Alberto Camerini – Comici Cosmetici (1978)
Alberto Camerini / Comici Cosmetici (1978)
Alberto Cameriniの1978年作Comici Cosmeticiは、イタリアのロックとポップの流れの中に、後のシンセ・ポップへつながる感触を早い段階で持ち込んだ作品として知られている。Cameriniは1951年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身のイタリア系アーティストで、ソングライター、ギタリスト、そしてイタリア演劇の現場でも活動してきた人物。のちに〈Tanz Bambolina〉や〈Rock ‘n’ Roll Robot〉といった曲で広く知られるが、その前段階にあるこのアルバムでは、彼の作家性と時代の空気がより生々しく見える。
作品の位置づけ
Comici Cosmeticiは、Alberto Cameriniのキャリアの中でも初期の重要作という位置づけで語られることが多い。1970年代末のイタリアでは、ロック、パンク、新しい電子音楽の要素が少しずつ混ざり始めていた時期で、この作品もその文脈の中にある。ギター主体のロック感覚を土台にしながら、のちの彼らしい機械的なリズムや軽快な言葉遊びへ向かう入口のような一枚、という見方ができる。
サウンドと聴きどころ
ジャンル表記はRock、Pop、スタイルはAlternative Rock、Punk、Synth-pop。実際の内容も、単純にロックだけに寄せた作品というより、当時のニューウェーブ的な手触りや、パンキッシュな推進力、シンセを含むモダンな質感が重なるタイプのアルバムとして捉えられる。Cameriniの作品は後年になるほどポップな輪郭がはっきりしていくが、この時期はまだ粗さや実験性が前に出やすい時代背景もあり、そこが面白いところ。
彼の代表曲としてよく挙がる〈Tanz Bambolina〉や〈Rock ‘n’ Roll Robot〉はこの後の時代の曲だが、そこに通じる“イタリア語のリズム感”と“ロックの軽さ”の原型を、このアルバムでも感じ取れる。大げさなドラマよりも、言葉の運びと音の切り替えで押していく作りが目立つ。
録音と盤の情報
クレジットには「Sala Archi: Ricordi Studio 6」とある。制作はMemoria spa、表記は℗ 1978、イタリア製。ランアウトはスタンプ刻印とのこと。リリース国もイタリアで、オリジナルの1978年盤として流通した作品。
クレジットまわり
ライナーにはAlex Peroniへの謝辞があり、さらに「Comici Cosmetici」に関わる名前としてAnna、Nanà、Meraviglia、Boriccina、Cecilia、Thelma、Mario、John、Antonio Peticov、Stefania-Marina-Michela(la streghe di Canale 96)、Bar Magentaの“ひとりの謎めいた酔っ払い”、そして“ひとりのブラジル人の女の子”への言及が並ぶ。こうした記述からは、作品がかなり個人的な人間関係や当時の周辺文化と結びついていたことがうかがえる。
同時代の文脈
1978年という時点で見ると、イタリアのロックはプログレやシンガーソングライター路線だけでなく、パンクやニューウェーブの影響を受け始めていた。Alberto Cameriniはその中で、のちにイタリアン・シンセポップの先駆者として語られる立ち位置へつながっていく。英米のニューウェーブ勢と比べても、彼の作品はロックの骨格を保ちながら、イタリア語の感触や演劇的な身振りが残るところが特徴になっている。
Comici Cosmeticiは、そうしたCameriniの出発点のひとつとして、初期の素材感をそのまま伝える1978年の記録。後年の代表曲で知られる前の段階をたどるうえで、押さえておきたい作品になっている。
トラックリスト
- 1ª Parte
- A1 – Rock Show (Io Per Te) (3:50)
- A2 – Neurox (4:15)
- A3 – Sciocka (3:50)
- A4 – Divo Divo (1:45)
- A5 – Comici Cosmetici (6:15)
- 2ª Parte
- B1 – Amore Che Felicità (Anna) (3:08)
- B2 – Macondo (4:51)
- B3 – Poliziotto Per Favore (3:02)
- B4 – Siamo Tanti! (2:51)
- B5 – Ho Bisogno Di Cercarti (4:50)