Tangerine Dream – Sorcerer (Music From The Original Motion Picture Soundtrack) = 恐怖の報酬 (1977)
Tangerine Dream『Sorcerer (Music From The Original Motion Picture Soundtrack) = 恐怖の報酬』について
Tangerine Dreamの『Sorcerer (Music From The Original Motion Picture Soundtrack) = 恐怖の報酬』は、1977年の映画『恐怖の報酬』に向けて制作されたサウンドトラック作品で、バンドにとってハリウッドでの大きな転機になったアルバムです。映画監督ウィリアム・フリードキンが、バンドから提供された約90分のセッションテープから音楽を選んだ、というエピソードでも知られています。
日本盤は1978年リリース。電子音楽、シーン音楽、アンビエントの要素が交わる内容で、Tangerine Dreamが1970年代後半に築いたサウンドの一端をはっきり示す一枚です。
作品の位置づけ
Tangerine Dreamは、ベルリン・スクールの代表格として知られるドイツの電子音楽グループです。クラウトロックの流れから出発し、シンセサイザーとシーケンサーを軸にした演奏で、西側ロックの文脈に電子音楽を広く浸透させていきました。
『Sorcerer』は、その中でも映画音楽としての存在感が強い作品です。バンドのキャリアの中では、純粋なアルバム作品とは少し違う、映像と結びついた制作の成果として位置づけられる一枚といえるでしょう。1970年代半ばの代表的な時期の延長線上にあり、後年のサウンドトラック仕事へつながる流れも見えます。
サウンドの特徴
音の中心にあるのは、シンセサイザーの持続音と反復するフレーズです。そこに低い脈動感のあるリズムが重なり、画面の緊張感を支える作りになっています。メロディを前面に押し出すというより、場面の空気や移動感を音で組み立てていくタイプのサウンドです。
同時代の電子音楽や映画音楽の中でも、クラフトワーク的な機械性とは少し異なり、より流動的で、長いフレーズのうねりを感じさせるところがTangerine Dreamらしい部分です。後のシンセ主体の映画音楽に通じる感触もあります。
同時代の文脈
1970年代後半のTangerine Dreamは、ベルリン・スクールの中核として、Klaus SchulzeやAsh Ra Tempel周辺と並んで語られることが多い存在です。『Phaedra』以降に確立したシーケンサー主体のスタイルが、この時期の映画音楽にも自然に持ち込まれています。
『Sorcerer』は、そうしたバンドの電子音楽が、ロックの枠を超えて映像作品に深く入り込んだ例として見やすい作品です。サウンドトラックでありながら、Tangerine Dreamの流れの中では重要なアルバムのひとつとして扱われることが多い印象です。
まとめ
『Sorcerer (Music From The Original Motion Picture Soundtrack) = 恐怖の報酬』は、Tangerine Dreamの1970年代後半を代表するサウンドトラック作品です。映画の緊張感に寄り添うシンセサイザー中心の音作り、反復と持続で場面を支える構成、そしてハリウッド進出のきっかけとなった背景。そのあたりが、このアルバムの輪郭を作っています。
トラックリスト
- A1 Main Title (5:28)
- A2 Search (2:54)
- A3 The Call (1:57)
- A4 Creation (5:00)
- A5 Vengeance (5:32)
- A6 The Journey (2:00)
- B1 Grind (3:01)
- B2 Rain Forest (2:30)
- B3 Abyss (7:04)
- B4 The Mountain Road (1:53)
- B5 Impressions Of Sorcerer (2:55)
- B6 Betrayal (Sorcerer Theme) (3:38)
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Takayuki Inoue – 太陽を盗んだ男 (オリジナル・サウンドトラック) (1979)

井上堯之『太陽を盗んだ男(オリジナル・サウンドトラック)』について
井上堯之による『太陽を盗んだ男(オリジナル・サウンドトラック)』は、1979年に日本でリリースされた映画音楽作品。日本のロック・ギタリスト、作曲家、編曲家として知られる井上堯之が手がけたサウンドトラックで、ジャズ、ファンク/ソウル、クラシカルの要素を含む内容になっている。
作品の位置づけ
井上堯之は、The SpidersやPygでの活動でも知られ、のちには沢田研二のバックバンドでも長く活動した人物。この作品は、そうしたロックやポップスの現場で培われた感覚が、映画音楽の枠に置き換えられた一枚として見ることができる。ギターを軸にした作家性と、編曲家としての手つきが前面に出るタイプの仕事。
サウンドの印象
ジャンル表記どおり、ジャズやファンク/ソウルのリズム感が土台にあり、そこへストリングスや劇伴らしいクラシカルな処理が重なる構成。ビートは前に出すぎず、場面に合わせて細かく動く印象で、録音全体も映画音楽らしい整理された質感がある。派手さよりも、映像に沿って展開する緊張感や、フレーズの置き方が目立つ作品。
同時代の文脈
1970年代後半の日本では、ロック、ジャズ、ソウルの要素を取り入れた映画音楽が少なくない時期。この作品もその流れの中にあり、歌ものの作家とは少し違う角度から、都市的な空気やサスペンス性を支える役割を担っている。井上堯之のキャリア全体で見ても、バンド活動で培った演奏感覚が、劇伴という形式に結びついた一作といえる。
ひとことで
1979年の日本映画音楽らしい、ロック由来のギター感覚とジャズ/ファンクのリズムが交差するサウンドトラック。井上堯之の演奏家・作編曲家としての輪郭が、そのまま作品の空気になっている一枚。
トラックリスト
- A1 Introduction (1:18)
- A2 Makoto (3:52)
- A3 原爆 Part 1 (0:54)
- A4 原爆 Part 2 (0:58)
- A5 Yamashita (1:16)
- A6 プルトニウム・ラヴ (3:04)
- A7 Zero (1:40)
- A8 太陽を盗んだ男 (4:55)
- A9 笑う原爆 (2:42)
- B1 A. Bomb (3:35)
- B2 Sunrise (1:27)
- B3 ゼロと誠 (1:11)
- B4 Pu 239 (3:25)
- B5 動揺 (2:17)
- B6 カーチェイス (4:22)
- B7 No. 9 (1:20)
- B8 太陽を盗んだ男 (3:12)