Judy Mowatt – Working Wonders (1987)
Judy Mowatt『Working Wonders』について
Judy Mowattの『Working Wonders』は、1986年にOverheat Recordsからリリースされたレゲエ作品。ジャマイカ出身のシンガーで、The Gaytonesの結成や、Bob Marley & The Wailersを支えたI Threesでの活動でも知られるJudy Mowattのソロ作のひとつである。録音はキングストン、マイアミ、ペンシルベニア州Gladwynなど複数のスタジオで行われ、ミックスはKajem Soundでまとめられている。
作品の位置づけ
Judy Mowattは、1970年代初頭からソロ活動を進めつつ、1973年にはRita Marley、Marcia GriffithsとともにI ThreesとしてBob Marley & The Wailersに参加した人物。その経歴を踏まえると、『Working Wonders』は、バック・ボーカルの重要人物としての経験と、ソロ・アーティストとしての視点が重なる時期の作品として捉えやすい。1980年代半ばのジャマイカン・レゲエの中で、ルーツ・レゲエの芯を残しながら、より聴きやすい歌ものの要素も意識した仕上がりに見える。
サウンドと制作
クレジットを見ると、Tuff Gong、Dynamic Sounds、Music Mountain、Criteria Sound、Kajem Soundと、録音環境が広い。ジャマイカとアメリカのスタジオが併用されていて、当時のレゲエ作品らしい制作背景がうかがえる。Overheat Recordsの作品として、日本盤ではCanyon Records. Inc.が配給を担当している点も特徴的だ。Blackstar LineやSonny Ochiaiのクレジットも入り、当時のレゲエ流通のつながりが見えてくる。
1980年代レゲエの文脈
1980年代のレゲエは、ルーツ寄りの作風と、ポップ寄りの聴きやすさが同居していた時期でもある。Judy Mowattの歌声は、その両方をまたぐ存在として語られることが多い。Rita MarleyやMarcia Griffithsと並ぶ女性ヴォーカリストとして、単にコーラスの人というより、曲の中心でしっかり歌を運ぶタイプのシンガーという印象が強い。『Working Wonders』も、その立ち位置を反映した一枚として見てよさそうだ。
聴きどころの輪郭
この作品は、派手な技巧で押すというより、歌の言葉とフレーズの運びで聴かせるタイプのアルバムとして受け取られることが多い。Judy Mowattの声は、I Threes時代から一貫して、低めの落ち着いた響きと芯のある発音が印象に残る。『Working Wonders』でも、その持ち味が前面に出る構成と考えやすい。
まとめ
『Working Wonders』は、Judy Mowattのソロ・キャリアと、ジャマイカン・レゲエの80年代的な制作感覚が重なる作品。ルーツ・レゲエの土台に、歌ものとしてのまとまりを持たせた一枚として整理できる。I Threesの歴史を知っていると、彼女がソロでどのように自分の歌を展開していたかを見る手がかりにもなる。
トラックリスト
- A1 – Black Man, Brown Man
- A2 – Working Wonders
- A3 – Lovemaking
- A4 – Let’s Dance
- A5 – So Many Eyes
- B1 – Mother Africa
- B2 – Ethiopia Salaam
- B3 – Hush Baby Mother
- B4 – Traveling Woman
- B5 – King’s Highway