Rick Van Der Linden – Variations (1979)
Rick Van Der Linden『Variations』について
Rick Van Der Lindenの『Variations』は、1979年に発表された作品で、1981年に日本盤がリリースされたアルバムだ。ジャンル表記はJazz、Rock、スタイルはJazz-Rock、Prog Rockとなっている。Rick Van Der Lindenは、オランダのシンフォニック・ロックを代表するキーボーディスト、作曲家として知られ、Ekseptionの中心人物として特に知られている。
彼は幼少期からピアノを学び、のちにハーレムの音楽院で教会オルガンを修め、1967年にはハーグ王立音楽院を優秀な成績で修了している。ピアノ、教会オルガン、和声法、対位法を学んだ経歴を持ち、クラシックの素養を土台にしながら、ジャズ、バレエ、キャバレー、映画音楽、ポップスへも活動の幅を広げた人物だ。オランダで早くからシンセサイザーを扱った演奏家としても知られている。
作品の位置づけ
Rick Van Der Lindenのキャリア全体で見ると、『Variations』は、Ekseptionで築いたクラシック指向のロック・アプローチを個人名義で整理したような位置にある。彼はEkseptionのほか、Trace、Cum Laude、Mistralでも活動しており、編成や現場が変わっても、鍵盤を軸にクラシックの語法をロックやジャズに接続する姿勢は一貫している。
1970年代後半から1980年代初頭のヨーロッパのプログレ周辺では、シンフォニック・ロックの語法が細分化し、クラシックの引用やオルガン主体のアレンジが、より洗練された形で残っていた時期でもある。Rick Van Der Lindenの作品も、その流れの中で理解しやすい。
日本盤としての体裁
この日本盤は、シングル・スリーブで帯とインサート付き。前帯とインサートには「European 5 Rock Collection 2200」のロゴが入り、裏帯には「European Rock Collection 2200 Part V」として、このシリーズに含まれる8枚のアルバムが紹介されている。日本盤ならではのシリーズ展開が見える仕様だ。
Rick Van Der Lindenらしさ
Rick Van Der Lindenの音楽の核は、教会オルガン由来の響きと、ロックのビート、ジャズ寄りの運び方の組み合わせにある。Ekseption時代から続くその作法は、ソロ作でも大きく変わらない印象だ。演奏の中心にあるのは鍵盤で、旋律の組み立て方や和声の進め方に、クラシック教育を受けた奏者らしい整理された感触がある。
代表曲や大きなヒット曲で語られるタイプの作品というより、彼の鍵盤スタイルや作曲感覚を確認するための一枚として見たほうが分かりやすい。オルガン、ピアノ、シンセサイザーを使い分ける彼の持ち味を、1970年代末の空気の中で味わえるアルバムと言える。
同時代の文脈
同じオランダのプログレ/シンフォニック・ロックの文脈では、EkseptionやTraceといったバンドの動きがまず思い浮かぶ。Rick Van Der Lindenは、その中心にいたプレイヤーとして、クラシックの引用を前面に出す欧州型のロック・キーボード文化を体現した人物だ。
また、ジャズ・ロックという面では、リズムの切り替えやアンサンブルの運びが重視されるが、彼の場合はそこにオルガンやピアノの古典的な響きが重なる。ロックの枠の中で、鍵盤楽器の表現を広げた存在として捉えやすい。
まとめ
『Variations』は、Rick Van Der Lindenの音楽的背景がそのまま出やすい作品だ。クラシック教育を受けた鍵盤奏者としての基盤、Ekseptionで培ったシンフォニック・ロックの感覚、そしてジャズやポップスへの接点が、ひとつのまとまりとして見える。1981年の日本盤は、そうしたヨーロッパの鍵盤ロックを日本のリスナー向けに届けた一枚としても興味深い。
トラックリスト
- A1 - Doina (3:26)
- A2 - Briul ( Tanz) (1:05)
- A3 - Pan (2:40)
- A4 - Air (3:25)
- A5 - Gymnopedies (3:11)
- A6 - Love Destruction (2:56)
- B1 - Blackbird (2:22)
- B2 - Diana (2:50)
- B3 - Polonaise (2:12)
- B4 - Rondo (2:16)
- B5 - Pan-Tasie (2:38)
- B6 - Fuge G-Moll (5:33)