Genesis – Invisible Touch (1986)
Genesis『Invisible Touch』について
Genesisの『Invisible Touch』は、1986年に発表されたアルバムで、バンドの80年代を代表する一枚として知られている作品だ。Peter Gabriel脱退後にPhil Collinsがフロントマンを務める体制が定着してからの作品で、プログレッシブ・ロックの出自を持ちながら、より広い層に届くポップ寄りのサウンドへと進んだ時期の到達点にあたる。Rock、Soft Rock、Pop Rockの文脈で語られることが多いアルバムでもある。
バンドの流れの中での位置づけ
Genesisは1967年にイングランドで結成されたグループで、初期は複雑な曲構成や演奏面の緻密さで評価を集めた。その後、1975年にPeter Gabrielが離れ、Phil Collinsがリード・ヴォーカルを担当するようになると、音楽性はより親しみやすい方向へ移っていく。1980年代に入ると、その変化は明確になり、Tony Banks、Mike Rutherford、Phil Collinsの3人を軸にした時期に大きく人気を伸ばした。
『Invisible Touch』は、その流れの中でも特にヒット性の高い楽曲を揃えたアルバムとして位置づけられる。Genesisのキャリア全体で見ても、70年代の組曲的な作品群とは違う側面が前面に出た一枚で、80年代ポップ・ロックの文脈で聴かれることが多い。
代表曲とアルバムの特徴
タイトル曲「Invisible Touch」は、このアルバムを語るうえで外せない代表曲だ。シンセサイザーのリフとPhil Collinsの歌が前に出る作りで、Genesisの中でも特に覚えやすいシングルとして知られている。ほかにも、シングルとして広く流通した曲が複数あり、アルバム全体としてもメロディの分かりやすさとリズムの明快さが印象に残る構成になっている。
一方で、完全に軽いポップ作品というわけでもなく、演奏やアレンジの中にはGenesisらしい細かな作り込みが見える。70年代からのファンにとっては、バンドがどの地点までポップ化したのかを確かめる作品でもあり、80年代の大衆性とバンド固有の手触りが同居したアルバムとして受け止められてきた。
同時代の文脈
1986年という年は、ロックの中でもシンセや電子的な音色が広く使われていた時期で、Genesisもその流れの中にある。プロッグの出自を持つバンドが、80年代のメインストリームに寄せていく例は珍しくなく、同時代の聴き手には、より洗練されたポップ・ロックとして届いていたはずだ。Genesisの場合は、演奏の精密さとシングル志向の強さが並んでいる点が特徴的だ。
日本盤について
今回の日本盤は、帯付きで4ページのインサートが付属する仕様。インサートには写真、英語詞、日本語詞、解説が収録されている。収録時間はこのインサート記載のものが採用されており、世界各国盤の表記と異なる点がある。さらに、ジャケット表面の手の黒い印刷や、裏面のオレンジのラインがエンボス加工になっているのも、この盤の見どころだ。
まとめ
『Invisible Touch』は、Genesisが80年代に到達したポップ・ロック路線を分かりやすく示すアルバムだ。バンドの初期を知っていると、その変化がよりはっきり見えるし、この時期から入ると、代表曲の強さとアルバム単位での整理された作りが印象に残りやすい。Genesisの歴史の中でも、1986年という年の空気をまとった作品として捉えやすい一枚である。
トラックリスト
- A1 – Invisible Touch (3:27)
- A2 – Tonight, Tonight, Tonight (8:50)
- A3 – Land Of Confusion (4:45)
- A4 – In Too Deep (4:58)
- B1 – Anything She Does (4:06)
- Domino (10:43)
- B3 – Throwing It All Away (3:49)
- B4 – The Brazilian (4:50)