Edgar Froese – Stuntman (1979)
Edgar Froese『Stuntman』について
『Stuntman』は、Tangerine Dreamの中心人物として知られるEdgar Froeseが1979年に発表したソロ作品だ。電子音楽、とくにベルリン・スクールの流れの中で語られることの多い1枚で、Froeseのソロ作としては、作曲者本人の感覚が前に出たアルバムとして位置づけられる。
この時期のFroeseは、Tangerine Dreamの活動を続けながら、ソロ名義でも作品を重ねていた。グループの長いサウンドスケープとは少し違い、個人の名義ならではのまとまり方があるのが、このアルバムのポイントといえる。
作品の輪郭
『Stuntman』は1979年のUK盤としてリリースされた。電子音を中心に組み立てられたインストゥルメンタル作品で、シーケンスの反復、伸びていくパッド、空間の広がりを軸に進む。ベルリン・スクールらしい構成だが、Tangerine Dream本体の大作群と比べると、よりソロ作品らしいまとまりがある。
収録曲の中では、アルバムと同名の「Stuntman」が核になる。曲名そのままの印象を持つ、動きのある電子トラックで、アルバム全体の方向性を示す1曲と受け取れる。ほかの曲も、ドラマ性よりは、音の層と推移で聴かせるタイプの作りだ。
Edgar Froeseにおける位置づけ
FroeseはTangerine Dreamの創設者であり、1970年代後半にはすでに電子音楽の重要人物として認識されていた。『Stuntman』は、その活動の延長線上にあるソロ作で、バンドの看板の下ではなく、個人名義で自分の音の組み立てを示した作品という意味合いがある。
1979年という時期は、Tangerine Dreamが国際的な評価を広げていた時代でもある。そのため本作も、当時のベルリン・スクールの文脈、つまり長尺の電子演奏、反復するシーケンス、空間の設計といった要素の中で聴かれることが多い。
サウンドの特徴
- シンセサイザー主体のインストゥルメンタル構成
- 反復フレーズを軸にした展開
- メロディを前面に出しすぎず、音の移り変わりで進む作り
- ベルリン・スクールの要素がはっきりした内容
聴感としては、派手な展開を連続させるタイプではなく、一定のパターンを保ちながら少しずつ景色を変えていく印象が強い。Tangerine Dreamの作品群を知っていると、Froese個人の考え方が見えやすい1枚でもある。
同時代の文脈
1970年代後半のドイツ電子音楽は、Klaus SchulzeやTangerine Dreamを中心に大きく広がっていた。『Stuntman』もその流れの中にあり、長尺のシンセ作品、ミニマルな反復、スタジオでの音作りといった共通項を持つ。とはいえ、Froeseの作品はTangerine Dreamの文脈が強く、バンドの延長として聴かれる面もある。
レコードとして
この盤は1979年のUKリリースで、プリントされたインナー・スリーブ付きで出ている。後年にはCD化もされている。オリジナル盤としては、当時の空気をそのまま伝える1979年のリリースという位置づけになる。
まとめ
『Stuntman』は、Edgar Froeseがソロ名義で示した電子音楽作品のひとつで、ベルリン・スクールの文脈の中で自然に置けるアルバムだ。Tangerine Dreamの創設者としての顔を持ちながら、個人の作家としてどのように音を組み立てていたかが見えやすい。1979年の電子音楽を追ううえでも、Froeseのソロ作品をたどるうえでも、ひとつの節目になる作品といえる。
トラックリスト
- A1 – Stuntman (4:13)
- A2 – It Would Be Like Samoa (10:40)
- A3 – Detroit Snackbar Dreamer (6:26)
- B1 – Drunken Mozart In The Desert (9:55)
- B2 – A Dali-Esque Sleep Fuse (8:26)
- B3 – Scarlet Score For Mescalero (4:12)