Warp 9 – Fade In, Fade Out (1986)

Warp 9「Fade In, Fade Out」について
Warp 9の「Fade In, Fade Out」は、1986年に発表された作品。ニューヨークのエレクトロ・シーンを背景に登場したグループが、Motownでよりソウル寄りの方向へ進んだ時期の一枚として位置づけられる。
アーティストとしてのWarp 9は、Strikers解散後にMilton “Boe” Brownが参加したことから始まり、のちにKatherine JoyceとChuck Wansleyがボーカルを担う形へ移行した。Lotti GoldenとRichard Scherは制作と楽曲面を支え、メンバーにはAda Dyer、Carolyn Harding、Richard Scher、Lotti Golden、Milton Brown、Kathrine Joyce、Chuck Wansleyがクレジットされている。
サウンドの印象
ジャンル表記はElectronic、Funk / Soul、スタイルはElectro。打ち込みを軸にしたリズムと、ファンク由来の跳ねる感触、ソウル寄りの歌の組み合わせが、この作品の中心にある。初期エレクトロに見られる機械的なビート感を残しつつ、モータウン期らしい整理された録音の空気も感じられる構成。
同時代のニューヨーク・エレクトロや、シンセを前面に出したR&Bの流れの中で聴かれることが多そうな内容。Afrika Bambaataa周辺のエレクトロや、クラブ志向のファンクと並べて語られる場面も想像しやすい。
作品の位置づけ
Warp 9にとっては、初期のエレクトロ色から、よりソウルフルな表現へと寄った時期を示すタイトル。グループの編成やボーカルの変化も含めて、サウンドの方向性が少し広がった段階として見える。
1986年のUS盤として出たこの「Fade In, Fade Out」は、80年代半ばのエレクトロ/ファンク/ソウルの接点をそのまま切り取ったような一枚。派手にジャンルを飛び越えるというより、当時の空気の中で電子音と歌の比重を調整していく流れが感じられる作品。
トラックリスト
- A1 Skips A Beat (3:50)
- A2 Dirty Looks (5:41)
- A3 Big Fun (5:18)
- A4 Reach For Your Star (5:25)
- B1 The Cutting Edge (5:31)
- B2 King Of Hearts (5:25)
- B3 You’ll Get Over It (4:32)
- B4 To The Last Drop (5:00)
関連動画
Material – For A Few Dollars More (1983)

Material『For A Few Dollars More』
Materialは、Bill LaswellとMichael Beinhornを中心に、1970年代末ごろから活動を始めたアメリカの実験的なバンドだ。パンク、ジャズ、ファンク、ノイズ、エレクトロを横断しながら、同時にプロデュース・ユニットとしても機能していたグループで、この『For A Few Dollars More』は1983年の作品になる。
ジャンル表記はElectronic、スタイルはElectro。Materialの中でも、打ち込みのリズムと低音の処理が前に出やすい時期の流れにある一枚として見える。硬めのビート、反復するフレーズ、音数を絞った構成など、当時のエレクトロ周辺の感触が感じられる内容。
サウンドの印象
録音の雰囲気は、音の輪郭がはっきりしたタイプ。リズムが先に立ち、その上にベースやシンセ、断片的な演奏が重なる構成が想像しやすい。Materialらしく、演奏のうまさを前面に出すというより、音の配置そのものを組み替えていくような作りが特徴になりやすい。
メンバーには、Bill Laswell、Michael Beinhornのほか、Bootsy Collins、Bernie Worrell、Nile Rodgers、Fred Frith、Sonny Sharrock、Ginger Baker、Robbie Shakespeareなど、多方面のミュージシャンが名を連ねている。ファンク、ロック、ジャズ、ダブ、レゲエなどの周辺から人が集まっている点も、Materialの作品を追うときの大きな見どころだ。
Materialの中での位置づけ
1983年時点のMaterialは、バンドとしての顔と、制作ユニットとしての顔が重なっている時期にあたる。アーティスト名義でありながら、実験的なアレンジやプロデュースの発想がそのまま作品に出やすいのがこのグループの面白さだ。のちに90年代へ進むと、よりワールド、インド、アフロ、アンビエント、ダブ寄りの方向へ広がっていくが、この時期はエレクトロやファンクの要素が比較的はっきり見える段階といえる。
同時代とのつながり
1980年代前半のニューヨーク周辺では、ヒップホップ、エレクトロ、ファンク、アートロックが近い距離で交差していた。Materialもその流れの中に置ける存在で、Afrika BambaataaやHerbie Hancock、Nona Hendryxなど、周辺のアーティストとの関係からも、当時のクロスオーバーな空気が伝わってくる。
『For A Few Dollars More』は、そうした時代の電子音楽とバンド・サウンドの接点を、Materialらしい方法で切り取った作品として捉えられる一枚だ。
トラックリスト
- A For A Few Dollars More (Special Long Version) (7:27)
- B For A Few Dollars More (3:50)