La Düsseldorf – Individuellos (1980)
La Düsseldorf『Individuellos』
La Düsseldorfは、クラウトロックの流れから生まれたドイツ・デュッセルドルフのバンドで、Klaus Dingerを中心に結成されたグループである。Neu!解散後の動きとしても知られ、1970年代後半から1980年代初頭にかけて、電子音の反復とロックの推進力をつないだ作品を残している。『Individuellos』は1980年発表のアルバムで、バンドのディスコグラフィーの中でも、初期の代表作に数えられる位置づけにある。
作品の輪郭
本作は、Klaus Dinger、Thomas Dinger、Hans Lampe、Harald Konietzkoの編成で制作された。クレジット上は、制作・録音・ミックスがLa D.で行われたとされており、バンド内部でまとまった音像を作り上げた作品という印象が強い。電子的な質感を持ちながら、演奏の芯にはロックの反復があり、ニュー・ウェイヴ以後の空気も感じさせる構成になっている。
La Düsseldorfは、Neu!やKraftwerkと並んで語られることの多いデュッセルドルフ周辺の文脈にあるが、Kraftwerkの整然とした機械性よりも、La Düsseldorfはバンド演奏の押し出しや、推進力のあるビートが前に出る場面が目立つ。『Individuellos』でも、その輪郭ははっきりしている。
1981年盤について
今回の日本盤は1981年リリースで、King Record Co., Ltd. Tokyo, Japanによる製造。フロントの帯には「European ⑥ Rock Collection 2200」、裏面の帯には「European Rock Collection 2200 Part VI」とあり、シリーズ盤としての性格も持っている。オリジナルの1980年盤から少し遅れて日本で流通した形になる。
この盤は、ジャケットまわりの情報が日本仕様になっている点も特徴的で、当時の輸入・再流通の文脈を感じさせる。作品そのものの内容は1980年のオリジナル版と同じく扱われる。
サウンドの印象
『Individuellos』は、シンセサイザーのレイヤーが前に出る一方で、リズムはきわめて単純化されすぎず、反復の中に推進力が残る。Klaus Dingerの持つ直進的なビート感と、Thomas Dingerの関与による歌ものとしての輪郭が、アルバム全体の骨格になっている。実際に聴くと、音の作り込みよりも、フレーズの反復とテンポの維持で引っ張る場面が多い。クラウトロックの流れを受けつつ、ニュー・ウェイヴ期の冷たい感触も接続している作品という印象である。
また、La Düsseldorfの作品はしばしばドライブ感で語られるが、本作でもその性格は変わらない。長い持続や反復が続いても、演奏がだれる方向には進みにくい。バンドとしての共同作業が、楽曲の推進にそのまま出ているアルバムといえる。
バンド内での位置づけ
La Düsseldorfにとって『Individuellos』は、デビュー作に続く重要な一枚であり、グループの音楽性をより明確に示した作品として見られることが多い。Klaus Dingerのプロジェクトとしての色合いがありながら、兄弟を含む複数メンバーの役割も見えやすい時期の記録でもある。
その後のバンド史では、メンバー変動や権利面の問題が大きくなっていくが、この時点ではまだ、La Düsseldorfという名義のもとでまとまったバンド像が保たれている。だからこそ、本作は単なる一時期の作品というより、グループの核がはっきり見えるアルバムとして聴ける。
同時代との関わり
同時代のドイツのロックや電子音楽を考えると、Kraftwerkの整然とした電子音、Neu!の反復するモーターリズム、Canの即興性などが並んで見えてくる。La Düsseldorfはその中で、よりロックバンドとしての手触りを残したまま、シンセや反復構造を取り込んだ側にある。『Individuellos』は、その立ち位置をよく示す一枚である。
まとめ
『Individuellos』は、La Düsseldorfの初期代表作として扱われる1980年作。ドイツのクラウトロックを土台にしながら、電子音とロックの推進力を同居させた内容で、日本盤は1981年にKing Recordsから発売された。帯つきの国内流通盤としても資料性があり、La Düsseldorfの音楽的な輪郭をつかむうえで外しにくいアルバムである。
トラックリスト
- A1 – Menschen 1 (5:46)
- A2 – Individuellos (3:07)
- A3 – Menschen 2 (2:56)
- A4 – Sentimental (4:24)
- A5 – Lieber Honig 1981 (5:53)
- B1 – Dampfriemen (3:33)
- B2 – Tintarella Di…* (4:40)
- B3 – Flashback (3:52)
- B4 – Das Yvönnchen (6:03)