Heatwave – Current (1982)
Heatwave『Current』について
Heatwaveの『Current』は、1982年に発表された作品。ディスコ期の熱量を引き継ぎながら、80年代初頭のR&B、ファンク寄りの感触へと寄せた時期のアルバムとして位置づけられる。Heatwaveは、アメリカ軍人だったJohnnie Wilder Jr.が西ドイツ駐留中に活動を始め、その後イギリスでRod Tempertonと出会って形になった国際的なディスコ・ファンク・グループ。ヨーロッパ発のバンドとして出発し、のちにUKディスコ、USのR&Bチャートの両方で存在感を示したのが特徴。
この『Current』は、そうしたバンドの流れの中では終盤の時期にあたる。70年代後半に「Boogie Nights」「Always and Forever」「The Groove Line」といった代表曲を出したあとで、1980年には「Gangsters Of The Groove」もヒットしている。つまり、本作は“全盛期の延長”というより、グループの歴史を背負った時期の1枚という見方がしやすい。
Heatwaveというバンドの文脈
Heatwaveの中心には、Johnnie Wilder Jr.の歌と、Rod Tempertonのソングライティングがあった。Tempertonは後年、Michael Jacksonの楽曲を書いたことでも知られる人物で、Heatwaveの初期からメロディとリズムの設計に強く関わっている。バンドの代表曲は、ディスコの高揚感が前面に出た「Boogie Nights」、スロー寄りでR&B色の濃い「Always and Forever」、そしてファンクの推進力が強い「The Groove Line」と、曲ごとに輪郭がはっきりしている。
一方で、バンドは不幸も多かった。Mario Manteseの事件、Johnnie Wilder Jr.の事故による活動制限など、創作や演奏の環境が大きく揺れた時期でもある。そうした事情を踏まえると、『Current』は単なるディスコ・ファンク盤ではなく、メンバーの入れ替わりや状況の変化の中で作られた作品として見えてくる。
サウンドの印象
実際に聴くと、Heatwaveらしいリズムの組み立てがまず耳に入る。ベースとドラムが前に出て、そこにキーボードやギターが細かく絡む作り。70年代の華やかなディスコ感だけで押し切るのではなく、80年代らしい少し整理された音像に寄っている印象がある。派手に盛り上げるというより、グルーヴを保ったまま曲を運ぶタイプの演奏。
Johnnie Wilder Jr.の歌声に関しては、絶対的なパワーで押すというより、曲の芯をまっすぐ通す感覚が持ち味。コーラスの重なり方も含めて、Heatwaveの楽曲は一人のボーカルだけで引っ張るというより、バンド全体のアンサンブルで聴かせる場面が多い。そこが同時代のディスコ・ファンクの中でも、派手なストリングス主体の作品とは少し違うところ。
同時代とのつながり
Heatwaveは、同じくダンス志向のR&Bやファンクを鳴らしたグループと並べて語られることが多い。たとえば、Earth, Wind & Fireほどの大編成の華やかさではなく、よりコンパクトな編成感でリズムを組み立てるタイプ。Chicのようなストイックなディスコ・ファンクとも少し違い、UK的な洗練とUSのソウル感が交わるところに持ち味がある。
『Current』の時期になると、70年代ディスコの勢いが落ち着いたあとで、ファンクとR&Bの要素をどう保つかが見えやすい。そういう意味では、バンドのキャリアの中で“踊れるHeatwave”をまだ保っている時期の記録として読める。
代表曲との関係
Heatwaveを語るうえで外しにくいのは、やはり「Boogie Nights」と「Always and Forever」。前者はディスコ・アンセムとして知られ、後者はR&Bの定番曲として長く残っている。そして「The Groove Line」も、ファンク寄りの代表曲として重要。本作『Current』を聴くと、そうした過去のヒット曲に通じる要素が、別の形で整理されているように感じられる。
つまり、このアルバムは“ヒット曲集の延長”ではなく、Heatwaveが持っていたグルーヴの設計を、当時の時代に合わせて鳴らした1枚という見方ができる。1982年という年を踏まえると、ディスコ全盛期の勢いとは少し違うが、ファンク/ソウルの骨格はしっかり残っている作品。
日本盤について
今回の盤は日本リリースの1982年盤。オリジナルの年と同じく1982年の作品として扱える。CBS Inc.のクレジットがあり、当時の国内流通盤として出たもの。再発盤ではなく、作品の初出年のリリースとして見るのが自然。
まとめ
『Current』は、Heatwaveのディスコ・ファンク史の中で、代表曲の時代を踏まえつつ80年代初頭の空気を映したアルバム。バンドの名前を知る人なら、あのグルーヴの感覚がどのように続いていたかを確認できる1枚でもある。派手な説明を必要としない、リズムとアンサンブルの記録という印象。
トラックリスト
- A1 – Lettin’ It Loose (4:20)
- A2 – State To State (4:57)
- A3 – Look After Love (5:33)
- A4 – Naturally (4:34)
- B1 – The Big Guns (5:12)
- B2 – Find It In Your Heart (4:38)
- B3 – Hold On To The One (5:58)
- B4 – Mind What You Find (6:14)
関連動画
- Heatwave – Current (1982) – A1 – Lettin’ It Loose
- Heatwave – Current (1982) – A2 – State To State
- Heatwave – Current (1982) – A3 – Look After Love
- Heatwave – Current (1982) – A4 – Naturally
- Heatwave – Current (1982) – B1 – The Big Guns
- Heatwave – Current (1982) – B2 – Find It In Your Heart
- Heatwave – Current (1982) – B3 – Hold On To The One
- Heatwave – Current (1982) – B4 – Mind What You Find
- heatwave lettin’ it loose
- heatwave state to state