Mike Oldfield – The Killing Fields (Original Film Soundtrack) (1984)
Mike Oldfield『The Killing Fields (Original Film Soundtrack)』について
Mike Oldfieldの『The Killing Fields (Original Film Soundtrack)』は、1984年公開の映画『The Killing Fields』のために制作されたサウンドトラック作品である。Mike Oldfieldにとっては10作目のスタジオアルバムであり、映画音楽としての性格を強く持つ一枚でもある。オリジナルのリリースは1984年11月26日で、日本盤は1985年のリリースとなっている。
Mike Oldfieldは、ギターやキーボードを中心に多くの楽器をこなすイギリスのマルチ・インストゥルメンタリストで、プログレッシブ・ロックを軸に、フォーク、民族音楽、クラシック、電子音楽などを横断してきた人物である。『Tubular Bells』や「Moonlight Shadow」で広く知られる一方で、この作品のように映像作品へ深く関わった仕事も重要な位置を占める。
作品の位置づけ
『The Killing Fields』は、Mike Oldfieldの1980年代前半の活動を語るうえで外せない作品のひとつである。前作群で見られた長尺の構成やレイヤーの厚い音作りを保ちながら、映画の内容に沿って場面ごとの色合いを作る方向へ寄っている。アルバム単体として聴いても、曲のつながりや音の設計に作曲家としての手つきがはっきり出ている。
この時期のMike Oldfieldは、ロック・ミュージシャンというより、映画音楽や環境的な音響表現にも軸足を置く作家として見たほうが分かりやすい。『The Killing Fields』もその流れの中にあり、代表曲「Moonlight Shadow」のヒットで広がった認知とは別の面を示す作品といえる。
音の印象
実際に聴くと、派手なメロディを前面に出すというより、映像の流れに合わせて音を組み立てる場面が多い。電子音の質感、反復するフレーズ、空間の広がりを使った構成が目立つ。ジャンル表記としてはElectronic、Stage & Screenが中心だが、実際の聴こえ方はAmbientやDowntempo、Experimentalの要素も含んでいる。
アルバムの中では、静かな部分と緊張感のある部分の切り替えがはっきりしており、映画の場面転換を意識した流れになっている。単独の楽曲として耳に残るだけでなく、断片が積み重なって全体の空気を作るタイプの作品である。
収録曲と代表的な要素
このサウンドトラックからはシングルも切られており、アルバムの中で特に知られている楽曲のひとつとして扱われている。Mike Oldfieldの作品群の中では、メロディ主導のヒット曲とは別に、映画音楽としての機能性が前に出た作品である点が特徴的である。
映画『The Killing Fields』自体は、カンボジアを舞台にしたドラマ作品で、重い主題を持つ。そのため、音楽も装飾的というより、状況や感情の変化を支える役割が強い。Mike Oldfieldの作風の中でも、こうした題材に対して電子音と旋律を組み合わせていく手つきが見える。
日本盤について
今回の盤は日本で1985年にリリースされたもの。オリジナルの1984年盤に対して、レコード盤としての発売年が後から来る形である。盤面にはプロモーション・シンボルがある仕様とされ、録音はイングランド、ドイツ、スイスで行われている。
オリジナル盤と再発盤の大きな内容差については、ここでは盤情報として確認できる範囲に留まる。少なくとも作品そのものは1984年のサウンドトラックとして成立しており、日本盤はその後に出た流通版という位置づけである。
同時代の文脈
1980年代前半の映画音楽や電子音楽の文脈で見ると、この作品はシンセサイザーを使った映像音楽の流れの中に置ける。作曲家の個性を強く出しつつ、映画に合わせて機能する音楽という意味で、同時代のサウンドトラック作品と並べて語られることが多いタイプである。
ただし、Mike Oldfieldの場合は単なる劇伴作家というより、自身のアルバム制作で培った音の積み重ねや編集感覚を映画音楽に持ち込んでいる印象がある。だからこそ、ロックのファンと映画音楽のリスナーの両方から見られる作品になっている。
まとめ
『The Killing Fields (Original Film Soundtrack)』は、Mike Oldfieldの1984年作として、映画音楽とアルバム作品の中間にあるような一枚である。代表曲で知られる作家の別の側面、つまり映像に寄り添う構成力と音響設計を確認できる作品といえる。1985年の日本盤は、そのオリジナル作品を日本で手に取れる形にした盤である。
トラックリスト
- A1 – Pran’s Theme (0:45)
- A2 – Requiem For A City (1:45)
- A3 – Evacuation (5:10)
- A4 – Pran’s Theme – 2 (1:40)
- A5 – Capture (2:01)
- A6 – Execution (4:10)
- A7 – Bad News (1:10)
- A8 – Pran’s Departure (2:03)
- B1 – Worksite (1:18)
- B2 – The Year Zero (0:27)
- B3 – Blood Sucking (1:18)
- B4 – The Year Zero – 2 (0:36)
- B5 – Pran’s Escape / The Killing Fields (3:11)
- B6 – The Trek (1:58)
- B7 – The Boy’s Burial / Pran Sees The Red Cross (2:40)
- B8 – Good News (1:44)
- B9 – Etude (4:38)
関連動画
- Etude (From “The Killing Fields” Soundtrack / Remastered 2015)
- Evacuation (From “The Killing Fields” Soundtrack / Remastered 2015)
- Mike Oldfield – The killing fields – Etude
- Pran’s Theme (From “The Killing Fields” Soundtrack / Remastered 2015)
- Good News (From “The Killing Fields” Soundtrack / Remastered 2015)
- Requiem For A City (From “The Killing Fields” Soundtrack / Remastered 2015)
- Etude (From “The Killing Fields” Soundtrack / Remastered 2015 / Single Edit)
- Capture (From “The Killing Fields” Soundtrack / Remastered 2015)
- Mike Oldfield – The Killing Fields – Evacuation
- Mike Oldfield – The killing fields – Good news