Nile Rodgers – Adventures In The Land Of The Good Groove (1983)
Nile Rodgers『Adventures In The Land Of The Good Groove』(1983)
Nile Rodgersが1983年に発表した『Adventures In The Land Of The Good Groove』は、ギタリスト、ソングライター、プロデューサーとして知られる彼のソロ作のひとつだ。Chicでの活動や、Bernard Edwardsとの共同作業で築いたディスコ以降のダンス・ミュージックの流れを、そのまま80年代初頭のエレクトロ/ファンクへつないでいく作品として位置づけられる。
作品の輪郭
ジャンルはElectronic、Funk / Soul、スタイルはElectro、Funk、Boogie。タイトル通り、グルーヴを軸にした作りで、リズムの推進力が前に出る内容だ。Nile Rodgersらしいカッティング・ギターの処理と、シンセや打ち込みの質感が重なり、ディスコの延長線上にありながら、より80年代的な機械感も見える。
サウンドの印象としては、ベースとドラムの反復がしっかり土台を作り、その上でギターが細かく刻まれる構成が目立つ。華やかさよりも、ビートの連続性と身体的なノリが前面に出るタイプのアルバムだ。
アーティストの流れの中で
Nile Rodgersは1952年生まれのニューヨーク出身。1970年代後半のディスコ・シーンでChicの一員として重要な役割を担い、その後はDiana Ross、David Bowie、Madonna、Duran Duran、Grace Jonesなど、多くのアーティストのプロデュースでも知られる。そうした経歴を踏まえると、この作品も単なるソロ名義のアルバムというより、彼の持つグルーヴ設計の感覚を前面に出した一枚として見えてくる。
1983年という時期は、ディスコの流れを受けたファンクやブギーが、エレクトロやポップの要素と結びついていく時代でもある。このアルバムも、その同時代的な空気の中に置くと分かりやすい。Chicの洗練されたリズム感を引き継ぎながら、より80年代の音像へ寄せた印象がある。
この時期の文脈
同時代のファンク/ダンス系の作品と比べると、派手な歌モノというより、演奏とプロダクションの組み立てで聴かせるタイプに近い。The SystemやShalamar周辺の80年代初期のブラック・コンテンポラリー、あるいはブギー寄りのダンス・サウンドと並べて語られることもありそうだ。
タイトル曲を含むアルバム全体が、Nile Rodgersの仕事の核である「踊れるリズムの精度」を示している。ヒット曲を前面に押し出すというより、彼のギターとプロダクションの感覚をまとまった形で聴ける内容になっている。
まとめ
『Adventures In The Land Of The Good Groove』は、Nile Rodgersのディスコ以後の展開を、1983年のエレクトロ/ファンク/ブギーの文脈で捉えられる作品だ。グルーヴ主体の構成、カッティング・ギターの存在感、80年代初頭らしい音の輪郭。そのあたりが、この時期の彼らしさとして見えてくる。
トラックリスト
- A1 The Land Of The Good Groove (5:05)
- A2 Yum-Yum (5:36)
- A3 Beet (4:13)
- A4 Get Her Crazy (6:14)
- B1 It’s All In Your Hands (4:50)
- B2 Rock Bottom (5:50)
- B3 My Love Song For You (4:24)
- B4 Most Down (5:37)
関連動画
Zopp – Dominion (2023)
Zopp『Dominion』について
『Dominion』は、UKのプログレッシブ・ロック・プロジェクト、Zoppによる2023年作。中心にいるのは作曲家でマルチ・インストゥルメンタリストのRyan Stevensonで、Andy Tillison(The Tangent)やドラマーのAndrea Moneta(Leviathan)らとのコラボレーションでも知られるユニットだ。カンタベリー・シーンの流れを引きながら、ジャズとロックを行き来する構成が骨格になっている。
作品の輪郭
本作は、ジャズ・ロックの運動感と、プログレッシブ・ロックの組曲的な展開が重なる作品として捉えやすい。演奏はリズムの切り替えやパートの積み重ねが目立つタイプで、アンサンブルの細部を追う面白さがある。派手なフックを前面に出すというより、曲全体の流れと構成で聴かせる作り。
サウンドの質感としては、楽器同士の距離感が近く、即興性と緻密さが同居する印象。キーボード、ギター、ベース、ドラムの動きが絡み合い、ロックの推進力の上にジャズ由来のフレーズが乗る場面もある。実験的な要素も含みつつ、極端に崩すというよりは、構築されたアレンジの中で揺らぎを作る方向にある。
Zoppというプロジェクトの位置づけ
ZoppはRyan Stevensonを軸にしたプロジェクトで、カンタベリー・シーンや英国プログレの文脈に置くと見通しがつきやすい。Andy Tillisonの参加もあって、The Tangent周辺の現代プログレ的な手触りとの接点も感じられる。70年代のジャズ・ロックやプログレの語法を参照しながら、現在の録音感と編曲でまとめた作品、と言えそうだ。
参加メンバー
- Andrea Moneta
- Ryan Stevenson
- Ashley Raynor
- Richard Lucas
補足
オリジナルのリリースは2023年、盤としてのリリースも2023年。アーティスト関連情報はBandcampでも確認できる。曲単位の代表的なヒット曲については、この作品情報からは特定しにくいが、アルバム全体を通して聴くタイプの構成になっている。
関連サイト: https://zopp.bandcamp.com/
トラックリスト
- A1 Amor Fati (2:10)
- A2 You (10:56)
- A3 Bushnell Keeler (5:06)
- A4 Uppmärksamhet (3:13)
- B5 Reality Tunnels (4:11)
- B6 Wetiko Approaching (1:59)
- B7 Toxicity (14:21)
関連動画
Energy – Energy (1974)
Energy『Energy』について
スウェーデン、ストックホルム出身のロック・バンド、Energyのアルバム『Energy』。もともとはAllrite名義で活動を始めたグループで、ジャズの要素を含んだプログレッシブ・ロックを演奏していたバンドとして知られている。ここで取り上げる作品は1974年作として位置づけられる内容で、盤としては2014年にドイツでリリースされたものだ。
バンドの背景
Energyは、Amadeo Nicoletti、Björn Inge、Alvaro Is、Bosse Norlénの4人による編成。アーティスト情報を見るかぎり、出発点はAllriteという名前で、その後Energyとして活動していった流れがある。スウェーデンの1970年代プログレ・シーンの中でも、ロックにジャズの語法を重ねたタイプのバンドとして見てよさそうだ。
サウンドの特徴
ジャンル表記はJazz、Rock、スタイルはFusion、Prog Rock。実際の聴きどころも、そうした並びに沿うものになっている。ロックの推進力を土台にしながら、ジャズ寄りのフレーズや展開を差し込む構成で、演奏中心の組み立てが想像しやすい。ギター、ベース、ドラムの動きに、鍵盤やアンサンブルの絡みが加わるタイプの質感で、70年代中盤の欧州プログレらしい手触りがある。
1970年代スウェーデン・プログレの文脈
同時代の北欧プログレには、長尺の展開やジャズ・ロック寄りの構成を持つグループが少なくない。Energyもその流れの中に置けるバンドで、純粋なハードロックでも、ジャズそのものでもない中間的な位置が印象に残る。フュージョン的な感覚とプログレッシブ・ロックの構成感、その両方を行き来する作品として捉えやすい。
作品の位置づけ
『Energy』は、バンド名をそのまま掲げたアルバムという点でも、グループの輪郭を示す一枚と見られる。アーティスト名と作品名が一致しているため、当時のバンドの方向性をまとめて示す性格が強い。1974年という時代性を考えると、欧州のプログレやジャズ・ロックの空気を反映した記録としても読み取りやすい。
まとめ
Energy『Energy』は、スウェーデンのロック・バンドがジャズの要素を取り入れたプログレッシブ・ロックを展開した作品。1974年のオリジナル作として、70年代中盤の欧州ジャズ・ロック/フュージョン系プログレの文脈に置けるアルバムだ。
トラックリスト
- A1 Subtle Forces (4:59)
- A2 Metamorphisis / Impressions (7:39)
- A3 Up To Seven (5:26)
- B1 Porta Marina (10:26)
- B2 John (6:32)
関連動画
Kokomo – Rise And Shine! (1975)
Kokomo『Rise And Shine!』について
Kokomoの『Rise And Shine!』は、1975年にアメリカでリリースされたアルバム。ジャンルはFunk / Soul、スタイルはSoulとDiscoに位置づけられる作品で、バンドの持つソウル・ミュージック志向が前面に出た一枚だ。
Kokomoは1973年に結成されたバンドで、イギリスの複数のグループの残党から成った編成として知られる。ボーカルのDyan Birch、Paddie McHugh、Frank CollinsはArrival出身で、Neil HubbardやAlan SpennerはJoe CockerのGrease Bandでの活動歴を持つ。こうした経歴のメンバーが集まっているため、演奏とコーラスのまとまりに強みがあるグループとして捉えやすい。
サウンドの印象
この作品は、ソウル・コーラスの厚みと、ディスコ寄りのリズム感が組み合わさった内容として受け取れる。ファンク由来のうねりを残しつつ、歌を中心に据えたバランスで、演奏陣の手堅さがそのまま音像に出ているタイプのアルバムだ。
メンバーにはMel Collins、Frank Collins、Neil Hubbard、Alan Spenner、Terry Stannard、Jim Mullen、Dyan Birch、Paddie McHugh、Tony O’Malley、John Sussewellが並ぶ。管楽器やリズム隊、鍵盤、コーラスが揃った編成で、いわゆるバンド・サウンドとしての厚みが出やすい構成である。
作品の位置づけ
『Rise And Shine!』は、Kokomoにとって1975年時点の代表的な作品のひとつとして見られるアルバム。ソウル、ディスコ、ファンクの要素を持つ1970年代中盤の空気を反映した内容で、同時代の英国発ソウル・バンドや、洗練されたコーラス・グループの流れと並べて語られることがありそうだ。
バンドはその後1977年にいったん活動の区切りを迎えるが、このアルバムは最初期の活動期を示す記録として位置づけられる。
同時代の文脈
1970年代半ばのソウル/ディスコ周辺では、歌の重なりやリズムの推進力を軸にしたバンドが多く登場していた。Kokomoもその流れの中で、アメリカのソウル感覚と英国の演奏家たちの職人的なバックグラウンドが交差する存在として捉えられる。コーラスの美しさとバンド演奏の両立が、この時代らしいポイントだ。
基本情報
- アーティスト: Kokomo
- タイトル: Rise And Shine!
- リリース年: 1975年
- 国: US
- ジャンル: Funk / Soul
- スタイル: Soul, Disco
Kokomoの1975年作『Rise And Shine!』は、ソウルを軸にしながらディスコの感触も取り込んだ、1970年代中盤らしいバンド作品として整理できる一枚だ。
トラックリスト
- A1 Use Your Imagination (5:18)
- A2 Little Girl (3:46)
- A3 That’s Enough (4:51)
- A4 Rise And Shine (5:18)
- B1 Without Me (3:46)
- B2 Do It Right (2:59)
- B3 Angle Love (4:18)
- B4 Happy Birthday (3:20)
- B5 Feelin’ Good (4:52)
関連動画
Telex – Sex (1981)
Telex『Sex』について
『Sex』は、ベルギーのエレクトロニック・ディスコ・ポップ・バンド、Telexが1981年に発表したアルバム。Marc Moulin、Dan Lacksman、Michel Moersの3人によるユニットで、シンセサイザーとリズムマシンを軸にしたサウンドで知られるグループだ。Telexの作品の中では3作目にあたり、80年代初頭のエレクトロ/シンセ・ポップの流れの中に置きやすい一枚になっている。
サウンドの輪郭
この時期のTelexは、ディスコの躍動感と、機械的な打ち込みの感触を重ねた作りが特徴的だ。音の配置は比較的シンプルで、電子音の粒立ちや反復するビートが前に出る。歌やメロディも、過度に感情を押し出すというより、無機質さを含んだ軽いユーモアとともに進んでいく印象がある。
ジャンル表記としてはElectronic、Electro、Synth-pop、Experimentalとされており、ダンス・ミュージックの要素と実験的な感触が同居する作品として捉えやすい。Kraftwerk以降のヨーロッパ産エレクトロニック・ポップの文脈に並べて語られることも多いタイプの音だ。
Telexというバンドの位置づけ
Telexは1978年に結成され、ベルギー発のエレクトロニック・ディスコ・ポップを代表する存在のひとつ。最初期のシングル「Twist A Saint Tropez」「Moskow Diskow」「Rock Around The Clock」はヨーロッパでヒットし、12インチ盤もダンスクラブ、とくにアメリカで広く回ったとされる。
『Sex』は、そうした初期の話題性を経て制作されたアルバムで、バンドのシングル中心の印象とは少し違う、アルバム作品としてのまとまりを持つ時期の記録でもある。Telexのディスコ的な側面と、電子音楽としての構築感が、よりはっきり同居している時期と見てよさそうだ。
時代背景と比較の視点
1981年という時期は、シンセ・ポップやエレクトロが欧州のポップスの中で存在感を強めていく頃。Telexの音は、同時代のニュー・ウェイヴやダンス・ミュージックとも接点を持ちながら、より機械的で、少し距離を置いたような質感がある。ベルギーという地域性も含めて、英米のメインストリームとは少し違う角度から80年代初頭の電子ポップを捉えた作品と言えそうだ。
代表曲について
Telexの代表曲としては、やはり初期シングルの「Twist A Saint Tropez」「Moskow Diskow」「Rock Around The Clock」がよく挙がる。バンドの名前を広く知らしめた楽曲群であり、クラブ向けの12インチ文化とも相性がよかった。『Sex』も、こうした初期の流れを受けながら、よりアルバム単位の構成でTelexらしさを示した作品として見ることができる。
ひとこと
『Sex』は、Telexの電子音ポップが持つ軽さ、機械感、そしてダンス・ミュージックとの接点がまとまった1981年のアルバム。ベルギー発のエレクトロ・ポップが80年代初頭にどう鳴っていたかを知るうえで、ひとつの手がかりになる作品だ。
トラックリスト
- A1 Brainwash (4:20)
- A2 Drama Drama (3:57)
- A3 Haven’t We Met Somewhere Before? (4:06)
- A4 Long Holiday (2:12)
- A5 The Man With The Answer (3:15)
- B1 Carbon Copy (6:34)
- B2 Exercise Is Good For You (3:35)
- B3 Dream-O-Matic (4:13)
- B4 Sigmund Freud’s Party (2:53)
関連動画
England – The Last Of The Jubblies (Silver Edition) (1997)
England『The Last Of The Jubblies (Silver Edition)』について
Englandは、イングランド南東部メイドストーン出身のプログレッシブ・ロック・バンドだ。1975年に結成され、1980年代初頭まで活動し、その後2005年ごろに再結成されている。『The Last Of The Jubblies (Silver Edition)』は、そんなEnglandの作品のひとつで、オリジナルは1997年のリリースとして知られている。2017年にはドイツで盤が出ている。
作品の位置づけ
Englandは、シンフォニック・ロック寄りの構成感と、プログレッシブ・ロックらしい展開の多さを持つバンドとして語られることが多い。1970年代から続く英国プログレの文脈に置くと、YesやGenesis、Camelのような流れを思わせる要素がありつつも、よりローカルなバンドらしい編成感と手触りが見える。『The Last Of The Jubblies』も、そのバンドの活動史のなかで後年に位置する一枚として捉えられる。
サウンドの印象
ジャンル表記はRock、スタイルはProg RockとSymphonic Rock。こうしたタグからは、曲ごとのパート展開、鍵盤を軸にしたアレンジ、組曲的な構成が連想される。派手なギミックで押すタイプというより、楽曲の流れと積み重ねで聴かせる質感の作品として見るのが自然だろう。
プログレッシブ・ロックの中でも、シンフォニック寄りの作品は、メロディと構成の両方を追う楽しさがある。このレコードも、そうした英国プログレらしい組み立てを持つ一枚として受け取れそうだ。
メンバー
- Alec Johnson
- Jode Leigh
- Robert Webb
- Jaffa
- Frank Holland
- Martin Henderson
- Maggie Alexander
- Steve Laffy
- Phil Gill
補足
Englandというバンド名は同名グループもあるが、この作品はメイドストーン出身の英国プログレ・バンドEnglandのものだ。関連情報としては、バンドのWikipediaページや、Gardenshed Musicのアーカイブが参照先として挙げられる。
1990年代の作品として見ても、1970年代から続く英国プログレの系譜を引きながら、再評価や再編の流れのなかで語られるタイプのレコードだと言えそうだ。
トラックリスト
- A1 Creepin’ Instrumental (6:32)
- A2 A One-Legged Day Tale (8:58)
- A3 Tooting Bec Rope Case (8:41)
- A4 Mister Meener (3:35)
- B1 Ridge Farm (8:24)
- B2 Flying Saucers (5:24)
- B3 Sausage Pie (5:14)
- B4 Hotel ‘Live’ (Extract) (6:48)
関連動画
Television – Live At The Waldorf In San Francisco 29 June 1978 (2003)
Television『Live At The Waldorf In San Francisco 29 June 1978』
Televisionは、1973年にニューヨークで結成されたアメリカのロック・バンドだ。本作『Live At The Waldorf In San Francisco 29 June 1978』は、1978年6月29日にサンフランシスコのWaldorfで行われたライヴを収めた作品として2003年に登場し、2020年盤としても流通している。ジャンル表記はRock、スタイルはNew Wave、Punk。
バンドの輪郭
Tom VerlaineとRichard Lloydの2本のギターを軸にしたTelevisionは、パンク以後のニューヨーク・シーンを代表する存在のひとつとして語られることが多い。演奏の骨格はタイトで、フレーズの応酬や間の取り方にこのバンドらしさが出る。Billy Ficcaのドラム、Richard Meyersのベースが支えるリズムも含めて、音数は多くないが、各パートの動きがはっきり聴こえるタイプのバンドだ。
1978年のライヴという位置づけ
1978年は、Televisionの初期活動期の終盤にあたる時期で、バンドの基本形がすでに固まっていた頃だ。本作はその時期のステージを記録したもので、スタジオ盤とは少し違う、演奏の生々しさや曲の組み立て方が見えやすい内容になっている。Tom VerlaineのギターとRichard Lloydのギターが絡む場面は、このバンドの核心ともいえる部分だろう。
サウンドの特徴
Televisionの音は、いわゆる勢いだけのパンクとは少し違う。テンポを保ちながらも、ギターの細かな音の動きや、フレーズの受け渡しに耳が向く作りだ。New WaveやPunkの文脈に置かれつつも、即効性よりも演奏の精度や構成の工夫が前に出る印象がある。ライヴ盤では、その輪郭がよりはっきり伝わる。
代表曲との関係
Televisionを語るうえでは、『Marquee Moon』や『Venus』のような代表曲がまず挙がることが多い。本作が収めるのは1978年のライヴなので、そうした楽曲群をステージでどう鳴らしていたかに触れられる点も、この作品の見どころのひとつといえる。
同時代との関わり
同時代のニューヨーク・パンクの流れの中では、TelevisionはRamonesやPatti Smith Groupなどと並べて語られることがある。ただし、Televisionはよりギターの対話や曲の展開に重心があるバンドで、単純な速さや荒さとは別の方向に個性がある。New Waveの初期形を考えるうえでも、重要な位置にあるグループだ。
作品の聴きどころ
- Tom VerlaineとRichard Lloydのギターの掛け合い
- 1978年時点のバンドのまとまり
- スタジオ盤とは異なるライヴならではの演奏感
- パンクとニューウェイヴの境界にある時期の記録
Televisionは2000年代以降も活動を続けたが、2023年にTom Verlaineが亡くなり、バンドは事実上その歴史を終えた。本作は、初期Televisionの姿を伝えるライヴ記録として、バンドの輪郭をつかみやすい一枚だ。
トラックリスト
- A1 The Dream’s Dream
- A2 Friction
- A3 Marquee Moon
- A4 Careful
- B1 Venus De Milo
- B2 Foxhole
- B3 Ain’t That Nothin’
- B4 Little Johnny Jewel
関連動画
The Final Age – The Final Age (2018)
The Final Age『The Final Age』について
The Final Ageは、ドラマーのJesse Webbによる即興性の強いクラウトロック/サイケデリック・ロック・プロジェクト。2018年に同名の作品『The Final Age』を発表している。ElectronicとRockの要素をまたぎながら、Psychedelic Rock、Krautrock、Experimental、Ambientの文脈に置ける内容になっている。
作品の輪郭
この作品は、バンド編成のロックというよりも、Jesse Webbの演奏感覚を軸にした実験的なプロジェクトとして捉えやすい。プロフィールでも「improvisational krautrock/psychedelic rock project」とされており、一定のリフや反復を土台にしながら、演奏の流れで形を変えていくタイプの音像が想像しやすい。電子的な処理とロックの推進力が並立する構成、という印象の作品情報だ。
サウンドの手触り
ジャンル表記から見ると、サウンドはロックのドライブ感だけで押すというより、反復、空間、音の重なりを重視したものになっている可能性が高い。クラウトロック由来の機械的な推進、サイケデリック・ロックの展開感、アンビエント寄りの滞留感、エクスペリメンタルな処理が同居する構成。質感としては、輪郭のはっきりしたロック・サウンドと、電子音や残響が混ざるタイプのものとして整理できる。
アーティストの位置づけ
The Final AgeはJesse Webbのソロ/主導プロジェクトとして見られる。ドラマーという出自もあって、リズムの組み立てや反復の設計が作品の中心になっていると考えやすい。2018年時点での同名作は、このプロジェクトの初期像を示す一枚として位置づけられる。
文脈
文脈としては、クラウトロック、サイケデリック・ロック、エクスペリメンタル・ロックの交差点に置ける作品。電子音楽とロックの境界をまたぐ流れの中で、即興性を持った演奏を軸にした作品群と並べて語られるタイプだろう。国籍表記もUK & USとなっており、地域的な枠に収まりきらない活動として見える。
作品情報
- アーティスト: The Final Age
- タイトル: The Final Age
- リリース年: 2018年
- ジャンル: Electronic, Rock
- スタイル: Psychedelic Rock, Krautrock, Experimental, Ambient
- メンバー: Jesse Webb
関連サイト
作品単体で見ると、派手なヒット曲を前提にした内容というより、反復と即興の流れをじっくり追うタイプの記録として受け取れそうだ。The Final Ageという名義の出発点として、その輪郭がよく出た一枚、と言えそうな内容である。
トラックリスト
- A1 The Final Age (5:19)
- A2 Trust Fund Death Camp Moan (2:49)
- A3 2 Second Rule (5:23)
- A4 96 Layers (2:32)
- A5 Past Minus Future (3:40)
- A6 A Certain Breed (3:55)
- B1 I Fail (5:10)
- B2 Mephadrone (4:40)
- B3 There Will Be Waste (6:49)
- B4 Punching A Hole (5:01)
Akira Ito – やすらぎの道 心気・Japanesque (1981)
Akira Ito『やすらぎの道 心気・Japanesque』について
Akira Itoによる『やすらぎの道 心気・Japanesque』は、1981年に日本で登場した作品だ。ジャンルはElectronic、Folk、World、& Countryにまたがり、スタイルとしてはExperimentalとAmbientに位置づけられている。日本のニューエイジ/ロック系の流れの中で、電子音と素朴な要素を組み合わせた作品として見ていける一枚だ。
タイトルから受ける印象どおり、内容も音のつくりも、派手さよりも流れや呼吸を意識した方向にあるように見える。電子的な質感を土台にしながら、民俗音楽や自然な響きを思わせる要素が重なっていくタイプで、実験性と静けさが同居するあたりがこの作品の特徴といえそうだ。
サウンドの輪郭
この作品は、いわゆるロックの強いビートやポップな展開を前面に出すというより、音の重なりや空気感で聴かせるタイプだろう。Ambient的な広がりの中に、Electronicらしい構成感があり、そこへFolkやWorld & Countryの感触が差し込まれることで、単なる電子音楽には収まらない手触りになっている。
音色の面では、硬質なシンセだけで押し切るというより、やわらかさや余白のある響きが想像しやすい。細かな動きよりも、ひとつの場面がゆっくり立ち上がっていくような作りの印象だ。
Akira Itoの中での位置づけ
Akira Itoは1945年生まれの日本のロック/ニューエイジ系ミュージシャンで、レーベル運営にも関わった人物として知られる。そうした背景を踏まえると、『やすらぎの道 心気・Japanesque』は、単独のアルバムというより、当時の日本の電子音楽やニューエイジ的な感覚を示す一作として見ることができる。1981年という時期も、実験的な音作りと環境音楽的な発想が広がっていた時代の空気と重なる。
同時代の文脈
この時期の日本では、電子音楽、アンビエント、ニューエイジ、そして民俗的な要素を取り込む動きが少しずつ広がっていた。Akira Itoのこの作品も、その流れの中に置くと理解しやすい。海外のアンビエントや実験音楽と並べて語られることもありそうだが、音の輪郭には日本的な感覚を意識した方向性が見える。
作品名にある「Japanesque」という語も、その立ち位置を示すキーワードとして受け取れる。日本的な要素を、単純な引用ではなく、電子的な構成の中にどう組み込むかというテーマがにじむタイトルだ。
まとめ
『やすらぎの道 心気・Japanesque』は、1981年の日本で生まれた、実験性とアンビエント性をもつ作品だ。電子音楽を軸にしながら、フォークやワールド系の手触りを交え、静かな流れの中で独自の景色をつくっている。Akira Itoの活動をたどるうえでも、当時の日本のニューエイジ/実験音楽の空気を知るうえでも、ひとつの手がかりになりそうな一枚だ。
トラックリスト
- A1 生命源 (4:05)
- A2 曙光 (2:21)
- A3 誕生(予言者) (2:40)
- A4 意(おもい) (5:25)
- A5 修習思惟 (3:45)
- A6 放射光 (3:09)
- “子供達へ”
- B1 警句(Epigram) (2:14)
- B2 六大…地・水・火・風・空(物質)識(精神) (2:10)
- B3 火の国 (2:41)
- B4 自覚 (5:05)
- B5 命(みこと) (5:07)
- B6 旅する人へ (2:56)
関連動画
Communions – Communions EP (2015)
Communions「Communions EP」について
Communionsは、コペンハーゲンのMayhemというスタジオ兼ライブスペースを拠点に活動していた若い4人組。IceageやLowerと同じ環境から出てきたバンドとして紹介されることが多く、2015年に登場したこの「Communions EP」は、その初期像をつかむうえで分かりやすい作品だ。
ジャンルはRock、スタイルはIndie Rock。音の輪郭は比較的はっきりしていて、ギターの鳴りとリズムの推進力で進むタイプのEPに見える。勢いだけで押し切るというより、メロディと音の硬さが並ぶような作りで、同時代の北欧インディーやポストパンク周辺の空気も感じさせる。
作品の位置づけ
このEPは、Communionsというバンドの名前を最初に広く印象づけた時期のリリースとして捉えやすい。2015年の作品として、のちの活動へつながる出発点のひとつと言える。
メンバーはJacob Van Deurs Formann、Mads Rehof、Martin Rehof、Frederik Lind Köppenの4人。バンドの成り立ちとしては、コペンハーゲンの新しいパンク、インダストリアル、シンセ系の動きと近い場所にいたことがプロフィールからもわかる。
サウンドの印象
このEPでは、インディーロックらしい軽快さの中に、やや硬質な質感がある。ギターは前に出て、演奏はきっちりまとまっていて、都会的な冷たさと若いバンドらしい直進感が同居しているように聴こえる。
IceageやLowerと同じ街の空気を共有しているという背景を踏まえると、単なるギターポップではなく、コペンハーゲンの地下シーンに接続した作品として見ることもできる。
関連情報
- アーティスト名: Communions
- タイトル: Communions EP
- オリジナルリリース年: 2015年
- ジャンル: Rock
- スタイル: Indie Rock
公式サイトやBandcamp、Facebook、Twitterも公開されていて、バンドの動きはそちらから追えるようになっている。2015年時点のCommunionsを知る入口として、このEPはそのまま置いておきやすい一枚だ。
トラックリスト
- A1 Forget It’s A Dream
- A2 Out Of My World
- B1 Restless Hours
- B2 Summer’s Oath
- B3 Wherever
関連動画
Lipps, Inc. – Pucker Up (1980)
Lipps, Inc. / Pucker Up
Minneapolis出身のファンク/ディスコ・バンド、Lipps, Inc.が1980年に発表した作品。シンシア・ジョンソンのリード・ボーカルとサックスを軸に、スティーヴン・グリーンバーグが多くの楽曲を作曲・プロデュースしていたグループで、この時期のディスコ・サウンドを代表する流れの中にある1枚。
作品の位置づけ
Lipps, Inc.は、1979年のデビュー・シングル「Rock It」、そしてデビュー・アルバム『Mouth to Mouth』で活動を開始している。その後の「Funkytown」が世界的な大ヒットとなり、グループ名を広く知らしめた。『Pucker Up』は、その初期の勢いの中で出た1980年の作品で、バンドの初期像をつかむうえで重要な位置にある。
サウンドの印象
ジャンル表記はElectronic、Funk / Soul、スタイルはDisco。リズム・セクションを前に出したダンス志向の作りで、ベースのうねりとストレートな4つ打ち、シンセのフレーズが楽曲を引っ張るタイプの音作りが中心。シンシア・ジョンソンの歌声とサックスが入ることで、機械的になりすぎず、ファンク寄りの質感も残している。
同時代とのつながり
1979年から1980年にかけてのディスコ終盤の空気を感じる内容で、ダンス・フロア向けの明快さと、ファンク由来のグルーヴが同居している。Lipps, Inc.はミネアポリスのバンドとしても知られ、のちの同地のファンク/ポップ勢を思わせる、タイトな演奏と都会的なビート感が特徴的な流れにある。
代表曲について
このグループを語るうえで外せないのが「Funkytown」。全米Billboard Hot 100とダンス・チャートの両方で1位を記録し、世界各国でも大きなヒットになった。『Pucker Up』も、その代表曲で知られるバンドの初期作品として聴かれている。
リリース情報
- アーティスト: Lipps, Inc.
- タイトル: Pucker Up
- オリジナル・リリース年: 1980年
- リリース国: Japan
- ジャンル: Electronic, Funk / Soul
- スタイル: Disco
ディスコの終盤にあたる時期の、Lipps, Inc.らしいダンス指向の一作。グループの核にあるシンシア・ジョンソンのボーカルと、スティーヴン・グリーンバーグの制作面が見えやすい内容になっている。
トラックリスト
- A1 How Long
- A2 Tight Pair
- B3 Always Lookin’
- B4 The Gossip Song
- B5 There They Are
- B6 Jazzy
関連動画
Tarkus – Tarkus (1972)
Tarkus / Tarkus
ペルー・リマ出身のハードロック・バンド、Tarkusによる同名作。オリジナルは1972年の作品で、ペルーのロック史の中でも、サイケデリックな要素とラテン系の感触を含んだハードロックとして位置づけられる一枚だ。アーティストとしては短い活動期間を持ち、その後2007年に再結成されている。
作品の概要
本作は、ハードロックを軸にしながら、60年代末から70年代初頭のサイケデリック・ロックの流れを引き継ぐ作りになっている。ギターの押し出しやリズムの前進感に加えて、南米のバンドらしい土着的なニュアンスが重なるのが特徴。英米のハードロックと比べると、直線的な重さだけでなく、少しざらついた質感や、曲ごとの空気の揺れが残るタイプのサウンドといえる。
バンドの位置づけ
Tarkusは、リマのロック・シーンの中で、ハードロックとサイケデリックな感覚をつないだグループとして語られることが多い。活動時期は長くないが、1972年という時代の空気をそのまま閉じ込めたような存在で、同時代のハードロック、サイケデリック・ロックの文脈に置いて聴かれることが多い。
メンバー
- Dario Gianella
- Alex Nathanson
- Walo Carrillo
- Guillermo Van Lacke
- Christian Van Lacke
音の印象
サウンドは、硬質なギターリフを軸にしたハードロック寄りの作りで、そこにサイケデリックな広がりが重なる印象。ラテン文化圏のバンドらしい感触もあり、単純に英米ハードロックの模倣というより、地域性のある色合いが出ている。
同時代の文脈
1970年代初頭のラテンアメリカでは、英米のロックの影響を受けながらも、土地ごとのリズム感や表現を持ち込むバンドが各地で登場していた。Tarkusもその流れの中にあるグループで、ハードロック、サイケデリック・ロック、そして南米的な要素が交差する作品として見ることができる。
盤について
こちらはイタリア盤の2007年リリース。作品そのものは1972年のオリジナル作として扱われる。
トラックリスト
- A1 El Pirata (3:20)
- A2 Martha Ya Esta (5:45)
- A3 Cambiemos Ya (3:30)
- A4 Tempestad (3:20)
- B1 Tema Para Lilus (4:45)
- B2 Tranquila Reflexion (3:20)
- B3 Rio Tonto (4:22)
- B4 Tiempo En El Sol (2:15)
関連動画
David Bowie – David Bowie (1967)
David Bowie / David Bowie
1967年に発表された、David Bowieのデビュー作。ブリティッシュ・ポップ/ロックの流れの中で、バロック・ポップやモッドの要素を取り入れた初期作品として位置づけられる一枚です。のちのグラム・ロック期とはまた違う、若い時期のBowieの感触がそのまま残る内容です。
作品の輪郭
このアルバムでは、当時の英ポップらしい整ったメロディと、音数の多いアレンジが印象に残ります。ストリングスや管楽器を思わせる立体感、軽いユーモアを含んだ歌い回し、曲ごとに表情を変える構成など、後年の大きな変身を前にした段階のBowieらしさが見える作品です。
サウンドの質感としては、ロックの基本形に、演劇的な要素や当時のモッズ周辺に通じる感覚が重なっている印象です。派手さよりも、曲ごとの作り込みや言葉の運びに耳が向くアルバムです。
David Bowieにとっての位置づけ
本作は、1960年代後半のDavid Bowieの出発点を示すアルバムです。後の代表的なキャラクター性やコンセプト志向に比べると、ここではまだポップ・ソングとしてのまとまりが前面に出ています。とはいえ、のちのキャリアにつながる多面的な作風の芽はすでに感じられるところです。
Bowieはその後、20世紀を代表する影響力の大きなアーティストの一人として知られるようになりますが、このデビュー作は、その長い歩みの最初の章として聴かれることが多い作品です。
時代背景と比較の手がかり
1967年という時期は、英国のポップ/ロックが大きく広がっていた時代です。バロック・ポップ的な装飾性や、モッド由来の都会的なリズム感は、同時代の英ポップの中でもよく見られる要素で、Bowieのこの作品もそうした流れの中にあります。のちのBowieが見せる変化の多さを思うと、この時点ではまだ比較的ストレートなソングライティングが中心です。
収録曲と関連曲
この作品に関連するシングルとしては、1966年12月のオリジナル版と、1967年7月の再録音版が知られています。アルバム全体を通して、曲ごとのキャラクターの違いがはっきりしており、初期Bowieの作家性をたどる手がかりにもなります。
1981年盤について
今回の盤は1981年リリースのものです。オリジナルの1967年盤から時間を置いた再発盤として、初期David Bowieの作品を別の時代に手に取れる一枚といえます。
トラックリスト
- A1 Uncle Arthur (2:07)
- A2 Sell Me A Coat (3:00)
- A3 Rubber Band (2:15)
- A4 Love You Till Tuesday (3:10)
- A5 There Is A Happy Land (3:11)
- A6 We Are Hungry Men (2:58)
- A7 When I Live My Dream (3:19)
- B1 Little Bombardier (3:24)
- B2 Silly Boy Blue (3:51)
- B3 Come And Buy My Toys (2:07)
- B4 Join The Gang (2:16)
- B5 She’s Got Medals (2:26)
- B6 Maid Of Bond Street (1:44)
- B7 Please Mr. Gravedigger (2:47)
関連動画
Bob Dylan – Highway 61 Revisited (1965)
Bob Dylan「Highway 61 Revisited」
1965年に発表された、Bob Dylanの代表作のひとつ。フォーク・ロックとブルース・ロックを軸にしながら、従来のフォークの枠を大きく広げた作品として知られている。Dylan自身のソングライターとしての存在感が前面に出たアルバムで、ロックの文脈でも重要な位置を占める一枚だ。
作品の位置づけ
Bob Dylanは、アメリカのシンガー・ソングライターとして長く活動してきた人物で、1960年代の音楽シーンに大きな影響を与えた。Highway 61 Revisitedは、その歩みの中でも、エレクトリック・サウンドへと大きく踏み出した時期の作品として語られることが多い。フォークを出発点にしながら、ロックの編成とブルースの感触を取り込んだ構成が印象的だ。
サウンドの特徴
全体としては、ギター、オルガン、リズム隊が前に出る、はっきりしたバンド・サウンド。アコースティック中心のフォーク作品とは違い、音の輪郭が太く、演奏の推進力も強い。ブルース由来のフレーズや、ロックンロール的な勢いが曲ごとに見える作りで、言葉の多い歌詞とサウンドの強さが並ぶ。
代表曲について
このアルバムには、Dylanの代表曲としてよく挙げられる「Like a Rolling Stone」が収録されている。シングルとしても広く知られ、6分を超える長さと、強いフックを持つ展開で、当時のポップ・ソングの感覚を押し広げた曲として扱われることが多い。ほかにも、タイトル曲「Highway 61 Revisited」をはじめ、アルバム全体を通して印象に残る曲が並ぶ。
同時代とのつながり
1960年代半ばのロックやフォークの流れの中で見ると、この作品は、シンガー・ソングライターが個人の言葉をロックの形式に乗せていく動きの中心にある。ブルース・ロック、フォーク・ロックの広がりとも重なり、同時代のアメリカン・ロックの変化を示す一枚としても見られている。
ひとことで言うと
Bob Dylanの作家性とバンド・サウンドが強く結びついたアルバム。1965年という年の空気を映しながら、フォークからロックへとまたがる重要作として定着している。
トラックリスト
- A1 Like A Rolling Stone (6:13)
- A2 Tombstone Blues (5:58)
- A3 It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry (4:09)
- A4 From A Buick 6 (3:19)
- A5 Ballad Of A Thin Man (5:58)
- B1 Queen Jane Approximately (5:31)
- B2 Highway 61 Revisited (3:30)
- B3 Just Like Tom Thumb’s Blues (5:31)
- B4 Desolation Row (11:20)
関連動画
Юрий Антонов – Крыша Дома Твоего (1983)
Юрий Антонов「Крыша Дома Твоего」について
Юрий Антоновの「Крыша Дома Твоего」は、1983年に発表されたロック作品で、ソ連時代のポップ・ロックの流れを代表する一枚として知られる作品です。作曲家、歌手、演奏家として活動してきたЮрий Антоновの作家性が前面に出た内容で、メロディを重視したロックと親しみやすい歌ものの感覚が同居しています。
作品の輪郭
本作は、ロックを土台にしながらも、いわゆるハードな質感よりは、歌の流れや旋律のわかりやすさを軸にしたポップ・ロック寄りの仕上がりです。ギターやキーボードを中心にした編成が想像しやすく、当時のソ連圏で広がっていた、歌謡性の強いロックの文脈に置ける内容といえます。
音の印象としては、厚すぎないバンド・サウンドの中に、はっきりしたメロディとコーラスが乗るタイプ。派手な演奏で押すというより、曲そのものの流れで聴かせる作りです。
Юрий Антоновという存在
Юрий Антоновは1945年生まれ、タシケント出身のロシアの作曲家、歌手、音楽家です。ソ連の大衆音楽の中で広く知られた存在で、ポップスとロックの境目をまたぐような楽曲を数多く手がけてきました。1983年のこの作品は、そうしたキャリアの中でも、彼のメロディメーカーとしての持ち味が見えやすい時期の一枚として捉えやすいです。
時代背景と文脈
1980年代前半のソ連では、ロックが独自の形で発展していきました。西側のハードロックやプログレッシブ・ロックとは少し違い、歌の強さやポップな旋律を重視した作品が多く、この作品もその流れの中にあります。国内のポップ・ロック、あるいはシンガーソングライター的な感覚を持つロック作品として見ると、位置づけがわかりやすいです。
同時代のソ連圏の音楽と並べると、バンド色の強いロックよりも、歌メロ中心の親しみやすさが印象に残るタイプです。大きく言えば、ロックの形式を借りながら、ポピュラー音楽としての聴きやすさを前に出した作品です。
聴きどころ
- メロディが前に出る曲作り
- ポップ・ロックらしい整ったバンド・サウンド
- 歌を中心にしたわかりやすい構成
- 1980年代ソ連ポップ・ロックの空気感
まとめ
「Крыша Дома Твоего」は、Юрий Антоновの作家性がストレートに出た1983年のロック作品です。ポップ・ロックの枠の中で、歌メロの強さと時代の空気がきれいにまとまった一枚、といった見方がしやすいです。
トラックリスト
- A1 Жизнь · Life (4:57)
- A2 Вот Как Бывает · The Way It Is (3:40)
- A3 Море · The Sea (2:40)
- A4 Зеркало · Mirror (3:33)
- A5 Я Вспоминаю · I Remember (5:47)
- B1 Двадцать Лет Спустя · Twenty Years Later (3:45)
- B2 Не Забывай · Don’t Forget (3:50)
- B3 Анастасия · Anastasia (3:01)
- B4 Золотая Лестница · Golden Staircase (2:45)
- B5 Дорога К Морю · The Road To The Sea (3:22)
- B6 Крыша Дома Твоего · Your Home’s Roof (2:50)
関連動画
David Bowie – Loving The Alien (1985)
David Bowie「Loving The Alien」について
David Bowieの「Loving The Alien」は、1985年の作品として知られる楽曲で、同年にリリースされた時代の空気をよく映した1曲です。Bowieは英国出身のシンガー、ソングライター、俳優として広く知られ、1970年代から80年代にかけてロックとポップの境界をまたぎながら活動を続けてきました。この曲も、その流れの中で生まれた80年代中盤のBowieらしい一曲です。
サウンドの印象
サウンドは、シンセサイザーを前面に出したポップ・ロック寄りの質感が特徴です。電子的な音の層の上に、Bowieの歌がはっきりと乗る構成で、80年代の制作感が強く出ています。ロックの骨格を残しつつ、シンセ・ポップの要素を取り込んだ仕上がりで、当時の洋楽シーンの流れとも重なる内容です。
作品の位置づけ
1985年のBowieは、すでに大きな成功を重ねた後の時期で、アーティストとしての幅をさらに広げていたタイミングです。「Loving The Alien」は、その中でも電子音とポップ性を組み合わせた時期のBowieを示す作品として見られます。ロック、ポップ、エレクトロニックの要素が交差する点に、この時代の特徴が表れています。
同時代とのつながり
この時期のBowieは、同じく80年代のポップ・ロックやシンセ・ポップの文脈の中で語られることが多いです。デヴィッド・ボウイという名前が持つ実験性と、当時のメインストリーム寄りの音作りが重なっているあたりが、作品の面白さになっています。派手さだけでなく、音の配置や歌の置き方にもBowieらしい感覚がある1曲です。
基本情報
- アーティスト: David Bowie
- タイトル: Loving The Alien
- オリジナルリリース年: 1985年
- 盤のリリース年: 1985年
- ジャンル: Electronic, Rock
- スタイル: Pop Rock, Synth-pop
- リリース国: Japan
David Bowieの80年代作品をたどるうえで、「Loving The Alien」はその時代の音と感触をつかみやすい存在です。電子的な質感とロックの輪郭、そのバランス感が印象に残る1曲です。
トラックリスト
- A Loving The Alien (Extended Dance Mix) (7:27)
- B1 Don’t Look Down (Extended Dance Mix) (4:50)
- B2 Loving The Alien (Extended Dub Mix) (7:14)
関連動画
Robert Wyatt – ’68 (2013)
Robert Wyatt『’68』について
Robert Wyattの『’68』は、2013年にリリースされた作品。ジャズとロックを土台にしながら、フュージョンや実験性のある方向へも目を向けた内容で、Wyattのキャリアを振り返るうえで重要な位置づけの1枚として扱われている。
作品の成り立ち
タイトルの通り、1968年に関わる音源をまとめたアルバムで、Robert Wyattの音楽活動の初期をたどる構成になっている。Wyattは1960年代にWilde Flowers、続いてSoft Machineを共同結成し、ロンドンのサイケデリック・アンダーグラウンドの文脈で活動を広げていった人物。Soft MachineはJimi Hendrix Experienceの前座としてアメリカ・ツアーも行っており、その時期の空気がこの作品にもつながっている。
Wyatt自身は、のちにソロ活動でも独自の足跡を残していくが、『’68』はそうした本格的なソロ期の前段階にあたる時期を示す資料的な意味合いも持つ。本人のライフワークにおける“欠けていた部分”を埋めるような位置づけ、と説明されている。
サウンドの特徴
ジャズ由来の流れとロックの推進力が同居し、そこに実験的な組み立てが重なるタイプの内容。Soft Machine周辺の時代を思わせる、時に流動的で、時にリズムの切り替わりがはっきりした手触りがある。いわゆる歌もの中心ではなく、演奏の動きや構成そのものを追う楽しみが大きい作品だ。
同時代の文脈で見ると、Canや周辺のプログレッシブ/アヴァン寄りのロック、あるいはジャズ・ロックの展開と並べて語られやすい領域。Robert Wyattの名前が出るときに連想される、柔らかな声のソロ作品とはまた違い、バンドの変化や即興性が前に出る場面が想像しやすい。
リリース情報
- オリジナルリリース年: 2013年
- リリース国: US
- ジャンル: Jazz, Rock
- スタイル: Fusion, Experimental
フォーマットについて
2013年10月8日にリリースされ、アナログ盤、CD、デジタル配信で展開された。アナログ盤は白盤の初回プレスから始まり、その後も色違いのプレスが重ねられている。デジタル版には「Rivmic Melodies (Radio Edit)」がボーナストラックとして収録されている。
Robert Wyattという人物
Robert Wyattは1945年、イングランドのブリストル生まれ。1960年代半ばにWilde Flowersを共同結成し、1966年にはSoft Machineを共同結成した。Soft Machineは1967年に初のシングルを発表し、1968年にはJimi Hendrix Experienceの全米ツアーに同行している。
その後、Wyattはソロ活動へ移り、1973年の事故によって下半身不随となったのちも、車椅子で演奏と録音を続けてきた。『’68』は、そうした長いキャリアの中でも、出発点の時代を見つめ直す作品として受け取れる。
ひとこと
『’68』は、Robert Wyattの初期キャリアとSoft Machine周辺の空気をたどるうえで、かなり見通しのいい1枚。ジャズ、ロック、実験性が交差する時代の記録として、当時の流れがそのまま残っているような内容だ。
トラックリスト
- A1 Rivmic Melodies (18:17)
- A2 Chelsa (5:00)
- B1 Slow Walkin’ Talk (3:00)
- B2 Moon In June (20:33)
関連動画
Siouxsie & The Banshees – Tinderbox (1986)
Siouxsie & The Banshees『Tinderbox』
Siouxsie & The Bansheesの『Tinderbox』は、1986年にオリジナル・リリースされた7作目のスタジオ・アルバムです。ポストパンクを土台にしながら、オルタナティヴ・ロック、ニューウェイヴ、ゴシック・ロックの要素を組み合わせた一枚で、バンドの中期を代表する作品として語られることの多いタイトルです。ここで紹介するのは2018年盤です。
バンドの立ち位置
Siouxsie & The Bansheesは、1976年にロンドンで結成されたイギリスのバンドです。Siouxsie Siouxのヴォーカル、Steven Severinのベースを軸に、時期ごとにギタリストやドラマーを変えながら活動してきました。『Tinderbox』の時点では、Siouxsie Sioux、Steven Severin、John Valentine Carruthers、Budgieという編成。バンドのなかでも、音像が整理されつつ、演奏の輪郭がはっきりした時期の作品といえる。
サウンドの特徴
本作は、リズム隊の推進力と、ギターの鋭いフレーズが前に出る作り。録音はベルリンのHansa TonstudiosとロンドンのMatrix Studiosで行われ、ミックスはAir Studiosで仕上げられている。音の質感は比較的タイトで、曲ごとの緊張感が保たれている印象。ゴシック・ロックの要素は残しつつも、暗さだけに寄らず、構成の明快さが目立つアルバムでもある。
収録曲とシングル
全曲はバンド自身による作曲、プロデュース、アレンジ。アルバムからは事前にシングルも出ており、1985年10月の「Cities in Dust」と、1986年2月の「Candyman」が関連曲として挙げられる。どちらもバンドの代表曲として知られることの多いナンバーで、『Tinderbox』の輪郭をつかむうえでも重要な曲になっている。
- 「Cities in Dust」:アルバム期を代表するシングル
- 「Candyman」:続くシングルとして発表された楽曲
同時代とのつながり
1980年代半ばのイギリスでは、ポストパンク以降の流れを引き継ぎながら、ニューウェイヴやゴシック・ロックがそれぞれの形で広がっていた時期です。Siouxsie & The Bansheesは、そのなかでも独自の存在感を保ち続けたバンドで、同時代のThe Cureなどと並べて語られることも多い。『Tinderbox』は、そうした文脈のなかで、バンドの作曲面と演奏面のまとまりが見えやすいアルバムとして位置づけられる一枚です。
まとめ
『Tinderbox』は、Siouxsie & The Bansheesのキャリアのなかで、音の整理と緊張感が同時に前に出た1986年作です。ポストパンクの流れを引き継ぎながら、ニューウェイヴやゴシック・ロックの手触りを持った作品として、バンドの中期を押さえるうえで外せないタイトルといえるでしょう。
トラックリスト
- A1 Candyman
- A2 The Sweetest Chill
- A3 This Unrest
- A4 Cities In Dust
- B1 Cannons
- B2 Party’s Fall
- B3 92°
- B4 Lands End
関連動画
Chuzpe – 1000 Takte Tanz (1982)
Chuzpe『1000 Takte Tanz』について
Chuzpeは、1977年にウィーンで結成されたオーストリアのニューウェイブ/ポストパンク・バンドである。『1000 Takte Tanz』は1982年の作品として知られ、2012年に盤がリリースされている。電子音とロックの要素を行き来しながら、ニューウェイブ、シンセポップ、ミニマルの感触をまとめた一枚という位置づけになる。
バンドの背景
Chuzpeは、Robert Wolfを中心に結成されたグループで、オーストリア初期のパンク・シーンとも関わりのある存在として語られている。ウィーンという都市の空気と、当時のヨーロッパのポストパンク/ニューウェイブの流れが重なるあたりに、このバンドの立ち位置が見えてくる。
メンバーにはMic Metal、Andy Kolm、Stefan Pfeistlinger、Stephan Wildner、Gunulf、Jimmy Deix、Christian Brandl、Robert Wolf、James Bong、Charlie Wolf、Albert Griemann、Rudi Barcalらが名を連ねる。
サウンドの印象
『1000 Takte Tanz』は、ロックの骨格に電子的な質感を重ねた作品として捉えやすい。ニューウェイブらしいリズムの運び、シンセポップの音色、ミニマルな反復感が軸にあり、派手さよりも構造の組み立てで聴かせるタイプの手触りである。
同時代の文脈で見れば、初期ニューウェイブやポストパンクの流れ、あるいはシンセを前面に出したヨーロッパ圏のバンド群と並べて語られることがありそうだ。音の作り込みと簡潔さのバランスに、当時の空気が残っている。
作品としての位置づけ
1982年という時期は、Chuzpeにとって初期活動の延長線上にある時代で、バンドのサウンドがニューウェイブ/シンセポップ寄りの方向へまとまっていく局面とも読める。オーストリアのローカルなパンク/ニューウェイブ史の中で、Chuzpeの名前を確認するうえで重要な作品のひとつである。
補足
- アーティスト名: Chuzpe
- タイトル: 1000 Takte Tanz
- オリジナル年: 1982年
- 盤のリリース年: 2012年
- 国: オーストリア
- ジャンル: Electronic, Rock
- スタイル: New Wave, Synth-pop, Minimal
作品全体としては、オーストリアのニューウェイブ/ポストパンクの流れを押さえるうえで見逃しにくいタイトルである。
トラックリスト
- A1 Eine Hand Voll Chuzpe (2:22)
- A2 Zu Klug Für Diese Welt (1:49)
- A3 Vogue Girls (2:49)
- A4 Stealing Russians In Watchia (2:45)
- A5 Chinese Chive (2:10)
- A6 Der Rhythmus Dieser Stadt (2:17)
- B1 Der Meister Und Margerita (1:34)
- B2 Die Neuen Maschinen (3:21)
- B3 Gute Kräfte Sammeln Sich (1:56)
- B4 Das Zündholz (2:17)
- B5 Tote Körper Tanzen Anders (2:13)
- B6 Tausend Takte Tanz (4:11)
関連動画
The S.O.S. Band – S.O.S. (1980)
The S.O.S. Band『S.O.S.』について
The S.O.S. Bandの『S.O.S.』は、1980年にUSでリリースされたデビュー作。アメリカのR&B/エレクトロ・ファンク・バンドとして知られる彼らの初期像が、そのまままとまった一枚だ。ジャンル表記はFunk / Soul、スタイルはSoulとDisco。70年代末から80年代初頭のダンス・ミュージックの流れの中にある作品として捉えやすい。
バンドの成り立ちと本作の位置づけ
バンドはもともと「Santa Monica」という名前で活動していたが、1979年の「Take Your Time (Do It Right)」の録音中に、Sigidi Bashir Abdullahによって「The S.O.S. Band」へ改名された。S.O.S.は当初「sounds of success」の意味を持っていたという。『S.O.S.』は、そのバンド名を冠した初期作品であり、グループの基本的な方向性を示すタイトルでもある。
メンバーにはPenny Ford、Jason Bryant、Mary Davis、Bruno Speight、Billy Ellis、John Alexander Simpson、Willie Killebrew、James Earl Jones III、Fredi Grace、Jerome Thomas、Abdul Ra’oof、Chandra Currellyらがクレジットされている。USのR&Bバンドらしく、歌とリズムが前に出る編成だ。
サウンドの印象
この時期のThe S.O.S. Bandは、ソウルの歌心とディスコ以後のダンス感覚をつなぐ立ち位置にある。ファンク寄りのリズム、輪郭のはっきりしたビート、そしてR&Bらしいヴォーカルの組み合わせが軸になっている。派手に装飾するというより、グルーヴを保ちながら曲を進めるタイプの質感だ。
同時代の文脈で見ると、Chic周辺のディスコ以後の流れや、Earth, Wind & Fire、Zapp、Kool & the GangといったR&B/ファンク系アクトの空気感とも近いところがある。ソウルの延長線上にありながら、80年代的なリズムの硬さへ少し寄っていく、その境目の雰囲気がある。
代表曲について
The S.O.S. Bandを語るうえでは、「Take Your Time (Do It Right)」がよく知られている。バンド名の由来とも関わる曲で、彼らの初期を代表するナンバーとして扱われることが多い。『S.O.S.』は、その流れの中でバンドの輪郭を確認できる作品として位置づけやすい。
まとめ
『S.O.S.』は、The S.O.S. Bandの出発点にある1980年作。USのR&B/エレクトロ・ファンク・バンドらしい、ソウルとディスコの接点を持った内容で、初期のグループ像をつかむには分かりやすい一枚だ。バンド名の由来や代表曲の流れも含めて見ると、80年代R&Bの入り口にある作品として整理しやすい。
トラックリスト
- A1 S.O.S. (Dit Dit Dit Dat Dat Dat Dit Dit Dit) (5:43)
- A2 What’s Wrong With Our Love Affair? (4:51)
- A3 Open Letter (4:29)
- A4 Love Won’t Wait For Love (5:11)
- B1 Take Your Time (Do It Right) (7:30)
- B2 I’m In Love (3:36)
- B3 Take Love Where You Find It (5:55)
- B4 S.O.S. (Reprise) (1:50)
関連動画
Karen Beth – The Joys Of Life (1969)
Karen Beth『The Joys Of Life』について
Karen Bethは、アメリカのニューエイジ・フォーク系シンガー/ソングライター、パフォーマーとして知られるアーティストである。『The Joys Of Life』は1969年に発表された作品で、ロック、フォーク、カントリーの流れの中に置ける内容となっている。
作品の位置づけ
1969年という時代は、アメリカン・フォークがフォーク・ロックへ広がり、アコースティックな弾き語りの感覚とバンド・サウンドが近づいていった時期である。このアルバムも、その文脈の中で聴きやすい一枚として捉えられる。アーティスト本人の表現が前面に出るタイプの作品で、Karen Bethの音楽性を知るうえでの初期の記録といえるだろう。
サウンドの印象
ジャンル表記はRock、Folk、World, & Country、スタイルはFolk RockとAcoustic。そこから想像できる通り、派手な装飾よりも、アコースティック楽器の手触りや、歌の輪郭を生かした作りが中心になっていそうだ。フォークの語り口にロックの推進力が少し重なるような質感で、当時のアメリカ西海岸系フォーク・ロックやシンガーソングライター作品と近い空気を持つ可能性がある。
同時代とのつながり
1960年代後半のアメリカでは、Joni Mitchell、Judee Sill、Joan Baezのようなシンガーソングライターやフォーク系アーティストが、それぞれのやり方で個人の歌を前に出していた。Karen Bethの『The Joys Of Life』も、その時代のフォーク寄りの表現のひとつとして見ると流れがつかみやすい。派手なロック・アルバムというより、歌と演奏の距離感を大事にした作品という印象である。
まとめ
『The Joys Of Life』は、1969年のアメリカン・フォーク/フォーク・ロックの空気を反映した作品として整理できる。アコースティックな感触を軸に、歌の存在感を前に置いたアルバムとして、Karen Bethの初期像を伝える一枚といえる。
トラックリスト
- A1 It’s All Over Now
- A2 In The Morning
- A3 I Know That You Know
- A4 The Joys Of Life
- A5 Something To Believe In
- A6 April Rain
- B1 White Dakota Hill
- B2 Come December
- B3 Song To A Shepherd
- B4 Nothing Lasts
- B5 Tomorrow’s A New Day
関連動画
Il Rovescio Della Medaglia – La Bibbia (1989)
Il Rovescio Della Medaglia「La Bibbia」
イタリアのプログレッシブ・ロック・バンド、Il Rovescio Della Medagliaによる「La Bibbia」は、1971年に発表された作品として知られる一枚。バンド初期の代表作で、ハード・ロック寄りの骨太な演奏に、プログレの要素が少しずつ入り込んでくるタイプの内容になっている。
バンドの位置づけ
Il Rovescio Della Medagliaは、1970年ごろにローマで結成されたグループで、ビート・バンド「I Lombrichi」の流れをくむ存在。Enzo Vitaのギター、Stefano Ursoのベース、Gino Campoliのドラムに、Pino Ballariniのヴォーカルが加わった編成が核になっている。後にキーボード奏者Franco Di Sabatinoが加わり、サウンドはよりシンフォニックな方向へ広がっていくが、「La Bibbia」はその前段階にあたる作品という位置づけだ。
サウンドの特徴
この作品は、まずリズムの押し出しが強い。ギターとリズム隊が前に出る作りで、プログレというよりはハード・ロックの感触がはっきりしている。その一方で、構成や展開には後のプログレ色につながる要素もあり、単なる直線的なロックには収まらない内容になっている。
音の質感としては、派手に装飾するというより、演奏の勢いと一体感で押していく印象。イタリアン・プログレの中でも、よりロック寄りの初期作品として捉えられることが多い流れだろう。のちのシンフォニックな展開を見せる時期と比べると、かなりストレートな手触りだ。
同時代の文脈
同時代のイタリアン・ロックには、ハード・ロックからプログレへと接近していくバンドが少なくない。Il Rovescio Della Medagliaもその一つで、初期の荒さや勢いを残しながら、後年にかけてより大きな構成を持つ作品へ進んでいく。イタリアの70年代プログレの中では、叙情性やクラシカルな要素が前面に出るバンドと並びつつ、より硬質なロック感を持つグループとして語られることがある。
作品の流れの中で
「La Bibbia」は、バンドの出発点を示す重要な一枚。続く「Io come io」では同じくハード寄りの方向性を保ちながら、より哲学的な歌詞が取り入れられていく。そして「Contaminazione」ではキーボードを加えたシンフォニックな方向へ大きく展開していくので、この作品はその前段階、バンドの原点を知るうえでの入口にあたる。
まとめ
Il Rovescio Della Medagliaの「La Bibbia」は、イタリアン・プログレの文脈にありながら、まずはハード・ロックの勢いで聴かせる初期作。のちの大作志向やシンフォニックな広がりとは少し違う、バンドの初期衝動がそのまま残ったような内容だ。
トラックリスト
- A1 Il Nulla
- A2 La Creazione
- A3 L’Ammonimento
- B1 Sodoma E Gomorra
- B2 Il Giudizio
- B3 Il Diluvio
関連動画
The Spacious Mind – Sleepy Eyes And Butterflies (1995)
The Spacious Mind「Sleepy Eyes And Butterflies」について
The Spacious Mindの「Sleepy Eyes And Butterflies」は、1995年の作品。スウェーデン出身のバンドとして知られる彼らが、サイケデリック・ロックの文脈で存在感を示していた時期の一枚です。アメリカのサイケデリック・ロック、特に1960年代後半の空気を参照しつつ、スペース感のある広がりや、時間感覚をゆるめるような構成が特徴のグループとして語られることが多いです。
サウンドの印象
この作品も、そうしたバンドの持ち味が前面に出るタイプの一枚といえます。ギターの残響、ゆるやかに揺れるリズム、曲の流れの中で少しずつ景色が変わっていくような組み立てが、サイケデリック・ロックらしい手触りにつながっています。派手に押し切るというより、音の重なりや余韻で聴かせる方向性の作品として捉えやすいです。
作品の位置づけ
The Spacious Mindは1991年結成のバンドで、世界的にも評価されてきたサイケデリック・バンドのひとつとされています。「Sleepy Eyes And Butterflies」は、そうした彼らの初期の活動期に出たアルバムで、バンドの方向性を示す作品として見ることができそうです。のちの活動につながる、基本の音像や感触がまとまっている時期の記録とも言えます。
ジャンルの文脈
この作品を置く場所としては、60年代サンフランシスコのサイケデリック・ロック、あるいはその後のネオ・サイケデリアの流れが近いです。音の組み立てや雰囲気の作り方には、同系統のバンドと並べて語られる要素があります。アメリカ西海岸のサイケデリックな感触を、スウェーデンのバンドが自分たちなりに引き継いでいる、そんな見方がしやすい作品です。
メンバー
- David Johansson
- Henrik Oja
- Jens Unosson
- Mårten Lundmark
- Thomas Brännström
- David Åkerlund
- Niklas Viklund
ひとこと
「Sleepy Eyes And Butterflies」は、The Spacious Mindのサイケデリック・ロック志向がはっきり出る1995年の作品。音の質感や曲の流れに、60年代サイケの参照点が見えやすい一枚です。
トラックリスト
- A To Earth With Love (23:22)
- Seashore Trees (21:15)
- C1 Alice Of Strange (11:03)
- C2 Your Mind And Mine (13:34)
- D Space Blues – Diary Of The Sun (17:05)
関連動画
Flesh For Lulu – Big Fun City (1985)
Flesh For Lulu「Big Fun City」について
Flesh For Luluは、ロンドンのブリクストンで結成されたロック・バンドで、1982年から1992年にかけて活動したグループだ。
「Big Fun City」は1985年の作品で、1986年に盤としてリリースされている。
イギリスのオルタナティブ・ロック、ニュー・ウェイヴ、インディー・ロックの流れに位置する一枚として見ていくと、バンドの輪郭がつかみやすい。
サウンドの印象
この時期のFlesh For Luluは、ギター中心のロックを軸にしながら、ニュー・ウェイヴ由来の乾いた質感や、オルタナティブ寄りの直線的な推進力を持つバンドとして語られることが多い。
「Big Fun City」も、そうした流れの中で、硬質なギターと前に出るリズム、都市的な空気感を感じさせる作品として捉えられる。
作品の位置づけ
Flesh For Luluは、Nick Marsh、Derek Greening、Kev Mills、Rocco Barker、James Mitchell、Mark Bishop、Glen Bishop、Hasse Perssonといったメンバー名が挙がるバンドで、80年代の英国ロックの文脈に置くと見えやすい。
「Big Fun City」は、アーティストの活動初期から中期にかけての時代感を伝える作品で、後の展開につながるバンドの基本的なスタイルを確認できる一枚という位置づけになっている。
同時代の文脈
80年代中盤の英国では、ポスト・パンク以後の感覚を引き継いだバンドが、ニュー・ウェイヴやインディー・ロックの中で独自の音を作っていた。
Flesh For Luluもその流れにあり、同時代のバンドと比べると、ストレートなロック感と都会的な冷たさの両方を持つタイプとして受け取られることがある。
代表曲について
Flesh For Luluには後年に知られる曲もあるが、「Big Fun City」については作品全体の流れで聴かれることが多い。
バンドの初期の輪郭を知るうえで、曲単位だけでなくアルバム全体のまとまりが重要な一枚だ。
まとめ
「Big Fun City」は、1985年のFlesh For Luluを映すロック作品で、1986年に盤として流通した。
英国のオルタナティブ・ロック、ニュー・ウェイヴ、インディー・ロックの交差点にあるような内容で、バンドの活動初期の空気をそのまま感じやすいタイトルだ。
トラックリスト
- A1 Baby Hurricane (3:13)
- A2 Cat Burglar (2:59)
- A3 Let Go (3:00)
- A4 Vaguely Human (3:22)
- A5 Rent Boy (4:39)
- B1 Golden Handshake Girl (4:04)
- B2 In Your Smile (3:06)
- B3 Blue (3:29)
- B4 Landromat Kat (2:16)
- B5 Just One Second (3:07)