Pink Floyd – The Division Bell (1994)
Pink Floyd『The Division Bell』について
Pink Floydの『The Division Bell』は、1994年に発表された14作目のスタジオ・アルバムだ。ロンドンで結成されたこのバンドが、1960年代のサイケデリック期から発展させてきた音の作り方を、90年代の時点でまとめ直したような作品として位置づけられている。
オリジナルは1994年リリース。今回の盤は2014年のヨーロッパ盤で、20周年記念のダブル・ヴァイナル仕様になっている。180グラム重量盤で、オリジナルのアナログ・マスターから2014年にフル尺でカッティングされたとされる。さらに320kbpsのMP3ダウンロード券も付属する仕様だ。
作品の位置づけ
この時期のPink Floydは、デヴィッド・ギルモア、ニック・メイスン、リチャード・ライトを中心とする編成で活動していた。『The Division Bell』は、そうした体制で作られた後期Pink Floydの代表作のひとつとして語られることが多い。前作『A Momentary Lapse of Reason』に続き、バンド名義の作品としては90年代の到達点に当たるアルバムだ。
内容面では、長めの曲構成、音の層を重ねたギターと鍵盤、会話や環境音を含む演出が目立つ。Pink Floydらしい実験性は保ちながらも、70年代の大作主義をそのまま繰り返すというより、より整理された形で提示している印象がある。
制作とエピソード
このアルバムは1993年1月から12月にかけて録音され、1994年3月28日にイギリスでEMIから、4月4日にアメリカでColumbiaから発売された。アルバム・タイトルは作家ダグラス・アダムスが提案したもので、ギルモアはその返礼として環境保護団体への寄付を行った、というエピソードが知られている。
また、アダムスの42歳の誕生日には、バンドとともにライブで演奏するためのバウチャーも贈られたとされる。こうした周辺の話題も、この時期のPink Floydの作品らしい、音楽とユーモアと知的なやり取りが交差する空気を感じさせる。
収録曲と聴きどころ
代表曲としてまず挙がるのは「Take It Back」だ。シングルとしても知られ、アルバムの中で比較的わかりやすい輪郭を持つ楽曲になっている。ほかにも「High Hopes」はこの作品を代表する1曲として扱われることが多く、アルバムの締めくくりとして印象に残る。
曲ごとの構成は、ギルモアのギター、ライトの鍵盤、メイスンのドラムが、それぞれ前に出たり引いたりしながら進む形だ。歌ものとしてのまとまりと、組曲的な展開が同居しているのがこのアルバムの特徴と言える。
2014年ヨーロッパ盤について
今回の2014年盤は、初のこのフォーマットでの再発とされる20周年ダブル・ヴァイナル版だ。オリジナルの1994年盤と比べると、180グラム重量盤、アナログ・マスターからの再カッティング、ダブルLP化という点が大きな違いになる。音源の内容自体はオリジナル・アルバムを軸にしつつ、アナログ盤としての出し方が見直された再発盤という位置づけだ。
Pink Floydというバンドは、同時代のプログレッシブ・ロックの中でも、GenesisやYesのような技巧性の強いグループとは別の、音響設計やコンセプト重視の方向で語られることが多い。この『The Division Bell』でも、その系譜ははっきりしている。派手な演奏で押し切るというより、曲間のつながりや音の配置でアルバム全体を組み立てるタイプの作品だ。
まとめ
『The Division Bell』は、Pink Floydの後期を代表する1994年作であり、2014年のヨーロッパ盤は20周年記念のダブル・ヴァイナルとして出た再発盤だ。後期Pink Floydの音作り、代表曲「High Hopes」、そしてダグラス・アダムスとのエピソードなど、作品の周辺も含めて語りやすい1枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Cluster One (5:58)
- A2 – What Do You Want From Me (4:21)
- A3 – Poles Apart (7:04)
- B1 – Marooned (5:29)
- B2 – A Great Day For Freedom (4:17)
- B3 – Wearing The Inside Out (6:49)
- C1 – Take It Back (6:12)
- C2 – Coming Back To Life (6:19)
- C3 – Keep Talking (6:11)
- D1 – Lost For Words (5:14)
- D2 – High Hopes (8:31)