Michael Franks – The Art Of Tea (1975)
Michael Franks『The Art Of Tea』について
Michael Franksの『The Art Of Tea』は、1975年にオリジナル・リリースされた作品で、ジャズとポップスのあいだを行き来する落ち着いた空気を持つアルバムだ。アメリカ出身のシンガー/ソングライターとして知られるFranksは、いわゆる“quiet storm”の流れでも語られる人物で、この作品でも歌と演奏の間合いの取り方にその持ち味が見える。
手元の盤は1976年の日本盤。Warner-Pioneer製で、ブラウン・ラベル、ヴァージン・ビニール、歌詞カード付き、オビ付き、シーラブルなポリ・シース入りという仕様になっている。日本盤らしい丁寧なパッケージで、当時の輸入盤や国内流通盤の雰囲気をよく伝える一枚だ。
作品の位置づけ
『The Art Of Tea』は、Michael Franksの初期の代表作として扱われることが多い。1970年代半ばのジャズ・ポップ、ソフトなAOR、都会的なシンガーソングライター作品の流れの中に置くと、かなりわかりやすい存在だ。派手な演奏で押すタイプではなく、曲そのものの輪郭と、声の置き方で聴かせるアルバムという印象が強い。
同時代の耳で見ると、Steely Dan周辺の緻密なポップ感や、ジャズ寄りのシンガー作品を好む層と近いところにある。ただし、Franksはより軽い足取りで、言葉の運びとメロディの滑らかさを前に出すタイプだ。ジャズの演奏感とポップスの聴きやすさのあいだで、過度に寄せすぎないバランス感覚がある。
音の印象
このアルバムは、録音日が1975年5月22日、5月27日、6月9日と記されている。セッション単位で少しずつ積み上げたような作りで、曲ごとの表情の違いも出やすい。全体としては、夜の室内に合うような静かな進行、輪郭のはっきりしたベース、柔らかい鍵盤、必要以上に前へ出ないリズムが印象に残る。
Michael Franksの歌い方は、声量で押すよりも、フレーズの置き方で聴かせるタイプだ。言葉を急がず、メロディの流れに沿って自然に進むので、歌詞のニュアンスが耳に入りやすい。ジャズ・ヴォーカルの技巧を全面に出すというより、ソングライターとしての組み立てが前にある。
代表曲として知られる曲
本作からは「Popsicle Toes」がよく知られている。Michael Franksの代表曲のひとつとして挙げられることが多く、のちの彼のイメージを形づくる曲でもある。メロディの親しみやすさと、少しひねった言葉選びが同居していて、アルバム全体の方向性をつかみやすい。
ほかの曲でも、過度に大きな展開を作らず、細部で聴かせる作りが続く。曲単位で派手さを競うというより、アルバム全体で同じ温度を保ちながら進む構成だ。
日本盤としての特徴
この日本盤は、1975年のオリジナル作品を1976年に日本で流通させたもの。ブラウン・ラベルの初期国内盤らしい見た目に加え、歌詞カードとオビが付くことで、当時の国内リリースとしてのまとまりがある。ヴァージン・ビニール表記もあり、盤質への意識がうかがえる仕様だ。
オリジナル盤との違いを盤の仕様だけで見ると、やはり日本盤特有の付属物の充実が目につく。ジャケット、オビ、歌詞カードを含めて一式で残っていると、作品そのものだけでなく、当時の日本での受け止められ方まで想像しやすい。
まとめ
『The Art Of Tea』は、Michael Franksのソングライターとしての輪郭がはっきり出た1975年作。ジャズ、ポップス、バラードの要素を、過不足なくまとめたアルバムだ。日本盤は1976年仕様で、国内盤らしい装丁とあわせて、作品の時代感も感じやすい一枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Nightmoves (4:03)
- A2 – Eggplant (3:34)
- A3 – Monkey See-Monkey Do (3:33)
- A4 – St. Elmo’s Fire (3:58)
- A5 – I Don’t Know Why I’m So Happy I’m Sad (4:16)
- B1 – Jive (3:16)
- B2 – Popsicle Toes (4:35)
- B3 – Sometimes I Just Forget To Smile (3:45)
- B4 – Mr. Blue (4:03)