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Curved Air – Phantasmagoria (1972)

Curved Air『Phantasmagoria』(1972)について

Curved Airは、1970年に結成されたイギリスのプログレッシブ・ロック・バンドで、1972年の『Phantasmagoria』はその初期を代表する作品のひとつだ。バンドの中心にいるのは、ヴォーカルのSonja Kristinaと、Darryl Way、Francis Monkmanらの個性の強い演奏陣。ストリングスやシンセサイザーも含めた編成で、当時の英国プログレらしい実験性と、歌曲としてのまとまりが同居しているアルバムとして知られている。

この作品は、Curved Airの2作目にあたり、前作『Air Conditioning』に続いてバンドの方向性をはっきり示した時期の録音だ。1972年3月、ロンドンのAdvision Studiosで録音され、例外のある曲を除いてそこで制作されている。ジャケットやクレジットからも、当時のスタジオ技術を積極的に使った作品であることが読み取れる。

作品の特徴

『Phantasmagoria』では、ロックの基本形に加えて、変拍子、クラシカルな旋律、電子音響的な処理が前面に出る。曲によってはアコースティックな響きよりも、編集やシンセサイザーの処理そのものが楽曲の構成要素になっている。特にB面の一部では、声をコンピュータで解析・加工したうえで使用しており、当時としてはかなり実験的な制作だ。

録音クレジットを見ると、E.M.S.(London)での作業や、Synthi 100 Synthesizerの使用が記されている。Peter Zinovieffの許可のもとで制作されたトラックもあり、電子音楽の文脈とも接点がある内容だ。プログレッシブ・ロックの中でも、演奏の技巧だけでなく音響処理まで踏み込んだ時期の作品として位置づけやすい。

収録曲にまつわるメモ

この盤のクレジットには、曲ごとの制作上の注記が残っている。

  • Track A4には「Also featuring Doris the Cheetah」とある。曲のクレジット上の遊び心が見える部分。
  • Track A5はE.M.S.で録音され、Synthi 100 Synthesizerでシーケンスされたと記されている。
  • Track B2はSonja Kristinaの声をPDP 8/LコンピュータとSynthi 100で解析・処理した素材のみで構成されていると明記されている。

こうした記述からも、単なるバンド演奏の記録ではなく、スタジオそのものを使った実験が作品の中核にあることがわかる。曲名やクレジットの段階で、すでに音の作り方を見せているアルバムだ。

バンド内での位置づけ

Curved Airは、ヴァイオリンを前に出した編成や、Sonja Kristinaの歌唱で知られるバンドだが、『Phantasmagoria』ではその特徴がかなり明確に出ている。Darryl Wayのヴァイオリン、Francis Monkmanのキーボード、Sonja Kristinaの歌がそれぞれ別の役割を持ちながら、曲ごとに組み替わっていく印象がある。

この時期のCurved Airは、同時代の英国プログレの中でも、YesやGenesisのような大編成の組曲路線とは少し異なり、室内楽的な感触と電子音響をつなげる方向に特徴がある。比較対象としては、音の実験を積極的に取り入れたグループや、ヴァイオリンを含む編成のプログレ・バンドが思い浮かぶ。

代表曲について

『Phantasmagoria』からは、アルバム全体の流れの中で聴かれる曲が多いが、収録曲の中にはバンドの個性を示す楽曲が並ぶ。特定の一曲だけが切り出されるというより、演奏、歌、電子処理の組み合わせでアルバムとして印象が残るタイプの作品だ。ヒット曲中心の作りではなく、作品全体の構成を追う楽しみがある。

日本盤について

この日本盤は1972年のリリースで、バックカバーにはWarner-Pioneerのクレジットが入っている。オリジナルと同年のリリースなので、内容面では当時の作品性をそのまま伝える盤と見てよさそうだ。レコードの流通面では日本国内向けの仕様が付く時代の一枚で、ブックレットやジャケット表記の違いがコレクション上の見どころになることもある。

まとめ

『Phantasmagoria』は、Curved Airの初期を代表する1972年のアルバムで、プログレッシブ・ロックの演奏性と、スタジオ実験の両方がはっきり出た作品だ。ロンドン録音、電子音楽的な処理、Sonja Kristinaの声を素材にしたトラックなど、当時の技術を使い切る姿勢が記録されている。バンドの個性がそのままアルバムの構造になっている一枚、という印象が強い。

トラックリスト

  • A1 – Marie Antoinette (6:20)
  • A2 – Melinda (More Or Less) (3:25)
  • A3 – Not Quite The Same (3:44)
  • A4 – Cheetah (3:33)
  • A5 – Ultra-Vivaldi (2:22)
  • B1 – Phantasmagoria (3:15)
  • B2 – Whose Shoulder Are You Looking Over Anyway? (3:24)
  • B3 – Over And Above (8:36)
  • B4 – Once A Ghost Always A Ghost (Dedicated To Al & Bena) (4:25)
2026.07.18
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