Boards Of Canada – Inferno (2026)
Boards Of Canada『Inferno』について
『Inferno』は、スコットランド・エディンバラ出身の電子音楽デュオ、Boards Of Canadaによる2026年作。Michael SandisonとMarcus Eoinの兄弟を中心に活動してきた彼ららしい、Electronicを軸にした作品として位置づけられる一枚です。ジャンル表記としてはDowntempo、Ambient、IDM、Experimentalが並び、Boards Of Canadaの作品群に通じる制作姿勢がうかがえます。
Boards Of Canadaという存在
Boards Of Canadaは、1986年に結成されたミステリアスな電子音楽ユニットです。グループ名はカナダ国立映画制作庁「National Film Board of Canada」に由来し、彼らの創作には同庁のドキュメンタリー映像が影響したとされています。映像資料の記憶や断片を、音として組み替えていくような感覚は、彼らの作品全体に通じる特徴のひとつです。
メンバーはMichael Sandison、Marcus Eoin、Chris Horne。Boards Of Canadaの名義では、兄弟を中心にした制作の印象が強く、電子音の処理やサンプリングの使い方に独自の輪郭があります。
サウンドの特徴
Boards Of Canadaの音楽は、打ち込みのリズムを土台にしながら、音の輪郭を少し曇らせたような質感が印象に残ります。ビートは前に出すぎず、アンビエント寄りの空間処理や、IDM的な細かな音の組み立てが自然に混ざり合うタイプです。『Inferno』でも、そうした低速の展開や、音の隙間を活かした構成が作品の軸になっていると考えられます。
電子音楽の中でも、Autechreのような実験性や、Aphex Twinに近い文脈で語られることのあるアーティストですが、Boards Of Canadaはより記憶や映像の断片を思わせる整理された手つきで知られます。数字や理論だけで押し切るタイプではなく、音の配置や質感の積み重ねで聴かせるところがあるユニットです。
作品の位置づけ
『Inferno』は、Boards Of Canadaの2026年作としてカタログに加わるタイトルです。彼らの作品は、アルバムごとに大きな方向転換を見せるというより、既存の手法を保ちながら細部の処理や空気感を更新していく印象があります。その意味で本作も、これまでの流れの延長線上にある作品として受け止められそうです。
タイトルにある「Inferno」は、作品の内容を直接説明する言葉ではないものの、Boards Of Canadaの過去作に見られた、穏やかさと不穏さが同居する感触を連想させます。明るい旋律と、少し距離のある音像が並ぶ構造は、彼らの持ち味のひとつです。
関連する文脈
Boards Of Canadaは、1990年代後半から2000年代初頭にかけてのIDM、エレクトロニカ、アンビエントの流れの中で語られることが多い存在です。Warp周辺のアーティスト群と並べて語られることもあり、同時代の電子音楽の中でも、記憶、映像、ノスタルジアといった要素を音で扱う点に特徴があります。
代表曲としては「Roygbiv」「Dayvan Cowboy」などが広く知られており、Boards Of Canadaの輪郭をつかむうえで参照されることの多い楽曲です。いずれも、ビートとメロディの距離感、そして音のくぐもり方に彼ららしさが出ています。
まとめ
『Inferno』は、Boards Of Canadaというユニットの持つ、電子音楽の構造と記憶の感触を重ねる作風をあらためて示す作品として見えてきます。Downtempo、Ambient、IDM、Experimentalといったタグが並ぶ通り、リズムと空間、輪郭と曖昧さのあいだを行き来する一作です。
トラックリスト
- A1 Introit (0:37)
- A2 Prophecy At 1420 MHz (5:03)
- A3 Hydrogen Helium Lithium Leviathan (4:44)
- A4 Age Of Capricorn (3:52)
- A5 Father And Son (3:22)
- B1 Somewhere Right Now In The Future (2:25)
- B2 Naraka (5:00)
- B3 Acts Of Magic (1:20)
- B4 Memory Death (2:36)
- B5 The Word Becomes Flesh (5:20)
- C1 Into The Magic Land (4:32)
- C2 Blood In The Labyrinth (4:55)
- C3 Deep Time (3:19)
- C4 All Reason Departs (6:01)
- D1 Arena Americanada (5:22)
- D2 The Process (3:00)
- D3 You Retreat In Time And Space (5:22)
- D4 I Saw Through Platonia (2:30)
- E Vol.4 – P. Primers – 177 Giraud’s Mirror (Ascension Recorded At The MWVYF Conference, 28 August 1983) (3:30)