアルバムだ。サウンドの細部、曲間のつながり、効果音の配置まで含めて、1970年代ロックの中でも特に設計の意識が見えやすい1枚である。
ヒット曲としては“Money”がまず挙がるが、アルバム全体で聴くと、単曲の人気だけでは収まらないまとまりがある。UKオリジナル盤では、その完成形に近い初期プレスならではの細部も含めて、作品の歴史を感じやすい。
トラックリスト
- A1 – Speak To Me
- A2 – Breathe
- A3 – On The Run
- A4 – Time
- A5 – The Great Gig In The Sky
- B1 – Money
- B2 – Us And Them
- B3 – Any Colour You Like
- B4 – Brain Damage
- B5 – Eclipse
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The David – Another Day, Another Lifetime (1967)
The David『Another Day, Another Lifetime』について
The Davidは、1960年代半ばから後半にかけて活動したロサンゼルスのサイケデリック・グループだ。ブレントウッドで近所同士だったTim Harrison(ドラム)とWarren Hansen(ボーカル、キーボード)を中心に始まり、Palisades High SchoolつながりのMike Butte(ギター)、Chuck Spieth(ベース)、そして最後にMark Bird(リードギター)が加わった経緯が知られている。最初はThe Reasonsという名前だったが、マネージャーの「ヒットを取るのはダビデとゴリアテの戦いのように難しい」という言葉からThe Davidに改名した、というエピソードも残っている。
『Another Day, Another Lifetime』は1967年の作品として位置づけられる。The Davidにとって、20th Century Fox Recordsとのシングル契約を経て世に出た時期の音源で、バンドの初期像を知るうえで重要なタイトルといえる。
作品の位置づけ
The Davidは、同時代の米国西海岸サイケデリック・ロック、ガレージ・ロックの流れの中にあるバンドだ。活動時期や音の背景から、The Seeds、The Electric Prunes、The Chocolate Watchbandのような60年代後半のバンド群と並べて語られることが多いタイプの存在だろう。キーボードを含む編成もあって、ギター主体のガレージ感だけでなく、当時のサイケデリック・ポップらしい色合いも意識される。
アーティスト情報を見ると、The Davidはロサンゼルス周辺の若いメンバーで固まったバンドで、60年代後半の地元シーンの空気をそのまま反映したような成り立ちだ。大型バンドというより、シングルやローカルな流通を軸にしたグループとして理解すると、時代背景と合いやすい。
内容と聴きどころ
この作品は、サイケデリック・ロックを土台にしながら、ポップ・ロックやガレージ・ロックの要素を含む内容として捉えられる。曲単位では、当時のロサンゼルス産サイケに見られる、歪んだギター、はっきりしたリズム、メロディを残すボーカルの組み合わせが軸になっていると考えられる。
代表曲として特に広く知られた定番曲がこのタイトルから生まれている、というよりは、バンドそのものの資料的価値が大きい作品だ。メジャーなヒットを前面に押し出すタイプというより、60年代後半のローカル・サイケの断片を伝える記録として見たほうが実態に近い。
リリースと再発について
オリジナルは1967年のリリース。関連ノートによると、Vance Music Corp.に関わるリリースとして扱われている。のちにドイツで1990年代にブートレグ盤が出回ったことがあり、さらに現在VMCラベル表記で見かける再発はScorpio Recordsによるものとされている。
オリジナル盤と再発盤では、外観にも違いがある。再発盤はオリジナルよりもカバーが薄く、より現代的な仕様になっているとされる。盤を見分ける際には、この点が手がかりになりそうだ。
まとめ
『Another Day, Another Lifetime』は、The Davidというバンドの初期像を知るための1967年作だ。ロサンゼルスのサイケデリック・グループらしい編成と背景を持ち、60年代後半のガレージ/サイケの流れの中で位置づけられる一枚。作品単体のヒット性よりも、当時のローカル・シーンの記録としての意味合いが強い内容だ。
トラックリスト
- A1 – Another Day, Another Lifetime / I Would Like To Know (5:50)
- A2 – I’m Not Alone (1:48)
- A3 – Sweet December (3:05)
- A4 – Tell Me More (2:25)
- A5 – Now To You (3:58)
- B1 – Professor Crawford (2:40)
- B2 – Time M (4:50)
- B3 – So Much More (2:16)
- B4 – Mirrors Of Wood (3:40)
- B5 – Of Our Other Days (2:05)
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- The David “Another Day, Another Lifetime” 1968 *Another Day, Another LifetimeI-I Would Like To Know*
- The David “Another Day, Another Lifetime” 1968 *I’m Not Alone*
- The David “Another Day, Another Lifetime” 1968 *Sweet December*
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The Cocoon – While The Recording Engineer Sleeps (1989)
The Cocoon『While The Recording Engineer Sleeps』について
The Cocoonはドイツのグループで、Gunter Hampel、Matthias Arfmann、Rüdiger Klose、Jürgen Gleueの4人による作品としてこの『While The Recording Engineer Sleeps』を残している。1985年にStudio Harderbergで録音されており、フリー・ジャズとサイケデリック・ロックの接点にある内容として位置づけられる1枚だ。
タイトル曲のように、録音現場の気配をそのまま作品名に取り込んだ作りも印象に残る。特に“Teenage Dope Slaves”はIdiot Studioで録音されており、ほかの曲とは別の場所で収録されたことが記されている。こうした記録からも、まとまりのあるスタジオ作品というより、セッションの流れや場の空気をそのまま閉じ込めたタイプのアルバムとして見えてくる。
作品の位置づけ
オリジナルの制作時期は1985年、盤としてのリリースは2015年。つまり、1980年代半ばの音を後年に聴ける形で残した作品と受け取れる。The Cocoonのキャリア全体の中では、当時のドイツの実験音楽、即興演奏、ロック的なエネルギーが交わる地点を示す記録として扱える。
Gunter Hampelはジャズ/フリー・インプロヴィゼーションの文脈で知られる人物で、この作品でもその流れが土台にある。一方で、ロック寄りの粗い推進力や反復の感触も入り込んでいて、単純なジャズ作品とも、ロック作品とも言い切りにくい構成になっている。
同時代の文脈
1980年代のドイツでは、ジャズの即興性とロックの身体性をまたぐ試みがいくつも生まれていた。The Cocoonもその延長線上で聴ける。比較対象としては、フリー・ジャズの開放感と、クラウトロック以降の反復感、さらにサイケデリックな音の伸びを併せ持つ作品群が思い浮かぶ。とはいえ、このアルバムはそうした要素を整然と並べるのではなく、録音の現場感を残したまま進んでいく印象が強い。
聴きどころ
この盤は、曲の完成度を前に出すというより、演奏の呼吸や音のぶつかり方を追う楽しさがあるタイプだ。ドラム、管楽器、ギター、ベースの距離感が近く、即興の流れがそのまま記録されている感じがある。とくに“Teenage Dope Slaves”は、タイトルの強さもあって、アルバムの中でも少し異なる輪郭を持つ曲として受け取れそうだ。
再発盤が2015年に出ているため、現在この作品に触れる場合はその盤で聴くことになる。音源そのものは1985年録音なので、後年の再発であっても、作品の核は80年代半ばのセッションにある。録音年と盤の発売年が異なる点は、このアルバムを見るうえで押さえておきたいところだ。
まとめ
『While The Recording Engineer Sleeps』は、ドイツのフリー・ジャズとサイケデリック・ロックの交差点に置かれる作品。4人編成の演奏、1985年録音という時代性、そして録音場所をまたいだ収録という事実が、そのまま作品の輪郭になっている。派手なヒット曲を狙うアルバムではなく、セッションの記録として読むと見えやすい1枚だ。
トラックリスト
- A1 – Ventilator Changes Into Airplane (5:23)
- A2 – I Can See Voices (5:50)
- A3 – Bag Lady (5:15)
- A4 – Seems Like I Can’t LSD Your Mind (3:57)
- B1 – The Ritual Of The Boogie Transformation (7:56)
- B2 – While The Recording Engineer Sleeps (5:27)
- B3 – The Shadow Man (4:52)
- B4 – Teenage Dope Slaves (6:55)