Тангра – Тангра II = Tangra II (1986)
Тангра『Тангра II = Tangra II』について
1986年にブルガリアで出た、Танграのアルバム『Тангра II = Tangra II』。バンド名と作品名をそのまま掲げた一枚で、アーティスト名・曲名・作詞者名がブルガリア語と英語の併記になっているのがまず目を引く。ロックを土台にしたニュー・ウェイヴ期のブルガリア・ロックとして、当時の東欧圏の空気をそのまま閉じ込めたような作品だ。
Танграというバンドの位置づけ
Танграは、Константин МарковとAlexander Petrunovによって1976年に結成されたブルガリアのロック・バンド。活動は1990年まで続いたとされ、1986年で終わったと思われがちだが、実際にはその後も続いていた。1986年から1990年にかけては北欧諸国で演奏していたという経歴もある。
この『Тангра II』は、そうしたバンドの中期から後期へ向かう時期の作品として捉えられる一枚になる。
作品の内容と雰囲気
ジャンル表記はロック、スタイルはニュー・ウェイヴ。ギター主体のロックの骨格に、当時らしい整ったアレンジや、リズムの推進力が重なるタイプの作品として受け取れる。ブルガリア語と英語の併記があることからも、国内向けの作品でありながら、外へ開こうとする意識が見える。
収録曲の細かな内容まではここでは触れないが、クレジット上は作詞者名がジャケットにフルで記されている。曲単位で作り込まれたアルバムという印象を持ちやすい仕様だ。
検閲とオリジナル盤の事情
このリリースには、政府によって禁止・検閲され、多くのプレスが破棄されたという記録が残っている。東欧のロック史では、作品そのものの内容だけでなく、流通や検閲の経緯も重要な要素になるが、このアルバムもその例に入る一枚だ。現存する盤の少なさも含めて、当時の状況を背負ったレコードといえる。
同時代の文脈
1980年代半ばの東欧ロックは、国ごとの事情を抱えながらも、ニュー・ウェイヴやポップ・ロックの要素を取り入れていった時期。Танграもその流れの中にあり、英語表記を併記している点には、国内シーンに閉じない姿勢がうかがえる。西側のニュー・ウェイヴと完全に同じではないが、同時代のロックの語法を自国の環境に置き換えた作品として見えてくる。
まとめ
『Тангра II = Tangra II』は、1986年のブルガリア・ロックを知るうえで外せない一枚。バンドの活動史、検閲の経緯、ブルガリア語と英語の併記といった要素が重なって、単なるアルバム以上の記録性を持っている。Танграというバンドの動きと、80年代東欧のロック事情を一緒に映す作品、と言えそうだ。
トラックリスト
- A1 – Оловният Войник (The Lead Soldier)
- A2 – На Тридесет И Пет (At Thirty-Five)
- A3 – Бъди Какъвто Си (Be What You Are)
- A4 – До Последен Дъх (Till The Last Breath)
- B1 – Черно-Бяла Снимка (A Black-And-White Photo)
- B2 – Неделя (Sunday)
- B3 – Закъсняла Любов (Late Love)
- B4 – Делник (Workday)
- B5 – Така Стоят Нещата (That’s How Things Are)
- B6 – Циркът (The Circus)