The Pineapple Thief – Your Wilderness (2016)
The Pineapple Thief / Your Wilderness
The Pineapple Thiefの『Your Wilderness』は、2016年に発表されたプログレッシブ・ロック作品。バンドの中心人物であるBruce Soordの作曲性を軸に、緻密なアレンジと抑制の効いた演奏が並ぶ一枚だ。2019年盤として流通しているこのレコードは、オリジナルの2016年作品を踏まえた再登場という位置づけになる。
作品の輪郭
The Pineapple Thiefは1999年に始動したプロジェクトで、Bruce Soordの音楽的な構想を核に展開してきた。初期はソロ・プロジェクト的な側面が強く、のちにバンド形態へ移行している。『Your Wilderness』は、その流れの中で生まれた作品で、バンドとしてのまとまりと、作曲家としてのSoordの個性が両方見えやすい時期のアルバムといえる。
メンバーにはBruce Soord、Gavin Harrison、Steve Kitchらが名を連ねる。特にGavin Harrisonの参加は、リズム面の緻密さを支える要素として大きい。プログレッシブ・ロックの文脈に置くと、技巧を前面に出しすぎるタイプではなく、曲の流れを保ちながら細部を積み上げていくタイプの作品だ。
サウンドの特徴
音の質感は、硬質なロックの輪郭と、空間を残したバランスの両立が印象的。ギター、鍵盤、リズム隊がそれぞれ主張しつつ、過剰に埋め込みすぎない配置になっていて、曲ごとの展開が追いやすい。派手な装飾よりも、フレーズの重なりやダイナミクスの変化で引っ張る作りになっている。
雰囲気としては、同時代の英国系プログレッシブ・ロックの流れを感じさせる部分がある。Porcupine TreeやAnathema周辺の、構築的でロック寄りの質感を思わせる場面もあるが、The Pineapple Thiefらしく、よりコンパクトな楽曲設計に寄っている印象だ。
アーティストの中での位置づけ
『Your Wilderness』は、The Pineapple Thiefのディスコグラフィーの中でも、バンドとしての完成度を確認しやすい時期の作品として捉えやすい。Bruce Soordのソングライティングを中心にしながら、演奏陣の個性が曲の輪郭を整えている。初期の実験性や個人作の色合いから、よりバンドらしいアンサンブルへ移っていく流れの中にあるアルバムでもある。
関連する文脈
ジャンルとしてはRock、スタイルとしてはProg Rockに分類される。プログレッシブ・ロックの中でも、長尺の組曲性や派手なソロ競争より、メロディと構成の積み重ねを重視するタイプに近い。欧州圏の現行プログレを追う流れの中で語られることの多いバンドで、音の作り込みと楽曲の流れの両方に目が向きやすい。
まとめ
『Your Wilderness』は、The Pineapple Thiefの持つ構築的な作曲、抑制のきいた演奏、そしてバンドとしてのまとまりが見えやすい作品。2016年のオリジナル作品としての輪郭を持ちながら、2019年盤でもその内容をそのまま伝える一枚として存在している。
トラックリスト
- A1 In Exile
- A2 No Man’s Land
- A3 Tear You Up
- A4 That Shore
- B1 Take Your Shot
- B2 Fend For Yourself
- B3 The Final Thing On My Mind
- B4 Where We Stood