Mark-Almond – To The Heart (1976)
Mark-Almond『To The Heart』について
『To The Heart』は、Mark-Almondが1976年に発表した作品で、ジャズとロックのあいだを行き来するバンドの流れの中でも、比較的落ち着いた質感を持つ1枚として位置づけられる作品だ。Mark-Almondは、John Mayall周辺で活動していたJon MarkとJohnny Almondが中心となって結成されたグループで、70年代前半には編成を変えながら作品を重ね、1975年にはふたたびデュオ形態で再始動している。その流れの中で出たのがこのアルバムで、バンドの後期を知るうえで重要なタイトルのひとつといえる。
作品の概要
このアルバムはUS盤としてABC Recordsからリリースされ、録音はCBS Studios(サンフランシスコ)とABC Studios(ロサンゼルス)で行われている。ジャンル表記はJazz / Rock、スタイルはSmooth Jazz。70年代半ばのAORやクロスオーバーの空気とも接点のある内容で、Mark-Almondらしい演奏中心の作りが想像しやすい。
クレジット上では、Jon Mark、Johnny Almondに加えて、Dannie Richmond、Roger Sutton、Alun Davies、Tommy Eyre、Bobby Torres、Colin Gibson、Wolfgang Melz、Kenny Craddockといったメンバー名が並ぶ。バンドの人脈の広さと、時期によって編成が動いていたことが分かる構成だ。
Mark-Almondというグループの流れの中で
Mark-Almondは、もともとジャズ寄りの感覚とロックの骨格を併せ持つグループとして知られる。John Mayallの周辺から始まった経歴もあって、ブルースロックの文脈で語られることもあるが、実際にはより室内楽的な流れや、歌と演奏のバランスを取る作りに特徴がある。この『To The Heart』は、そうしたバンドの持ち味が、後期の落ち着いた編成の中でどう表れるかを示す作品として見やすい。
同時代の耳で捉えると、フュージョンやソフトなジャズロックの広がりの中に置ける内容でもある。John MartynやSteely Danの周辺、あるいはウェストコースト系の洗練されたロックと比べられることもありそうだが、Mark-Almondはより演奏の余白やアンサンブルの呼吸を前に出す印象がある。
盤の情報
このUS盤のラベルには「33 1/3 RPM」と「STEREO」が記され、スピンドルホール右側にその表記、左側に「ABCD 945 A/B」と「Side A/B」が入る仕様になっている。ランアウトはエッチング。録音場所の記載と合わせて、ABC時代のUSプレスらしい実用品としての作りがうかがえる。
聴きどころとして見えやすい点
Mark-Almondの作品は、派手なヒット曲で引っ張るタイプというより、曲ごとの流れと演奏の空気で聴かせるタイプのものが多い。このアルバムでも、Jon MarkのギターとJohnny Almondの管楽器がどのように会話するか、そして編成の中でリズム隊がどう支えるかが聴きどころになりやすい。代表曲名が広く単独で知られるタイプの作品というより、アルバム全体のまとまりで評価される性格が強い。
まとめ
『To The Heart』は、Mark-Almondの1970年代中盤の姿を切り取ったアルバムだ。ジャズとロックのあいだで、演奏の密度と曲の流れを両立させるバンドの持ち味が見えやすい。John Mayallの周辺から始まった二人が、編成を変えながら進んだその後半の時間を知るうえでも、ひとつの区切りとして捉えやすい作品である。
トラックリスト
- Medley:
- A2 – Here Comes The Rain (Part One) (4:48)
- A3 – Here Comes The Rain (Part Two) (5:26)
- A4 – Trade Winds (5:42)
- B1 – One More For The Road (6:48)
- B2 – Busy On The Line (4:57)
- B3 – Everybody Needs A Friend (5:57)