Turning Point – Silent Promise (1978)
Turning Point『Silent Promise』(1978)について
Turning Pointは、1970年代後半の英国ジャズ/フュージョン・バンドだ。1975年にIsotopeの元メンバー2人を中心に結成され、ジャズロックを軸にしながら、カンタベリー系の感触も持ったグループとして活動した。『Silent Promise』は1978年に登場した作品で、バンドの初期の姿をそのまま伝える一枚といえる。
編成は、Pepi Lemerの女性ボーカル、Jeff Clyneのベース、Brian Millerのアコースティック/エレクトリック・ピアノとシンセサイザー、Dave Tidballのテナー/ソプラノ・サックス、Paul Robinsonのドラムとパーカッション。ボーカル入りでありながら、演奏の比重が大きいタイプのグループで、各楽器の動きがそのまま曲の輪郭を作る構成になっている。
作品の位置づけ
Turning Pointは、Isotopeでの流れを引き継ぎつつ、よりメロディとアンサンブルのまとまりを重視したバンドとして知られる。『Silent Promise』は、その活動期の中でも早い段階にあたる録音で、バンドの方向性を確認しやすい。のちに1980年のツアーではAllan HoldsworthやNeil Ardley、Gary Husbandが加わるが、この1978年作にはその前段階の5人編成の特徴がはっきり出ている。
同時代の英国ジャズロックの文脈では、Isotopeのほか、National Healthのようなカンタベリー系グループと並べて語られることが多い。実際、Turning Pointは1977年にNational Healthのサポートも務めており、当時のシーンの中で活動していたことがわかる。
サウンドの印象
この作品は、サックスと鍵盤、リズム隊の組み合わせが前に出るジャズロックらしい編成だ。Pepi Lemerのボーカルが加わることで、純粋なインストゥルメンタル中心のフュージョンよりも、曲ごとの起伏やフレーズの受け渡しが見えやすい。派手に押し切るというより、各パートが細かく絡みながら進むタイプの内容になっている。
一般的なロックの歌ものとは違い、演奏の密度で聴かせる場面が中心だ。Jeff ClyneとPaul Robinsonのリズムは土台を支え、Brian Millerの鍵盤が和声の色を作り、Dave Tidballのサックスが前景を引き締める。そうした役割分担がはっきりしたバンド・サウンドが核になっている。
タイトル曲について
作品名にもなっている「Silent Promise」は、このアルバムを象徴する曲として見られやすい。タイトルから受ける印象ほど抒情一辺倒ではなく、バンド全体のアンサンブルを通して曲を組み立てるタイプの楽曲として聴かれることが多い。ボーカル、サックス、鍵盤の入り方に、当時の英国ジャズロックらしい手触りがある。
1978年という時代の中で
1978年の英国では、プログレッシブ・ロックの流れとジャズロック/フュージョンの動きが近い距離にあった。Turning Pointはその交差点にいるバンドで、Isotope由来の演奏力と、カンタベリー系に通じるアンサンブル志向の両方を持っていた。『Silent Promise』は、その交差点の空気を記録した作品として位置づけられる。
派手なヒット曲で知られるタイプではないが、当時の英国ジャズロックの具体的な編成感、演奏の組み立て方、ボーカルを含めたアンサンブルの考え方を追える一枚だ。Turning Pointというバンドの性格を知るうえで、入口になりやすい作品である。
トラックリスト
- A1 – Silent Promise
- A2 – Awakening
- A3 – May Day Morn
- A4 – Beginning Again
- B1 – Queen Of The White E
- B2 – Mirror
- B3 – Mirror Mirror
- B4 – Green Tranquility