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Third Ear Band – Music From Macbeth (1972)

Third Ear Band「Music From Macbeth」について

Third Ear Bandの「Music From Macbeth」は、1972年に発表されたサウンドトラック作品だ。ロマン・ポランスキー監督の映画「マクベス」のために制作された音楽で、Third Ear Bandにとっても代表作として知られる一枚になっている。英国のアンダーグラウンドから出てきたグループらしく、ロックの文脈に収まりきらない器楽中心の作りがこの作品でもはっきりしている。

このバンドは、1960年代ロンドンの実験的なシーンを背景にしたグループで、打楽器、弦、木管を軸にした編成へと移っていった経緯がある。「Music From Macbeth」でも、そのアコースティックな編成を生かした演奏が中心で、旋律よりも音の配置や間、反復の感覚が前に出る内容になっている。

作品の位置づけ

Third Ear Bandの作品の中では、この「Music From Macbeth」が最も広く知られている。Harvestレーベルの中でもかなり異色の存在として語られやすく、John Peelに支持されたことでも知られる。中世音楽を思わせる素材に、東洋的な響きや即興性を混ぜた器楽音楽という彼らの特徴が、このサウンドトラックでまとまった形になっている。

映画音楽としては、場面を細かく追うというより、映像の空気を支える役割が強い。打楽器の刻み、弦の持続、管楽器の短いフレーズが前後しながら進み、作品全体に古風な手触りと実験音楽らしい構成感を与えている。

収録音の印象

実際に聴くと、派手な展開で押すタイプではなく、音の層が少しずつ入れ替わっていく作りが目立つ。強いリズムで引っぱる曲よりも、静かな緊張感を保ちながら進む断片が多い。フォークの素朴さ、室内楽的な組み立て、舞台音楽のような性格が同居している印象だ。

サウンドトラックでありながら、曲ごとの独立性よりも全体の流れで聴かせるタイプ。短いモチーフの反復や、同じ音型の微妙な変化が続き、映画の不穏さとよく結びついている。

同時代との関係

同時代の英国プログレッシブ・ロックやサイケデリック作品と比べても、Third Ear Bandはかなり特殊だ。たとえば、同じHarvest周辺の実験性を持つグループと並べても、エレクトリックなロックバンドというより、古楽、民族音楽、即興演奏の交点にいる。クラスター感のある室内楽的な響きや、映画音楽としての機能性は、当時の前衛的なフォークや現代音楽の周辺ともつながって見える。

一方で、ロックの文脈に置くと、ギター主体のバンドではなく、打楽器と弦、管の組み合わせで独自の音を作っている点が際立つ。Third Ear Bandの名前が語られるとき、この作品が外せないのも自然な流れだ。

日本盤について

今回の日本盤は、1972年の作品を日本で初めて出したものになる。初期プレスの一部には赤盤があるとされている。オリジナルの内容は同じながら、日本での初出盤としての存在感は強い。

まとめ

「Music From Macbeth」は、Third Ear Bandの特徴がそのまま映画音楽に結びついた作品だ。中世的な響き、アコースティック中心の編成、即興性のある構成が、マクベスという題材の不穏さと重なっている。ロック、フォーク、現代音楽、舞台音楽の境界にあるアルバムとして、1972年の英国実験音楽の一断面を示す一枚になっている。

トラックリスト

  • A1 – Overture
  • A2 – The Beach
  • A3 – Lady Macbeth
  • A4 – Inverness: Macbeth’s Return / The Preparation / Fanfare / Duncan’s Arrival
  • A5 – The Banquet
  • A6 – Dagger And Death
  • A7 – At The Well / The Prince’s Escape / Coronation / Come Sealing Night
  • A8 – Court Dance
  • B1 – Fleance
  • B2 – Groom’s Dance
  • B3 – Bear Baiting
  • B4 – Ambush / Banquo’s Ghost
  • B5 – Going To Bed / Blind Man’s Buff / Requiescant / Sere And Yellow Leaf
  • B6 – The Cauldron
  • B7 – Prophesies
  • B8 – Wicca Way

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2026.07.13

Jasun Martz – The Pillory (1978)

Jasun Martz『The Pillory』について

Jasun Martzは、US出身の画家・彫刻家・ミュージシャンとして知られる人物で、音楽ではオーケストラや合唱を用いた大編成の作品でも活動している。『The Pillory』は、1978年に制作された作品として位置づけられるアルバムで、電子音楽と現代音楽のあいだを行き来するような性格を持つ。盤としては1981年のリリース。録音、ミックス、マスタリングまでロサンゼルス周辺とロンドンで行われており、USの作家が国際的な制作環境を使って仕上げた作品という見え方になる。

制作クレジットと録音環境

レコーディングは California Recording Studios(Hollywood)、Riverside Recordings(London)、Neoteric Recording Studios(Los Angeles)で行われている。ミックスは California Recording Studios、マスタリングは Burbank の L.R.S.。さらに、作曲・スコア作成・リハーサルは、カリフォルニアの「The Village」やロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンの拠点で進められたと記されている。作品全体が、単独のスタジオ録音というより、複数都市をまたいだ制作体制の中で組み上げられたものだとわかる。

カバーには「The Pillory」のために特別に描かれたドローイングが使われている。視覚表現も含めて作家性を強く打ち出すタイプの作品と見てよさそうだ。

音楽性と聴きどころ

ジャンル表記は Electronic、Classical、スタイルは Modern Classical、Experimental。実際の内容も、ロック的な歌ものというより、構成と音色の変化を中心に聴かせるタイプの作品として捉えられる。Martz のほかの活動歴から見ても、合唱やオーケストラを扱う設計と親和性が高い。電子音の質感だけで押し切るのではなく、現代音楽寄りの書法やアンサンブルの重なりを含んだ作りが想像しやすい。

この時代のUSの実験音楽、現代音楽、電子音楽の周辺では、Morton Subotnick や Terry Riley、さらに欧州の電子音楽やコンテンポラリー・クラシカルの流れとも接点を持つ聴かれ方をしやすい。『The Pillory』も、そのあたりの文脈に置くと輪郭がつかみやすい作品だろう。とはいえ、単純なミニマル作品や純粋電子音楽に収まるわけではなく、編成の大きさや構成の意識が前面に出るあたりに特徴がある。

アーティストにとっての位置づけ

Jasun Martzは、視覚芸術と音楽の両方で活動してきたアーティストで、この作品もその多面的な作家性を示す一枚として見やすい。後年の合唱・オーケストラ系プロジェクトを含む活動を踏まえると、『The Pillory』は、電子音響とクラシカルな書法を結びつける方向性を早い段階で示した作品のひとつといえる。

まとめ

『The Pillory』は、1978年の制作を背景に持つ、Jasun Martz の初期代表作として押さえやすいアルバム。USのアーティストが、ロサンゼルスとロンドンを結ぶ制作環境の中で、電子音楽と現代音楽の接点を探った作品として整理できる。派手なヒット曲で知られるタイプではなく、作品全体の構成と音の配置で聴かせる一枚だ。

トラックリスト

  • A – The Pillory (21:53)
  • B – The Pillory (22:27)

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2026.06.29

Steve Howe – Beginnings (1975)

Steve Howe『Beginnings』について

『Beginnings』は、イングリッシュ・ギタリストのSteve Howeによる1975年の作品。ロックを軸にしながら、クラシカルな要素も取り込んだソロ作として位置づけられるアルバムで、プログレッシブ・ロック、サイケデリック・ロック、ネオ・クラシカルといった要素が重なる内容になっている。

Steve Howeは、Yesで知られるギタリストとしてまず名前が挙がる人物で、演奏面では細かなフレーズ運びと多彩な音色の使い分けに特徴がある。この『Beginnings』でも、そうした持ち味が前面に出ていて、バンド作品とはまた違う、個人の感覚が見えやすい一枚という印象がある。

サウンドの印象

アルバム全体は、エレクトリック・ギターの存在感を保ちながら、アコースティックな響きやクラシカル寄りの展開も交えた構成。音の粒立ちがはっきりしたギター・ワークと、曲ごとに変化するアレンジが中心で、ロックの推進力と室内楽的な組み立てが同居している。

プログレッシブ・ロックの文脈では、同時代のYes周辺を思わせる部分もあるが、ソロ作品らしく、よりギタリスト個人の手触りが近い。サイケデリックな色合いも含みつつ、派手さよりも演奏の細部に耳が向くタイプの作品といえる。

作品の位置づけ

1975年という時期は、Steve Howeにとってすでに主要バンドでの活動が広く知られていたタイミングであり、その中で出されたソロ作品として見ると、本人の音楽的関心をまとめて示す場面でもある。ロック、クラシック、プログレの要素を横断するスタイルは、この時期の彼らしさをよく表している。

タイトルの『Beginnings』は、その名の通り出発点を思わせる言葉で、ソロとしての歩みを示す一枚として受け取られやすい。ギター主体の作品でありながら、単なる技巧披露に寄らず、曲の流れや音の配置まで意識した作りになっている。

同時代の文脈

1970年代半ばのプログレッシブ・ロック周辺では、長尺の構成や複数の音楽語法を組み合わせる作りが一般的だった。『Beginnings』もその流れの中にあり、クラシック寄りのアプローチや、サイケデリックな残響を含むギター表現が、その時代の空気を反映している。

同系統の作品と比べると、バンドの一体感よりも、Steve Howe個人のギタープレイの輪郭が見えやすい点が印象に残る。演奏の精度と音の切り替えに耳が向く、1975年らしいソロ・ロック作品という位置づけ。

まとめ

『Beginnings』は、Steve Howeのギタリストとしての幅広さを、ロックとクラシカルな要素の両面から示す1975年のアルバム。プログレッシブ・ロックの流れの中で、個人の演奏感覚が前に出た作品として捉えやすい一枚だ。

トラックリスト

  • A1 Doors Of Sleep (4:05)
  • A2 Australia (4:08)
  • A3 The Nature Of The Sea (3:58)
  • A4 Lost Symphony (4:40)
  • B1 Beginnings (7:30)
  • B2 Will ‘O’ The Wisp (6:00)
  • B3 Ram (1:56)
  • B4 Pleasure Stole The Night (2:55)
  • B5 Break Away From It All (4:20)

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2026.05.29

Continuum – Continuum (1971)

Continuum - Continuum

Continuum『Continuum』について

Continuumの『Continuum』は、1971年にUKで発表されたアルバム。グループ名と同じタイトルを冠した作品で、バンドの輪郭をそのまま示すような一枚だ。Continuumは、1967年にオランダでハンガリー出身のマルチ奏者Yoel Schwarczによって構想され、その後UKへ移って独自のプログレッシブ・ミュージックを展開したグループとして知られている。ロックを土台にしながら、クラシック由来の要素や異なる文化圏の感覚を織り込んだ作りが特徴になる。

サウンドの印象

ジャンル表記はRockとClassical、スタイルはProg Rock。実際の音像も、その組み合わせを反映したものとして捉えやすい。リズムは単純なロックの推進力だけに寄らず、曲の流れに合わせて変化しやすい構成。演奏の質感は、バンド・アンサンブルのまとまりと、室内楽的な組み立ての両方が感じられるタイプだ。録音の雰囲気も、当時のUKプログレらしい生々しさを残しつつ、楽器の重なりを前に出す方向にある。

バンドの中での位置づけ

Continuumは活動期間中に2枚のアルバムを残しており、この『Continuum』はその名をバンド自身に重ねた初期の作品として見やすい。グループの音楽性をまとめた入口のような一枚で、クラシック志向とロックの接点を探る姿勢が前面に出る。

同時代の文脈

1971年という時期は、UKのプログレッシブ・ロックが多様化していた頃。大きな編成や組曲的な構成、クラシックの引用や室内楽的な発想は、この時代の潮流とも重なる。Continuumもその流れの中にありつつ、単なるロック・バンドというより、異なる音楽文化を接続する方向へ進んでいた点が目立つ。

メンバー

  • Peter Billam
  • John Warren
  • Harvey Troupe
  • Dick Wildman
  • Yoel Schwarcz
  • Mike Hart
  • Tim Rice

メンバー数も含めて、アンサンブルの厚みを意識した編成だったことがうかがえる。ロックとクラシックの間を行き来する作り、1971年のUKプログレという背景、そのあたりを押さえると、この作品の輪郭はつかみやすい。

トラックリスト

  • A1 Invention
  • A2 Allemande And Blues
  • A3 Allegro
  • A4 Bourée
  • Legend Of Childe Harold

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2026.05.13

Takayuki Inoue – 太陽を盗んだ男 (オリジナル・サウンドトラック) (1979)

井上堯之『太陽を盗んだ男(オリジナル・サウンドトラック)』について

井上堯之による『太陽を盗んだ男(オリジナル・サウンドトラック)』は、1979年に日本でリリースされた映画音楽作品。日本のロック・ギタリスト、作曲家、編曲家として知られる井上堯之が手がけたサウンドトラックで、ジャズ、ファンク/ソウル、クラシカルの要素を含む内容になっている。

作品の位置づけ

井上堯之は、The SpidersやPygでの活動でも知られ、のちには沢田研二のバックバンドでも長く活動した人物。この作品は、そうしたロックやポップスの現場で培われた感覚が、映画音楽の枠に置き換えられた一枚として見ることができる。ギターを軸にした作家性と、編曲家としての手つきが前面に出るタイプの仕事。

サウンドの印象

ジャンル表記どおり、ジャズやファンク/ソウルのリズム感が土台にあり、そこへストリングスや劇伴らしいクラシカルな処理が重なる構成。ビートは前に出すぎず、場面に合わせて細かく動く印象で、録音全体も映画音楽らしい整理された質感がある。派手さよりも、映像に沿って展開する緊張感や、フレーズの置き方が目立つ作品。

同時代の文脈

1970年代後半の日本では、ロック、ジャズ、ソウルの要素を取り入れた映画音楽が少なくない時期。この作品もその流れの中にあり、歌ものの作家とは少し違う角度から、都市的な空気やサスペンス性を支える役割を担っている。井上堯之のキャリア全体で見ても、バンド活動で培った演奏感覚が、劇伴という形式に結びついた一作といえる。

ひとことで

1979年の日本映画音楽らしい、ロック由来のギター感覚とジャズ/ファンクのリズムが交差するサウンドトラック。井上堯之の演奏家・作編曲家としての輪郭が、そのまま作品の空気になっている一枚。

トラックリスト

  • A1 Introduction (1:18)
  • A2 Makoto (3:52)
  • A3 原爆 Part 1 (0:54)
  • A4 原爆 Part 2 (0:58)
  • A5 Yamashita (1:16)
  • A6 プルトニウム・ラヴ (3:04)
  • A7 Zero (1:40)
  • A8 太陽を盗んだ男 (4:55)
  • A9 笑う原爆 (2:42)
  • B1 A. Bomb (3:35)
  • B2 Sunrise (1:27)
  • B3 ゼロと誠 (1:11)
  • B4 Pu 239 (3:25)
  • B5 動揺 (2:17)
  • B6 カーチェイス (4:22)
  • B7 No. 9 (1:20)
  • B8 太陽を盗んだ男 (3:12)

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2026.05.10