Portishead – Portishead (1997)
Portishead『Portishead』について
Portisheadの2作目のスタジオ・アルバム『Portishead』は、1997年にGO! Beatから発表された作品。Bristol出身のGeoff Barrow、Beth Gibbons、Adrian Utleyを中心とするこのバンドは、90年代のUKシーンでトリップホップを代表する存在として語られてきた。前作『Dummy』で広く知られるようになったあと、その流れを受けつつも、より硬質で緊張感のある音像へ進んだ1枚として位置づけられている。
作品の立ち位置
Portisheadにとってこのアルバムは、デビュー作『Dummy』の評価を背負ったうえで出された2枚目のスタジオ作という意味を持つ。『Dummy』で示したサンプル主体の組み立てと、Beth Gibbonsの歌声、Geoff BarrowとAdrian Utleyによる演奏を軸にした作風はそのままに、1997年作ではさらに閉じた空気感が強まっている。90年代後半のUKエレクトロニック・ミュージックの中でも、Massive AttackやTrickyと並べて語られることが多い流れの中にある作品。
ただし、Portisheadは同じトリップホップ周辺でも、ラップやクラブ的な推進力より、曲ごとの間合い、ノイズ感、ストリングスやギターの配置に重心がある。『Portishead』ではその傾向がはっきりしていて、アルバム全体が一つのまとまった空気を作っている。
聴きどころ
代表曲としてまず挙がるのは「All Mine」。シングルとしても知られ、アルバムの中では比較的輪郭がつかみやすい曲。打ち込みのリズムと生の楽器の隙間が目立ち、Beth Gibbonsのボーカルが前に出る構成になっている。
ほかにも「Over」「Only You」「Cowboys」など、低い音域のうねりと、細かく切られたビート、少ない音数で押してくる曲が並ぶ。実際に聴くと、音の派手さで引っ張るアルバムではなく、曲が進むほど緊張感が積み上がるタイプの作品という印象が残る。音が多いわけではないのに、空白が強く意識される作り。
ギターやドラムの存在感も、単なる伴奏ではなく、音の輪郭を決める要素として機能している。Portisheadの作品の中でも、サンプリングだけに寄らないバンド感が強く出ているアルバムという見方ができる。
同時代との関係
1990年代のUKでは、ブリストル発の音楽が一つの重要な流れになっていた。Portisheadはその中心にいたグループのひとつで、ヒップホップ、ソウル、ダブ、映画音楽的な感触を混ぜた文脈で語られることが多い。『Portishead』は、その文脈の中でも特に陰影の深い作品として扱われてきた。
同じく90年代のエレクトロニック系作品と比べても、Portisheadのこのアルバムは、リズムの快楽よりも、歌と音像の距離感に特徴がある。派手な展開を追うより、同じ温度のまま進む曲が続く構成で、アルバム単位で聴く意味がはっきりしている。
2017年盤について
今回の2017年盤は、1997年のオリジナル・リリースを元にした再発盤。裏ジャケットには1997年の著作権表記があり、GO! BeatとPolydorのクレジットが入っている。パッケージはシールド仕様で、ダウンロードコードが付属する形で流通している。なお、すべてのコピーにダウンロードコードが入っているわけではない。
また、ランアウトは基本的にスタンプ刻印で、RCとMiles. Abbey Road. Room 30の部分のみエッチングになっている。製造表記は「Made in the EU」。
まとめ
『Portishead』は、Portisheadの中期的な核を示す1997年作。『Dummy』で確立したスタイルを引き継ぎながら、より重く、より閉じた感触へ進んだアルバムとして受け取れる。トリップホップという呼び名の中でも、歌、ビート、空間の使い方をかなり独自に組み立てた作品だといえる。
トラックリスト
- A1 – Cowboys (4:38)
- A2 – All Mine (3:59)
- B1 – Undenied (4:18)
- B2 – Half Day Closing (3:49)
- B3 – Over (4:00)
- C1 – Humming (6:02)
- C2 – Mourning Air (4:11)
- C3 – Seven Months (4:15)
- D1 – Only You (4:59)
- D2 – Elysium (5:54)
- D3 – Western Eyes (3:57)