Passport – Oceanliner (1980)
Passport『Oceanliner』(1980)
ドイツのジャズ・フュージョン・バンド、Passportが1980年に発表したアルバムが『Oceanliner』です。バンドは1970年にKlaus Doldingerを中心に始まり、Passport名義では1971年以降の活動で知られています。ジャズを土台にしながらロック寄りの推進力も持つグループで、この作品もその流れの中にある1枚です。
作品の位置づけ
Passportは1970年代を通じて、欧州ジャズ・ロック/フュージョンの重要な存在として活動してきました。『Oceanliner』は1980年作として、その時期のPassportのサウンドを確認できるタイトルです。Klaus Doldingerを軸に、時代ごとに多くの演奏者が参加してきたバンドでもあり、本作もそうした流動的な編成の中で作られています。
サウンドの印象
レコード情報上のジャンルはJazzとRock、スタイルはFusionとJazz-Rockです。Passportらしく、ジャズの即興性を残しつつ、ロックのリズム感やアンサンブルの推進力が前に出るタイプの作品として捉えられます。タイトルから受けるイメージの通り、曲が流れるように展開していく構成が想像しやすい一方で、演奏面では緻密さのあるグループ・サウンドが核になっているはずです。
この時期のジャズ・フュージョンは、Weather ReportやReturn to Forever、Mahavishnu Orchestraのような米国勢と並べて語られることが多いですが、Passportはそこに西ドイツのバンドらしい硬質さと、ヨーロッパのジャズ文脈を持ち込んだ存在です。『Oceanliner』も、その延長線上で聴ける作品です。
参加メンバー
クレジットにはKlaus Doldingerのほか、Udo Lindenberg、Alphonse Mouzon、Guillermo Marchena、John Mealing、Curt Cress、Wolfgang Haffner、Patrick Scales、Peter O’Maraら、多数の演奏者名が並びます。Passportは時期によって編成が変わるため、こうした多人数のクレジットはこのバンドらしい特徴です。リズム隊や鍵盤、管楽器が入れ替わりながら、作品ごとに色合いを変えていく流れが見えます。
レーベルと盤の情報
本盤はAtlantic Recording Corporationのリリースで、表記には「Ⓟ Ⓒ 1980 WEA Musik GmbH. Printed in U.S.A.」「A Warner Communications Company」とあります。US盤として流通したものです。ランアウトには、ほとんどの情報が手書きで、”ATLANTIC STUDIOS D.K” のみ機械刻印とされており、当時の制作・プレスの仕様がうかがえます。
同時代の文脈
1980年前後のジャズ・ロック/フュージョンは、70年代後半の拡張路線から、より整理された構成やソリッドな演奏へと向かう流れがありました。Passportもその時代感の中で、派手な技巧だけで押し切るというより、バンド全体のまとまりや音の運びで聴かせるタイプのグループとして位置づけられます。Klaus Doldingerのバンドとして長く続いている点も含め、単発の企画盤ではなく、継続するプロジェクトの一時点として見える作品です。
『Oceanliner』は、Passportのディスコグラフィーの中でも1980年時点のバンド像をそのまま示すタイトルです。ジャズとロックの接点を、ヨーロッパ側の視点で聴かせるアルバムとして記録されている1枚です。
トラックリスト
- A1 – Departure (4:54)
- A2 – Allegory (3:40)
- A3 – Ancient Saga (4:15)
- A4 – Oceanliner (5:52)
- B1 – Rub-A-Dub (4:39)
- B2 – Uptown Rendezvous (3:32)
- B3 – Bassride (4:09)
- B4 – Scope (2:12)
- B5 – Seaside (5:28)
関連動画
Robert Wyatt – Shipbuilding / Memories Of You / Round Midnight (1982)
Robert Wyatt『Shipbuilding / Memories Of You / Round Midnight』について
Robert Wyattの1982年の7インチ・シングル。収録曲は「Shipbuilding」「Memories Of You」「Round Midnight」の3曲で、UK Rough Tradeから出た作品です。Robert WyattはSoft Machineの創設メンバーとして知られ、その後はソロでも、ジャズやロックの境界をまたぐ作品を続けてきた人。このシングルも、その流れの中にある一枚です。
作品の位置づけ
1982年といえば、Wyattのソロ活動がかなりはっきりした輪郭を持っていた時期です。Soft Machine以後のキャリアの中でも、彼はジャズ、ポップス、カバー曲、政治性のある楽曲を自然に並べていくタイプで、このシングルもそうした持ち味がよく出ている一枚です。特に「Shipbuilding」は、彼の代表曲としてよく挙げられる楽曲で、Robert Wyattの名前を広く印象づけた曲のひとつと言えます。
収録曲
- Shipbuilding
- Memories Of You
- Round Midnight
「Shipbuilding」は、戦争と造船業を結びつけた内容の曲として知られ、落ち着いた歌唱と、曲の持つ冷たい手触りが印象に残る曲です。Robert Wyattらしい、感情を大きく押し出しすぎない歌い方が曲の内容と合っています。
「Memories Of You」はスタンダード寄りの曲想で、Wyattの声の細い響きが前に出るタイプの楽曲。「Round Midnight」はセロニアス・モンクで有名なジャズ・スタンダードで、Wyattがこの時期にジャズの語法を自分のポップス感覚の中へ取り込んでいたことがわかる選曲です。
サウンドの印象
全体としては、派手に展開するタイプではなく、音数を絞った中で曲の輪郭を見せる作りです。Robert Wyattの声は、強く張るというより、言葉の意味やメロディの線をそのまま運ぶ感じがあるので、この手の楽曲では特に存在感がある。ジャズ・ロックやアート・ロックの文脈で語られるのも納得できる内容です。
ジャケットと盤の仕様
1982年のオリジナル盤は、赤ラベルの盤として知られています。ジャケットにはStanley Spencerの絵画《Shipbuilding On The Clyde : Riveters》の一部が使われており、造船所の労働を描いたイメージが「Shipbuilding」というタイトルときれいに結びついています。レーベル表記ではA面が「A Clangwinstello Production」となっています。
なお、1983年には複数の別スリーヴによる再発も出ていますが、1982年盤はその前の初期仕様。赤いラベルの盤と、のちの再発との違いがある点は、このシングルのコレクション面でよく話題になります。
同時代の文脈
Robert Wyattの1980年代前半の仕事は、単なるプログレの延長ではなく、もっと歌もの寄りの感覚と、ジャズや室内楽的な響きが混ざったものとして受け取られやすいです。Rough Tradeからのリリースという点も含めて、当時の英国インディー/オルタナティブの空気とも接続している作品です。John CaleやChris Cutler周辺の、政治性や実験性を持ちながらも曲として成立させる系譜と並べて語られることもあります。
まとめ
『Shipbuilding / Memories Of You / Round Midnight』は、Robert Wyattの代表曲「Shipbuilding」を軸に、ジャズ・スタンダードも並べた1982年のシングル。Soft Machine以後のWyattが、ロック、ジャズ、ポップスを自分の声でつないでいく、その感触がよく出た一枚です。ジャケット、選曲、歌唱のまとまりが強く、Robert Wyattというアーティストの輪郭をつかむうえで重要な作品のひとつと言えます。
トラックリスト
- A – Shipbuilding
- B1 – Memories Of You
- B2 – Round Midnight
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RAH Band – Producers Choice (2020)
RAH Band『Producers Choice』について
RAH Bandは、Richard A. Hewsonを中心に動くUKのスタジオ・プロジェクト。70年代後半から80年代にかけて、ジャズ・ファンク、シンセポップ、ポップの要素を行き来しながら、UKチャートでも結果を残してきたユニットだ。
『Producers Choice』は2020年にUKでリリースされた2枚組アナログ盤。Record Store Day 2020向けの限定盤として出た作品で、RAH Bandの各アルバムから選ばれた楽曲を、オリジナル・テープからリマスターしてまとめた編集盤になっている。印刷スリーブ付きの仕様で、Atjazz Record Companyからのライセンス盤でもある。
作品の位置づけ
RAH Bandの代表曲を、あらためてまとまった形で聴ける一枚という位置づけ。70年代のスタジオ志向の作り込みと、80年代のダンス寄りの感触、その両方を横断する内容になっている。
Richard Hewsonは、編曲家、指揮者、マルチ・インストゥルメンタリストとして活動を始めたのち、自身のイニシャルを冠したRAH Band名義で制作、作曲、演奏まで手がけるようになった。そうした個人プロジェクトとしての性格が、編集盤であってもはっきり見えるのがこの作品の面白さだ。
収録曲の中心となる代表曲
この盤の核としてまず挙がるのが「Clouds Across The Moon」と「Messages From The Stars」。どちらもRAH Bandを語るときによく触れられる曲で、前者はUKヒットとして知られ、後者も後年まで広く親しまれてきた。
「Clouds Across The Moon」は、曲名のイメージどおり宇宙的な題材を持ちながら、打ち込みとバンド的な演奏感が同居するところが特徴。RAH Bandのシンセポップ面と、ソウル寄りの感触が重なる1曲として位置づけられる。
「Messages From The Stars」は、80年代のRAH Bandらしい軽快さと電子音の整理された鳴りが前に出る楽曲。のちにクラブ文脈や再評価の流れでも名前が出やすい代表曲だ。
聴きどころ
この編集盤は、曲ごとの年代差をそのまま並べるというより、RAH Bandの制作スタイルの変化を追いやすい構成になっている。ジャズ・ファンク寄りの楽器の運び、ポップとしての覚えやすさ、シンセを使った音の設計、その3つが曲ごとに違う比重で現れる。
リマスター盤なので、オリジナル盤で聴かれていた曲も、現在の再生環境で輪郭をつかみやすい。とくに低音のラインやシンセのレイヤー、コーラスの重なり方は、編集盤としてまとめて聴くと整理して追いやすい印象がある。
同時代の文脈
RAH Bandは、UKの70年代後半から80年代初頭にかけての、スタジオ主導のポップ/ダンス音楽の流れに位置する。派手なバンド・サウンドというより、作曲、編曲、録音の作業を前面に出したタイプで、同時代のシンセポップやジャズ・ファンクと接点を持つ。
その意味では、ディスコ以後のダンス・ミュージックや、英国のソウル/ファンク寄りポップと並べて語られることが多い存在だ。RAH Bandの曲は、ラジオ向けのポップ感と、スタジオ作品としての細かな構成が同居している。
まとめ
『Producers Choice』は、RAH Bandの主要曲をオリジナル・テープからリマスターし、2枚組LPにまとめた2020年の編集盤。代表曲「Clouds Across The Moon」や「Messages From The Stars」を軸に、Richard Hewson主導のスタジオ・プロジェクトとしてのRAH Band像をつかみやすい内容だ。
70年代のジャズ・ファンク的な流れと、80年代のシンセポップ/ダンス・ポップの接点を一度にたどれる盤、という見方がしやすい。
トラックリスト
- A1 – Beyond
- A2 – Downside Up
- A3 – Out On The Edge
- B1 – Float
- B2 – Perfumed Garden
- B3 – Shadow Of Your Love
- C1 – Clouds Across The Moon (Supanova Mix)
- C2 – Electric Fling
- C3 – Messages From The Stars
- D1 – Falcon
- D2 – Slide
- D3 – Riding On A Fantasy
関連動画
- The RAH Band – Downside Up (Remaster)
- The RAH Band – Beyond (Remaster)
- The RAH Band – Out On The Edge (Remaster)
- The RAH Band – Float (Remaster)
- The RAH Band – Perfumed Garden (Remaster)
- The RAH Band – Shadow Of Your Love (Remaster)
- The RAH Band – Clouds Across The Moon (Supanova Mix Remaster)
- The RAH Band – Electric Fling (Remaster)
- The RAH Band – Messages From The Stars (Remaster)
- The RAH Band – Falcon (Remaster)
Exmagma – Goldball (1974)
Exmagma「Goldball」について
Exmagmaは、ドイツ・シュトゥットガルト周辺を拠点にしたアンダーグラウンドなジャズ・ロック・トリオである。メンバーは、キーボードのThomas Balluff、ギター/ベースのAndy Goldner、ドラムのFred Braceful。いずれも経歴がはっきりしていて、Balluffは1960年代のソウル・バンドMuli & The Misfits、Goldnerはローカルなリズム&ブルース・コンボFive Fold Shade、Bracefulは1950年代後半にドイツへ移ったアメリカ人ジャズ・ドラマーとして知られる。Exmagmaは、そうした背景の違う3人が合流した、ドイツのクラウトロックと即興ジャズの交差点にあるグループという位置づけになる。
「Goldball」は、Exmagmaの2作目にあたる作品で、1974年3月に録音され、1974年にUrusまたはDisjuncta名義で初出した。ここで取り上げている盤は2003年リリースの再発盤で、オリジナルの1974年盤とは年代が異なる。録音とミックスは1974年にWolperathで行われている。
作品の輪郭
ジャンル表記はElectronic、Jazz、Rock、スタイルはKrautrock、Fusion、Space Rock、Free Improvisation。Exmagmaらしいのは、この複数の要素が別々に並ぶというより、演奏の中でひと続きに現れる点である。ギター、キーボード、ドラムの3人編成で、曲の骨格がはっきりした場面と、即興に寄る場面が行き来するタイプの作品として捉えやすい。
同時代のドイツ勢でいえば、クラウトロックの枠に収まりつつも、よりジャズ寄りの緊張感を持ったバンドとして語られることが多い。Wolfgang DaunerやEt Cetera周辺の流れ、あるいは即興性の強いジャズ・ロックの文脈に置くと見えやすい作品である。Fred Bracefulの経歴が示す通り、アメリカのジャズ感覚が土台にあり、その上にドイツの実験的なロックの感触が重なる構図。
作品の位置づけ
「Goldball」は、Exmagmaのディスコグラフィーの中でも重要な位置にある2作目。バンドの基本形が固まった段階の記録として見ることができる。1作目で示した方向性を受けつつ、より演奏の密度や展開の幅が出た作品として扱われることが多い。
タイトル曲「Goldball」が作品名になっているが、特定のヒット曲として広く知られた楽曲というより、アルバム全体の流れの中で聴かれるタイプの作品である。曲単位の派手な代表曲を押し出すというより、トリオの即興と構成の切り替えそのものが聴きどころになっている。
2003年盤について
この盤は2003年のリリースで、オリジナルの1974年盤を後年に再発したものにあたる。カタログ番号は、ジャケット表記ではDaily009、レーベル表記では000.009となっている。再発盤としては、まずオリジナル音源を改めて聴ける点が大きい。
作品そのものは1974年の録音とミックスに基づくため、音楽内容はオリジナル時点のものをそのまま伝える形になる。再発盤としては、当時のクラウトロックやジャズ・ロックを後年の視点で聴き直す際の入口になっている。
まとめ
Exmagmaの「Goldball」は、ドイツのアンダーグラウンド・ジャズ・ロックを語るうえで外しにくい1枚である。シュトゥットガルト周辺のローカルな背景、アメリカ人ジャズ・ドラマーの参加、そして1974年という時代の空気が、3人編成の演奏にそのまま刻まれている作品と言える。
トラックリスト
- A1 – Marilyn F. Kennedy (2:25)
- A2 – Dada (3:35)
- A3 – Adventures With Long S. Tea 25 Seconds Before Sunrise (2:25)
- A4 – Groove (4:50)
- A5 – Tango Wolperaiso (2:30)
- B1 – Jam Factory (For People Insane) (4:00)
- B2 – Habits (5:55)
- B3 – Dance Of The Crass (0:50)
- B4 – Greetings To The Maroccan Farmers (6:45)
- B5 – Last But One Train To Amsterdam (0:55)
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Hummingbird – Diamond Nights (1977)
Hummingbird『Diamond Nights』(1977)について
Hummingbirdの『Diamond Nights』は、1977年にUSで出た作品で、バンドの持ち味であるロックの骨格に、ソウルやジャズ、ファンクの要素を重ねた一枚だ。Bobby Tenchを中心に1974年に結成された英米混成バンドで、ここではBernard Purdie、Max Middleton、Conrad Isidore、Robert Ahwai、Bernie Holland、Clive Chamanらが参加している。
前身の流れをたどると、Hummingbirdはジミー・ペイジ周辺のセッション感覚や、英国のブルース/ロック人脈ともつながるメンバー構成で知られる。そうした背景を踏まえると、『Diamond Nights』も単なるバンド作品というより、演奏者それぞれの経験が前に出るタイプのレコードとして捉えやすい。
作品の輪郭
このアルバムは、ギターを軸にしたロックの手触りがありつつ、リズム隊の動きにソウル・ジャズやジャズ・ファンクの感覚がにじむ内容だ。Bernard Purdieのようなグルーヴ重視のドラマーが入っていることもあって、ビートの置き方に独特の粘りが出やすい編成と言える。
同時代の文脈で見ると、1970年代半ばの英国発のバンドでも、ロックだけに寄らず、ファンクやR&Bの語法を取り入れる流れがあった。Hummingbirdもその中に置くと見通しがよく、Jeff Beck周辺や、よりジャズ寄りのクロスオーバー作品を思わせる場面があるかもしれない。
聴きどころ
実際の音の印象としては、派手な展開で押すというより、演奏の間合いとリズムの推進力で聴かせるタイプに思える。ボーカル、ギター、キーボード、ベース、ドラムがそれぞれ前に出すぎず、曲の中で役割を分担する流れが見えやすい。ファンク寄りの曲ではリズムの反復、ソウル寄りの曲では歌のフレーズ感が耳に残りやすい構成だ。
この時期のHummingbirdは、個々のプレイヤーの力量がそのまま作品の質感につながるバンドだったので、曲単体だけでなく、演奏の呼吸を追う楽しみが大きい。そうした意味では、アルバム全体を通してバンドの色よりも、メンバーの持ち味が積み重なっていく感覚がある。
曲と収録内容について
本作では、レーベル表記とバックカバーの曲順が一致しない版が確認されている。盤によって収録表記の見え方が違うため、レコードを手に取るときはクレジットの確認が必要になるタイプの作品だ。
代表曲として大きく知られた一曲を前面に押し出す作品というより、アルバム単位で聴かれる性格が強い。Hummingbirdの中でも、バンドの演奏力とジャンル横断的な作りがまとまって表れた一枚として見ると、位置づけがつかみやすい。
まとめ
『Diamond Nights』は、1977年という時代の空気の中で、ロックを土台にソウル、ジャズ、ファンクの要素を自然に混ぜたHummingbirdのアルバムだ。Bobby Tenchを中心にしたこのバンドの持ち味が、演奏中心の形でよく出た作品として理解しやすい。
派手な看板曲で押すというより、メンバーの手触りやグルーヴの積み重ねで聴かせる一枚。Hummingbirdというバンドの名前を追ううえでも、1970年代中盤の英米ロックとブラック・ミュージックの接点を見るうえでも、外しにくい位置にある作品だ。
トラックリスト
- A5 – Got My “Led Boots” On (3:41)
- A4 – Spirit (3:35)
- B2 – Cryin’ For Love (3:14)
- B3 – She Is My Lady (5:01)
- B4 – You Can’t Hide Love (4:25)
- A1 – Anaconda (5:50)
- A3 – Madatcha (3:48)
- A2 – Losing You (Ain’t No Doubt About You) (3:57)
- B1 – Spread Your Wings (4:15)
- B5 – Anna’s Song (3:28)
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Al Di Meola – Scenario (1983)
Al Di Meola『Scenario』について
『Scenario』は、ジャズ/フュージョン・ギタリスト、Al Di Meolaが1983年に発表した作品。初期から高い技巧で知られてきた彼が、1980年代前半のデジタル録音時代に入って制作したアルバムで、作り込みの細かさと演奏の切れ味が前面に出た一枚として位置づけられる。
Al Di Meolaは1954年、ニュージャージー州ジャージー・シティ生まれ。Return to Foreverで名を広めたあと、ソロ作ではラテン色の強いアコースティック路線から、エレクトリックなフュージョンまで幅広く展開してきた。この『Scenario』は、その流れの中で1983年という時代感をよく映す作品といえる。
作品の内容と参加ミュージシャン
本作には、Phil CollinsとBill Brufordが参加している。いずれもそれぞれの所属レーベルのクレジット付きで収録されており、ロック/プログレッシブ・ロックの文脈でも名前の通る演奏家が関わっている点が、この作品の輪郭をはっきりさせている。
演奏面では、Di Meolaらしい速いフレーズ、音の粒立ちのそろったギター、緻密なアンサンブルが中心。ジャズの即興性だけで押し切るというより、構成のあるフュージョン作品としてまとまっている印象を持たれやすい内容だろう。
1983年のフュージョン作品としての位置
1980年代前半のフュージョンは、録音技術の進化やシンセサイザーの普及と結びついて、音像が整理された作品が増えていた時期。本作も「A Digital Recording.」とあるように、当時の新しい録音環境を反映した仕上がりになっている。
同時代の近い感覚を持つギタリストとしては、John McLaughlinやLarry Coryell、Pat Methenyなどが比較対象に挙がりやすい。もっとも、Di Meolaはその中でもリズムの切り方やピッキングの明瞭さが際立つタイプで、『Scenario』でもその個性が前に出ている。
日本盤の仕様
この日本盤は、帯付き、重量感のあるカードスリーブ、厚手のMaster Sound内袋という仕様。英語・日本語の片面インサートが付属し、盤によってはMastersound Catalogueのインサートが入る場合もある。
オリジナルが1983年の作品であるのに対し、この日本盤も同年リリース。初出時の空気をそのまま伝える盤として扱える。
聴きどころ
この作品でまず目を引くのは、ギターの輪郭のはっきりした音作り。速弾きの派手さだけでなく、音の抜け、リズムの置き方、バンド全体の密度が聴きどころになっている。
また、ゲスト陣の存在によって、単なるギター・ソロ作品ではなく、曲ごとの色合いが変わる点もこのアルバムの面白さ。ジャズの即興、ロック寄りの推進力、スタジオ作品としての整った構成、その3つが同居した一枚として捉えやすい。
まとめ
『Scenario』は、Al Di Meolaの1983年時点の到達点を、デジタル録音のクリアな音像でまとめたフュージョン作品。技巧、編曲、ゲストの存在感がバランスよく並んだアルバムで、80年代前半のジャズ/フュージョンの空気を知るうえでも重要なタイトルのひとつといえる。
トラックリスト
- A1 – Mata Hari (6:04)
- A2 – African Night (4:51)
- A3 – Island Dreamer (4:06)
- A4 – Scenario (3:55)
- B1 – Sequencer (4:06)
- B2 – Cachaca (5:34)
- B3 – Hypnotic Conviction (3:51)
- B4 – Calliope (4:19)
- B5 – Scoundrel (3:44)
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The Battered Ornaments – Mantle Piece (1969)
The Battered Ornaments『Mantle Piece』
The Battered Ornamentsは、Creamの作品でも知られる作詞家Pete Brownが、Cream解散後に組んだロック・バンドである。1969年に結成され、Brownのボーカルとトランペットを軸に、Chris Spedding(ギター)、Charlie Hart(オルガン、バイオリン)、George Khan(サックス)、Butch Potter(ベース)、Rob Tait(ドラムス)、Pete Bailey(パーカッション)らが参加していた。
『Mantle Piece』は、その流れの中で完成したセカンド・アルバムで、オリジナルは1969年の作品。UK制作の作品として、当時のブリティッシュ・ロックがジャズやサイケデリックな要素を取り込んでいた時期の空気がよく出ている。録音はロンドンのE.M.I. Studios, St John’s Woodで行われている。
作品の位置づけ
このバンドにとっては、Pete Brownが主導したプロジェクトのひとつとして見ていくと分かりやすい。The Battered Ornamentsは、初期LP『A Meal You Can Shake Hands With in the Dark』に続いて本作を残し、その後にBrownが離脱したことで、バンドの形も変わっていく。つまり『Mantle Piece』は、バンドの初期活動をまとめるうえで重要な一枚という位置づけになる。
クレジット面ではやや事情がある。オリジナルLPのクレジットが再発盤にそのまま載っているわけではなく、GI Recordsの限定的な再発シリーズでは、収録音源のライセンスのみを得ていたため、ジャケットは白紙に近い体裁で、タイプライター風の最小限の情報だけが記されている。1982年盤は、そうした再発の文脈で出たものとして見るとよさそうだ。
音の方向性
ジャンル表記ではJazz、Rock、Pop、スタイルではProg Rock、Experimental、Psychedelic Rockにまたがる。実際、この時期の英国ロックらしく、曲の骨格はロックに置きつつ、サックスやオルガン、バイオリンが前に出る場面もある。Chris Speddingのギターも、後年のソロ活動を知っていると、かなり早い時期から輪郭のはっきりした演奏をしていたことが分かる。
また、Pete BrownがCreamで見せたような、歌詞の感覚や言葉の運びを期待すると、ここでもその延長線上の作家性が感じられる。Cream解散直後の時代背景を踏まえると、単なるサイド企画ではなく、ブリティッシュ・ロックの拡張路線の中に置ける作品と言えそうだ。
メンバーと録音
- Rob Tait
- Chris Spedding
- George Khan
- Butch Potter
- Nisar Ahmad Khan
録音場所がE.M.I. Studios, St John’s Wood, Londonと明記されている点も、この時代の英国制作盤らしい。スタジオ作品としてのまとまりを重視した作りが想像しやすい。
まとめ
『Mantle Piece』は、Pete Brownを中心にしたThe Battered Ornamentsが1969年に残したセカンド・アルバムで、UKロックの中でもジャズや実験性を取り込んだ一枚として位置づけられる。オリジナル盤の文脈を知ると、後年の再発盤の簡素な装丁も含めて、作品の周辺情報まで含めて面白いレコードである。
トラックリスト
- A1 – Sunshades
- A2 – Late Into The Night
- A3 – Then I Must Go
- A4 – The Crosswords And The Safety Pins
- B1 – Staggered
- B2 – Twisted Track
- B3 – Smoke Rings
- B4 – Take Me Now
- B5 – My Love’s Gone Far Away
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National Health – D.S. Al Coda (1982)
National Health『D.S. Al Coda』(1982)
National Healthは、イングランドのカンタベリーで1975年に結成されたプログレッシブ・ロック・バンドだ。カンタベリー・シーンらしい複雑な演奏と、ジャズ由来のフレーズを組み合わせた音楽で知られる。『D.S. Al Coda』は1982年にフランスで登場した作品で、バンドの活動末期にあたる時期の記録になる。
作品の位置づけ
National Healthは1981年に解散しているので、このアルバムはその終盤の流れを受けたものとして聴かれることが多い。録音は1981年10月から11月にかけてロンドンのMatrixで行われており、バンドの活動の締めくくりに近い時期の音が収められている。
メンバーには、John Greaves、Bill Bruford、Dave Stewart、Neil Murray、Pip Pyle、Amanda Parsons、Mont Campbell、John Mitchell、Alan Gowen、Phil Miller、Phil Leeといった名前が並ぶ。カンタベリー系、あるいは周辺の英国プログレ文脈を追っていると、よく見かける顔ぶれだ。National Healthというグループ自体が、演奏技術の高さとアンサンブルの細かさで語られやすい存在でもある。
音の印象
この作品は、ジャズ・ロックの流れを土台にしながら、曲の展開やリズムの切り替えが細かい。ロックの推進力だけで押し切るタイプではなく、各パートが絡み合う構成の妙が前に出る。Bill Brufordの参加もあって、リズム面の緊張感ははっきりしている。
National Healthの音は、同じカンタベリー系でも、Soft Machineの後期やHatfield and the North、あるいはDave Stewart周辺のプロジェクトと比較されることが多い。そうした中で『D.S. Al Coda』は、よりアンサンブル志向の強い一作として受け取られることがある。
ジャンルとスタイル
- ジャンル: Jazz、Rock
- スタイル: Art Rock、Jazz-Rock、Prog Rock
この並びどおり、即興性よりも作曲と編成の組み立てが目立つ内容だ。ジャズ・ロックの要素を含みつつ、プログレッシブ・ロックの複雑な構成が中心にある。
代表曲について
National Healthは、単独の大きなヒット曲で知られるバンドというより、アルバム単位で語られることが多い。『D.S. Al Coda』についても、曲単位の知名度より、作品全体の流れや演奏の密度で評価されやすいタイプの盤だ。
まとめ
『D.S. Al Coda』は、カンタベリー系プログレの文脈をそのまま引き継いだような、緻密な演奏とジャズ・ロックの要素が前面に出た作品だ。1981年の解散直前に録音され、1982年にフランスでリリースされたことで、バンドの終盤を記録した一枚として位置づけられる。
トラックリスト
- A1 – Portrait Of A Shrinking Man (5:35)
- A2 – TNTFX (3:11)
- A3 – Black Hat (4:52)
- A4 – I Feel A Night Coming On (6:38)
- A5 – Arriving Twice (2:20)
- B1 – Shining Water (8:50)
- B2 – Tales Of A Damson Knight (1:55)
- B3 – Flanagans People (7:31)
- B4 – Toad Of Toad Hall (5:35)
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- National Health – D.S. al Coda (Full Album)
- National Health – Portrait of a Shrinking Man
- National Health – T.N.T.F.X
- National Health – Black Hat
- National Health – I Feel A Night Coming On
- National Health – Arriving Twice
- National Health – Shining Water
- National Health – Tales of a Damson Knight
- National Health – Flanagan’s People
- National Health – Toad Of Toad Hall
AIR – The Virgin Suicides Redux (2000)
AIR『The Virgin Suicides Redux』について
AIRは、ジャン=ブノワ・ダンケルとニコラ・ゴダンによるフランスの電子音楽デュオ。1995年の始動以来、エレクトロニカ、ロック、映画音楽の領域をまたぎながら活動してきた。この『The Virgin Suicides Redux』は、2000年に発表された映画『ヴァージン・スーサイズ』のサウンドトラックを、25周年記念盤としてあらためてまとめた2025年盤である。
原作はソフィア・コッポラ監督の長編デビュー作『The Virgin Suicides』。AIRにとっては、映画作品と強く結びついた代表的な仕事のひとつであり、バンドのディスコグラフィーの中でも、アルバム単体というより「映像のための音楽」としての存在感がはっきりした作品だ。
作品の位置づけ
『The Virgin Suicides』は、AIRが映画音楽の文脈で広く知られるきっかけになったタイトルのひとつ。以後のAIRにも通じる、空間の広いシンセ、低めのテンポ、音数を絞ったアレンジが中心で、作品全体を通して「劇伴として機能すること」と「単独のアルバムとして聴けること」の両方が意識された作りになっている。
2000年当時のAIRは、同時代のフレンチ・エレクトロニックの流れの中でも、ダフト・パンクのようなダンス寄りの方向性とは少し異なり、ブライアン・イーノ、ヴァンゲリス、クラフトワーク、あるいは映画音楽の系譜に近い耳で語られることが多かった。『The Virgin Suicides』も、その文脈でとらえやすい一枚である。
サウンドの特徴
この作品では、シンセサイザーを軸にした旋律、控えめなビート、空気を含んだ鍵盤音、ロックの編成を思わせる要素が、かなり整った形で並ぶ。ジャズやフューチャー・ジャズ、アンビエントといったタグが付くのも、音の隙間やコード感、リズムの置き方に理由がある。派手な展開で引っ張るというより、同じ温度のまま場面を切り替えていく印象が強い。
映画音楽としては、登場人物の心理や郊外の空気感を説明しすぎず、画面の外側にある余白を埋める役割が大きい。アルバムとして聴くと、短い曲がつながりながら一つの流れを作っていく構成で、曲ごとの主張より、全体の距離感が前に出る。
今回の2025年盤について
2025年盤は「New Analog Mix – 25th Anniversary Edition」として案内されている。オリジナルの2000年盤と比べると、単なる再発ではなく、アナログ・ミックスを前面に出した記念盤という位置づけになる。印刷されたインナー・スリーブが付属し、ドイツで印刷・製造された盤であることも明記されている。
クレジット面では、インナー・スリーブにドラムの表記ミスがあること、またランアウト部の「1+」と「V=」が鏡像になっていることが記録されている。こうした点も、再発盤ならではの細かな特徴である。
聴きどころとして目に入る曲
『The Virgin Suicides』では、映画の中で使われた楽曲や、作品全体の印象を決定づけるモチーフがいくつか知られている。中でも、バンドの代表作として語られやすいのは、アルバム全体の空気を象徴するような曲群で、サウンドトラックでありながら、AIRらしいメロディの見え方がはっきりしている点が特徴だ。
ただし、この作品はシングルヒットで押すタイプではなく、1曲ごとの知名度よりも、アルバム全体の統一感で記憶される作品である。
まとめ
『The Virgin Suicides Redux』は、AIRが映画音楽の領域で残した代表的な作品『The Virgin Suicides』を、25周年記念盤として再提示した2025年のアナログ盤。2000年のオリジナルが持っていた、静けさ、郊外的な距離感、シンセ主体の劇伴性はそのままに、再発盤としての仕様が加わった一枚である。
AIRのディスコグラフィーをたどるうえでも、ソフィア・コッポラ作品との関係をたどるうえでも、重要な位置にあるタイトルと言える。
トラックリスト
- A1 – Playground Love (3:32)
- A2 – Clouds Up (1:30)
- A3 – Bathroom Girl (2:26)
- A4 – Cemetary Party (2:36)
- A5 – Dark Messages (2:29)
- A6 – The Word ‘Hurricane’ (2:31)
- A7 – Dirty Trip (6:14)
- B1 – Highschool Lover (Theme From The Virgin Suicides) (2:40)
- B2 – Afternoon Sister (2:24)
- B3 – Ghost Song (1:58)
- B4 – Empty House (2:57)
- B5 – Dead Bodies (2:59)
- B6 – Suicide Underground (5:54)
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Mahavishnu Orchestra – Apocalypse = 黙示録 (1974)
Mahavishnu Orchestra『Apocalypse = 黙示録』について
Mahavishnu Orchestraは、1971年にニューヨークで結成されたジャズ・フュージョン・バンドだ。John McLaughlinを中心に、ロックの強い推進力と、ジャズ由来の高度なインプロヴィゼーションを前面に出したグループとして知られている。『Apocalypse』はその1974年作で、McLaughlin率いる第2期の代表的な1枚にあたる。
日本盤は1978年リリースで、邦題は『黙示録』。ジャケットやタイトルの印象どおり、厳しさのある緊張感を持ったアルバムとして扱われることが多い。レコード情報にある通り、日本製プレスの盤で、当時の国内盤として流通したものだ。
作品の位置づけ
Mahavishnu Orchestraといえば、まず1971年から1973年にかけての初期編成がよく語られるが、『Apocalypse』はメンバーを一新した第2期の流れにある。John McLaughlinに加え、Jean-Luc Ponty、Gayle Moran、Ralphe Armstrong、Narada Michael Waldenといった面々が参加し、初期の爆発力とは少し違う、より組曲的で構成のはっきりした演奏が目立つ時期だ。
この時代のMahavishnu Orchestraは、同時代のフュージョンの中でも、Weather ReportやReturn to Foreverのような流麗さより、演奏の密度と切迫感が前面に出るタイプとして語られやすい。ロック寄りの入口から入っても、展開の多さやアンサンブルの複雑さでジャズ側に引き寄せられる感じがある。
内容と聴きどころ
『Apocalypse』は、演奏の瞬発力だけで押し切るというより、テーマの提示と展開をじっくり組み立てる作りだ。特にJohn McLaughlinのギターは、速弾きの印象だけでなく、音の切り方やフレーズの配置にまで神経が通っている。Jean-Luc Pontyのヴァイオリンも、単なるソロ楽器ではなく、曲の輪郭を決める役割を担っている。
また、ジャズ・ロック/フュージョンの作品としては珍しく、ヴォーカルやコーラスの要素が入ることで、器楽中心のMahavishnu Orchestraの中では少し異なる表情を持つ。硬質なバンド・サウンドの中に、人声が差し込まれる構成が印象に残る。
実際に聴くと、音数の多さ以上に、各パートがぶつかりながらも整理されている印象が強い。ドラムとベースの推進、ギターとヴァイオリンの応酬、鍵盤の厚みが同時に進むので、緊張が途切れにくい作りだ。ライブ感よりも、スタジオでの設計が見えやすい盤という受け取り方もできる。
代表曲として触れられる曲
『Apocalypse』では、組曲的な長尺曲がアルバムの核になっている。特定のシングルヒットで知られる作品ではないが、アルバム全体の流れの中で印象を残すタイプだ。Mahavishnu Orchestraらしく、1曲単位のキャッチーさよりも、アルバムを通した構成で聴かれることが多い。
当時の文脈
1974年は、ジャズ・ロックやフュージョンが広がっていた時期で、Miles Davis以降の電化ジャズの影響もまだ強く残っていた。Mahavishnu Orchestraはその中でも、演奏技術の高さとロックの圧を同時に持ち込んだ存在として特異だ。John McLaughlinがMiles DavisやTony Williams’ Lifetimeで経験した流れが、そのまま別の形で結実したグループでもある。
『Apocalypse』は、そうした流れの中で、Mahavishnu Orchestraの第2期がどんな音を出していたかを示す作品だ。初期の過激さとは別方向の、緻密さと構成感が前に出る1枚として位置づけられる。
まとめ
『Apocalypse = 黙示録』は、1974年のMahavishnu Orchestraを記録したアルバムで、1978年に日本盤としてリリースされた。ロックの強い推進力、ジャズの即興性、プログレッシヴな構成感が同居する内容で、バンドの第2期を知るうえで重要な作品のひとつだ。John McLaughlinを中心にした緊張感のあるアンサンブル、その時代のフュージョンの輪郭をはっきり示す盤として見てよさそうだ。
トラックリスト
- A1 – Power Of Love (4:15)
- A2 – Vision Is A Naked Sword (14:22)
- A3 – Smile Of The Beyond (8:00)
- B1 – Wings Of Karma (6:05)
- B2 – Hymn To Him (19:22)
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Jeff Tyzik – The Farthest Corner Of My Mind (1986)
Jeff Tyzik『The Farthest Corner Of My Mind』について
『The Farthest Corner Of My Mind』は、トランペット奏者であり指揮者でもあるJeff Tyzikが1986年に発表したジャズ作品だ。リリース情報では、Jeff Tyzik名義でのアルバム『Prophecy』(1981年)と『Radiance』(1982年)からの楽曲をまとめたコンピレーションとして扱われている。Tyzikの初期活動を振り返るうえで、ひとつのまとまりとして聴けるタイトルになっている。
Jeff Tyzikという人物
Jeff Tyzikはニューヨーク州ハイドパーク生まれ。子どものころにドラム&ビューグル・コーを見たことをきっかけに音楽へ強く惹かれ、コルネットを学び始めたという経歴を持つ。1979年に姓の綴りをTkazyikからTyzikへ変更している。
Eastman School of Musicで学び、そこでRay WrightやChuck Mangioneといった人物に出会ったことが、その後の活動の土台になったようだ。特にMangioneのもとでの経験は大きく、70年代には彼のジャズ・オーケストラで活動している。クラシックの訓練を受けた奏者が、ジャズやポップス、ロックの要素をオーケストラに持ち込む方向へ進んだ、という本人の流れが見える。
作品の位置づけ
このアルバムは、1981年作『Prophecy』と1982年作『Radiance』の楽曲を集めた内容だ。つまり、1986年時点での新録音というより、Tyzikの初期2作をまとめて聴ける編集盤としての性格が強い。アーティストの初期の音楽性を確認する資料として位置づけられる作品と言えそうだ。
Jeff Tyzikはその後、Doc Severinsenとの仕事でも知られるようになるが、本作はその少し前、彼がジャズ寄りの語法でオーケストラ的な発想を試みていた時期の記録として見ると分かりやすい。クラシックの訓練を背景にしながら、ジャズ・オーケストラの実地経験を吸収していった流れが、そのまま初期作品に反映されている印象だ。
同時代の文脈
1980年代前半のアメリカでは、ジャズとポップス、そしてオーケストラ編成を接続する動きがいくつも見られた。Jeff Tyzikもその文脈の中にいる人物で、Chuck MangioneやDoc Severinsenの周辺にある、聴きやすさと演奏技術の両方を重視する流れと近い。いわゆる純粋なコンテンポラリー・ジャズというより、ビッグバンド的な推進力やテレビ・ショー由来の華やかさを含んだ世界観が想像しやすい。
内容について
収録曲の個別情報はここでは多く示されていないが、リリースノート上は『Prophecy』『Radiance』からの編集盤であることが重要だ。アルバム単体の新規コンセプト作品というより、初期2作の流れを通してTyzikの作風を追うための1枚として理解しやすい。
彼の経歴をたどると、演奏者としてだけでなく、編曲や制作の現場でも活動していたことが分かる。そうした背景を踏まえると、この作品にも、単なるソロ・アルバム以上に、アンサンブル全体の設計を意識した視点がにじんでいる可能性は高い。
まとめ
『The Farthest Corner Of My Mind』は、Jeff Tyzikの1981年『Prophecy』、1982年『Radiance』をまとめた1986年の作品だ。トランペット奏者、指揮者、アレンジャーとしてのTyzikの初期像をたどるうえで、まず押さえておきたいタイトルのひとつ。ジャズを軸にしながら、オーケストラ的な発想へ広がっていく途中段階の記録として見ると、その意味がつかみやすい。
トラックリスト
- A1 – Prophecy (5:43)
- A2 – Florentine (4:44)
- A3 – Birth Day (5:11)
- A4 – Inner Space (4:58)
- A5 – Far Away (4:05)
- B1 – Notte Roma (Night In Rome) (3:59)
- B2 – The Farthest Corner Of My Mind (6:27)
- B3 – Sweet Nothings (5:08)
- B4 – Circe (The Enchantress) (7:14)
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The Cocoon – While The Recording Engineer Sleeps (1989)
The Cocoon『While The Recording Engineer Sleeps』について
The Cocoonはドイツのグループで、Gunter Hampel、Matthias Arfmann、Rüdiger Klose、Jürgen Gleueの4人による作品としてこの『While The Recording Engineer Sleeps』を残している。1985年にStudio Harderbergで録音されており、フリー・ジャズとサイケデリック・ロックの接点にある内容として位置づけられる1枚だ。
タイトル曲のように、録音現場の気配をそのまま作品名に取り込んだ作りも印象に残る。特に“Teenage Dope Slaves”はIdiot Studioで録音されており、ほかの曲とは別の場所で収録されたことが記されている。こうした記録からも、まとまりのあるスタジオ作品というより、セッションの流れや場の空気をそのまま閉じ込めたタイプのアルバムとして見えてくる。
作品の位置づけ
オリジナルの制作時期は1985年、盤としてのリリースは2015年。つまり、1980年代半ばの音を後年に聴ける形で残した作品と受け取れる。The Cocoonのキャリア全体の中では、当時のドイツの実験音楽、即興演奏、ロック的なエネルギーが交わる地点を示す記録として扱える。
Gunter Hampelはジャズ/フリー・インプロヴィゼーションの文脈で知られる人物で、この作品でもその流れが土台にある。一方で、ロック寄りの粗い推進力や反復の感触も入り込んでいて、単純なジャズ作品とも、ロック作品とも言い切りにくい構成になっている。
同時代の文脈
1980年代のドイツでは、ジャズの即興性とロックの身体性をまたぐ試みがいくつも生まれていた。The Cocoonもその延長線上で聴ける。比較対象としては、フリー・ジャズの開放感と、クラウトロック以降の反復感、さらにサイケデリックな音の伸びを併せ持つ作品群が思い浮かぶ。とはいえ、このアルバムはそうした要素を整然と並べるのではなく、録音の現場感を残したまま進んでいく印象が強い。
聴きどころ
この盤は、曲の完成度を前に出すというより、演奏の呼吸や音のぶつかり方を追う楽しさがあるタイプだ。ドラム、管楽器、ギター、ベースの距離感が近く、即興の流れがそのまま記録されている感じがある。とくに“Teenage Dope Slaves”は、タイトルの強さもあって、アルバムの中でも少し異なる輪郭を持つ曲として受け取れそうだ。
再発盤が2015年に出ているため、現在この作品に触れる場合はその盤で聴くことになる。音源そのものは1985年録音なので、後年の再発であっても、作品の核は80年代半ばのセッションにある。録音年と盤の発売年が異なる点は、このアルバムを見るうえで押さえておきたいところだ。
まとめ
『While The Recording Engineer Sleeps』は、ドイツのフリー・ジャズとサイケデリック・ロックの交差点に置かれる作品。4人編成の演奏、1985年録音という時代性、そして録音場所をまたいだ収録という事実が、そのまま作品の輪郭になっている。派手なヒット曲を狙うアルバムではなく、セッションの記録として読むと見えやすい1枚だ。
トラックリスト
- A1 – Ventilator Changes Into Airplane (5:23)
- A2 – I Can See Voices (5:50)
- A3 – Bag Lady (5:15)
- A4 – Seems Like I Can’t LSD Your Mind (3:57)
- B1 – The Ritual Of The Boogie Transformation (7:56)
- B2 – While The Recording Engineer Sleeps (5:27)
- B3 – The Shadow Man (4:52)
- B4 – Teenage Dope Slaves (6:55)
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Mzylkypop – Kiedy Wilki Zawyja? (2018)
Mzylkypop『Kiedy Wilki Zawyja?』について
Mzylkypopによる『Kiedy Wilki Zawyja?』は、2018年に発表された作品で、UKのアーティストMichael Wardの名義による録音だ。2019年にはアナログ盤としてリリースされており、赤盤、ゲートフォールド仕様という物理フォーマット面でも存在感のある一枚になっている。
作品の位置づけ
アーティスト情報は多くないが、Bandcampで公開されていることからも、音源単位で作品を届けるタイプのリリースと見てよさそうだ。タイトルの Kiedy Wilki Zawyja? は「When Will The Wolves Howl?」という意味で、作品全体の印象にもどこか寓話的な輪郭を与えている。
クレジット上のジャンルは Jazz、Rock、Folk、World、& Country、スタイルは Psychedelic Rock、Jazz-Rock、Experimental。実際、こうしたタグが並ぶ作品は、曲ごとに明確な区切りを作るよりも、演奏の流れや音色の変化で聴かせることが多い。Michael Wardのソロ的な作家性が前に出るタイプの作品として捉えやすい。
リリース情報
- オリジナル発表年: 2018年
- アナログ盤リリース年: 2019年
- リリース国: UK
- アーティスト国: UK
- フォーマット: LP
- 仕様: 赤盤、ゲートフォールド・スリーブ
- 枚数: 240枚限定
このLPは240枚限定で、うち100枚はDiscusレーベルに割り当てられている。Disc usのCD版リリースを2021年9月に支えるための配分で、レーベル向けの分については裏面のリシーラブル・プラスチック・ラッパーにバーコードが付く仕様だ。オリジナルの作品に対して、アナログ盤ではコレクター向けの物理的な差異がはっきりしている。
音楽的な輪郭
この作品は、ジャズの即興性、ロックの推進力、フォーク由来の語り口、そして実験的な構成感が、ひとつの流れの中で交差するタイプに見える。タイトル曲らしき言葉を含む作品名からも、ストレートなロック作品というより、音の展開や間の取り方に重心がある印象だ。
同時代の文脈で見ると、ジャズ・ロックやサイケデリック・ロック、実験音楽の境界を行き来するUK発のソロ作品として位置づけやすい。演奏を前面に出しつつ、曲の骨格は崩しすぎない、そのあたりのバランスが聴きどころになりそうだ。
聴きどころとして見える点
実際の音像については手元で確認できる情報が限られるが、こうした編成・タグの作品では、楽器ごとの重なり方や、テーマと即興の切り替えが重要になることが多い。派手なヒット曲で押すというより、アルバム全体の流れで聴かせる作りと考えるのが自然だ。
まとめ
『Kiedy Wilki Zawyja?』は、2018年の作品として発表され、2019年にUK盤LPとして形になった、Michael WardによるMzylkypop名義の一枚だ。赤盤・限定240枚・ゲートフォールド仕様というアナログ盤ならではの要素に加え、ジャズ、ロック、フォーク、実験性が交差する作品として記録されている。タイトルの意味を含め、音だけでなく作品名や物理仕様も含めて印象を残すリリースになっている。
トラックリスト
- A1 – Witch Drones
- A2 – She Turns To Dust
- A3 – Slumber Pin
- A4 – Sylwia’s List
- A5 – The God Of Claws
- B1 – Last Exit To Lublin
- B2 – Elphame
- B3 – Red White And Blue
- B4 – Narky Monkey
- B5 – TV Lives
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James Last – Around The World – Spain & Mexico (1970)
James Last『Around The World – Spain & Mexico』について
『Around The World – Spain & Mexico』は、James Lastが1970年に発表した作品で、同年にリリースされた日本盤です。大編成のオーケストラを軸にしたJames Lastらしいサウンドで、タイトル通りスペインとメキシコを中心にしたラテン色の強い内容になっている作品です。ジャンル表記はJazz、Latin、スタイルはEasy Listening。James Lastのディスコグラフィーの中では、各地域の音楽要素をオーケストラ編成でまとめるシリーズ的な流れにある一枚として捉えやすい作品です。
James Lastという音楽家
James Lastは1929年生まれのドイツのバンドリーダー、作曲家、演奏家です。ベースやピアノもこなしながら、自身のオーケストラを率いて数多くのアルバムを制作しました。世界的なセールスでも知られ、イージーリスニングの領域では特に存在感の大きいアーティストです。ポップス、ジャズ、各国の民俗音楽、ラテンの要素を取り込みながら、聴きやすい編成で再構成する手つきが持ち味だといえるでしょう。
作品の位置づけ
本作は1970年という時期らしく、James Lastが持っていた「オーケストラで世界の音楽をまとめる」という方向性がはっきり出た一枚です。同年に広がっていたラテン・ムード、オーケストラ・ポップ、イージーリスニングの流れの中で、James Lastの手腕がよく分かる内容です。ビッグバンド的な厚みを保ちながら、ダンス音楽としての輪郭も残すあたりが特徴になっています。
同時代の文脈で見ると、Percy FaithやMantovaniのようなオーケストラ・サウンド、あるいはラテン・アレンジを取り入れたイージーリスニング作品と並べて語られることがありそうです。ただしJames Lastは、その中でもより軽快で、リズムの押し出しが前に出る作りが目立ちます。
内容の印象
スペインやメキシコを題材にした作品だけに、フラメンコ系のリズム感、マリアッチ的な華やかさ、ブラスの明るさが軸になっているはずの内容です。James Lastの作品は、原曲や伝統的なモチーフをそのまま提示するというより、オーケストラ向けに整理し直して聴かせる構成が多く、この作品でもそうした方向が中心になっていると考えられます。
実際に聴くと、メロディの分かりやすさと編成の厚みが先に立つタイプのアルバムで、旋律が前へ出てきやすい作りになりやすいのがJames Lastらしいところです。打楽器やホーンの使い方で地域色を出しつつ、全体はきっちり整えられている印象です。
ヒット曲・代表曲について
この作品単体で特定の大ヒット曲が広く知られているというより、James Lastのアルバム作品としてのまとまりが重視される一枚です。彼の代表曲や広く知られたレパートリーは別作品やベスト盤で触れられることが多く、本作はその中でもテーマ性のあるアルバムとして位置づけられます。
日本盤としての見どころ
日本での1970年盤は、当時のJames Last人気を反映した流通の一例と見ることができます。オリジナルの1970年リリースと同年の発売なので、内容面では初出時の空気をそのまま受け取れる盤です。コレクション面では、日本市場向けにどう紹介されていたかを含めて見る楽しさがあります。
まとめ
『Around The World – Spain & Mexico』は、James Lastのオーケストラ・サウンドがラテン色の題材に向かった1970年作です。大編成の演奏、分かりやすい旋律、地域色をまとめるアレンジという、この時期のJames Lastらしい要素が詰まったタイトルです。作品全体としては、ラテンやイージーリスニングの流れを、彼らしい整理されたオーケストラ・サウンドで聴かせる一枚と言えます。
トラックリスト
- A1 – Granada
- A2 – La Malagueña Salerosa
- A3 – Valencia
- A4 – Camino Verde
- A5 – Malagueña
- B1 – Cachita
- B2 – Cu Cu Rru Cu Cu Paloma
- B3 – Mambo Nr. 5
- B4 – Guantanemera
- B5 – Mexican Hat Dance
- B6 – The Lonely Bull
Gal Costa – Legal (1970)
Gal Costa『Legal』について
Gal Costaの『Legal』は、ブラジルの音楽シーンを代表する女性歌手による作品で、オリジナルは1970年のリリース。ここで扱う盤は1983年リリースのブラジル盤で、70年代初頭の空気をまとった内容を、80年代のプレスで聴ける一枚となっている。
Gal Costaという歌手
Gal Costaは1945年、ブラジルのサルヴァドール生まれの人気歌手。MPBを軸にしながら、ソウルやラテンの感触も取り込んだ歌唱で知られ、トロピカリア周辺の文脈でも重要な存在として語られてきた。2022年に亡くなっている。
作品の位置づけ
『Legal』は、Gal Costaのキャリア初期から中期にかけての流れを考えるうえで見逃せないタイトル。70年前後のブラジル音楽は、MPB、サンバ、ロック、ソウル、ラテンの要素が交差していた時期で、この作品もその広がりの中に置かれる一枚といえる。Caetano VelosoやGilberto Gil、Maria Bethâniaら同時代のブラジル音楽家たちと並べて語られることも多い流れ。
サウンドの印象
ジャンル表記はJazz、Latin、Funk / Soul、スタイルはMPB、Soul。Gal Costaの作品らしく、歌が中心にありながら、リズムの置き方や編曲の感触に当時のブラジル音楽らしい柔らかさと推進力がある。ソウル寄りの質感を持ちながらも、あくまでMPBの歌ものとしてまとまっているところが、この時代のGalらしいポイント。
実際に聴くと、声の輪郭が前に出てくる場面と、伴奏にすっと溶ける場面の切り替えが自然で、曲ごとの温度差も見えやすい。ブラジル音楽の中でも、ジャズ的な和声感、ラテンのリズム、ファンク寄りのノリが同じ空間に並ぶ感触がある。
1983年盤について
この盤は1983年のブラジル盤。センターラベルには℗1982、ランアウトには℗1983の表記がある。オリジナルの1970年盤とは年代が離れているため、手元の個体としては後年のプレスという位置づけになる。ブラジル盤らしい再発の文脈で、当時の作品を改めて聴ける仕様になっている。
ひとこと
『Legal』は、Gal Costaの歌そのものと、70年代ブラジル音楽の混ざり合いを確認できるタイトル。ヒット曲や代表曲として単独で大きく語られるというより、アルバム全体の流れの中でGalの持ち味が見えるタイプの作品として受け取れそうだ。
トラックリスト
- A1 – Eu Sou Terrível (2:30)
- A2 – Língua Do P (3:40)
- A3 – Love, Try And Die (2:23)
- A4 – Mini-Mistério (4:16)
- A5 – Acauã (2:49)
- B1 – Hotel Das Estrêlas (4:22)
- B2 – Deixa Sangrar (2:53)
- B3 – The Archaic Lonely Star Blues (3:03)
- B4 – London, London (4:00)
- B5 – Falsa Baiana (2:11)
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Patrice Witt – For D’js And Long Highways (1982)
Patrice Witt『For D’js And Long Highways』について
Patrice Wittはフランスのキーボーディスト/作曲家で、For D’js And Long Highwaysは1982年にフランスでリリースされた作品だ。ジャンルはElectronic、Jazz、Rock、スタイルはProg Rock、Ambient、Fusionに位置づけられている。ひとことで言えば、キーボードを軸にしたインストゥルメンタル寄りの作品として受け止めやすい1枚で、同時代のプログレッシブ・ロックやフュージョンの流れの中に置くと見通しがつきやすい。
作品の位置づけ
このアルバムは、Patrice Wittにとってソロ名義の初期作にあたる。ジャケットには「Vent D’Estのピアニストによる初のソロ・アルバム、Pierre Moerlen参加」といった内容のステッカーが付くものもあるようで、バンド活動とは別に、キーボード奏者としての個性を前面に出した作品として扱われていることがわかる。1982年という時期を考えると、プログレの語法とエレクトロニックな質感、ジャズ由来の演奏感覚が近い距離で並ぶ時代性も見えやすい。
音の輪郭
この作品の核にあるのは、キーボードのフレーズと音色の組み立てだろう。ロックの推進力、ジャズの流れ、エレクトロニックなレイヤーが重なり、派手な歌ものというよりは、演奏と構成の変化で聴かせるタイプの内容として捉えられる。フュージョンの手触りもあり、当時のフランス周辺のプログレ/インストゥルメンタル作品と並べて語られることがありそうだ。
同時代の比較対象としては、キーボード主導のプログレや、ジャズ・ロックの延長にある作品群が思い浮かぶ。Pierre Moerlenの参加がクレジットされる点からも、リズム面にしっかりした推進力が入る構図が見えてくる。こうした背景を踏まえると、単なるソロ・キーボード作品というより、バンド的な緊張感を持ったインスト作品として受け取られやすい。
リリース情報
- アーティスト: Patrice Witt
- タイトル: For D’js And Long Highways
- オリジナルリリース年: 1982年
- リリース国: フランス
- アーティストの国: フランス
- ジャンル: Electronic / Jazz / Rock
- スタイル: Prog Rock / Ambient / Fusion
まとめ
For D’js And Long Highwaysは、1982年のフランスで生まれた、キーボード奏者Patrice Wittのソロ作品だ。プログレ、アンビエント、フュージョンの要素が同居し、同時代のインストゥルメンタル作品の流れの中で見ていける内容。派手なヒット曲で押すというより、演奏の組み立てや音色の変化で輪郭を作るタイプのアルバムとして記憶されやすい1枚だ。
トラックリスト
- A1 – On The Edge Of Time (4:23)
- A2 – Just The Sound Of Your Name (4:50)
- A3 – Mandragore (3:20)
- A4 – Blind Eyes (3:56)
- A5 – Dreams Of Sun (5:40)
- B1 – Catfish (3:18)
- B2 – Crying Guitar Reggae (3:08)
- B3 – Gypsy Queen (2:50)
- B4 – You’re Just Seventeen (4:06)
- B5 – Exodus Space Flight To Cygnus X1 (5:22)
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Harris Chalkitis – Marita (1975)
Harris Chalkitis「Marita」
「Marita」は、フランスで1975年にリリースされたHarris Chalkitisの作品。作曲、編曲、歌唱、マルチインストゥルメンタリストとして知られるHarris Chalkitisが、パリのBarclay Studiosで1975年4月から5月にかけて録音した一枚である。ジャズ、ロック、ファンク、ポップ、フォークの要素をまたぐ作風で、ジャズロック、ジャズファンク、プログレッシブ・ロック、ディスコの文脈でも語られる作品になっている。
作品の輪郭
Harris Chalkitisは1945年にカイロで生まれ、幼少期に家族とともにギリシャへ移った人物。作曲家、オーケストレーター、シンガー、マルチインストゥルメンタリストとして活動し、後年はQueen Samanthaのプロデュースでも知られるほか、Demis Roussos、Mireille Mathieu、Dalidaなどの作曲も手がけている。その経歴を踏まえると、「Marita」も単独の歌手作品というより、作編曲の手腕が前面に出るタイプのレコードとして位置づけやすい。
録音はパリのBarclay Studios。℗表記も1975年のBarclayで、フランス盤として同年の空気をそのまま閉じ込めた資料性のあるレコードといえる。ジャズ寄りのリズム感、ロックの推進力、ファンクのうねり、そして当時のポップ/ディスコの感触が並ぶところに、この時代のヨーロッパ制作らしい混ざり方が見える。
サウンドの印象
この作品のポイントは、ジャンルの切り替えがはっきりしていること。ジャズ・ロックやジャズ・ファンクの文脈では演奏の密度が前に出やすく、プログレッシブ・ロックの要素では展開の組み立てが目立つ。そこにディスコ的なビート感や、ポップ、フォーク、ワールド・ミュージックの要素が重なっているため、単一の型に収まらない作りになっている。
実際に聴くと、歌ものとしての輪郭と、編曲の細かい動きの両方が見えやすいタイプの作品になりそうだ。メロディを追いながらも、伴奏のリズムや管弦の配置に耳が向く盤だろう、という印象である。
時代背景とつながり
1975年という年は、ヨーロッパのポップスやフュージョン、ディスコ前夜のサウンドが交差していた時期。フランス制作のレコードとして見ると、シャンソン的な歌心と、当時の国際的なソウル/ファンク感覚の接点にある作品とも捉えやすい。Harris Chalkitisの後年のプロデュースワークや大衆歌謡への関わりを考えても、この時期の仕事は彼の幅広い作曲・編曲感覚を示す一枚といえる。
代表曲やヒット曲として広く知られる定番曲の情報は見当たらないが、制作年、録音場所、参加した音楽的文脈をたどると、70年代フランス盤の中でも作り手の個性が出る作品として見ていける。
盤について
この盤は1975年のフランス盤。ラベルにはMade in Franceの表記があり、当時のBarclay系プレスとして出回ったものだとわかる。プレスリングの仕様も1975年のフランス国内プレスに特徴的なものとされている。
Harris Chalkitisのキャリアを追ううえで、「Marita」は、作曲家・編曲家としての感覚と、当時のフランス録音の空気が重なる一枚として押さえておきたい作品である。
トラックリスト
- A1 – Marita (3:45)
- A2 – Funny She Loves Me (2:18)
- A3 – Right On Moving (2:49)
- A4 – Always On My Mind (2:37)
- A5 – Without You (4:15)
- B1 – Introduction Moog (0:59)
- B2 – Glory Of A Love Song (3:25)
- B3 – Morning Sunshine (2:47)
- B4 – New York City (3:47)
- B5 – With A Smile (2:35)
- B6 – Let Me Go My Way (2:42)
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Clearlight – Forever Blowing Bubbles (しゃぼん玉幻覚) (1975)
Clearlight「Forever Blowing Bubbles(しゃぼん玉幻覚)」について
Clearlightは、フランス・パリ出身のプログレッシブ・ロック・バンド。1973年に始動し、キーボード奏者Cyrille Verdeauxを軸に、Gong周辺を含むフランスのプログレ/アンダーグラウンド界のミュージシャンたちが入れ替わりで参加してきたグループだ。本作「Forever Blowing Bubbles(しゃぼん玉幻覚)」は1975年に発表された作品で、日本盤は1982年リリース。Electronic、Jazz、Rockをまたぐ内容で、Jazz-Rock、Experimental、Prog Rockの文脈に置かれる一枚になっている。
作品の立ち位置
Clearlightは、バンドというよりもCyrille Verdeauxのプロジェクト色が強い出発点を持ち、その後にClearlight名義のグループとして広がっていった経緯がある。本作もその流れの中にある作品で、Steve Hillage、Didier Lockwood、Tim Blake、Didier Malherbeといった顔ぶれが並ぶのがまず目を引くところ。フランスのプログレ/ジャズ・ロックの線上で、演奏者の個性を前面に出すタイプの作品として捉えやすい。
サウンドの印象
実際に聴くと、曲ごとに音の重心が少しずつ動いていくのが分かりやすい。キーボードを中心に据えた展開がありつつ、ギターやサックス、ヴァイオリン系の音色が差し込まれ、ロックのリズム感と即興性のあるフレーズが交差する場面が多い。ジャズ・ロックらしい流れの中に、電子音や浮遊感のある処理が入ることで、単純なバンド・サウンドには収まらない作りになっている。
派手な歌もの中心というより、演奏の展開そのものを聴かせるタイプ。フレーズの受け渡しや、音色の切り替えに耳が行く作りで、フランスのプログレらしい実験性と、当時のジャズ・ロックの推進力が同居している印象だ。
同時代の文脈
1970年代半ばのフランスでは、GongやMagma周辺を含め、ロック、ジャズ、サイケデリックな感覚を横断する作品が次々に生まれていた。本作もその流れの中で聴くと位置づけが見えやすい。英国のプログレに比べると、構築美だけでなく、演奏の自由度や音の飛び方が前に出る場面があり、Clearlightもその系譜に連なる存在と言えそうだ。
特にSteve HillageやDidier Lockwood、Didier Malherbeのようなプレイヤーが関わっている点は、この時期のフレンチ・プログレ/ジャズ・ロックの交差点をよく示している。バンドの固定的な編成というより、場面ごとに色が変わるアンサンブルとしての面白さがある。
日本盤について
1982年に出た日本盤は、オリジナルの1975年盤から数年後の登場になる。日本での紹介時期としては、70年代プログレの再評価が進んでいたタイミングとも重なり、当時のリスナーにとってはフランス産の変則的なジャズ・ロック/プログレ作品として受け取られたはずだ。盤としてはオリジナル発売から時間をおいてのリリースになるため、作品そのものの成立時期と日本での流通時期は分けて見ておきたいところ。
まとめ
「Forever Blowing Bubbles(しゃぼん玉幻覚)」は、Clearlightというプロジェクトの性格がよく出た一枚。Cyrille Verdeauxを中心に、フランスの個性的な演奏家たちが集まり、ロック、ジャズ、電子的な要素を混ぜながら進んでいく。1970年代フランス・プログレの広がりを、そのまま音にしたような作品として捉えやすい。
トラックリスト
- A1 – Chanson (4:44)
- A2 – Without Words (7:41)
- A3 – Way (8:16)
- B1 – Ergotrip (6:24)
- B2 – Et Pendant Ce Temps La (4:43)
- B3 – Narcisse Et Goldmund (2:39)
- B4 – Jungle Bubbles (2:45)
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Fermáta – Pieseň Z Hôľ = Song From Ridges (1977)
Fermáta『Pieseň Z Hôľ = Song From Ridges』について
Fermátaの『Pieseň Z Hôľ = Song From Ridges』は、1977年にチェコスロバキアで発表された作品。スロバキアのジャズ・ロック・グループとして活動したFermátaらしい、ジャズとロックを軸にしたインストゥルメンタル志向のアルバムとして位置づけられる。František GriglákとTomáš Berkaを中心に1973年から続くバンドの流れの中で、70年代後半の時点での到達点を示す一枚といえる。
サウンドの輪郭
ジャンルはJazz、Rock、スタイルはFusion、Jazz-Funk、Jazz-Rock。ギターとキーボードを中心に、リズム隊がしっかり前に出る構成が想像しやすい。演奏は、ロックの推進力とジャズ由来の展開感が同居するタイプで、リフの切れ味やアンサンブルの運びが聴きどころになりやすい。70年代のヨーロッパ産ジャズ・ロックらしい、硬質な手触りとバンド演奏の密度が感じられる作品群の中に置ける内容だ。
アーティストの位置づけ
Fermátaはチェコスロバキアのスロバキア系ジャズ・ロック・グループで、František GriglákとTomáš Berkaが中心となって活動してきた。1973年の結成以降、70年代の作品はバンドの初期像を形作る重要な時期にあたる。この『Pieseň Z Hôľ = Song From Ridges』も、その流れの中でバンドの演奏性や作曲面を確認しやすい一枚として見られる。
同時代の文脈
同時代のヨーロッパでは、ジャズ・ロックやフュージョンが各地で発展していた。Fermátaの音楽もその文脈にあり、英国や北欧のプログレッシブ寄りジャズ・ロックと並べて語られることがある。ギターを前面に出したアプローチや、ロックの骨格を保ちながらジャズの要素を組み込む作りは、この時期のジャンルの特徴と重なる。
参加メンバー
クレジットには、Fedor Frešo、Karol Oláh、František Griglák、Peter Oláh、Tomáš Berka、Anton Jaro、Laco Lučenič、Cyril Zeleňák、Pavol Kozma、Martin Valihora、Juraj Kuchárek、Juraj Bartovič、Martin Hanzel、Dalibor Jenis、Peter Szapu、Roman Chovanec、Eva Straková、Marius Bartoň、Milan Ruček、Peter Preložník、Márius Bartoň、Jindřich G. Plánka、Jakub Hittrich、Igor Skovayが並ぶ。複数の演奏家が関わることで、曲ごとの色合いに幅が出る編成だったことがうかがえる。
まとめ
『Pieseň Z Hôľ = Song From Ridges』は、Fermátaの初期を代表する1977年の作品として、ジャズ・ロック/フュージョンの文脈で捉えやすいアルバムだ。ギター主導の推進力、鍵盤を含むアンサンブル、そして70年代東欧ジャズ・ロックの流れ。そうした要素がまとまった一枚として見えてくる。
トラックリスト
- A1 Pieseň Z Hôľ = Song From Ridges
- A2 Svadba Na Medvedej Lúke = Marriage On A Bears Meadow
- A3 Posledný Jarmok V Radvani = The Last Fair In Radvaň
- B1 Priadky = Spinning
- B2 Dolu Váhom = Downstream Váh
- B3 Vo Zvolene Zvony Zvonia = Bells Are Ringing In Zvolen
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WIZRD – Seasons (2022)
WIZRD『Seasons』について
ノルウェーのプログレッシブ・ロック・バンド、WIZRDによる『Seasons』は、2022年に登場した作品です。ジャンル表記としてはジャズとロックが置かれ、スタイルにはプログ・ロック、インディー・ロック、ジャズ・ロックの要素が並びます。バンドの基本軸はプログレッシブ・ロックにありつつ、そこへジャズ由来の展開や、インディー・ロック寄りの感触が重なる構成と見てよさそうです。
サウンドの印象
この作品は、ロックの推進力を保ちながら、ジャズ・ロックらしいリズムの動きや、曲の流れを追う楽しさが感じられるタイプの内容と考えられます。演奏の切り替わりや楽曲の展開を軸に聴かせる、プログレ系らしい作りが想像しやすい一枚です。インディー・ロックの要素も含まれているため、過度に大仰な組み立てというより、バンドとしてのまとまりや楽曲単位の聴きやすさも意識されている印象です。
位置づけと文脈
WIZRDはノルウェー発のバンドで、プログレッシブ・ロックを土台にジャズ・ロックやインディー・ロックへも触れるグループとして紹介されています。『Seasons』は、そのバンド像を示す作品として2022年に出たタイトルで、同国のプログレ系や、ジャズの要素を取り込むロックの流れの中で捉えやすい内容です。北欧のロック/プログレ文脈にある作品として見ると整理しやすいでしょう。
まとめ
『Seasons』は、WIZRDというノルウェーのバンドが持つ、プログレッシブ・ロックを軸にした音作りを確認しやすい一枚です。ジャズ・ロック的なリズム感、インディー・ロック寄りの距離感、そしてロックとしての推進力が重なる作品として、2022年のリリース作らしい位置に置ける内容です。
トラックリスト
- A1 Lessons
- A2 Free Will
- A3 Spitfire
- A4 All Is As It Should Be
- B1 Show Me What You Got
- B2 Fire & Water
- B3 Divine
- B4 When You Call
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IF – IF 2 (1970)
IF『IF 2』について
『IF 2』は、英国のジャズロック/プログレッシブロック・バンド、IFが1970年に発表した作品だ。バンドは1969年に結成され、ジャズの即興性とロックの推進力をつないだサウンドで知られる。この2作目にあたる本作でも、その路線がはっきりと出ている。
編成には、Terry Smith、Dave Quincy、Dick Morrissey、John Mealing、Cliff Davies、Dennis Elliott らが名を連ねている。ホーンや鍵盤を含む厚みのあるアンサンブルが特徴で、演奏の密度が高いタイプのジャズロック作品として捉えやすい一枚だ。
サウンドの印象
サウンドは、ロックのリズムの上にジャズ由来のフレーズやソロが乗る作りで、楽器同士の受け渡しが多い。ギター、サックス、キーボードが前に出たり引いたりしながら進む構成で、演奏の流れそのものを聴かせる内容といえる。派手な装飾よりも、アンサンブルの動きと演奏の積み上げが中心だ。
同時代の英国ジャズロックの流れの中では、ColosseumやSoft Machine、Nucleus などと並べて語られることがある。IFもその文脈にあるバンドで、ロック寄りの推進力とジャズ寄りの展開を両方持つ点が見どころになっている。
作品の位置づけ
『IF 2』は、バンド初期の活動期に出たアルバムのひとつで、IFの基本的なスタイルを確認しやすい作品だ。のちにバンドは1975年に解散するが、後年の再評価や再発を通じて名前が知られるようになった。そうした意味では、バンドの核となる時期を示す記録のひとつとして見られる。
曲について
収録曲の中で広く知られた代表曲が特に前面に出るタイプというより、アルバム全体の流れで聴かせる構成に重きが置かれている。各曲でメンバーの演奏が入れ替わりながら進み、ジャズロックらしい緊張感が続く。
まとめ
『IF 2』は、1970年当時の英国ジャズロックの空気をそのまま映したような一枚だ。ロックの骨格にジャズの要素を組み込み、演奏の応酬で引っ張っていく作りが印象に残る。IFというバンドの輪郭をつかむうえで、わかりやすい位置にある作品といえる。
トラックリスト
- A1 Your City Is Falling (5:04)
- A2 Sunday Sad (8:18)
- A3 Tarmac T. Pirate And The Lonesome Nymphoniac (5:12)
- B1 I Couldn’t Write And Tell You (8:23)
- B2 Shadows And Echos (4:24)
- B3 A Song For Elsa, Three Days Before Her 25th Birthday (5:11)
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Mahavishnu Orchestra – Between Nothingness & Eternity = 虚無からの飛翔 (1973)
Mahavishnu Orchestra『Between Nothingness & Eternity = 虚無からの飛翔』について
Mahavishnu Orchestraの『Between Nothingness & Eternity = 虚無からの飛翔』は、1973年に発表されたライブ盤。ジャズとロックのあいだを強い推進力で行き来する、このバンドらしさがまとまって出た作品として知られている。John McLaughlinを中心に、Jan Hammer、Jerry Goodman、Rick Laird、Billy Cobhamというオリジナル編成の緊張感が、そのまま記録された一枚。
作品の位置づけ
Mahavishnu Orchestraは1971年にニューヨークで結成されたジャズ・フュージョン・バンドで、1971年から1973年にかけてColumbiaに強烈なアルバムを残した。その流れの中にあるのが本作で、バンドの初期の勢いをライブの形で捉えた記録という位置づけになる。スタジオ盤とはまた違って、演奏の切れ味や各メンバーの反応が前に出やすい内容。
サウンドの特徴
音の中心にあるのは、McLaughlinのギターを軸にした高速の展開と、Billy Cobhamのドラムが生む強い推進力。そこにJan Hammerのキーボード、Jerry Goodmanのヴァイオリンが重なり、ジャズの即興性とロックの直進性が同時に立ち上がる。複雑な拍子感やアンサンブルの密度がありつつ、演奏そのものはかなり生々しい印象。スタジオで整えた音というより、会場の空気ごと押し出すような質感。
同時代の文脈
1970年代前半のジャズ・ロック、フュージョンの流れの中でも、Mahavishnu Orchestraは特に強い存在感を持つグループとして語られることが多い。Miles Davisの電化以後の流れや、Tony Williams Lifetimeとも近い文脈にありながら、よりロック寄りの圧を持つバンドとして受け取られやすい。ジャンル表記としてはJazz、Rock、Fusion、Jazz-Rock、Prog Rockが並ぶが、その境界の上を走るような音作りが特徴的。
録音について
本作は1973年8月にCentral Parkで録音された記録。ライブならではの一回性が作品の核になっている。演奏の密度、即興の応酬、曲の展開の速さが、そのままアルバムの印象につながっている。
ひとことで言うと
『Between Nothingness & Eternity = 虚無からの飛翔』は、Mahavishnu Orchestraの初期編成が持っていた鋭さと緊張感を、そのままライブとして封じ込めた作品。ジャズとロックの接点にある1973年の空気を感じやすい一枚として、バンドの代表的な時期を知るうえでも重要な記録になっている。
トラックリスト
- A1 Trilogy (The Sunlit Path / La Mere De La Mer / Tomorrow’s Story Not The Same) (12:01)
- A2 Sister Andrea (8:22)
- B Dream (21:24)
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Isotope – Illusion (1974)
Isotope「Illusion」について
Isotopeは、1970年代の英国ジャズ・ロック/フュージョンを代表するバンドのひとつで、ギタリストのGary Boyleを中心に活動したグループです。ここで取り上げる「Illusion」は1974年の作品として知られ、ギター、キーボード、ベース、ドラムが前に出る編成で、ジャズの即興性とロックの推進力が交差する内容になっています。
作品の位置づけ
Isotopeはメンバーの入れ替わりが多いバンドですが、「Illusion」はそうした流れの中で作られた時期の一枚です。Gary Boyleのギターを軸に、Brian Millerの作曲感覚や、Hugh Hopper、Geoff Downes、Jeff Clyne、Frank Roberts、Nigel Morris、Laurence Scott、Dan K. Brownといったメンバーの参加が重なり、バンドの輪郭がよく見える作品として聴かれます。
サウンドの印象
この時代のIsotopeらしく、演奏は緻密さと勢いの両方を持っています。フュージョン寄りのジャズ・ロックらしい、リズムの切り替わりやアンサンブルの動きがはっきりした作りで、ギターと鍵盤が前景に出る場面が印象に残ります。音数は多めでも、各パートの役割が見えやすいタイプのサウンドです。
同時代の文脈
1970年代前半の英国では、カンタベリー系を含むジャズ・ロックの動きが活発で、ソフト・マシーン周辺や、そこから派生するミュージシャンたちの流れと並べて語られることがあります。Isotopeもその文脈の中で、ロックのバンド感とジャズの展開力をつなぐ存在として位置づけられることが多いです。
注目点
- Gary Boyleのギターを中心にしたジャズ・ロック作品
- Brian Millerの作曲感覚が核になったバンド色
- 1970年代英国フュージョンの流れを感じやすい内容
- メンバー交代の多い時期のIsotopeを示す一枚
まとめ
「Illusion」は、Isotopeというバンドの持つジャズ・ロック的な性格を、演奏と編成の両面から見せる作品といえる。ギター、キーボード、リズム隊が前に出る構成で、1970年代中盤の英国フュージョンの空気がそのまま反映された一枚として捉えやすい。
トラックリスト
- A1 Illusion (3:54)
- A2 Rangoon Creeper (5:54)
- A3 Spanish Sun (7:45)
- A4 E-Dorian (2:00)
- B1 Frog (2:30)
- B2 Sliding Dogs, Lion Sandwich (5:59)
- B3 Golden Selection (5:13)
- B4 Marin County Girl (2:06)
- B5 Lily Kong (2:33)
- B6 Temper Tantrum (3:42)
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Praxis – La Eternidad De Lo Efimero (1988)
Praxis『La Eternidad De Lo Efimero』について
メキシコのPraxisが1988年に発表した『La Eternidad De Lo Efimero』は、ジャズとロックを軸にしたプログレッシブ・ロック/フュージョン作品である。Ricardo Moreno、Héctor Hernández、Bernardo Anaya、Héctor Rosasの4人による編成で、演奏を中心に組み立てられたアルバムとして聴こえてくる。
タイトルはスペイン語で、作品全体の印象もその言葉どおり、流れのある構成と、細かく組み替えられるアンサンブルの動きが目立つ。ロックの推進力とジャズ由来の演奏感が同居していて、リズムの切り替えや楽器同士の掛け合いに耳が向く内容だ。
サウンドの特徴
この作品の核にあるのは、プログレッシブ・ロックらしい展開の多さと、フュージョン的な演奏の機動力である。ギターや鍵盤、リズム隊が一体になって進み、曲ごとに拍子やフレーズの組み方を変えながら進行していくタイプの音作りが想像しやすい。派手な歌ものというより、演奏そのものを軸にした構成のアルバムとして受け取られやすいだろう。
音の質感としては、1980年代後半の録音らしい輪郭のはっきりした鳴りが似合う。ロックの硬さとジャズの流動感が並び、メキシコのプログレ/フュージョン文脈の中でも、演奏重視の作品として位置づけられそうだ。
作品の位置づけ
『La Eternidad De Lo Efimero』は、Praxisにとって1988年の時点での到達点を示す一枚として見られる。バンド名義での初出作品として、グループの持つ演奏志向や作曲の方向性がまとまって表れている印象である。
同時代の文脈でいうと、英米のプログレやジャズ・ロックだけでなく、ラテン圏のインストゥルメンタル系フュージョンやプログレッシブ・ロックとも接点を持つタイプの作品と考えやすい。複雑な構成、演奏の切れ味、ロックとジャズの往復といった要素は、ジャンルの中でも比較の軸になりやすい部分だ。
まとめ
- アーティスト: Praxis
- タイトル: La Eternidad De Lo Efimero
- オリジナルリリース年: 1988年
- 国: メキシコ
- ジャンル: Jazz, Rock
- スタイル: Prog Rock, Fusion
演奏の組み立てを前面に出した、ジャズとロックの接点にあるアルバムである。プログレッシブな展開とフュージョン的な流れが重なり、1980年代後半のメキシコ産インストゥルメンタル作品として印象に残る一枚だ。
トラックリスト
- A1 Al Filo Del Abismo
- A2 Praxis
- A3 No Se Quien Soy Desde Que Se Quien Eres
- B1 Equinoccio
- B2 La Eternidad De Lo Efimero