Zygoat – Zygoat (1974)
Zygoat / Zygoat(1974年作品、1982年盤)
「Zygoat」は、ニューヨークを拠点に活動したキーボード奏者、Burt Alcantaraによるプロジェクトの名義作として知られる作品だ。1974年にオリジナルが出ているが、ここで扱うのは1982年に日本で出た盤。電子音楽の初期、しかもシンセサイザーを前面に置いた先駆的なアルバムとして位置づけられている。
作品の輪郭
内容は、電子音の動きそのものを聴かせるタイプのアルバム。ジャンル表記はElectronic、スタイルはExperimentalとAmbient。楽曲を強く押し出すというより、音色、持続音、モジュレーションの変化で空気を組み立てていく作りに目が向く。ダンス作品を専門にしていたキーボード奏者のプロジェクトという背景もあり、リズム感のある場面と、音の広がりを重視する場面が同居している印象の一枚だ。
1970年代前半のシンセサイザー作品として見ると、同時代の電子音楽の流れの中でもかなり早い段階の記録に入る。ドイツのクラウトロック系や、米国の実験音楽、初期アンビエント周辺と並べて語られることがありそうな内容で、機材の新しさをそのまま作品化したような性格がある。
聴きどころ
実際の音像は、メロディを追うというより、シンセの発音や残響の変化を追っていくタイプだ。音の輪郭がくっきり出る場面もあれば、レイヤーが重なってまとまりのある流れになる場面もある。電子音の表情をひとつずつ見せる進行で、当時のシンセ作品らしい手触りが前に出ている。
代表曲として広く知られた曲名が目立つ作品ではなく、アルバム全体で聴かれる性格が強い。なので、1曲だけを切り出すより、通して聴いたときの音の配置や質感の変化が、この作品の中心になっている。
アーティストの位置づけ
Burt Alcantaraのプロジェクトとしては、ダンス作品向けの仕事を背景にしながら、より実験的な電子音楽へ踏み込んだ記録と見てよさそうだ。シンセサイザーがまだ新しい表現手段として扱われていた時期に、その可能性を前面に出した点で、彼の仕事の中でも特に実験性の強い位置を占める作品に見える。
1982年盤について
この盤は日本でのリリースで、ジャケットには帯と片面印刷のインサートが付く仕様。1982年盤として流通しているため、オリジナルの1974年盤とは発売時期が異なる。日本盤らしい丁寧な体裁で再紹介された一枚、と捉えられる。
まとめ
「Zygoat」は、初期シンセサイザー音楽の記録として見どころのある作品だ。実験性とアンビエント性が前に出た構成で、1970年代前半の電子音楽が持っていた試行錯誤の空気を、そのまま封じ込めたような内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Leaves Of Sand
- A2 – Zygoat
- A3 – Ybur Knom
- A4 – Pillar Of Salt
- A5 – Movement To The Earth
- A6 – Seeds Cast To The Wind
- B1 – Zy-Clone
- B2 – Ybur Doon
- B3 – Zygomania
- B4 – The Ladder Of Zeugma
- B5 – The Libran Sea
- B6 – Perseverance Furthers