Angelo Branduardi – Highdown Fair (1976)
Angelo Branduardi『Highdown Fair』について
Angelo Branduardiは、1940年代以降の英米フォークの流れとも接点を持ちながら、イタリアの伝承歌や中世音楽の感触をポップスの形式へ持ち込んだシンガー・ソングライター、作曲家だ。デビュー以降、ダルシマーやパンフルート、リュートなどの音色を交えた編成で知られ、この『Highdown Fair』もその持ち味がはっきり出た1枚として扱われている。オリジナルは1976年の作品で、こちらのUK盤は1979年リリースとなる。
英語詞で組み直された『Highdown Fair』
この盤は英語版として出された作品で、クレジットには「original lyrics」をもとにPeter Sinfieldが書き、プロデュースも手がけたと記されている。Branduardi本人の作品を、英語圏向けに新たに整理した位置づけと見てよさそうだ。収録にはイタリア語版、英語版、フランス語版が含まれるという記載もあり、同じ楽曲が言語ごとに別の表情を持つ構成になっている。
タイトル曲「Highdown Fair」は、ユダヤ教の過越祭の歌に自由に着想を得たというエピソードが残っている。宗教曲や民謡の断片を、Branduardiらしい旋律感に置き換えていく作法がうかがえる一曲だ。こうした出自は、単なるフォークロックというより、民俗音楽の素材をポップな歌に組み替えるタイプの作品として見えてくる。
作品の輪郭
ジャンル表記はRock、Pop、スタイルはFolk Rock、Ballad。実際、リズムを前に出しすぎず、歌と旋律の流れを軸にした作りが中心に置かれている。Branduardiのディスコグラフィーの中では、イタリア語圏での活動だけでなく、英語での発信を試みた時期を示す重要な一枚といえる。
当時のヨーロッパ系フォークロックには、英国のケルト系リバイバルや、アコースティック主体のシンガー・ソングライター作品との共通点がある。ただしBranduardiは、そこに中世風の旋律や東欧・地中海圏の響きを混ぜる点で、単純な英国フォークの延長には収まらない。比較対象としては、伝統曲を現代化するタイプのアーティストや、物語性の強いソングライターが思い浮かぶ。
盤の仕様と再発盤の特徴
このUK盤は1979年のリリースで、粗めの紙質の見開きジャケット、内側見開きに歌詞掲載という仕様になっている。見た目の情報としては、歌詞を追いながら聴く前提の作りだ。作品本体は1976年のオリジナルに属するが、こちらの盤では英語版としてのまとまりが前面に出ている。
オリジナル盤との違いとしては、少なくとも英語版として提示されている点が大きい。言語違いの収録や、Peter Sinfieldによる英語詞のクレジットがあることで、同じ素材でも受け取られ方が変わる構成になっている。
まとめ
『Highdown Fair』は、Angelo Branduardiの伝承音楽への関心と、英語圏向けの再構成が交差する作品だ。民謡由来の旋律、バラード寄りの歌、そして多言語版の併録という要素が並び、この時期のBranduardiを知るうえでの入口になっている。タイトル曲の由来も含めて、歌の背景をたどる楽しみがある盤だ。
トラックリスト
- A1 – Highdown Fair
- A2 – The Herons
- A3 – Old Men And Butterflies
- A4 – Lullaby To Sarah
- A5 – The Song Of Eternal Numbers
- B1 – The Stag
- B2 – The Funeral
- B3 – The Man And The Cloud
- B4 – Under The Lime Tree
- B5 – A Song Of Regret