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Grapefruit – Around Grapefruit (1968)

ロンドンのサイケデリック・ポップ・バンド、Grapefruitの1stアルバム。手元の盤はEMI系列のStatesideから出た英国盤(SSL 5008)で、レーベルには「A Dunhill Recording」の表記。プロデュースはTerry Melcher、ライナーノーツはBeatlesの広報担当として知られるDerek Taylor、ジャケットのイラストはGeorge Underwoodが手がけている。全12曲のうち10曲がベースのGeorge Alexanderの作曲。そしてこのバンド、デビューの段階からBeatlesとApple周辺の人脈にがっちり囲まれていた。

Apple Publishingの2組目の契約アーティスト

始まりは1967年夏。Brian Epsteinの旧友で、Apple Publishingの代表を務めていたTerry Doranが、グラスゴー出身のソングライターGeorge Alexander(本名Alexander Young)と契約する。Alexanderは、家族がオーストラリアへ移住した後もひとりイギリスに残った人物で、弟にはThe EasybeatsのGeorge Young、そしてのちにAC/DCを結成するMalcolmとAngusがいる。

同じ年の11月、Tony Rivers and the Castawaysにいたギタリスト、John PerryがDoranに曲を売り込みに来る。Doranは曲こそ採用しなかったものの、PerryとAlexander、そしてSwettenham兄弟(ドラムのGeoffとギターのPete)でバンドを組むことを提案した。こうして生まれたGrapefruitは、Focal Pointに続くApple Publishingの2組目の契約アーティストになった。

バンド名を付けたのはJohn Lennon。由来はYoko Onoの著書『Grapefruit』だ。Pete Swettenhamによると、名前はLennonからDoranへの電話で決まったが、当時Lennonはまだシンシアと結婚していたため、表向きの説明は別の話に差し替えられたという。

Beatlesが総出で迎えたお披露目

1968年1月17日、Grapefruitのプレス向けお披露目が行われ、Lennon自らバンドをメディアに紹介した。会場にはPaul McCartney、Ringo Starr、Brian Jones、Donovan、Cilla Blackらが顔をそろえ、Jimi Hendrixも来ていたと言われている。まだ自前のレコード・レーベルを持っていなかったAppleは、録音費用を出して原盤を他社にライセンスする形を取り、イギリスではRCA、アメリカではTerry Melcherが立ち上げたEquinoxがリリースを担当することになった。

デビュー・シングル「Dear Delilah」は、Appleとの出版契約のためにロンドンを訪れていたMelcherが説得されてプロデュースしたもの。1968年春に全英21位を記録した。LennonはJohn Perryを気に入っていたようで、のちに「Hey Jude」のレコーディングにも誘っている。

Lennon&McCartneyがプロデュースした「Lullaby」

アルバムで特に注目されるのが、A面最後の「Lullaby」。1968年1月10日、ロンドンのAdvision Studiosでの録音には、LennonとMcCartneyが揃ってプロデューサーとして立ち会った。2人が共同でプロデュースした唯一の録音とも言われている。McCartneyはPerry作の「Yes」のバッキング・トラック録りにも手を貸していて、そのセッションにはSpencer Davisも顔を出していたらしい。

ところが「Lullaby」は次のシングルとして出るはずが、RCAが2枚目を求めた時点でLennonとMcCartneyはインドに滞在中。結局シングルは「Elevator」と「Yes」に差し替えられ、こちらはチャート入りしなかった。アルバムに収められた「Lullaby」も2人のプロデュースしたものそのままではなく、Melcherがオーケストラのアレンジを加えてリミックスしたバージョン。Lennon/McCartneyによるオリジナルは、2016年の編集盤『Yesterday’s Sunshine』でようやく世に出た。McCartneyは1968年5月にGrapefruitのプロモーション・フィルムの監督も務めている。

収録曲

A面は「Another Game」で始まり、のちの編集盤のタイトルにもなった「Yesterday’s Sunshine」、シングル曲の「Elevator」と「Yes」、そして「C’mon Marianne」「Lullaby」と続く。「C’mon Marianne」はL. Russell BrownとRaymond Bloodworthの曲で、The Four Seasonsのヒットのカバー。リミックスを施したこのカバーが全英35位まで上がり、「Dear Delilah」に次ぐヒットになった。

B面には「Round Going Round」、デビュー曲の「Dear Delilah」、「This Little Man」「Ain’t It Good」「Theme For Twiggy」、そして「Someday Soon」。「C’mon Marianne」と「Ain’t It Good」はDerek Lawrenceのプロデュースとする資料もある。収録曲の多くはシングル用の音源から取られている。

Appleを離れて、その後

「C’mon Marianne」の後、RCAはイギリスでの契約を打ち切り、AppleもAlexanderの出版契約を除いてバンドとの契約を解いた。Doranはバンドを直接Equinoxと契約させ、Melcherがプロデュースを再開する。1968年12月には、Perryがベース、Alexanderがギターに回り、キーボードのMick Fowlerが加入。シングル「Someday Soon」もチャートには届かなかった。

1969年の初めにはPete Swettenhamが抜けてBob Waleが加入し、よりロック寄りのサウンドへ。2作目『Deep Water』(1969年)からは、タイトル曲がドイツで19位を記録したものの、バンドは同年末に解散した。Alexanderはその後、弟George YoungとHarry VandaのプロジェクトPaintboxやTrampに参加し、Marcus Hook Roll Bandのセッションにも関わっている。Pete Swettenhamはプロデューサー/エンジニアに転じ、Paul McCartney & Wingsの『Band on the Run』ではアシスタント・エンジニアを務めた。

トラックリスト

  • A1 - Another Game (2:51)
  • A2 - Yesterday's Shunshine (3:32)
  • A3 - Elevator (2:05)
  • A4 - Yes (2:20)
  • A5 - C'mon Marianne (2:36)
  • A6 - Lullaby (3:29)
  • B1 - Round Going Round (3:00)
  • B2 - Dear Delilah (2:36)
  • B3 - This Little Man (2:26)
  • B4 - Ain't It Good (2:36)
  • B5 - Theme For Twiggy (3:15)
  • B6 - Someday Soon (3:02)
2026.11.06
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