Kano – New York Cake (1981)
Kano『New York Cake』(1981年)について
Kanoは、1980年代前半のイタリアン・ディスコ、いわゆるイタロ・ディスコの流れを語るうえで外せないプロジェクトだ。イタリアのプロデューサー、作曲家、ミュージシャンたちによる集団で、Glen Whiteのソウル寄りのボーカルを軸に、ダンスフロア向けの曲をいくつも残している。『New York Cake』は1981年にリリースされた作品で、Kanoの初期3作の中でも後期にあたる一枚になる。
この時期のKanoは、ディスコの延長線上にありながら、打ち込み感の強いリズムやシンセの使い方で、のちのエレクトロやブレイクダンス期へつながる感触を持っている。イタロ・ディスコの起点のひとつとして見られることが多いのも、そのあたりの動きが大きい。
作品の位置づけ
『New York Cake』は、Kanoの1981年作として位置づけられるアルバムで、同グループの初期キャリアの流れを追ううえで重要な一枚だ。1980年の「I’m Ready」や「It’s A War」でクラブヒットを出したあと、1981年の本作では、当時のダンス・ミュージックの語法をさらに整理したような印象がある。
録音はイタリア・ミラノのG.R.S. Studiosで行われている。制作の中心にはStefano Pulga、Luciano Ninzatti、Matteo Bonsanto、そしてGlen Whiteの名前が並ぶ。Mirage Recordsからのリリースで、1981年のUS盤として出ている。
サウンドの印象
実際の楽曲は、ビートの輪郭がはっきりしていて、ベースラインとシンセの反復が前に出る作りになっている。Kanoらしいのは、機械的なリズムだけで押し切らず、ボーカルにR&B寄りのニュアンスが残っているところだ。ディスコの華やかさよりも、クラブで長く回ることを意識した構成に近い。
同時代の比較でいえば、同じくイタロ・ディスコの文脈にあるプロジェクト群や、USのブギー、さらにロボット感のある初期エレクトロの間をつなぐ感触がある。派手さで押すタイプというより、リズム、シンセ、ボーカルの配置で場を作る作品という印象。
代表曲との関係
Kanoを代表する曲としては「I’m Ready」「It’s A War」がよく知られている。これらはクラブ向けの反応が強く、Kanoの名を広めた重要曲だ。本作『New York Cake』も、その流れの中にある作品として捉えられる。アルバム単位で聴くと、ヒット曲で知られる前後のサウンドの整理が見えやすい。
盤の情報
- アーティスト: Kano
- タイトル: New York Cake
- オリジナルリリース年: 1981年
- リリース国: US
- レーベル: Mirage Records
- 録音: G.R.S. Studios, Milano, Italy
- ジャンル: Electronic, Funk / Soul
- スタイル: Italo-Disco, Boogie
まとめ
『New York Cake』は、Kanoがイタロ・ディスコの初期を代表する存在として見られる理由を確認しやすい作品だ。ディスコの延長、ブギーの感覚、そしてエレクトロへ向かう手前の空気が同居している。1981年という時期のダンス音楽の変化を、イタリア制作のプロジェクトがUS市場に向けて形にした一枚として読むこともできる。
トラックリスト
- A1 – Can’t Hold Back (Your Loving) (4:45)
- A2 – She’s A Star (5:50)
- A3 – Baby Not Tonight (6:58)
- B1 – Party (5:55)
- B2 – Round And Round (4:59)
- B3 – Don’t Try To Stop Me (7:00)
関連動画
Nile Rodgers – Adventures In The Land Of The Good Groove (1983)
Nile Rodgers『Adventures In The Land Of The Good Groove』(1983)
Nile Rodgersが1983年に発表した『Adventures In The Land Of The Good Groove』は、ギタリスト、ソングライター、プロデューサーとして知られる彼のソロ作のひとつだ。Chicでの活動や、Bernard Edwardsとの共同作業で築いたディスコ以降のダンス・ミュージックの流れを、そのまま80年代初頭のエレクトロ/ファンクへつないでいく作品として位置づけられる。
作品の輪郭
ジャンルはElectronic、Funk / Soul、スタイルはElectro、Funk、Boogie。タイトル通り、グルーヴを軸にした作りで、リズムの推進力が前に出る内容だ。Nile Rodgersらしいカッティング・ギターの処理と、シンセや打ち込みの質感が重なり、ディスコの延長線上にありながら、より80年代的な機械感も見える。
サウンドの印象としては、ベースとドラムの反復がしっかり土台を作り、その上でギターが細かく刻まれる構成が目立つ。華やかさよりも、ビートの連続性と身体的なノリが前面に出るタイプのアルバムだ。
アーティストの流れの中で
Nile Rodgersは1952年生まれのニューヨーク出身。1970年代後半のディスコ・シーンでChicの一員として重要な役割を担い、その後はDiana Ross、David Bowie、Madonna、Duran Duran、Grace Jonesなど、多くのアーティストのプロデュースでも知られる。そうした経歴を踏まえると、この作品も単なるソロ名義のアルバムというより、彼の持つグルーヴ設計の感覚を前面に出した一枚として見えてくる。
1983年という時期は、ディスコの流れを受けたファンクやブギーが、エレクトロやポップの要素と結びついていく時代でもある。このアルバムも、その同時代的な空気の中に置くと分かりやすい。Chicの洗練されたリズム感を引き継ぎながら、より80年代の音像へ寄せた印象がある。
この時期の文脈
同時代のファンク/ダンス系の作品と比べると、派手な歌モノというより、演奏とプロダクションの組み立てで聴かせるタイプに近い。The SystemやShalamar周辺の80年代初期のブラック・コンテンポラリー、あるいはブギー寄りのダンス・サウンドと並べて語られることもありそうだ。
タイトル曲を含むアルバム全体が、Nile Rodgersの仕事の核である「踊れるリズムの精度」を示している。ヒット曲を前面に押し出すというより、彼のギターとプロダクションの感覚をまとまった形で聴ける内容になっている。
まとめ
『Adventures In The Land Of The Good Groove』は、Nile Rodgersのディスコ以後の展開を、1983年のエレクトロ/ファンク/ブギーの文脈で捉えられる作品だ。グルーヴ主体の構成、カッティング・ギターの存在感、80年代初頭らしい音の輪郭。そのあたりが、この時期の彼らしさとして見えてくる。
トラックリスト
- A1 The Land Of The Good Groove (5:05)
- A2 Yum-Yum (5:36)
- A3 Beet (4:13)
- A4 Get Her Crazy (6:14)
- B1 It’s All In Your Hands (4:50)
- B2 Rock Bottom (5:50)
- B3 My Love Song For You (4:24)
- B4 Most Down (5:37)