Annabella Lwin – Fever (1986)
Annabella Lwin『Fever』(1986)
Annabella Lwinのソロ名義による1986年の作品『Fever』。元Bow Wow Wowのフロントウーマンとして知られる彼女が、バンド脱退後に歩み始めたソロ活動の流れの中で発表した一枚で、ジャンルとしてはElectronic、スタイルとしてはElectro、Synth-popに位置づけられる作品だ。
アーティストの背景
Annabella Lwinは1966年にビルマのラングーンで生まれ、3歳でイングランドへ移住。1980年にマルコム・マクラーレンに見出され、14歳でBow Wow Wowのリードシンガーとして表舞台に立った。その後1983年にバンドを離れ、ソロ活動へ移行している。『Fever』は、そのソロ期の初期にあたる作品として見ることができる。
作品の位置づけ
Bow Wow Wow時代の彼女は、ポップの外側にある鋭さや、ニューウェイヴ周辺の実験性と結びついて語られることが多い。『Fever』は、その延長線上で電子音主体の方向へ寄った作品として捉えやすい。1980年代半ばという時期を考えると、シンセサイザーや打ち込みを中心にしたサウンドがポップスの主流に広がっていた時代で、同時代の英米のシーンでは、Depeche Mode、Pet Shop Boys、Eurythmics、Soft Cellあたりが思い浮かぶ流れだ。
サウンドの印象
電子音を軸にした構成、リズムの明快さ、歌の前に出る存在感がこの時期の作品らしいところだ。Annabella Lwinの声は、かわいらしさだけでなく、やや硬質な響きや前に押し出す勢いを持っていて、シンセポップの整ったトラックの上でも埋もれにくい。Bow Wow Wowの頃から感じられる、声そのものの個性を中心にした作りが、ソロ作でも軸になっている印象だ。
特にこの年代のElectroやSynth-popでは、音色の選び方とビートの組み方が曲の表情を決めやすいが、『Fever』もその文脈にある作品として整理できる。生楽器のロック感より、機械的な拍とシンセの層で進むタイプの聴き味だ。
同時代とのつながり
Annabella Lwinのソロ作品は、ニューウェイヴの残り香と、80年代中盤のダンス寄りポップの接点にある。女性ヴォーカルのシンセポップという点では、BananaramaやHazell Dean、Eurythmicsの一部作品とも並べて語られやすい。ただし、Bow Wow Wow由来の経歴があるぶん、ただのアイドルポップや当時の定型的なシンセポップとは少し違う立ち位置にある。
聴きどころとして見えやすい点
- Annabella Lwinの声の輪郭
- シンセ主体のアレンジとリズムの組み方
- ニューウェイヴから80年代中盤ポップへ接続する質感
- ソロ歌手としての存在感の出し方
まとめ
『Fever』は、Bow Wow Wowのフロントを務めたAnnabella Lwinが、ソロ歌手として1986年に提示した電子ポップ作品として捉えやすい。バンド時代のイメージを引き継ぎつつ、よりシンセサイザー中心の時代感へ寄せた内容で、80年代中盤のElectro、Synth-popの流れの中に置くと輪郭が見えやすい一枚だ。
トラックリスト
- A1 – War Boys
- A2 – High Powered Girl
- A3 – Fever
- A4 – Marry For Love
- A5 – Wild In Me
- B1 – School’s Out
- B2 – Under The Gun
- B3 – Desire
- B4 – Nightmare
- B5 – Magdalen