Tag : Space Rock

Ozric Tentacles – The Hidden Step (2000)

Ozric Tentacles『The Hidden Step』について

Ozric Tentaclesの『The Hidden Step』は、2000年に発表された作品で、English progressive/space/psychedelic rock bandとして知られる彼らのディスコグラフィーの中でも、2000年代初頭の流れを示す1枚。バンドは1983年にイングランド・サマセットで結成され、Ed Wynneを中心に長く活動を続けてきた。メンバーの入れ替わりが多い一方で、Ed Wynneが一貫して核を担っている点は、この作品を聴くうえでも押さえておきたいところ。

2023年盤として出ているこのレコードは、オリジナルの2000年版からかなり後年の再発盤にあたる。盤面のリリース国はEurope、Made in Germanyの表記あり。オリジナル盤と比べた細かな仕様差については、ここでは確認できる範囲の情報に限れば、基本的には作品そのものは2000年作として扱うのが自然だ。

作品の位置づけ

Ozric Tentaclesは、電子音響的な要素とロックの演奏感を結びつけたサウンドで知られるバンドで、長いキャリアの中で30作以上のアルバムを残している。『The Hidden Step』もその流れの中にある作品で、スペース・ロック、アンビエント、サイケデリックな感触が前面に出る1枚。派手な歌もの中心というより、音の流れや展開を追うタイプのアルバムとして受け取られてきた作品だ。

同時代の文脈でいえば、プログレッシブ・ロック、ジャム感のあるサイケデリック・ロック、シンセやシーケンスを使ったインストゥルメンタル作品の延長線上に置かれることが多い。比較される名前としては、同じく宇宙感や長尺の展開で語られるバンドや、70年代プログレの流れを現代的に引き継ぐグループが挙がりやすい。とはいえ、Ozric Tentaclesはその中でも、より電子的な質感とリズムの反復を前に出す点が特徴的だ。

聴きどころ

この作品は、曲ごとの起伏を細かく追うというより、アルバム全体の流れで聴くと輪郭がつかみやすい。ギター、キーボード、ベース、パーカッションが重なりながら、空間を広げるように進んでいく構成が中心。フルートが入ることで、ロック寄りの演奏に有機的な抜け感が加わる場面もある。

実際に聴くと、音の密度は高いのに、各パートが単純にぶつかり合うだけではなく、細かいフレーズの受け渡しで流れを作っているのがわかる。Ed Wynneのギターとシンセまわりの処理が、楽曲の推進力を支える場面が多い印象。静かなパートからテンポを上げる場面まで、演奏の切り替えが明快で、インストゥルメンタル・ロックとしてのまとまりがある。

収録曲と代表曲について

『The Hidden Step』は、特定のヒット曲を軸にした作品というより、アルバム単位での聴取が前提になりやすいタイプの作品だ。Ozric Tentaclesの代表曲として広く語られる曲がある場合でも、この作品そのものは「この曲だけが有名」というより、アルバム全体のサウンドで覚えられている印象が強い。

そのため、初めて触れる場合も、1曲だけ切り出すより、全体を通して聴くことでバンドの持ち味が見えやすい。スペース・ロックらしい反復、アンビエント寄りの広がり、ギター主体の推進感が、まとまって入ってくる構成だ。

バンドの中での意味

Ozric Tentaclesは、長い活動の中で編成を変えながらも、Ed Wynneを中心に作品を積み重ねてきた。『The Hidden Step』は、その継続性の中で制作された2000年作として、バンドの持つ電子的・実験的な方向性と、ロックバンドとしての演奏力の両方が見えるタイトル。のちの再発盤で手に取る場合でも、当時の流れを知る入口として機能する作品だ。

まとめ

『The Hidden Step』は、Ozric Tentaclesらしい空間処理と演奏の流れが前に出た2000年作。派手な歌ものではなく、音の重なりと展開で聴かせるアルバムで、スペース・ロックやアンビエント寄りのロックが持つ構造を、バンドの手つきでまとめた1枚といえる。

2023年盤は、2000年オリジナルの再発として受け取るのが自然。Made in Germany表記のあるヨーロッパ盤として、作品の現行流通に入っているタイトルだ。

トラックリスト

  • A1 – Holohedron
  • A2 – The Hidden Step
  • A3 – Ashlandi Bol
  • A4 – Aramanu
  • B1 – Pixel Dream
  • B2 – Tight Spin
  • B3 – Ta Khut

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2026.06.22

Ozric Tentacles – Erpland (1990)

Ozric Tentacles『Erpland』について

Ozric Tentaclesは、1983年にイングランド・サマセットで結成された、プログレッシブ/スペース/サイケデリック・ロックのバンドだ。電子音とロックを行き来する編成で知られ、40年にわたって30作以上のアルバムを発表している。中心人物はギタリストのEd Wynneで、長い活動のなかでも彼が唯一のオリジナル・メンバーとして在籍を続けている。

『Erpland』は1990年の作品。今回の盤は2024年リリースのものとして扱われる。Ozric Tentaclesの中でも、電子音のレイヤーとバンド演奏の推進力が前面に出た時期を示すアルバムとして位置づけられる作品だ。

作品の輪郭

ジャンル表記はElectronicとRock、スタイルはAmbient、Space Rock、Psychedelic Rock。曲の流れを追っていくと、リズム隊の反復の上にシンセやフルート、ギターが重なり、場面ごとに密度を変えながら進んでいく構成が印象に残る。Ozric Tentaclesらしい、演奏主体のインストゥルメンタル志向がはっきりした内容だ。

実際に聴いていくと、曲ごとの区切りよりも全体の連続感が強く、アルバム単位で聴く性格がかなり濃い。Space Rockの文脈で語られることが多いのも納得しやすい作りで、同時代のサイケデリック/プログレッシブ系インスト作品と並べて聴かれることがあるのも自然なところだ。

バンドの中での位置づけ

Ozric Tentaclesは編成の変化が多いバンドだが、そのなかでもEd Wynneのギター、キーボード、プログラミングを軸にした作りは一貫している。『Erpland』も、その核がよく見える一枚だと言えそうだ。1990年という時期を考えると、アナログ的なバンド感と電子的な処理が同居する、グループの持ち味がまとまっている作品として捉えやすい。

聴きどころとして名前が挙がりやすい曲

本作を語るうえでは、タイトル曲「Erpland」がまず中心に置かれることが多い。アルバムの輪郭を端的に示す曲として扱われやすく、バンドの代表的な一面をまとめて感じられる存在だ。

また、アルバム全体を通じて、フルートやシンセが前に出る場面と、ギターがリズムを押し出す場面の切り替わりが見どころになる。特定のヒット曲で引っ張るというより、曲間の流れと音の配置で聴かせるタイプの作品だ。

2024年盤について

2024年盤として流通しているこのエディションは、オリジナルの1990年作を現在の形で聴ける盤として見てよさそうだ。Ozric Tentaclesの作品群を追ううえでは、初期からのサウンドの流れを確認できる一枚でもある。

派手な説明を必要としない、演奏と音の層で成立しているアルバム。Ozric Tentaclesのディスコグラフィーのなかでも、スペース・ロックとサイケデリック・ロックの要素がまとまった代表的な一作として見られている。

トラックリスト

  • A1 Eternal Wheel (8:20)
  • A2 Toltec Spring (3:03)
  • A3 Tidal Convergence (7:14)
  • B1 Sunscape (4:02)
  • B2 Mysticum Arabicola (9:15)
  • B3 Cracker Blocks (5:40)
  • C1 The Throbbe (6:22)
  • C2 Erpland (5:32)
  • C3 Valley Of A Thousand Thoughts (6:32)
  • D1 Snakepit (3:18)
  • D2 Iscence (4:38)
  • D3 A Gift Of Wings (9:47)

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2026.06.13

Tako – Tako (1978)

Tako『Tako』について

『Tako』は、ユーゴスラビアのプログレッシブ・ロック・バンド、Takoが1978年に発表したアルバムである。編成は、Dušan Ćućuz、Slobodan Felekatović、Miroslav Dukić、Đorđe Ilijin、Sava Bojićらによるもの。ジャンル表記としてはジャズ、ロックにまたがり、スタイル面ではプログレッシブ・ロック、スペース・ロック、フュージョンの要素を含む作品とされている。

作品の位置づけ

Takoは1970年代後半に活動したバンドで、アルバムは『Tako』(1978)と『U vreći za spavanje』(1980)の2作が知られている。本作『Tako』は、その初期を代表する1枚という位置づけになる。バンドの活動時期と重なる1978年の発表で、グループの基本的な音楽性を示す作品として見られることが多い。

サウンドの特徴

編成にはベース、ドラム、ギター、キーボードに加えてフルートやハープも含まれており、ロックの骨格の上に鍵盤や管楽器の要素を重ねる構成がうかがえる。プログレッシブ・ロックらしい曲展開に、ジャズ由来のフレーズやフュージョン寄りの動きが差し込まれるタイプの作りだと捉えやすい。スペース・ロックの表記もあるため、音の抜けや広がりを意識した場面も想像しやすい。

同時代の文脈

1970年代後半の東欧圏では、英米のプログレッシブ・ロックやジャズ・ロックの影響を受けつつ、各地のバンドが独自の解釈で作品を作っていた。Takoもその流れにあるグループのひとつで、演奏力を前面に出したロックと、組曲的な構成や即興性を感じさせる要素が接点になっている。比較の対象としては、同時代のプログレッシブ・ロックやジャズ・ロック系バンドの文脈で語られることが多そうなタイプである。

まとめ

『Tako』は、1978年当時のユーゴスラビア産プログレッシブ・ロックの空気を伝えるアルバムで、ロック、ジャズ、フュージョンの要素が交差する作品である。バンドの初期像を知るうえで、ひとつの基点になるレコードと言えそうだ。

トラックリスト

  • A1 Wake Up (4:48)
  • A2 Synthesis (4:55)
  • A3 Merging Of Sunlight Into The Memory Of Sand (6:35)
  • A4 Lena (4:43)
  • B1 Miniature (2:55)
  • B2 Second Side Of Me (16:26)
  • B3 Journey To The South (3:42)

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2026.06.02

Ed Wynne – Shimmer Into Nature (2019)

Ed Wynne『Shimmer Into Nature』について

『Shimmer Into Nature』は、Somerset, UK出身のギタリスト/シンセ奏者/コンポーザー、Ed Wynneによる2019年作。ElectronicとRockを軸にした、Space Rock寄りのソロ作品として位置づけられる1枚です。Ozric Tentaclesのリーダーとして知られる人物のソロ名義作でもあり、同系統のサイケデリック・ロックやスペース・ロックの流れを意識しながら、個人作ならではのまとまりを持った内容になっています。

作品の輪郭

Ed Wynneは1961年生まれ。Ozric TentaclesやNodens Ictusの中心人物として活動してきたミュージシャンで、ギターとシンセを行き来しながら、ロックのバンド感と電子音のレイヤーを組み合わせる作風で知られています。『Shimmer Into Nature』でも、その持ち味が前面に出ている印象です。

サウンドは、ギターのフレーズとシンセの音色が細かく重なっていくタイプ。リズムの推進力を保ちながら、音の粒が流れ込んでくるような構成で、Space Rockらしい浮遊感と、Electronic由来の機械的な質感が同居している作品といえます。派手に押し切るというより、音の層を積み上げていくタイプの作りです。

Ed Wynneのキャリアの中で

この作品は、Ozric Tentaclesの文脈を知る人には、Ed Wynneの個人的な音の組み立て方を追いやすいタイトルとして見えます。バンドでのサイケデリックな拡張感を保ちながら、ソロではより直線的に、本人のギターとシンセの感触が出やすい形です。ソロ作としては、活動の延長線上にある自然な一枚、という受け取り方ができそうです。

ジャンルの文脈

Space Rock、Electronic、Rockという並びからも分かる通り、70年代以降のサイケデリック・ロックやスペース・ロックの系譜に接続する作品です。音の作り方としては、長めのフレーズ展開や反復、シンセの厚みを使う点で、同系統のアーティストと並べて語られることがありそうです。

UK発のこの手の作品らしく、ロックのバンド感と電子音の処理が近い距離にあるのも特徴です。ジャンルの枠内で、Ed Wynneらしいギターの存在感がしっかり残っているところがポイントになっています。

まとめ

  • アーティスト: Ed Wynne
  • 作品: 『Shimmer Into Nature』
  • リリース年: 2019年
  • 国: UK
  • ジャンル: Electronic, Rock
  • スタイル: Space Rock

Ed Wynneのソロとして、『Shimmer Into Nature』はサイケデリック・ロックと電子音の接点をそのまま形にしたような作品です。Ozric Tentacles周辺の文脈を踏まえると、本人の音作りの感触が見えやすいタイトルとして捉えられる一枚です。

トラックリスト

  • A1 Glass Staircase (7:55)
  • A2 Travel Dust (9:15)
  • A3 Oddplonk (8:00)
  • B1 Shim (7:44)
  • B2 Wherble (10:20)

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2026.06.01

Jean-Pierre Decerf – Space Oddities 1975 – 1979 (2015)

Jean-Pierre Decerf「Space Oddities 1975 – 1979」について

Jean-Pierre Decerfは、フランスの電子音楽作曲家として知られる人物で、とくにライブラリー音楽の分野で語られることが多いアーティストです。この「Space Oddities 1975 – 1979」は、1975年から1979年にかけての音源をまとめた作品として2015年に登場したレコードで、電子音楽、ロック、ステージ&スクリーンの要素が交差する内容になっています。

作品の輪郭

タイトルどおり、宇宙的なイメージを軸にした楽曲群という印象の一枚です。スペースロック、サイケデリックロック、実験音楽、サウンドトラック的な感触が重なり、シンセサイザーや反復的なフレーズを中心にした構成が想像しやすい内容です。リズムは前に出すぎず、音色の変化やレイヤーの重なりで展開していくタイプの作品として受け取れます。

フランス産のライブラリー系作品らしく、曲単体の主張よりも、場面や映像に寄り添う役割が見えやすいところも特徴です。ロック的なバンド感と電子音の処理が並び、ジャンルの境界をまたぐ作りになっている点が、この作品の輪郭をつかみやすい部分です。

Jean-Pierre Decerfという位置づけ

Jean-Pierre Decerfの名前は、ポップスの表舞台というより、機能音楽や映像向け音楽の文脈で目にすることが多いです。そのため、この作品もアーティストの活動を知るうえで、当時の電子音楽とロック、そしてシネマティックな感覚がどのように結びついていたかを示す資料的な側面を持っているように見えます。

1970年代後半という時期は、シンセサイザーの存在感が増し、ロックと電子音楽が近づいていった時代でもあります。この作品も、その流れの中に置くと理解しやすい一枚です。具体的には、同時代のフレンチ・エレクトロニクスや、実験性を含んだサウンドトラック作品と並べて語られやすいタイプの音楽です。

サウンドの印象

  • 電子音を軸にした構成
  • ロック寄りの推進力を含む場面
  • 宇宙的なイメージにつながる音色設計
  • 映像音楽的な場面転換
  • 実験性のあるフレーズ運び

全体としては、派手なフックを前面に出すというより、音の質感や配置で引っ張るタイプの作品に見えます。ジャンル表記にあるLeftfieldやExperimentalの要素も、そうした構成の中で自然に感じられるはずです。

まとめ

「Space Oddities 1975 – 1979」は、Jean-Pierre Decerfの電子音楽家としての側面と、ライブラリー音楽に根ざした実用性のあるサウンドが重なる作品です。2015年にレコードとしてまとまったことで、1975年から1979年にかけての音の流れをあらためて追える一枚になっています。フランスの電子音楽、スペースロック、サウンドトラック的感覚が交差する内容として、作品の輪郭はかなりはっきりしている印象です。

トラックリスト

  • A1 Surrounding Seas (3:11)
  • A2 Light Flight (3:20)
  • A3 Blazing Skyline (3:26)
  • A4 Leavin My Place (4:13)
  • A5 The Cool Brain (2:07)
  • A6 Black Safari (3:13)
  • A7 Gates Of Pop Empire (1:51)
  • B1 Dreams In The Wind (2:11)
  • B2 Touch As Much (2:39)
  • B3 Strange Form (5:23)
  • B4 The Orion Belt (3:21)
  • B5 Rainbow Rays (2:19)
  • B6 Like The Wind You Are (2:57)
  • B7 Litha (2:35)

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2026.05.24

Fjodor – Saint Anthony’s Fire (2014)

Fjodor – Saint Anthony’s Fire

ギリシャのロック・アクト、Fjodorによる2014年作。Saint Anthony’s Fireは、スペース・ロック、プログレッシブ・ロック、サイケデリック・ロック、ハード・ロックの要素を重ねた作品として位置づけられる一枚だ。

作品の輪郭

このレコードは、リズムを前に押し出しながら、ギターの厚みや反復を軸に進んでいくタイプのロック作品として捉えやすい。曲によっては推進力のあるハードな感触があり、別の場面では浮遊感のある展開や、長めの構成を思わせるプログレ寄りの流れも見えてくる。サイケデリックな質感とスペース・ロック的な広がりが、全体の印象をまとめている。

ジャンルの文脈

スタイルの並びを見ると、70年代ロックの系譜を踏まえた作りが想像しやすい。ハード・ロックの骨格に、プログレッシブ・ロックの展開性、サイケデリック・ロックの音色感、スペース・ロックの空間的な広がりが重なる構成。ギリシャ発のロック作品として、欧州圏のプログレ/サイケ系の流れとも接続しやすい内容に見える。

作品としての位置づけ

2014年のリリースで、Fjodorにとってのこの時点での代表的なタイトルのひとつとして扱われることになりそうな作品だ。初出年の作品として、バンドの方向性を示す役割を担っている印象がある。

まとめ

Saint Anthony’s Fireは、硬質なロックの手触りと、広がりのある音像を併せ持つ2014年のギリシャ産ロック作品。スペース・ロック、プログレ、サイケ、ハード・ロックの要素が交差する一枚として、ジャンルの輪郭が見えやすい内容だ。

トラックリスト

  • A Saint Anthony’s Fire (Part I) (24:27)
  • B Saint Anthony’s Fire (Part II) (21:28)

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2026.05.19

Pete And Royce – Suffering Of Tomorrow (1980)

Pete And Royce - Suffering Of Tomorrow

Pete And Royce / Suffering Of Tomorrow

ギリシャ出身のシンフォニック・プログレ・バンド、Pete And Royceが1980年に発表した初期作。ギター/ヴォーカルのPanagiotis “Pete” TsirosとベースのElias Porfirisを軸に、鍵盤、もう1本のギター、ドラムを加えた編成で形になった作品である。2013年にヨーロッパ盤として再発されており、オリジナル期の空気を今に伝える一枚という位置づけになる。

作品の輪郭

サウンドは、プログレッシブ・ロックを基盤に、スペース・ロックやサイケデリック・ロックの要素が重なる内容。ギターとキーボードが前に出る場面がありつつ、リズム隊が曲の流れを支える構成で、直線的に進むというより、組曲的な展開やパートの切り替えを感じさせるタイプの作品である。録音も当時の自主制作盤らしい質感を持つものとして受け取れる。

バンドの背景

Pete And Royceは1979年夏に結成されたギリシャのシンフォニック・プログレ・バンド。音楽面では、シンプルなオリエンタル要素やビザンティン音楽の感覚を取り込んでいる点が特徴とされている。歌詞には宗教的な要素が見られ、当時のギリシャの状況を考えても珍しいものだったようだ。

本作「Suffering From Tomorrow」は1980年に自主リリースされた最初期のアルバムで、Tsirosがすでに書き上げていた楽曲素材を中心にまとめられている。バンドはその後、1981年に2作目「Days Of Destruction」を発表し、1982年に解散。Pete TsirosはのちにRoyceとの名義で、1984年にファンク/ディスコ寄りのLPも残している。

同時代の文脈

1980年前後のギリシャでは、プログレやハードロックの作品が少数ながら生まれていた時期で、独立制作でのリリースは簡単ではなかったはずだ。その中で、民族的な旋律感や宗教的なテーマを含むプログレ作品として出てきたのが、このアルバムの面白さでもある。ヨーロッパのプログレ文脈の中でも、地域性がはっきり出た一枚という印象である。

メンバー

  • Βασίλης Γκίνος
  • Panagiotis “Pete” Tsiros
  • Christos Tsanakas
  • Ilias Porfiris

バンドの詳細や音源は、公式Bandcampでも確認できる。初期ギリシャ・プログレの流れを知るうえで、ひとつの手がかりになる作品である。

トラックリスト

  • A1 Flickering Light
  • A2 It’s So Unreal
  • A3 Flowers
  • A4 Suffering Of Tomorrow
  • B1 Time
  • B2 Maybe
  • B3 Face Of The Moon
  • B4 Round Your Grave

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2026.05.09

Sacred Miracle Cave – Liquid In Me (1990)

Sacred Miracle Cave - Liquid In Me

Sacred Miracle Cave「Liquid In Me」について

Sacred Miracle Caveの「Liquid In Me」は、1990年に発表されたロック作品。アーティストはUSのオルタナティヴ・ロック・バンドとして知られ、活動期は1980年代後半から1990年代初頭にかけてのものになる。ここでは、オルタナティヴ・ロックを軸に、スペース・ロックやサイケデリック・ロックの要素が重なる構成として捉えられる。

作品の輪郭

本作は、ロックの基本形を土台にしながら、音の広がりや反復を意識したつくりが特徴になりやすいタイプの作品。リズムは前に出すぎず、一定の推進力を保ちながら進む印象で、ギターや音像の重なりが曲の空気を形づくる場面が目立つ。

録音の質感は、90年代初頭のオルタナティヴ周辺らしい、やや生々しさを残した響きとして受け取れる。きれいに整えすぎない手触りの中で、サイケデリック寄りの揺れや、スペース・ロック的な空間の使い方が見えてくる内容。

アーティストの流れの中で

Sacred Miracle Caveにとって「Liquid In Me」は、活動期の空気をそのまま映したような一枚として位置づけられる。USのオルタナティヴ・ロックが、同時期のインディー・ロックやサイケデリックな感覚と接続していく流れの中で、その輪郭を示す作品でもある。

メンバーにはChris Bagarozzi、Rob Walther、Allen Clark、Keith Telligman、Betsy Palmerが名を連ねる。バンドとしての編成がそのまま音の厚みや役割分担につながっている印象。

同時代の文脈

1990年という時期は、オルタナティヴ・ロックが徐々に広い層へ届き始める前夜のようなタイミングでもある。その中で「Liquid In Me」は、ロックの枠内にとどまりながら、空間性や反復、音の滲みを取り込む方向性を示す作品として見ることができる。

  • アーティスト: Sacred Miracle Cave
  • タイトル: Liquid In Me
  • オリジナルリリース年: 1990年
  • リリース国: UK
  • ジャンル: Rock
  • スタイル: Alternative Rock, Space Rock, Psychedelic Rock

1990年のオルタナティヴ周辺の空気を、ロック、スペース感、サイケデリックな揺れの組み合わせで切り取った一枚、という見方がしやすい。

トラックリスト

  • A Liquid In Me
  • B1 Motor Takes To Sink
  • B2 Sister Blue

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2026.05.07

Tako – U Vreći Za Spavanje (1992)

Tako - U Vreći Za Spavanje

Tako / U Vreći Za Spavanje

ユーゴスラビアのプログレッシブ・ロック・バンド、Takoによるアルバム「U Vreći Za Spavanje」。オリジナルは1980年に発表された作品で、ここで扱うのは1992年にドイツでリリースされた盤になる。70年代後半のユーゴ・プログレの流れを知るうえで、ひとつの重要な位置にある作品として見えてくる。

バンドの輪郭

Takoは70年代後半に活動したユーゴスラビアのプログレ・バンド。メンバーには、Dušan Ćućuz、Đorđe Ilijin、Sava Bojić、Milan Lolić、Slobodan Felekatović、Miroslav Dukićらが名を連ねる。バンドとしてはLPを2作残しており、本作はその2作目にあたる。

前作「Tako」から続く流れの中で、よりバンドの個性が整理された時期の録音として捉えられる作品。70年代のユーゴ圏にあった、演奏力を前面に出したプログレ志向の文脈がそのまま感じられる。

サウンドの印象

ジャンル表記はRock、スタイルはProg RockとSpace Rock。リズムは直線的に押し切るというより、展開を伴いながら進むタイプの組み立て。キーボード、フルート、ハープ、ギター、ベース、ドラムスがそれぞれ役割を持ち、音の層を重ねていく構成が目立つ。

音像は、ロックの骨格を保ちながらも、空間の広がりを意識した質感。メロディを追うだけでなく、楽器の響きや余韻が前に出る場面もあり、スペース・ロック的な感触につながっている。録音の雰囲気も、当時のプログレ作品らしい素朴さと密度のバランスがある。

作品の位置づけ

「U Vreći Za Spavanje」は、Takoのディスコグラフィーの中では2枚目のLPにあたる作品。バンドの活動期間が限られていたことを考えると、グループの音楽性を示す中心的な記録として見やすい。ユーゴスラビアのプログレ・ロックが持っていた、演奏の緊張感と広がりの両方を伝える一枚。

関連情報

  • アーティスト: Tako
  • タイトル: U Vreći Za Spavanje
  • オリジナルリリース年: 1980年
  • リリース国: Germany
  • ジャンル: Rock
  • スタイル: Prog Rock, Space Rock

トラックリスト

  • A1 U Vreći Za Spavanje (In The Sleeping Bag) (6:00)
  • A2 Senke Prošlosti (Shadows Of The Past) (5:51)
  • A3 Na Putu Ka Sebi (On The Voyage Into Oneself) (5:04)
  • A4 Horde Mira (Hords Of Peace) (5:04)
  • B1 Priče O Leni (Stories About Lena) (9:54)
  • B2 Dolina Leptira (Valley Of Butterflies) (5:27)
  • B3 Izgubljeno Ništa (Nothing Lost) (3:58)
  • B4 Igra Devojčice (Game Of A Little Girl) (2:32)

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2026.05.04

Visible Wind – Catharsis (1988)

Visible Wind - Catharsis

Visible Wind『Catharsis』(1988)

カナダ・モントリオールのプログレッシブ・ロック・バンド、Visible Windによる1988年作。ElectronicとRockを土台にしながら、Prog RockとSpace Rockの要素を組み合わせた作品として位置づけられるアルバムである。バンドは1983年にStephen GeysensとLuc Hébertを中心に始動し、この時期にはLouis Roy、Claude Rainville、Philippe Woolgarらが加わっている。

作品の輪郭

『Catharsis』は、Visible Windの作品群の中でも初期の重要作にあたる。のちの作品でより大きく展開していくバンドの方向性を、1988年の時点で示している1枚という印象。Christopher Wellsがボーカルを担当しており、後年の編成とは異なる顔ぶれでまとまっている。

サウンドは、電子的な質感とロックの推進力が同居するタイプ。スペース・ロックらしい広がりを持ちながら、プログレッシブ・ロックらしい構成の変化も感じられる内容で、リズムは直線的に押し切るというより、曲ごとに展開を作りながら進む形が想像しやすい。録音の空気感も、80年代後半らしい輪郭のある響きが軸になっていそうな作品である。

バンドにおける位置づけ

Visible Windにとっては、1988年のラインナップで発表された代表的な初期作。プロフィール上でも、この年の活動がひとつの節目として扱われている。後年には編成の変化を経て別の作品へつながっていくが、『Catharsis』はその前段階として、バンドの個性を確認できるタイトルと言えそうだ。

同時代の文脈

1988年は、プログレッシブ・ロックが70年代的な大作志向だけでなく、80年代的な音作りや電子楽器の感触を取り込みながら続いていた時期でもある。『Catharsis』もその流れの中に置くと、シンセや電子的な処理とロック・バンドの演奏感を並べた、時代性のある一作として見えてくる。

基本情報

  • アーティスト: Visible Wind
  • タイトル: Catharsis
  • リリース年: 1988
  • リリース国: Canada
  • ジャンル: Electronic, Rock
  • スタイル: Prog Rock, Space Rock

トラックリスト

  • A1 Blind Regards (3:27)
  • A2 The False Truths (8:42)
  • A3 Learning To Bloom (3:50)
  • A4 Wedding Game (5:18)
  • B1 Catharsis (7:32)
  • B2 Wrong Time, Wrong Place (6:37)
  • B3 Les Tortues Schizophrènes Marchent Vers Leur Destin / Les Trois Lacs (8:49)

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2026.05.02

Visitors – Visitors (1981)

Visitors - Visitors

Visitors『Visitors』(1981)

フランス系のプロジェクトとして知られる Visitors の1981年作。Space Rock と Disco を軸にした、電子音とロックの要素が交差する一枚だ。アーティスト名義は Visitors だが、アメリカでは法的事情から Force 5 の名も使われていた。

作品の輪郭

この時期の Visitors は、いわゆる宇宙的なテーマを前面に出したグループとして位置づけられている。プログレッシブ・ロック寄りの流れを持つ時期もありつつ、1981年のこの作品ではコズミックなディスコ感が強い印象。プロデュースには JPM と Claude Lemoine が関わっており、同時代のディスコ/スペース系サウンドの文脈に置きやすい内容だ。

サウンドの特徴

リズムは比較的はっきりしていて、4つ打ちに近い推進力が感じられる場面がある。そこにシンセサイザー、オルガン、モーグ、エレクトリック・ピアノ、さらにギターやベースが重なり、ロックの手触りを残しながらも電子音が前に出る構成だ。録音の質感は、きらきらしたシンセの層と、やや硬質なビートが目立つタイプ。ディスコの明快さと、スペースロックらしい浮遊感が同居している。

メンバー

  • Donald Rieubon
  • Jean-Pierre Massiera
  • Bernard Lignac
  • Gérard Brent
  • André Guiglion
  • Bernard Baverey
  • Willy Cat

位置づけ

Visitors という名義は複数の時期に使われており、この1981年作はその中でもコズミック・ディスコ寄りの再編成にあたる。グループの流れを見ても、プログレ的な宇宙感からダンス寄りの電子音楽へと寄せた時期として見ることができる。フランスの電子ロック/ディスコの周辺で起きていた変化を、そのまま反映したような作品だ。

2026.04.30