Todd Rundgren – Todd (1974)
Todd Rundgren『Todd』について
Todd Rundgrenが1974年に発表した通算5作目のアルバムが『Todd』だ。前作『A Wizard, A True Star』で一気に実験性を押し広げたあと、その流れを受けて制作された2枚組作品で、70年代中期のRundgrenを語るうえで外せない1枚になっている。ポップ、ソウル、ハード寄りのロック、断片的な実験性まで、当時の彼の振れ幅がそのまま入った作品という印象が強い。
作品の位置づけ
Rundgrenはソロ初期から、シンガーソングライターとしての分かりやすさと、プロデューサー気質の細かい構成感を両立させてきたが、『Todd』ではその両面がかなりはっきり出ている。『Something/Anything?』の流れを引きつつ、前作で見せた大胆な構成の感覚をさらに広げた時期の作品で、のちのUtopia期へつながる実験性の入口としても見られる。
同時代の比較でいえば、単純なAORやシンガーソングライター路線だけでは収まらず、Brian Wilson的な緻密さや、英米のプログレ/アートロックの空気を思わせる場面もある。とはいえ、どの曲もRundgren自身の声と手触りが中心にある点が特徴的だ。
収録曲と知られた楽曲
このアルバムには、後に広く知られる楽曲として「A Dream Goes On Forever」「The Last Ride」「Someone’s Gotta Change」などがある。「A Dream Goes On Forever」は、メロディの運びがわかりやすく、Rundgrenのソングライターとしての強さが前面に出た曲としてよく触れられる。アルバム全体の中でも、比較的入り口の広い一曲だ。
一方で、アルバム後半には短い断片や展開の細かい曲もあり、通して聴くと曲ごとの性格差がかなり大きい。整ったポップソングだけで進む作品ではなく、曲順そのものがひとつの流れとして組まれている印象がある。
音の印象
実際に聴くと、輪郭のはっきりした歌ものと、急に空気が変わるようなパートが同居しているのがわかる。ギター、キーボード、コーラスの重ね方にRundgrenらしい細工があり、楽曲によっては柔らかい歌声が前に出る一方、別の曲ではリズムや音色の切り替えが主役になる。2枚組という長さもあって、1曲ごとの性格がかなり立っている。
1974年のUS盤としてのオリジナルは、その時代のRundgrenらしいアナログ感が前提にあるが、2022年盤ではその作品を現代のリイシューとして聴ける形になっている。オリジナルの制作年を軸に見ると、70年代中盤のRundgrenの到達点のひとつとして置かれる作品だ。
アーティストの流れの中で
Rundgrenはこの時期、ソロ活動だけでなくプロデューサーとしても存在感を強めていた。本人の作品ではポップから実験的な方向まで広く動きつつ、他アーティストの制作にも関わっていた時期で、『Todd』はその多面的な活動の中でも、ソングライターとしての力量とアレンジャーとしての構成感がまとまって見えるアルバムといえる。
その後の『Initiation』やUtopiaへ進む前段階としても重要で、Todd Rundgrenの70年代をつかむうえで、かなり中核にあるタイトルだ。
トラックリスト
- A1 – How About A Little Fanfare
- A2 – I Think You Know
- A3 – The Spark Of Life
- A4 – An Elpee’s Worth Of Toons
- A5 – A Dream Goes On Forever
- A6 – Lord Chancellor’s Nightmare Song
- B1 – Drunken Blue Rooster
- B2 – The Last Ride
- B3 – Everybody’s Going To Heaven / King Kong Reggae
- C1 – Number 1 Lowest Common Denominator
- C2 – Useless Begging
- C3 – Sidewalk Cafe
- C4 – Izzat Love?
- C5 – Heavy Metal Kids
- D1 – In And Out The Chakras We Go (Formerly: Shaft Goes To Outer Space)
- D2 – Don’t You Ever Learn
- D3 – Sons Of 1984