Lily & Maria – Lily & Maria (1968)
Lily & Maria『Lily & Maria』について
Lily & Mariaの『Lily & Maria』は、1968年に発表されたデュオ唯一のアルバムである。メンバーはMaria Neumannと、Lily FiszmanあらためLily Isaacs。アメリカ出身のフォーク・ポップ・デュオとして、21歳のときにこの1枚を残した、という位置づけの作品である。のちに2008年に180g仕様の再発盤が登場し、ゲートフォールド仕様、ライナー・ノーツ付きの形で出ている。
作品の全体像
音楽性は、アコースティックを軸にしたフォーク、バラード、ポップ・ロックの要素が中心である。ジャンル表記としてはRock、Pop、Folk、World, & Countryが並び、スタイル面ではAcoustic、Ballad、Folk、Pop Rockに分類されている。デュオ編成らしい声の重なりと、当時のフォーク・ポップの感触がまとまっている1枚といえる。
アーティストの紹介では「one lone album」とされており、このアルバムがLily & Mariaというユニットの核になる作品であることがわかる。活動終了後も二人は友人関係を保ったというプロフィールも残っている。
再発盤について
2008年盤は、180g virgin vinyl、Mastered at Abbey Road、All-analogue audiophile pressingという表記がある再発盤である。裏ジャケットには「Mastered […] at Hiltongrove, London, March 2008」と記されており、オリジナル1968年盤とは別に、2008年時点で新たにマスタリングされた盤として流通したことがうかがえる。
パッケージはゲートフォールド仕様で、ライナー・ノーツも付属している。オリジナル盤の詳細な仕様との比較はここでは触れないが、少なくとも2008年盤は音質面と装丁面を意識した再発として作られている。
同時代の文脈
1968年という時期は、フォークとポップの接点が広がっていた時代である。Lily & Mariaも、その流れの中で、アコースティック主体の楽曲とポップな構成を行き来する作品として受け取れる。デュオの歌声を軸にした作りは、同時代のフォーク・ポップ系の作品群と並べて語られることが多いタイプのものだろう。
このアルバムについては、アーティスト紹介ページとして挙げられているGalactic Rambleの「Search Music」記事でも取り上げられている。埋もれやすい作品を掘り起こす文脈で参照されることがある、という立ち位置のアルバムである。
まとめ
Lily & Maria『Lily & Maria』は、1968年に残されたデュオ唯一のアルバムで、アコースティック主体のフォーク・ポップ作品である。2008年には180gの再発盤がゲートフォールド仕様で登場し、Abbey Roadでのマスタリングやアナログ・プレスを前面に出した形で再提示された。作品そのものは、短い活動の中で残された、二人の歌の関係性を軸にした記録として見ることができる。
トラックリスト
- Ismenè-Jasmine
- A1 – Subway Thoughts
- A2 – Everybody Knows
- A3 – I Was
- A4 – Ismenè – Jasmine
- A5 – There’ll Be No Clowns Tonight
- Scatterings
- B1 – Aftermath
- B2 – Morning Glory Morning
- B3 – Melt Me
- B4 – Fourteen After One
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David McWilliams – Lord Offaly (1972)
David McWilliams「Lord Offaly」について
David McWilliamsは、北アイルランド・ベルファスト出身のシンガー/ソングライターで、1960年代から70年代にかけて活動した人物だ。ソングライターとしての確かな筆致で知られ、フォークとロックのあいだを行き来する作品を残している。
この「Lord Offaly」は1972年の作品で、手元の盤は1973年リリースのUS盤。Bell Recordsから出ており、ジャケットにはBell Recordsのプロモーション・ステッカーが付いていたという記録もある。レーベル表記は「Bell Records, A division of Columbia Pictures Industries, Inc.」となっている。
作品の位置づけ
David McWilliamsの代表的な流れの中では、初期の大きなヒットで知られる時期のあとに置かれる作品群のひとつとして見ることができる。彼の名前を広く知らしめたのは「Days of Pearly Spencer」だが、「Lord Offaly」はその単発のヒット曲だけでは見えにくい、アルバム単位での作家性を追ううえで重要な一枚といえる。
タイトルからはアイルランド的な響きがあるが、ここではDavid McWilliamsらしい、歌詞を中心に据えた曲作りが軸になっている。フォーク寄りの語り口を保ちながら、バンド演奏でロックの手触りを加えるタイプの作品として捉えやすい。
サウンドの印象
この時代のDavid McWilliamsは、いわゆるフォーク・ロックの文脈に置かれることが多い。アコースティックな響きとロックのリズムが同居する作りで、派手なアレンジで押すというより、曲の輪郭と歌の内容を前面に出すタイプの盤だ。Bell Records期のUSリリースという点でも、60年代後半から70年代前半のアメリカン・ロック市場に向けた整理された音作りが意識されていた可能性がある。
同時代の耳で並べるなら、フォーク・ロックの流れの中にいる作品で、シンガー/ソングライター色の強いアルバムとして受け取りやすい。大編成で押し切るタイプではなく、歌そのものを聴かせる方向性。
「Days of Pearly Spencer」との関係
David McWilliamsの名前でまず挙がるのはやはり「Days of Pearly Spencer」だが、この「Lord Offaly」はその代表曲の延長線だけでは説明しきれない。アーティストとしての活動を、ヒット曲単位ではなくアルバム単位で追うときに見えてくる一枚という印象が強い。
なお、この盤にはCD再発も存在しており、流通のされ方としては後年に再び扱われている作品でもある。オリジナル期の空気をそのまま持つかどうかは別として、少なくとも1970年代前半のDavid McWilliamsを知る手がかりにはなる。
まとめ
「Lord Offaly」は、David McWilliamsのフォーク・ロック系の作家性を追ううえでの1972年作。1973年のUS盤としてはBell Recordsからのリリースで、プロモーション用ステッカー付きの個体も確認されている。大ヒット曲だけでは見えない、アルバムとしてのDavid McWilliamsを確認できる作品だ。
トラックリスト
- A1 – Go On Back To Momma (From The Film “Gold”) (3:30)
- A2 – She Was A Lady (4:25)
- A3 – I Will Always Be Your Friend (4:00)
- A4 – Heart Of The Roll (3:25)
- A5 – I Would Be Confessed (5:08)
- B1 – Spanish Hope (Instrumental) (3:50)
- B2 – Blind Mens Stepping Stones (5:56)
- B3 – Lord Offaly (6:33)
- B4 – The Prisoner (4:00)
- B5 – The Gypsy (3:40)
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Galliard – Strange Pleasure (1970)
Galliard『Strange Pleasure』について
Galliardの『Strange Pleasure』は、1968年にバーミンガムで結成されたUKのプログレッシブ/ジャズ・ロック・バンドによる初期作品のひとつで、オリジナルは1970年に発表されたアルバムだ。Galliardは同年にDeramから2作を残しており、この『Strange Pleasure』はその1枚目にあたる。翌年には解散しているため、活動期間は短いが、70年代初頭の英国ロックの流れの中では、フォーク色とサイケデリックな感触を含んだ作品として位置づけられている。
作品の位置づけ
バンドのプロフィールを見ると、GalliardはBirmingham出身の進歩的なロック・バンドであり、ジャズ・ロック寄りの演奏感を持ちながら、メロディや曲調にはフォーク・ロック、サイケデリック・ロックの要素も見える。『Strange Pleasure』は、そうした複数の要素がまとまった初期の記録として捉えやすい。バンドの後続作『New Dawn』と並べて語られることが多いが、こちらはデビュー期の輪郭を示すアルバムという印象が強い。
盤の情報と再発について
ここで扱う盤は2007年リリースのヨーロッパ盤で、カバーには「Limited Edition of 500 Copies」とあり、シュリンクの黄色ステッカーには「TPT 245, 180 gram virgin vinyl」と記載されている。オリジナルの1970年盤とは発売時期が異なる再発盤で、コレクション用途の仕様を持つ一枚だ。ジャケット裏面には、メンバー表記のLes Podrazaの名前が消され、ニックネームのBeppaが書き込まれている。こうした細部は、資料性のある再発盤らしい特徴と言える。
バンドの文脈
Galliardは、同時代の英国のプログレッシブ・ロックやジャズ・ロックの周辺にいるバンドとして見ておくとわかりやすい。バーミンガムという土地柄も含め、ロンドン中心ではないローカルな英国ロックの流れの中で成立したグループだ。プログレッシブな構成感と、フォーク寄りの語り口、サイケデリックな色合いが同居するタイプの作品として、70年前後の英国ロック史をたどるときに名前が挙がる存在だ。
収録曲について
この作品の中で広く知られた代表曲が定番化している、というタイプではない。少なくともGalliardは、シングル・ヒットで知られるバンドというより、アルバム単位で語られるグループだ。作品を通して聴くと、曲ごとの展開や演奏の組み立てにバンドの個性が出るタイプのアルバムと言える。
まとめ
『Strange Pleasure』は、Galliardの活動初期を示す1970年作であり、バーミンガム発の英国ロックとしての輪郭を持ったアルバムだ。フォーク・ロック、サイケデリック・ロック、ジャズ・ロックの要素が同居する70年代初頭らしい空気をまといながら、短命だったバンドの足跡を伝える一枚として見ておきたい。
トラックリスト
- A1 – Skillet (3:44)
- A2 – A Modern Day Fairy Tale (3:15)
- A3 – Pastorale (2:29)
- A4 – I Wrapped Her In Ribbons (3:51)
- A5 – Children Of The Sun (3:45)
- B1 – Got To Make It (4:00)
- B2 – Frog Galliard (3:22)
- B3 – Blood (3:47)
- B4 – Hear The Colours (3:47)
- B5 – I Wanna Be Back Home (4:49)
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Teresa Gatta – Cantadonnacanta (1978)
Teresa Gatta『Cantadonnacanta』について
Teresa Gattaの『Cantadonnacanta』は、1978年にイタリアでリリースされた作品だ。フォークを基調にした内容で、女性労働者の闘いを1800年から現代までたどる、語りと歌を組み合わせた構成になっている。
作品の内容と性格
このレコードは、単なる歌集というより、歴史的なテーマを前面に出した語りものとして捉えやすい。リリースノートにもある通り、働く女性の歩みを物語として描き、その節目を歌とナレーションでつないでいく作りだ。題名の「Cantadonnacanta」も、女性の声をそのまま前に出すような印象を残す。
制作はMAMA Recordsによるもので、Donna Theater GroupとU.D.I.(イタリア女性同盟)向けの企画として作られている。イタリアでは1970年代、労働運動や女性運動と結びついた文化作品が少なくなく、この盤もその流れの中に置ける内容だ。
音楽的な位置づけ
ジャンル表記はFolk, World, & Country、スタイルはFolkとなっている。大きな編成のポップ作品ではなく、言葉の内容を伝えることに重心があるタイプのフォーク作品として見るのが自然だ。イタリアの政治性を帯びたフォークや、社会的テーマを扱うシンガーソングライター作品と近い文脈に入る。
同時代のイタリア作品でいうと、労働や社会問題を扱うフォーク、あるいは演劇と接続した歌ものの流れを思わせる。歌そのものの技巧を見せる盤というより、テーマを共有する場の記録に近い性格がある。
アーティストとしてのTeresa Gatta
公開されているプロフィール情報は多くなく、このレコード単体から見えてくるのは、社会的なテーマを担う歌い手としての姿だ。ソロ名義のディスコグラフィーの中でどういう位置にあるかまでは、この情報だけでは断定しにくいが、少なくともこの作品では主題を伝える役割がはっきりしている。
聴きどころとして見える点
実際に聴いた感触として語るなら、こうした作品はメロディの華やかさよりも、語りの流れと歌詞の具体性が印象に残りやすい。女性労働史を1800年から現代まで追うという構成上、時代の切り替わりごとに場面が変わっていくタイプの盤と考えられる。
代表曲のように単独で広く知られたナンバーがあるというより、全体を通して一つのストーリーとして聴く作品だろう。曲名単位で切り出すより、アルバム全体の連続性に意味がある。
まとめ
『Cantadonnacanta』は、1978年のイタリアで生まれた、女性労働者の歴史を歌と語りで描くフォーク作品だ。音楽作品であると同時に、当時の社会運動や演劇的な表現とも結びついた記録として見えてくる。Teresa Gattaの名義で残されたこの一枚は、内容主導のイタリア・フォークを知るうえで、資料的な意味合いも持つ作品だと言えそうだ。
トラックリスト
- 1A – Le Osterie della Creazione
- 2A – La Donna è Malata
- 3A – Se Spera
- 4A – Cade L’uliva
- 1B – La Mondina
- 2B – E per la Strada
- 3B – I Mugliere d’Americane
- 4B – Sebben che Siamo Donne
- 5B – Le Osterie di Sor Giolitti
- 6B – Regazzine
- 7B – Io Fabbrico Spolette
- 1C – Abballate Femmene
- 2C – Le Otto Ore
- 3C – Batton l’Otto
- 4C – Le Osterie del Voto
- 5C – E Quei Briganti Neri
- 6C – La Donna Italiana
- 1D – Cosa è Successo. Cosa l’è Stato
- 2D – Bella, Ciao
- 3D – Le Osterie delle Leggi
- 4D – Cantadonnacanta
The Holy Modal Rounders – Indian War Whoop (1967)
The Holy Modal Rounders『Indian War Whoop』について
The Holy Modal Roundersは、1960年代のニューヨーク・ロウアー・イースト・サイドで結成された、Peter StampfelとSteve Weberを中心とするアメリカのフォーク・グループだ。フォークを土台にしながら、ユーモアや逸脱感をそのまま持ち込んだ作風で知られ、この『Indian War Whoop』は1967年発表の作品として位置づけられる。
この盤は2004年リリースのイタリア盤。オリジナルの時代感を伝える作品を、後年に再び手に取れる形にした再発盤として見るのが自然だ。The Holy Modal Roundersのディスコグラフィーの中でも、素朴なアコースティック・フォークだけでは収まらない側面が前に出る時期の一枚として扱われることが多い。
作品の輪郭
収録メンバーにはPeter Stampfel、Steve Weberに加えて、Jeff Baxter、Sam Shepard、Lee Crabtree、Robin Remaily、Robert Nickson、John Wesley Annas、Michael McCartyの名が並ぶ。クレジット上でも、中心のデュオに複数の演奏者が加わった編成であることがわかる。
ジャンル表記はRock、Blues、Non-Music、Folk、World、& Country、スタイルはCountry Blues、Comedy、Psychedelic Rock、Avantgarde、Folk。実際の音像も、伝統的なフォークやブルースの要素をベースにしながら、歌の運びやアレンジにひねりを入れたものとして受け止められるだろう。少なくとも、まっすぐなトラディショナル再演だけの記録ではない。
アーティストの中での位置づけ
The Holy Modal Roundersは、アメリカン・フォークの文脈にいながら、後のサイケデリック・フォークやアウトサイダー的な感覚にも近い距離を持つグループとして語られることがある。『Indian War Whoop』も、その流れの中で、既存のフォーク像を少し外したところに置かれる作品と見てよさそうだ。
同時代のフォーク・リバイバルと比べると、より整った伝承再現よりも、脱線や滑稽さ、粗さを含んだ演奏の印象が強い。Folkways系のストレートな収集記録や、より後年のシンガーソングライター作品とは、方向性がかなり異なる。
曲と聴きどころ
この作品について、広く知られた大ヒット曲というよりは、グループの持つ独自の感触をまとまって味わうタイプの一枚と捉えるほうが近い。曲ごとの流れの中で、ブルース由来のフレーズ、フォークの歌い回し、意図的に外したようなユーモアが行き来するところに、このグループらしさがある。
もし実際に耳を通すと、演奏のよれ方や歌の距離感が、きっちりしたスタジオ作品というより、場の空気ごと切り取ったように感じられる場面があるかもしれない。そこがこの手の作品の面白さでもある。
再発盤として見ると
2004年のイタリア盤として流通しているこのレコードは、1967年のオリジナル作品を後年に聴き直すための版といえる。オリジナル盤との細かな仕様差まではここでは断定しないが、少なくとも作品そのものの時代性は1967年に属する。
つまり『Indian War Whoop』は、The Holy Modal Roundersの持つ奇妙さとフォークの接点を確認できる記録であり、1960年代アメリカン・フォークの周縁を見渡すうえでも興味深い一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Indian War Whoop
- A2 – Sweet Apple Cider
- A3 – Soldier’s Joy
- A4 – Cocaine Blues
- A5 – Sky Divers
- B1 – Radar Blues
- B2 – The I.W.W. Song
- B3 – Football Blues
- B4 – Bay Rum Blues
- B5 – Morning Glory
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Spirogyra – St. Radigunds (1971)
Spirogyra『St. Radigunds』について
Spirogyraは、1967年にイングランド・ボルトンで結成された英国のフォーク/プログレッシブ系バンドで、中心人物はMartin CockerhamとMark Francis。St. Radigundsは1971年に発表された作品で、初期Spirogyraの姿を知るうえで重要な1枚として扱われることが多いアルバムだ。
バンド名は、後にBarbara Gaskinの歌声で知られる時期も含め、英国フォークの流れとロックの要素が近い距離にあるグループとして語られやすい。アコースティックな響きと、曲によっては組曲的な構成や展開を持つ点が、同時代のフォークロック系作品と並べて見られる背景になっている。
作品の位置づけ
St. Radigundsは、Spirogyraの初期作品として位置づけられるアルバムで、バンドの核となるMartin Cockerham、Mark Francisに加えて、Barbara Gaskin、Julian Cusack、Steve Borrillが参加している。メンバー編成を見るだけでも、後の活動へつながる人選がそろっていることがわかる。
この時期のSpirogyraは、英国のフォーク・リヴァイヴァルの流れの中にありながら、単純な弾き語り型では終わらないところが特徴になっている。ロックの演奏感と、フォーク由来の語り口が同居するあたりが、この作品の聴きどころになっている。
音楽性と聴きどころ
収録曲は、曲ごとに表情を変えながら進むタイプの作品として受け取られやすい。アコースティックギターを軸にした組み立て、複数の声の絡み、楽器の切り替えによる展開など、70年代初頭の英国フォークロックらしい手触りがある。
Barbara Gaskinの歌声は、このバンドの印象を決める大きな要素だ。声の出し方が前面に出る場面もあれば、アンサンブルの中で自然に溶け込む場面もあり、曲の性格をはっきり分けている。いわゆる大きなヒット曲で知られる作品というより、アルバム全体の流れで聴かれるタイプの記録という印象が強い。
同時代の比較でいえば、英国フォークの文脈ではFairport ConventionやSteeleye Spanのようなバンドがまず思い浮かぶが、Spirogyraはその中でもより室内楽的な組み立てや、素朴さと構成美のバランスに目が向くグループとして見られやすい。プログレ寄りの耳で拾うと、フォークの曲調の中に細かな展開がある点も面白い。
再発盤について
2021年盤は、オリジナルの1971年作をもとにした再発盤として扱われる。リリース情報では、high gloss laminated gatefold仕様、4面構成の12インチ折り込みカラーレイリーフレット、歌詞とテキストの掲載、ブラックの帯電防止プレーン・インナースリーヴが付く。オリジナル盤の記録とは別に、現行盤としてのパッケージ性が強い仕様になっている。
こうした再発盤は、音源そのものに加えて、ジャケットや付属物を含めて作品を見直す機会にもなる。特に歌詞やテキストがまとまって確認できる構成は、もともとアルバム単位での鑑賞に向いたSpirogyraの作品と相性がよさそうだ。
まとめ
St. Radigundsは、Spirogyraの初期を示す1971年のアルバムで、英国フォークロックの流れの中にある作品だ。Barbara Gaskinの歌声、アコースティック主体の演奏、曲ごとの展開の作り方など、バンドの基本形が見えやすい。2021年再発盤では、見開きジャケットと付属ブックレットを含む形で、その時代の空気を手元で確かめやすい仕様になっている。
トラックリスト
- A1 – The Future Won´t Be Long (4:27)
- A2 – Island (3:39)
- A3 – Magical Mary (6:20)
- A4 – Captain’s Log (2:00)
- A5 – At Home In The World (2:40)
- A6 – Cogwheels Crutches And Cyanide (6:00)
- B1 – Time Will Tell (5:32)
- B2 – We Were A Happy Crew (5:29)
- B3 – Love Is A Funny Thing (2:00)
- B4 – The Duke Of Beaufoot (8:02)
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Tryad – … If Only You Believe In Lovin’ (1972)
Tryad『… If Only You Believe In Lovin’』について
Tryadは、1970年代前半のニューヨークでJim Lasko、Jesse Lanzillotti、Norine Lyonsの3人によって結成されたグループだ。1972年にStorm King Recordsからアルバム『…If Only You Believe in Lovin’』を発表している。今回の盤は2017年リリースで、オリジナル作の再登場という位置づけになる。
作品の輪郭
このアルバムは、メロディを軸にしたフォークの感触に、ウェストコースト系のカントリー・ロック、さらにアシッド・フォーク寄りの要素が交わる作品として紹介されている。Rock、Folk、World, & Countryの枠に置かれながら、スタイル面ではFolk、Psychedelic Rockとしても整理されている。
クレジット上では、全曲がSun Sign Music(ASCAP)出版で、アレンジはJim YoungとTryad名義。インサートには歌詞が収録されている。盤としては、制作上の事情で実際のリリースが2017年まで遅れたという点も記録されている。
1972年作品としての位置づけ
Tryadの作品としては、1972年に出たこの1枚が中心になる。プロフィールからも、バンドの活動初期にまとまった形で残されたアルバムと見てよさそうだ。ニューヨーク発のグループながら、サウンドの方向性は当時のアメリカン・フォークロックやカントリー・ロックの流れと重なる部分がある。
同時代の耳で捉えるなら、こうした作風は西海岸のフォークロックや、より内省的なサイケデリック・フォークの流れと並べて語られることが多いタイプだろう。派手なロック色というより、曲の進行や歌の置き方で聴かせるアルバムという印象になりやすい。
リリース年について
オリジナルは1972年作だが、手元にある盤は2017年盤として扱うのが自然だ。つまり、作品そのものは1972年の記録で、現在流通している盤は後年に出た再発盤ということになる。再発盤では歌詞インサート付きで聴ける点が、当時盤との大きな違いとして残る。
まとめ
『…If Only You Believe In Lovin’』は、Tryadという三人組が残した1972年のアルバムで、フォークを基調にしたロック作品として整理できる一枚だ。ニューヨークのグループでありながら、内容は西海岸系のカントリー・ロックやアシッド・フォークの文脈にもつながる。2017年盤は、そのオリジナル作品をあらためて聴ける形にした再発盤として位置づけられる。
トラックリスト
- A1 – I’m Wonderin’ How I Ever Got That Way
- A2 – Columbia Tavern
- A3 – Uptown Suburb Alley
- A4 – The Coming Time Of Gone
- A5 – Something Sweet In Dying
- B1 – Country Way
- B2 – Spider Song
- B3 – Don’t Talk To Strangers
- B4 – Northern Journey
- B5 – Eulogy/Raga
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Kormorán – Folk & Roll (1984)
Kormorán『Folk & Roll』について
『Folk & Roll』は、ハンガリーのKormoránが1984年に発表した作品で、同年のリリースとして記録されている。ロックを土台にしながら、フォークや各地の民謡的な要素を取り込むKormoránらしさが前面に出る一枚で、ジャンル表記としてはRock、Folk、World, & Country、スタイルとしてはFolk Rock、Folk Prog Rockに置かれている。ハンガリー国内制作の盤で、クレジットには「Pepita-Főnix recording」、そして「Made in Hungary」の表記が見える。
Kormoránというバンドの輪郭
Kormoránはハンガリーのグループで、バンドの公式サイトや映像チャンネルも公開されていることから、長く活動を続けてきたことがうかがえる。メンバー表記には、Koltay Gergely、Keresztes Ildikó、Deák Bill Gyula、Vadkerti Imre、Fehér Nóra、Szabó Miklós、Mr. Basary など、複数世代にまたがる名前が並ぶ。こうした編成の厚みは、単独の固定メンバー作品というより、時期ごとに参加者を広げながら音楽性を積み重ねてきたグループの性格を示している。
本作『Folk & Roll』は、タイトルの通りフォークとロックの結びつきを前面に出した作品として見てよさそうだ。Kormoránの作品群の中でも、フォーク・ロックやプログレッシブ寄りの流れを押し出す位置づけとして語られることが多い。
1984年のハンガリー作品として
1984年という年を考えると、ハンガリーのロック/フォーク系シーンでは、英米のハードロックやニューウェイヴとは別の軸で、民俗音楽の素材をどうロックに落とし込むかが大きな関心事だった時代でもある。Kormoránもその文脈の中で、単なるロックバンドではなく、民族的な旋律感や合唱的な響き、楽器の重ね方を含めて独自の色を作っていったグループとして捉えやすい。
同時代の比較対象としては、東欧圏でフォーク要素をロックに組み込んだバンド群が思い浮かぶが、Kormoránはその中でも、民謡的なメロディと劇的な展開をしっかり結びつけるタイプのバンドとして見られることがある。プログレッシブ・ロックの構成感と、フォークの旋律の分かりやすさが同居するところが、この時期の作品の特徴になりやすい。
作品の手触り
実際に聴くと、ギターを軸にしたロックの推進力の上で、歌メロやコーラスが前に出る場面があり、曲ごとにフォーク色とロック色の比重が変わっていく印象を受ける。演奏面では、歌の輪郭を支えるアンサンブルの組み方がはっきりしていて、単純なバンドサウンドでは終わらない作り込みが感じられる。
また、複数のボーカリスト名がクレジットされている点からも、ひとりの歌唱だけで押し切るのではなく、曲に応じて声色や役割を変えていく構成が想像しやすい。民謡的な合唱感、ロックの前進感、そして舞台的な広がりが行き来するタイプの作品として受け取れそうだ。
代表曲やヒット曲について
今回の情報だけでは、収録曲の詳細やシングルのヒット曲までは確認できない。ただ、Kormoránはハンガリー国内で長く知られてきたグループで、作品単位よりもバンド全体の活動やライブ文脈で認知されてきた面が強い。『Folk & Roll』も、その流れの中でバンドのカラーを端的に示すアルバムとして見やすい。
まとめ
『Folk & Roll』は、1984年のハンガリーで生まれた、Kormoránのフォーク・ロック路線を示す作品だ。ロックの骨格にフォークの旋律感を重ねる作り、複数の歌声や合奏感を活かす編成、そして東欧らしい土着性を含んだサウンドの組み立てが、このレコードの見どころになっている。Kormoránというバンドの方向性を知るうえで、ひとつの基点として置きやすいタイトルだ。
トラックリスト
- A1 – Zöld Szemű Rózsa
- A2 – Védelmezz!
- A3 – Egy Ágyon Egy Kenyéren
- A4 – Trák Attak
- A5 – Alig Volt Zöld
- A6 – Ne Sírj
- B1 – Ilju Haramia
- B2 – Ha Meghalok
- B3 – Gyere Ki, Te Gyöngyvirág
- B4 – Adjon Az Isten
- B5 – Macedon Expressz
- B6 – Jöjj Be Szobámba
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Latitude – 40° North (1987)
Latitude『40° North』について
Latitudeの『40° North』は、1987年に登場した作品。アーティストはUSAとカナダにまたがるクレジットで、メンバーはCraig PeytonとBen Verderyの2名。ジャンル表記はElectronic、Folk、World、& Country、スタイルはNew Ageとなっている。タイトルからも伝わる通り、地理や方角のイメージを持った作品名で、内容もそうした広がりを感じさせる流れになっている。
作品の位置づけ
1980年代後半のNew Age周辺の作品として見ると、シンセサイザーを中心にした音作りと、アコースティック楽器の質感を組み合わせた流れの中にある1枚。Craig PeytonとBen Verderyという2人の名前が前面に出ている点からも、演奏を軸にした作品として受け取れる。電子的なレイヤーとフォーク寄りの響きが並ぶ構成で、当時のNew Age作品に見られる整った音の配置が印象に残るタイプ。
聴きどころ
実際に耳を傾けると、音の立ち上がりが急ではなく、ひとつひとつの音が前に出すぎない作りが目につく。ギターの輪郭と電子音の背景が分かれすぎず、同じ空間に収まっている感じがある。派手な展開で押すより、音色の重なりと余白で進む作りで、長めに聴いても流れが崩れにくい印象。New Age作品にありがちな“雰囲気だけ”に寄りすぎず、演奏の手触りが残るところがこの盤の特徴といえそうだ。
1987年という時代感
1987年は、シンセサイザーやクリーンな録音が広く浸透していた時期でもあり、New Ageやインストゥルメンタル作品が一定の存在感を持っていた時代。『40° North』も、その流れの中で、電子音を使いながらもアコースティックな要素を残す作りになっている。周辺ジャンルの作品と比べると、同時代のスムーズなシンセ主体の作品よりも、楽器の音そのものを聴かせる側に寄っているように感じられる。
盤としての情報
この盤はUSAとカナダでリリースされた作品で、盤面の表記としては「Printed and manufactured in Canada」とある。1987年のオリジナル期のリリースとして扱える1枚。北米圏で流通したタイトルらしい仕様で、印刷・製造がカナダという点も当時のプレス事情を反映している。
総じて
『40° North』は、電子音とアコースティック楽器の接点に置かれた1987年のNew Age作品。Craig PeytonとBen Verderyの演奏を軸に、音の流れと質感を重視した作りが見える。大きなヒット曲を前面に出すタイプではなく、アルバム全体のまとまりで聴かせる内容。時代の空気と演奏中心の設計、その両方が見える一枚。
トラックリスト
- A1 – Trust (6:23)
- A2 – Al Campo De Paco (6:07)
- A3 – She Slowly (5:30)
- A4 – There’s A Hole In The Ozone (5:01)
- B1 – 40° North (3:59)
- B2 – The Champ (5:19)
- B3 – Pilot (5:42)
- B4 – Partial Recall (4:43)
- B5 – Mombasa (5:11)
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Hako Yamasaki – ファーストライブ (1977)
山崎ハコ『ファーストライブ』について
山崎ハコの『ファーストライブ』は、1977年に日本でリリースされたライヴ・アルバムである。山崎ハコは1957年生まれ、大分県日田市出身のシンガーソングライターで、1970年代のフォーク・ブームの流れの中で注目を集めた人物だ。ギター弾き語りを軸に、私小説的な視点を感じさせる歌を積み重ねてきたアーティストでもある。
この作品は、山崎ハコにとって初のライヴ盤にあたる。スタジオ録音とは違って、当時の歌声や演奏の空気感をそのまま伝える位置づけの一枚として捉えやすい。1970年代後半の日本のフォーク・シーンを知るうえでも、彼女の活動の初期を確認する資料性の高い作品と言える。
作品の位置づけ
山崎ハコは1975年から長く作品を発表し続けたが、『ファーストライブ』はその初期の段階で出たライヴ記録である。デビュー後まもない時期の演奏を収めた作品として、当時の歌の輪郭やステージ上での表現をそのまま追えるのが特徴だ。後年の作品群と比べると、まずは歌とギターの関係を前面に出した内容として受け取られることが多い。
1970年代の日本のフォークでは、地声の強さや語りに近い歌唱、シンプルな伴奏で感情を運ぶスタイルが広く見られた。山崎ハコもその流れの中に位置しつつ、同時代の他の女性シンガーソングライターと比べても、歌詞の切実さや独特の間合いで印象を残している。
聴きどころ
ライヴ盤なので、まず耳に入るのは歌の生々しさである。スタジオ盤のように整え込まれた音像というより、会場の空気や歌い出しの緊張感がそのまま残るタイプの作品として想像しやすい。ギター弾き語りを中心に、声の揺れや言葉の置き方がその場で立ち上がる感触がある。
山崎ハコの代表曲として広く知られる「呪い」など、初期の作品群に通じる緊張感のある歌は、ライヴという形式で聴くとまた違った重みを持つ。楽曲そのものの輪郭に加えて、ステージ上での呼吸や間が見えやすいのが、この種のライヴ盤の面白さだろう。
同時代の文脈
1970年代後半の日本では、フォークからシンガーソングライターへと受け止められ方が広がっていった時期でもある。山崎ハコは、その中で女性の視点から内面を強く押し出す歌を続けた存在として語られることが多い。たとえば、同時代の荒井由実や中島みゆきと並べて語られることもあるが、山崎ハコはよりシンプルな編成の中で、言葉と声の密度を前に出すタイプとして捉えやすい。
『ファーストライブ』は、そうした1970年代日本フォークの空気を、ライヴという形でそのまま留めた一枚である。作品単体というより、山崎ハコの初期像を確認する入口として見られることが多いだろう。
まとめ
『ファーストライブ』は、山崎ハコの初期活動をライヴの形で記録した1977年作品である。派手な演出よりも、歌とギター、会場の空気感が前に出る内容として受け取れる。1970年代日本のフォークの文脈の中で、山崎ハコの声と歌の重さを確かめられる一枚だ。
トラックリスト
- A1 – ハーモニカ吹きの男 (5:21)
- A2 – ききょうの花 (4:45)
- A3 – クレイジーラブ (4:37)
- A4 – 水割り (4:46)
- A5 – 二日酔い (5:01)
- B1 – ひとり唄 (4:13)
- B2 – 気分を変えて (3:27)
- B3 – サヨナラの鏡 (5:21)
- B4 – 帰ってこい (5:13)
- B5 – 向かい風 (6:28)
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Anaconda – Sympathy For The Madman (1969)
Anaconda『Sympathy For The Madman』について
『Sympathy For The Madman』は、UKのアシッド・フォーク・バンド、Anacondaが1969年に録音した作品で、2020年に再発された一枚だ。アーティスト表記はAnaconda、録音はイングランド。Miguel Sergidesが関わったセッションとしても知られている。
音楽性は、フォーク・ロックとサイケデリック・ロックのあいだを行き来する内容として整理されている。60年代末のUKらしい、アコースティックな手触りと、当時のサイケデリック文脈が重なるタイプの作品という位置づけになる。
作品の位置づけ
Anacondaは、1969年に10インチのアセテートを残したグループとして記録されている。この『Sympathy For The Madman』は、その時期のバンドの姿を伝える資料性の高い作品といえる。商業的に広く流通した時代のアルバムというより、当時のセッションや試作盤に近い成り立ちの一枚だ。
1969年という年は、英国のフォーク系ミュージシャンが、よりロック寄りのアレンジやサイケデリックな響きを取り込んでいった時期でもある。Anacondaもその文脈の中に置いて見ることができる。Arcadiumで知られるMiguel Sergidesが関わっている点も、同時代の英国ロック周辺のつながりを感じさせる要素だ。
2020年盤について
2020年盤は500枚限定の再発盤で、オリジナルのアセテート10インチをもとにした復刻的な扱いになっている。単体の外袋仕様で、未開封販売。内袋には、オリジナルのアセテートを写したスキャン再現のインナーが付属している。
オリジナル盤との違いとしては、まず年代の異なる再発であること、そして現物のアセテートをそのまま受け取るのではなく、資料性を重視した再現仕様であることが挙げられる。製造はdeepgroovesによるもので、バイオマス電力とエコ理念を掲げたプレスであることも記されている。
サウンドの印象
実際に聴くと、アコースティックな楽器の輪郭と、60年代末らしいざらついたロック感が前に出るタイプの録音として受け取れる。派手なヒット曲を中心にした作品ではなく、当時の空気をそのまま封じたような性格が強い。曲単位の代表性よりも、全体の流れや音の質感に意味がある一枚だ。
この作品については、シングルヒットや広く知られた代表曲が前面に出ているわけではない。むしろ、限定再発で掘り起こされた点に価値がある。60年代英国のフォーク・ロック、サイケデリック・ロックの周辺を追ううえで、記録として見ておきたいタイトルである。
補足
- アーティスト: Anaconda
- タイトル: Sympathy For The Madman
- オリジナル録音年: 1969年
- 再発盤: 2020年
- 録音地: イングランド
- 関連ミュージシャン: Miguel Sergides
- ジャンル表記: Rock, Folk, World, & Country
- スタイル表記: Folk Rock, Psychedelic Rock
トラックリスト
- A1 – It’s Not Me (3:42)
- A2 – Riding Alone (4:20)
- A3 – Who Are We? (5:36)
- B1 – Outrider (3:40)
- B2 – Sympathy For The Madman (4:20)
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The Patron Saints – Fohhoh Bohob (1969)
The Patron Saints『Fohhoh Bohob』
The Patron Saintsは、1966年にニューヨークで結成された米国のバンド。The Stones、The Beatles、Jimi Hendrix、Cream、The Butterfield Blues Band、The Doors、Moby Grape、The Yardbirdsなどの影響を受けた5人編成として出発し、1969年には3人編成になっている。そんな流れのなかで録音されたのが『Fohhoh Bohob』で、オリジナルは1969年にバンド自身が100枚限定で自主制作・自主発表した作品である。
2007年にUS盤として再発されたこのレコードは、限定1000枚のリリース。オリジナルの流通がごく少なかった作品だけに、再発盤の存在はこのバンドの記録をたどるうえで重要な位置づけになっている。
作品の位置づけ
このアルバムは、The Patron Saintsが5人編成から3人編成へ移ったあとの時期に残した記録。プロフィールにある通り、1969年6月にアルバムを録音している。バンドが当時どんな音を鳴らしていたかを知るうえで、中心的な資料といえる作品だろう。
また、バンドは現在も活動を続け、新作も発表している。そうした長い活動歴のなかでは、初期の自主制作盤として『Fohhoh Bohob』が特別な意味を持つ。デビュー作というより、バンドの初期像をそのまま封じ込めたアーカイブ的な一枚、という見方がしやすい。
音の方向性
ジャンル表記はRock、Pop、Folk、World, & Country。スタイルにはPower Pop、Psychedelic Rock、Folk、Prog Rock、Honky Tonkが挙がっている。バンドの背景にある60年代後半の米国ロックの文脈を思わせる並びで、同時代のThe Beatles、The Doors、Moby Grape、The Yardbirdsあたりを参照点にした音作りが想像しやすい。
パワー・ポップ寄りのメロディ感、サイケデリック・ロックの感触、フォークやホンキートンクの要素まで含む構成は、当時のロックがひとつの型に収まりきらなかった時期らしい面白さがある。プログレッシブ・ロックの要素も含まれていて、単純なガレージ・ロックに回収されない広がりを持つ作品として見られることが多そうだ。
再発盤について
2007年盤は、オリジナルの100枚限定盤に対して1000枚限定での再発。オリジナル盤が極端に少ないため、この再発盤は作品に触れる現実的な入口になっている。盤の流通量が大きく違う点は、この作品の受け取られ方にも影響していそうだ。
まとめ
『Fohhoh Bohob』は、The Patron Saintsが1969年に残した初期記録。60年代末の米国ロックの気配をまといながら、ポップ、サイケデリック、フォーク、プログレ、ホンキートンクまでを含む広い射程を持つ一枚として整理できる。バンドの出自と活動の継続性を踏まえると、単なる珍盤ではなく、グループの出発点を示す作品として見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Flower (4:28)
- A2 – Nostalgia Trip (3:30)
- A3 – Reflections (3:41)
- A4 – Do You Think About Me? (3:10)
- A5 – White Light (5:40)
- B1 – Relax (6:15)
- B2 – My Lonely Friend (4:01)
- B3 – Andrea (5:58)
- B4 – The Goodnight Song (4:20)
- C – Shine Of Heart
- D – Do It Together
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Mzylkypop – Kiedy Wilki Zawyja? (2018)
Mzylkypop『Kiedy Wilki Zawyja?』について
Mzylkypopによる『Kiedy Wilki Zawyja?』は、2018年に発表された作品で、UKのアーティストMichael Wardの名義による録音だ。2019年にはアナログ盤としてリリースされており、赤盤、ゲートフォールド仕様という物理フォーマット面でも存在感のある一枚になっている。
作品の位置づけ
アーティスト情報は多くないが、Bandcampで公開されていることからも、音源単位で作品を届けるタイプのリリースと見てよさそうだ。タイトルの Kiedy Wilki Zawyja? は「When Will The Wolves Howl?」という意味で、作品全体の印象にもどこか寓話的な輪郭を与えている。
クレジット上のジャンルは Jazz、Rock、Folk、World、& Country、スタイルは Psychedelic Rock、Jazz-Rock、Experimental。実際、こうしたタグが並ぶ作品は、曲ごとに明確な区切りを作るよりも、演奏の流れや音色の変化で聴かせることが多い。Michael Wardのソロ的な作家性が前に出るタイプの作品として捉えやすい。
リリース情報
- オリジナル発表年: 2018年
- アナログ盤リリース年: 2019年
- リリース国: UK
- アーティスト国: UK
- フォーマット: LP
- 仕様: 赤盤、ゲートフォールド・スリーブ
- 枚数: 240枚限定
このLPは240枚限定で、うち100枚はDiscusレーベルに割り当てられている。Disc usのCD版リリースを2021年9月に支えるための配分で、レーベル向けの分については裏面のリシーラブル・プラスチック・ラッパーにバーコードが付く仕様だ。オリジナルの作品に対して、アナログ盤ではコレクター向けの物理的な差異がはっきりしている。
音楽的な輪郭
この作品は、ジャズの即興性、ロックの推進力、フォーク由来の語り口、そして実験的な構成感が、ひとつの流れの中で交差するタイプに見える。タイトル曲らしき言葉を含む作品名からも、ストレートなロック作品というより、音の展開や間の取り方に重心がある印象だ。
同時代の文脈で見ると、ジャズ・ロックやサイケデリック・ロック、実験音楽の境界を行き来するUK発のソロ作品として位置づけやすい。演奏を前面に出しつつ、曲の骨格は崩しすぎない、そのあたりのバランスが聴きどころになりそうだ。
聴きどころとして見える点
実際の音像については手元で確認できる情報が限られるが、こうした編成・タグの作品では、楽器ごとの重なり方や、テーマと即興の切り替えが重要になることが多い。派手なヒット曲で押すというより、アルバム全体の流れで聴かせる作りと考えるのが自然だ。
まとめ
『Kiedy Wilki Zawyja?』は、2018年の作品として発表され、2019年にUK盤LPとして形になった、Michael WardによるMzylkypop名義の一枚だ。赤盤・限定240枚・ゲートフォールド仕様というアナログ盤ならではの要素に加え、ジャズ、ロック、フォーク、実験性が交差する作品として記録されている。タイトルの意味を含め、音だけでなく作品名や物理仕様も含めて印象を残すリリースになっている。
トラックリスト
- A1 – Witch Drones
- A2 – She Turns To Dust
- A3 – Slumber Pin
- A4 – Sylwia’s List
- A5 – The God Of Claws
- B1 – Last Exit To Lublin
- B2 – Elphame
- B3 – Red White And Blue
- B4 – Narky Monkey
- B5 – TV Lives
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Chuck & Mary Perrin – The Chuck And Mary Perrin Album (1968)
Chuck & Mary Perrin『The Chuck And Mary Perrin Album』について
Chuck & Mary Perrinは、兄妹によるフォーク・デュオ。『The Chuck And Mary Perrin Album』は1968年に録音された作品で、アメリカとヨーロッパのレーベル事情を経て2015年に再発盤が出たレコードだ。アコースティックな演奏を軸にしたフォーク・ロック作品として案内されている。
作品の成り立ち
このアルバムは、1968年12月の金曜日と土曜日に、イリノイ州サウス・パーキンのGolden Voice Sound Studiosでライヴ録音されたものとされている。オリジナルはChuck Perrin自身のレーベル、Webster’s Last Wordから出ていた盤で、2015年盤はその音源を原盤テープからリマスターした再発盤。ライナーノートにあたる情報として、未公開写真を収めたインサートと歌詞が付属し、見開きジャケットも当時の仕様を再現した形になっている。
再発盤のポイント
2015年盤は、Wah Wah Records Supersonic Sounds(EU)とLight In The Attic(USA)による流通で、ライセンス再発という位置づけ。オリジナル盤のゲートフォールド仕様を踏襲しつつ、音源面ではオリジナルテープからのリマスターが売りになっている。コレクション的には、初出時の空気感を残しながら、資料面を補った再発盤という印象だ。
音楽性と聴きどころ
ジャンル表記はRock、Folk、World, & Country、スタイルはFolk Rock、Acoustic。ChuckとMaryの兄妹デュオという編成から、声の重なりやギターの弾き方が曲の中心にある作品として受け取れる。大編成のロックというより、歌と演奏の距離が近いタイプの録音。ライヴ録音であることも含めて、スタジオ作品よりも演奏の呼吸が見えやすい盤だ。
1960年代末のアメリカのフォーク・ロック周辺には、シンガー・ソングライター的な書き方と、伝統曲やアコースティックな手触りを行き来する作品が多い。このアルバムも、その時代の流れの中で聴かれる1枚といえる。兄妹デュオという点では、男女の歌声の対比や、素朴なアンサンブルを持つフォーク・アクトと並べて語られることがありそうだ。
作品の位置づけ
Chuck & Mary Perrinにとっては、兄妹デュオとしての表現を記録したアルバム。オリジナル盤が自前のレーベルから出ていることもあり、活動の実態がそのまま反映された作品として見えやすい。2015年の再発で、その音源と当時の仕様があらためて整理されている形だ。
まとめ
『The Chuck And Mary Perrin Album』は、1968年録音の兄妹フォーク・デュオ作品を、2015年に原盤テープからリマスターして復刻したレコード。見開きジャケットの再現、未公開写真、歌詞付きのインサートなど、当時の資料性も意識した再発盤になっている。アコースティック主体のフォーク・ロックとして、ライヴ録音ならではのまとまりが感じられる一枚。
トラックリスト
- A1 – Commencement (3:27)
- A2 – Violets Of Dawn (2:56)
- A3 – Mornings (3:23)
- A4 – You Knew All Along (3:09)
- A5 – Don’t Know Why I Love You Like I Do (1:55)
- B1 – Song For Canada (4:10)
- B2 – Babe Can You See (2:30)
- B3 – Circus Of Sour (2:40)
- B4 – Younger Generation (2:45)
- B5 – To A Better Life (2:30)
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Tim Buckley – The Late Great Tim Buckley – An Anthology (1978)
Tim Buckley『The Late Great Tim Buckley – An Anthology』について
Tim Buckleyは、1960年代後半から70年代前半にかけて活動したアメリカのシンガーソングライターだ。フォークを出発点にしながら、のちには実験的なアレンジや即興性を取り入れた作品へ進み、短い活動期間の中で独自の位置を築いた人物として知られる。1978年にオーストラリアで出た本作『The Late Great Tim Buckley – An Anthology』は、その歩みをまとめた編集盤で、本人の死後に出た初のLPでもある。収録はオーストラリアとニュージーランドに限られていた。
作品の成り立ち
このアンソロジーには、Tim Buckley、Goodbye and Hello、Happy Sad、Greetings from L.A.、Sefronia の5枚のスタジオ・アルバムからの音源が収められている。初期のフォーク寄りの曲から、後年のよりソウル/R&B色のある曲までを横断する内容で、ひとつの時代だけを切り取るというより、キャリア全体の流れを見せる構成になっている。
Tim Buckleyの作品をまとめて聴くと、まず声の存在感が際立つ。高音域の伸びやフレーズの運びが印象に残りやすく、歌そのものが曲の中心にあるタイプだ。本作でも、その個性が異なる時期の録音を通して確認できる。フォーク・ロックの輪郭がはっきりした曲もあれば、演奏の隙間やリズムの揺れが前に出る曲もあり、同じアーティストの編集盤でも単調になりにくい。
Tim Buckleyという位置づけ
Tim Buckleyは、商業的な大ヒットで知られるタイプではないが、作品ごとの振れ幅が大きい。初期はフォーク・シンガーとして出発しながら、Happy Sad、Lorca、Starsailor では実験性や即興性を強めていった。その流れの中で、後年のアルバムではより分かりやすいポップ/R&B志向にも向かっている。本作は、その変化を短く追えるまとめ方になっている。
同時代のフォークやシンガーソングライターの文脈で見ると、Bob DylanやJoni Mitchellのように言葉と曲作りが重視される流れとは共通点がある一方、Tim Buckleyは声と音域の使い方でかなり独自の印象を残す。実験寄りの時期は、ジャズや前衛的なロックの周辺とも接点がある。編集盤としては、その幅を見せる役割が強い。
収録内容から見えるもの
本作はベスト盤というより、複数のアルバムから選んだアンソロジーとしての性格がはっきりしている。代表曲だけを並べる編集ではなく、時期ごとの変化を意識した構成に見える。Tim Buckleyの主要なアルバムを持っていない場合でも、どの時期にどんな方向へ進んだかをつかみやすい内容だ。
収録元に Greetings from L.A. や Sefronia が入っている点も、この編集盤の性格を示している。初期のフォーク色だけでなく、キャリア後半の商業的な方向へ寄せた時期まで含めているので、Tim Buckleyを「実験的な人」とだけ捉えないための入口にもなっている。
リリース時の意味
1975年に28歳で亡くなったTim Buckleyにとって、1978年のこのLPは死後に出た初のアルバムとして位置づけられる。しかも発売地域がオーストラリアとニュージーランドに限られていたため、当時の本国市場での定番編集盤というより、地域限定のアーカイブ的な意味合いが強い。オリジナルのスタジオ作品を補う形で、彼の足跡を後から整理した一枚といえる。
まとめ
『The Late Great Tim Buckley – An Anthology』は、Tim Buckleyの短いキャリアを5枚のスタジオ・アルバムからたどる編集盤だ。フォーク、フォーク・ロック、実験的な要素、後年のより商業的な方向までを一枚に収め、声と曲作りの独自性を確認しやすい内容になっている。Tim Buckleyの全体像をつかむうえで、時期の違いが見えやすいコンピレーションだ。
トラックリスト
- A1 – Aren’t You The Girl
- A2 – Understand Your Man
- A3 – I Never Asked To Be Your Mountain
- A4 – Once I Was
- A5 – Morning Glory
- A6 – Move With Me
- B1 – Strange Feelin’
- B2 – Sweet Surrender
- B3 – Make It Right
- B4 – Dolphins
Felt – Felt (1971)
Felt『Felt』について
Feltは、アメリカ・アラバマ州ハンツビルで結成されたプログレッシブ・ブルース/ジャズ/サイケ・ロック系のバンドで、1971年に唯一のアルバムを残したグループとして知られている。この『Felt』はそのオリジナル作の再発盤で、2000年にイタリアでリリースされた一枚だ。
バンドはMyke Jacksonを中心に1970年に始動し、Myke Jackson、Tommy Gilstrap、Mike Neel、Allan Dalrymple、Stan Leeの編成で作品を残した。プロフィールとしては、ブルースやジャズの要素を土台にしながら、当時のサイケデリック・ロックの流れとも接続するタイプのバンドと見られている。
作品の位置づけ
『Felt』は、Feltにとって1971年の唯一のアルバムという位置づけになる。後年になって再評価が進んだタイプの作品で、2012年には2作目が完成したとされているが、この盤に収められているのはあくまで1971年のオリジナル・アルバムの再発盤だ。
再発盤のクレジットには、Nasco盤の再発であること、レーベル面にComet Recordsのウェブサイトとメールアドレスが記載されていること、さらにジャケットやラベルの表記に「Recorderd at Woodland Sound Studios」という綴りの誤りがあることが記されている。盤としては2000年イタリア盤ならではの情報が入った仕様になっている。
音の特徴
この作品は、ジャンル表記としてはRock、Blues、Folk、World, & Country、スタイルとしてPsychedelic Rockに分類されている。バンドの出自を踏まえると、ブルース寄りのリフやジャズ的な展開、サイケデリックな響きが混ざる構成が中心になっているタイプと受け取れる。
実際の音像としては、ハードに押し切るロックというより、楽曲の流れや演奏の間合いに重心が置かれる作品として語られることが多い。アメリカ南部のバンドらしいルーツ感と、70年代初頭の実験性が同居する一枚という見方がしやすい。
同時代の文脈
1971年前後の南部アメリカでは、ブルースやカントリーの土台に、ロックの拡張表現を重ねるバンドが各地で登場していた。Feltもその流れの中で捉えやすく、同時代のサイケデリック寄りのバンドや、ジャズ感覚を持つロック・アンサンブルと並べて語られることがある。
ただし、派手なヒット曲で知られるタイプではなく、アルバム単位で聴かれる作品として扱われることが多い。代表曲の存在よりも、バンド全体の演奏と曲の流れに特徴がある一枚だ。
再発盤としての見どころ
2000年のイタリア盤は、1971年のNasco盤をもとにした再発で、オリジナル盤を手に入れにくい状況では重要な存在になっている。レーベル情報や表記の違い、バーコードの有無など、再発盤らしい仕様の差も確認できる。
オリジナルの時代感をそのまま残した作品を、後年の再発で聴ける形にした盤として見ると、この『Felt』はバンドの活動初期を知るうえでまとまりのある資料性を持つアルバムだ。
トラックリスト
- A1 – Look At The Sun (3:18)
- A2 – Now She´s Gone (5:29)
- A3 – Weepin´Mama Blues (4:40)
- A4 – World (5:36)
- B1 – The Change (10:00)
- B2 – Destination (6:43)
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Alice Island Band – Splendid Isolation (1974)
Alice Island Band『Splendid Isolation』について
Alice Island Bandの『Splendid Isolation』は、1974年に作品としてまとまった、スペイン発のレコードです。盤としては2019年にリリースされたもので、オリジナル作品をあらためて楽しめる形になっています。収録内容は、フォークやバラードの要素を軸にした、歌もの中心の作品と見てよさそうです。
作品の成り立ち
このアルバムは1968年の夏に構想され、1973年のクリスマスに録音されたとされています。制作の時間差がはっきりしていて、完成までにかなり長い期間を経た作品です。2019年盤には4ページの歌詞インサートが付属し、限定500枚でのリリースでした。
クレジット上で確認できるメンバーはTim Phillipsです。アーティストの詳細プロフィールや関連情報は多く出ていませんが、作品単位で見ると、かなり個人的な視点と手触りを持ったレコードに見えます。
音の方向性
ジャンル表記はPop、Folk、World、& Country、スタイルはFolk、Ballad。実際のところ、派手なアレンジを前面に出すタイプというより、歌と曲の流れを中心に聴かせる作りが想像しやすいです。タイトルの『Splendid Isolation』という言葉にも、外側へ広く開くというより、内側に向かって丁寧に組み上げた印象があります。
フォーク寄りのバラード作品は、同時代のシンガーソングライターや英国圏のフォーク作品と並べて語られることが多いですが、この作品もその流れの中で、語り口の強さや曲の輪郭を味わうタイプのアルバムとして受け取れそうです。
2019年盤について
2019年盤は再発としての位置づけで、オリジナルの1974年盤に対して、歌詞インサート付きで入手しやすい形になっているのが特徴です。限定500枚という点も含めて、コレクション性のあるリリースでした。オリジナル盤との細かな音質差や編集差については、確認できる範囲では明記されていません。
聴きどころの見方
- 1968年に構想、1973年に録音という制作の時間差
- 歌詞インサート付きの2019年再発盤
- フォーク、バラード寄りの曲作り
- 限定500枚のプレス
曲名や代表曲の情報は確認できませんでしたが、アルバム単位でじっくり聴くことで、制作時期の長さや歌詞の存在感が見えてくるタイプの作品といえそうです。
トラックリスト
- A1 – Goodbye Cindy
- A2 – Smoke
- A3 – She Is An Island
- A4 – Stranger In A Crowd
- A5 – Anna Clare
- A6 – The Man That I Am
- A7 – Everything That Meets My Eyes
- B1 – Sleepiness
- B2 – The Lover
- B3 – Hostages
- B4 – Devil’s Island
- B5 – Nickel Island
- B6 – As I Get Older
- B7 – Package Tour Mona Lisa
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Kapela Ze Wsi Warszawa – Uwodzenie / Waterduction (2020)
Kapela Ze Wsi Warszawa「Uwodzenie / Waterduction」について
Kapela Ze Wsi Warszawaは、ポーランドのフォーク・バンドとして知られるグループで、この「Uwodzenie / Waterduction」は2020年の作品として扱われるタイトルだ。リリース国もポーランドで、ジャンル表記はFolk, World, & Country、スタイルはFolk。バンド名のとおり、ワルシャワの村の音楽を思わせる土着感と、現代的な編成をあわせ持つグループとして認識されている。
この盤は2022年リリースのもの。オリジナル作品の年は2020年なので、作品そのものは2020年時点の内容として見るのが自然だ。盤としては後年に出た形になる。
作品の輪郭
収録名からもわかるように、この作品はポーランドの伝統音楽を軸にした世界観を持つ。Kapela Ze Wsi Warszawaは、民謡の旋律やリズムをベースにしながら、バンド編成で立体的に聴かせるタイプのグループで、アコースティックな響きと合奏の推進力が前に出ることが多い。クレジットされているメンバー数も多く、合奏としての厚みが作品の要点になっている印象だ。
参加メンバーは Paweł Mazurczak、Maja Kleszcz、Magdalena Sobczak、Maciej Szajkowski、Wojciech Krzak、Mariusz Dziurawiec、Sylwia Świątkowska、Piotr Gliński、Miłosz Gawryłkiewicz、Wiktoria Długosz、Anna Jakubowska、Ksenia Malec、Marcin Kozak、Małgorzata Śmiech、Ewa Wałecka、Robert Jaworski、Katarzyna Szurman。人数の多さからも、単独のシンガー中心というより、複数の演奏者が重なっていく構成が想像しやすい。
Kapela Ze Wsi Warszawaというバンドの位置
このグループは、ポーランドのフォークを現在形で扱う存在として語られることが多い。伝統音楽をそのまま保存するというより、バンドとしての演奏感を前に出しながら聴かせるスタイルで、同時代のヨーロッパ民俗音楽の流れの中でも存在感がある。ワールド・ミュージック系の文脈でも見かけることがあり、ポーランドの地方音楽を広く伝える役割も担っている。
関連サイトとしては、公式サイト http://www.kzww.pl/、http://www.warsawvillageband.net/、Facebookページ https://www.facebook.com/WarsawVillageBand/ がある。Myspaceにもアーカイブ的なページが残っている。
聴きどころとして見えやすい点
実際に触れると、こうしたバンドの作品は、旋律の反復とアンサンブルの積み重ねが軸になりやすい。メロディを細かく飾る場面、リズムを強く押し出す場面、声と楽器が近い距離で絡む場面など、フォークの基本的な要素が前面に出る形が想像しやすい。タイトルにも英語表記の Waterduction が添えられていて、作品名の見せ方にも現代的な意識がうかがえる。
2020年のオリジナル作品、2022年盤という時間差もあり、作品を追う際はこの2つの年を分けて見ると整理しやすい。オリジナルの時点での内容を軸に、のちの盤で流通したものとして捉えるのがよさそうだ。
まとめ
「Uwodzenie / Waterduction」は、Kapela Ze Wsi Warszawaらしいポーランド・フォークの文脈にある作品だ。大人数のメンバー編成、伝統音楽を土台にした合奏感、そして2020年作品としての位置づけがポイントになる。ポーランドの民俗音楽を現在のバンド表現で聴かせるグループとして、このタイトルもその流れの中に置いて理解しやすい一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Uroda
- A2 – Oracja Do Wody
- A3 – Spławiany
- A4 – Uwodzenie
- A5 – Potopielka
- B1 – Chasydzki Z Urzecza
- B2 – Rzeceńka
- B3 – Krępiański
- B4 – Kołyska
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Tim Hardin – Painted Head (1972)
Tim Hardin「Painted Head」について
Tim Hardinは、アメリカのフォーク・シンガー/ソングライターとして知られる人物だ。
「If I Were a Carpenter」や「Reason to Believe」といった楽曲で広く名前が残っているが、「Painted Head」は1972年に発表された作品で、彼のフォーク・ブルース寄りの持ち味がまとまった一枚として位置づけられる。
作品の輪郭
このレコードは1981年に日本でリリースされた盤で、ジャケットや資料に日本語インサートが付いた仕様になっている。
オリジナルは1972年の作品なので、盤としては後年の再発にあたる。日本盤ならではの丁寧な付属物がある点も、この時期の輸入盤・国内再発らしいところだ。
サウンド面では、フォークを土台にしつつ、ブルース・ロックの要素が重なる構成。
Tim Hardinの作品らしく、歌と曲の骨格が前に出るタイプで、派手なアレンジで押すというより、言葉とメロディの流れで聴かせる印象がある。
Tim Hardinというアーティストの中で
Tim Hardinは、同時代のフォーク・シーンの中でも、シンガーとしての存在感とソングライターとしての評価が強い人だ。
自作曲が多くのアーティストにカバーされてきたことからも、楽曲そのものの強さがよくわかる。特に「If I Were a Carpenter」は、Bobby Darin、Joan Baez、Johnny Cash、The Four Tops、Robert Plantなど、多くの歌手に取り上げられた代表曲として知られている。
また「Reason to Believe」も重要な楽曲で、Rod Stewartのヒットでも広く知られる。
こうした曲と比べると、「Painted Head」はヒット曲の単独の知名度で押すというより、アルバム全体でTim Hardinの書く歌の手触りを追う作品という見え方になりやすい。
ジャンルの文脈
この作品は、Rock、Blues、Folk、World, & Countryという広い枠で整理されている。
実際のところ、60年代フォークの延長線上にあるシンガー・ソングライター作品として聴かれることが多そうだが、そこにブルース・ロックの感触が加わることで、単なる弾き語り中心の作品とは少し違う輪郭を持つ。
同時代の感覚でいえば、フォークの語り口とロックの帯域を行き来するアーティストたち――たとえばより広い意味でのシンガー・ソングライター作品群の中に置くと、Tim Hardinの独特な書き方が見えやすい。
歌詞を前面に出しながら、曲の流れ自体で引っ張るタイプの一枚、と言えそうだ。
まとめ
「Painted Head」は、Tim Hardinの代表曲で知られる作家性を、アルバム単位で確かめられる作品だ。
1972年のオリジナル作品を、1981年の日本盤で聴く形になるため、当時の日本での受け止め方も含めて残された一枚として見ておくと、より位置づけがつかみやすい。
トラックリスト
- A1 – You Can’t Judge A Book By The Cover (4:09)
- A2 – Midnight Caller (3:09)
- A3 – Yankee Lady (4:24)
- A4 – Lonesome Valley (4:29)
- A5 – Sweet Lady (3:44)
- B1 – Do The Do (3:44)
- B2 – Perfection (3:02)
- B3 – Till We Meet Again (3:11)
- B4 – I’ll Be Home (5:42)
- B5 – Nobody Knows You When You’re Down And Out (6:23)
Harris Chalkitis – Marita (1975)
Harris Chalkitis「Marita」
「Marita」は、フランスで1975年にリリースされたHarris Chalkitisの作品。作曲、編曲、歌唱、マルチインストゥルメンタリストとして知られるHarris Chalkitisが、パリのBarclay Studiosで1975年4月から5月にかけて録音した一枚である。ジャズ、ロック、ファンク、ポップ、フォークの要素をまたぐ作風で、ジャズロック、ジャズファンク、プログレッシブ・ロック、ディスコの文脈でも語られる作品になっている。
作品の輪郭
Harris Chalkitisは1945年にカイロで生まれ、幼少期に家族とともにギリシャへ移った人物。作曲家、オーケストレーター、シンガー、マルチインストゥルメンタリストとして活動し、後年はQueen Samanthaのプロデュースでも知られるほか、Demis Roussos、Mireille Mathieu、Dalidaなどの作曲も手がけている。その経歴を踏まえると、「Marita」も単独の歌手作品というより、作編曲の手腕が前面に出るタイプのレコードとして位置づけやすい。
録音はパリのBarclay Studios。℗表記も1975年のBarclayで、フランス盤として同年の空気をそのまま閉じ込めた資料性のあるレコードといえる。ジャズ寄りのリズム感、ロックの推進力、ファンクのうねり、そして当時のポップ/ディスコの感触が並ぶところに、この時代のヨーロッパ制作らしい混ざり方が見える。
サウンドの印象
この作品のポイントは、ジャンルの切り替えがはっきりしていること。ジャズ・ロックやジャズ・ファンクの文脈では演奏の密度が前に出やすく、プログレッシブ・ロックの要素では展開の組み立てが目立つ。そこにディスコ的なビート感や、ポップ、フォーク、ワールド・ミュージックの要素が重なっているため、単一の型に収まらない作りになっている。
実際に聴くと、歌ものとしての輪郭と、編曲の細かい動きの両方が見えやすいタイプの作品になりそうだ。メロディを追いながらも、伴奏のリズムや管弦の配置に耳が向く盤だろう、という印象である。
時代背景とつながり
1975年という年は、ヨーロッパのポップスやフュージョン、ディスコ前夜のサウンドが交差していた時期。フランス制作のレコードとして見ると、シャンソン的な歌心と、当時の国際的なソウル/ファンク感覚の接点にある作品とも捉えやすい。Harris Chalkitisの後年のプロデュースワークや大衆歌謡への関わりを考えても、この時期の仕事は彼の幅広い作曲・編曲感覚を示す一枚といえる。
代表曲やヒット曲として広く知られる定番曲の情報は見当たらないが、制作年、録音場所、参加した音楽的文脈をたどると、70年代フランス盤の中でも作り手の個性が出る作品として見ていける。
盤について
この盤は1975年のフランス盤。ラベルにはMade in Franceの表記があり、当時のBarclay系プレスとして出回ったものだとわかる。プレスリングの仕様も1975年のフランス国内プレスに特徴的なものとされている。
Harris Chalkitisのキャリアを追ううえで、「Marita」は、作曲家・編曲家としての感覚と、当時のフランス録音の空気が重なる一枚として押さえておきたい作品である。
トラックリスト
- A1 – Marita (3:45)
- A2 – Funny She Loves Me (2:18)
- A3 – Right On Moving (2:49)
- A4 – Always On My Mind (2:37)
- A5 – Without You (4:15)
- B1 – Introduction Moog (0:59)
- B2 – Glory Of A Love Song (3:25)
- B3 – Morning Sunshine (2:47)
- B4 – New York City (3:47)
- B5 – With A Smile (2:35)
- B6 – Let Me Go My Way (2:42)
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Kings Of Convenience – Peace Or Love (2021)
Kings Of Convenience『Peace Or Love』について
Kings Of Convenienceは、ノルウェー・ベルゲン出身のデュオ。Erlend ØyeとEirik Glambek Bøeの2人によるユニットで、どちらも歌い、どちらも作曲を手がける。細かなギターの絡みと、落ち着いた歌声で知られるグループだ。
『Peace Or Love』は2021年にリリースされた作品で、Kings Of Convenienceにとってこの時期の活動をそのまま反映したアルバムとして聴ける1枚。リリース国はヨーロッパ盤。ジャンル表記はPop、Folk、World, & Country、スタイルはFolk、Indie Popとなっている。
作品の印象
この作品では、Kings Of Convenienceらしい、音数を抑えたアレンジと、2人の歌声の呼吸が前に出る構成が中心になる。ギターのフレーズは細かく、演奏の隙間がそのまま曲の輪郭になっているタイプ。派手な展開で押す作品というより、声と弦の動きで曲を組み立てる作りだ。
聴き進めると、メロディの見せ方がかなり丁寧なことがわかる。短いフレーズの反復や、声の重なり方で曲を進める場面が多く、Kings Of Convenienceの既知の持ち味がそのまま出ている印象。いわゆるインディー・フォークやインディー・ポップの文脈に置くと、余白のある編曲と柔らかい歌唱が軸になる作品として見やすい。
アーティストにとっての位置づけ
Kings Of Convenienceは、デビュー以降、派手さよりも曲の細部を積み上げるスタイルで知られてきたユニット。この『Peace Or Love』も、その延長線上にあるアルバムとして捉えやすい。ベルゲン出身という背景も含め、北欧のインディー・フォークらしい静かな手触りを感じさせる。
同時代のインディー・フォーク、インディー・ポップの流れの中では、Broken Social Sceneのような大編成の動きとは対照的で、Sufjan StevensやThe Acornの一部作品に見られるような、音の配置を細かく整える方向と比べやすい。とはいえ、Kings Of Convenienceはあくまで2人の声とギターのやり取りに重心がある。
ひとこと
『Peace Or Love』は、Kings Of Convenienceの名前から連想しやすい、控えめな編曲とデュオの歌の組み合わせがそのまま表に出た作品。2021年作として、彼らの持ち味を確認できるアルバムだ。
トラックリスト
- A1 – Rumours (4:09)
- A2 – Rocky Trail (3:30)
- A3 – Comb My Hair (3:06)
- A4 – Angel (3:15)
- A5 – Love Is A Lonely Thing (2:45)
- A6 – Fever (3:56)
- B1 – Killers (3:53)
- B2 – Ask For Help (4:07)
- B3 – Catholic Country (3:00)
- B4 – Song About It (3:04)
- B5 – Washing Machine (2:46)
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Hako Yamasaki – 歩いて (1980)
Hako Yamasaki『歩いて』(1980)について
山崎ハコの『歩いて』は、1980年に日本でリリースされた作品。フォークを軸にしながら、ロック、ブルース、ポップスの要素もにじむ一枚で、アコースティックな手触りを土台にした歌世界が印象に残る。1970年代のフォーク・ブームをくぐり抜けてきた山崎ハコの流れの中でも、80年代に入る時期の作品として位置づけられるタイトルだ。
サウンドの輪郭
全体の中心にあるのは、ギターを軸にしたシンプルな響きと、声の存在感。派手な装飾で押すというより、言葉と旋律を前に出す作りで、フォークの直線的な感触がよく出ている。アコースティックな質感が強く、曲ごとの温度差や呼吸がそのまま伝わってくるタイプの作品として受け取れる。
山崎ハコというアーティストの文脈
山崎ハコは、1957年生まれ、大分県日田市出身の日本のフォーク・シンガーソングライター、ギタリスト、女優。1970年代のフォーク・ブーム期から存在感を示し、その後も長く作品を発表し続けてきた。『歩いて』は、そうした活動の流れの中で、80年代初頭の山崎ハコの表現を確認できる作品として見ておきたい。
同時代とのつながり
この時期の日本のフォークやシンガーソングライターの作品には、歌詞の輪郭をはっきり聴かせる作りや、ギター主体の編成を基調にしたものが多い。山崎ハコの音楽も、その文脈の中で語られることが多く、フォークの語法を保ちながら、ブルースやロックの感触も差し込むあたりに特徴がある。派手さよりも、歌の芯で聴かせる方向性。
作品の位置づけ
『歩いて』は、山崎ハコのディスコグラフィーの中で、80年代に入った時期の一作として見ると流れがつかみやすい。1970年代のフォーク・ブームの延長線上にありつつ、時代の変化の中でも自分の歌の形を保っている、そんな印象のタイトルだ。
まとめ
『歩いて』は、山崎ハコの持つ直線的な歌声、アコースティック中心の響き、フォークを土台にした表現がまとまった1980年の作品。日本のフォーク/シンガーソングライター史の流れの中でも、彼女の立ち位置を確認しやすい一枚といえる。
トラックリスト
- A1 夢
- A2 我が里
- A3 道を探せ
- A4 黒いバス
- A5 小さな海
- B1 歪み板
- B2 何もいらない
- B3 君は自由か
- B4 13の女の子
- B5 歩いて
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Folk Crusaders – 紀元貮阡年 (With The Folk Crusaders) (1968)
Folk Crusaders『紀元貮阡年 (With The Folk Crusaders)』について
ザ・フォーク・クルセダーズは、日本のフォーク・ポップ・ロックの流れを語るうえで外せないグループだ。活動期間は長くないものの、その後の日本の音楽や芸能の場で各メンバーが長く活躍していくことでも知られている。
この『紀元貮阡年 (With The Folk Crusaders)』は1968年の作品として扱われる一枚で、フォーク・ロック、ポップ・ロック、ノベルティの要素が並ぶ。ロック、ポップ、フォーク、さらに日本の歌謡的な感覚も重なるあたりに、このグループらしさが見えやすい作品だ。
サウンドの印象
音の中心は、アコースティックな手触りを残したフォーク寄りのバンド・サウンドだ。そこに軽いポップ感やユーモラスな仕掛けが加わり、肩の力を抜いて聴ける質感につながっている。派手な演奏で押すというより、言葉の運びやメロディの分かりやすさが前に出るタイプの作品といえる。
当時の日本のフォークやポップスの文脈で見ると、アメリカやイギリスのフォーク・ロックの影響を受けつつ、日本語の歌として自然に落とし込んでいる点が特徴的だ。ザ・フォーク・クルセダーズは、同時代のフォーク・グループの中でも、風刺や遊び心を持たせた表現で印象を残した存在として語られることが多い。
アーティストにとっての位置づけ
ザ・フォーク・クルセダーズは短命なグループながら、メンバーのその後のキャリアを含めて日本の音楽史で重要な名前だ。この時期の作品は、グループの方向性を知るうえでの手がかりになりやすい。フォークの素朴さとポップスの聞きやすさ、その両方を持った時代性のある記録という見方ができる。
代表曲として知られる曲
ザ・フォーク・クルセダーズを語るときは、「帰って来たヨッパライ」が代表曲として挙がることが多い。コミカルな作りと強い印象の残る歌い回しで広く知られ、グループの存在を大きく印象づけた一曲だ。この作品群も、その延長線上にある遊び心や歌ものとしての強さを感じさせる。
まとめ
『紀元貮阡年 (With The Folk Crusaders)』は、1968年の日本のフォーク・ポップ・ロックを確認できる作品だ。フォークの響き、ポップな親しみやすさ、少しひねりのあるノベルティ感が同居していて、ザ・フォーク・クルセダーズというグループの輪郭が見えやすい一枚になっている。
トラックリスト
- A1 紀元貮阡年 = 2,000 A.D. Break Down (1:37)
- A2 帰って来たヨッパライ = I Only Live Twice (3:20)
- A3 悲しくてやりきれない = Unbearably Sad (3:04)
- A4 ドラキュラの恋 = Dracula Fell In Love (2:15)
- A5 水虫の唄 = I’m Happy Just To Be With You (2:48)
- A6 オーブル街 = Rue Auble (2:08)
- B1 さすらいのヨッパライ = From West With Love (3:01)
- B2 花のかおりに = Flowers In Lover’s Hair (3:00)
- B3 山羊さんゆうびん (2:24)
- B4 レディー・ジェーンの伝説 = The Legend Of Lady Jane (3:00)
- B5 コブのない駱駝 = Magical Mystery Camel (3:14)
- B6 何のために = What For (3:04)
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Malicorne – Malicorne (1977)
Malicorne『Malicorne』(1977)
フランスのエレクトリック・フォークを代表するグループ、Malicorneによる1977年作。バンド名をそのまま冠した作品で、同年のオリジナル・リリースとしては4作目のLPにあたる。タイトルを持たない時期の流れを受けつつ、グループの輪郭がよりはっきり見える一枚だ。
作品の位置づけ
Malicorneは1973年、Gabriel YacoubとMarie Yacoubを中心に始動したフランスのグループで、伝承曲や民謡の要素をロックの編成へ持ち込んだ存在として知られる。この『Malicorne』は、そうした路線を継続しながら、バンドとしてのまとまりを前面に出したアルバムとして位置づけられる。資料上では「Malicorne 4」や、冒頭曲にちなむ「Nous Sommes Chanteurs De Sornettes」と呼ばれることもある。
サウンドの特徴
ジャンル表記はRock、Folk、World & Country、スタイルはFolk Rock。アコースティック楽器を軸にしつつ、エレクトリックな響きが加わる構成で、民謡由来の旋律とロックのリズム感が並ぶ。楽器編成には、ギターやフィドル系の弦楽器、打楽器、笛や旋律楽器が入り、声の重なりも重要な要素になっている。派手なロック色というより、伝承音楽の素材を整理しながら組み立てた質感が印象に残るアルバムだ。
同時代の文脈
1970年代のヨーロッパでは、フォーク・リバイバルとロックの接近が各地で進んでいた。Malicorneもその流れの中にあり、英米のフォーク・ロックとは少し違う、フランスの伝承曲や地方色を土台にしたアプローチを取っている。比較対象としては、同時代のブリティッシュ・フォーク・ロックや、伝承音楽を現代的に編み直すタイプのバンドが思い浮かぶ。
内容曲について
冒頭曲「Nous Sommes Chanteurs De Sornettes」がアルバムの別称にも使われている。作品全体を通して、こうした曲名が示す通り、物語性のある歌と伝承的なメロディが中心に置かれている印象だ。代表曲を一曲に絞って語るタイプの作品というより、アルバム全体の流れで聴かれることが多い一枚といえる。
補足
Malicorneはその後もメンバー交代や活動停止を挟みながら続き、1988年にはいったん終止符が打たれたが、2010年以降に再結成の動きがあった。そうした長い活動史の中で見ると、この1977年作は、グループの中核がしっかり機能していた時期の記録として捉えやすい。
トラックリスト
- A1 Nous Sommes Chanteurs De Sornettes – Gavotte (2:40)
- A2 Couché Tard Levé Matin (3:53)
- A3 Daniel Mon Fils (2:40)
- A4 Le Déserteur – Le Congé (5:19)
- A5 La Blanche Biche (6:35)
- B1 Bacchu Ber (1:58)
- B2 Le Jardinier Du Couvent (9:03)
- B3 Misère (2:27)
- B4 La Fiancée Du Timbalier (5:49)
- B5 Ma Chanson Est Dite (0:27)