Supersister – Startrack Vol. 1 (1973)
Supersister『Startrack Vol. 1』について
『Startrack Vol. 1』は、オランダのプログレッシブ・ロック・バンド、Supersisterが1973年に発表したコンピレーション盤だ。電子音、ジャズ、ロック、ポップの要素をまたぎながら、ジャズ・ロック、実験性、プログレッシブ・ロックの流れの中で整理された内容になっている。バンドの初期からこの時期までの楽曲をまとめた1枚で、Supersisterの活動の断片を時系列でたどれる構成といえる。
Supersisterというバンドの位置づけ
Supersisterは1967年にSweet OK Supersisterとして始まり、のちにSupersisterへ改名したオランダのプログレッシブ・ロック・バンドだ。ロバート・ヤン・スティプスを中心に、ジャズ寄りの鍵盤サウンド、変則的な曲構成、ユーモラスな感触を含む演奏で知られる。イギリス勢のプログレと並べて語られることが多いが、音の運びやリズムの組み方には、オランダ勢らしい独自性もある。
バンドは1974年に最初の解散を迎えており、『Startrack Vol. 1』はその直前期の素材をまとめた作品として見ることができる。活動のピーク期に近い記録であり、アルバム単位の作品とは少し違う形で、当時のSupersisterの動きが伝わる編集盤だ。
収録内容と素材の出どころ
本作は複数のSupersister作品から編集された構成で、収録曲は1970年から1972年にかけての録音にまたがっている。各曲は別々のリリースから取られており、A面・B面を通してバンドの初期から中期への流れが見える。
- A1、A3: 1971年録音。A1は7インチ・バージョン
- A2、A4: 1972年録音。A4は最終回のエピソード
- B1、B2: 1970年録音。B2は『Metamorphosis』の一部
- B3、B4: 1971年録音。B3は断片、B4はフェードインあり
こうした構成なので、単独のアルバムというより、Supersisterの複数の時期をつなぐ編集盤としての性格が強い。曲ごとに素材の年代が異なるため、バンドの編成や音作りの変化も追いやすい。
音の印象
Supersisterの持ち味は、鍵盤を軸にした進行の細かさと、ジャズ由来のフレーズをロックの形式へ組み込むやり方にある。この盤でも、整ったメロディだけで押し切るというより、拍の置き方や展開の切り替えで聴かせる場面が目立つ。エレクトロニックな質感が前に出る瞬間もあり、当時のプログレらしい構築性と即興的な気配が同居している。
聴き進めると、派手なヒット曲を前面に出すタイプではなく、曲のつなぎ方やパートの切り替えそのものに重心があることがわかる。代表曲を1曲だけ挙げる形よりも、断片や別バージョンを含めてバンドの輪郭を見せるタイプの作品だ。
同時代の文脈
1970年代前半のヨーロッパのプログレッシブ・ロックは、英国勢だけでなく、オランダやドイツ、イタリアでも多様に展開していた。Supersisterはその中で、ジャズ・ロック寄りのアプローチと、実験性のある構成を行き来するバンドとして位置づけられる。比較対象としては、キャメルやキャラヴァンのような英国プログレの流れ、あるいはよりジャズ色の強いバンド群が思い浮かぶが、Supersisterはそこにオランダ独自の軽さやひねりを持ち込んでいる印象がある。
まとめ
『Startrack Vol. 1』は、Supersisterの1970年代前半の素材をまとめた編集盤で、バンドの鍵盤主体のアレンジ、ジャズ・ロック的な展開、実験的な構成がまとまって確認できる1枚だ。アルバム単位の物語というより、複数作品の断片をつなぎながら、当時のSupersisterの音を俯瞰する内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Bagoas (2:44)
- A2 – Judy Goes On Holiday (9:17)
- A3 – Babylon (7:54)
- A4 – Pudding En Gisteren (2:14)
- B1 – Present From Nancy (8:08)
- B2 – Mexico (3:21)
- B3 – Energy (Out Of Future) (4:21)
- B4 – Higher (3:14)