Madonna – Like A Virgin (1984)

80年代ポップを決定づけた不滅のアンセム、その真髄が宿る12インチ・エクステンデッド

1984年秋、MTVでのセンセーショナルなパフォーマンスとともに世界中を席巻し、マドンナ(Madonna)を時代の絶対的アイコンへと押し上げた記念碑的シングル『Like A Virgin』。本作は、SireレーベルからリリースされたUSオリジナル12インチ・マキシシングル(カタログ番号: 0-20239)である。アルバム・バージョンとは一線を画すクラブフロア仕様のエクステンデッド・リミックスと、重量感あふれるアナログの音圧設計が施された、80年代ダンスカルチャーの金字塔と呼ぶにふさわしい一枚だ。

Chicの強靭なリズムセクションとナイル・ロジャースの手腕

『Like A Virgin』のプロデュースを手掛けたのは、Chicのギタリストであり、デヴィッド・ボウイの『Let’s Dance』を世界的大ヒットに導いたばかりのナイル・ロジャース(Nile Rodgers)。ロジャースは本作のレコーディングにあたり、Chicの盟友であるバーナード・エドワーズ(Bernard Edwards)をベースに、トニー・トンプソン(Tony Thompson)をドラムに起用した。

エドワーズが繰り出すタイトで粘りのあるベースラインと、トンプソンのヘヴィかつ正確無比なビートは、単なるシンセポップの枠を完全に超越した強靭なファンクの骨格を楽曲に与えている。そこにキーボーディストのロブ・サビノ(Rob Sabino)によるきらびやかなシンセサイザーのレイヤーと、ロジャース特有のカッティング・ギターが重なり、マドンナのコケティッシュでありながら芯のあるボーカルが鮮烈なコントラストを描き出す。

ジェリービーンによるフロア仕様の再構築とHerb Powers Jr.のカッティング

Side Aに収められた「Like A Virgin (Extended Dance Remix)」(6分07秒)は、当時マドンナのブレーンであり、ニューヨークの伝説的メガクラブ「Funhouse」のレジデントDJとして君臨していたジョン・“ジェリービーン”・ベニテス(John “Jellybean” Benitez)がリミックスを担当。イントロのパーカッシブなビートの引き伸ばし、ボーカルフレーズのリピートやダブワイズな抜き差し、そしてエドワーズのベースグルーヴを極限まで強調した展開は、当時のストリートとクラブシーンの熱気をそのまま真空パックした見事な仕上がりを見せる。

さらに特筆すべきは、ニューヨークの名門スタジオ「Frankford/Wayne Mastering Labs」にて名匠ハーブ・パワーズ・ジュニア(Herb Powers Jr.)が手掛けたラッカーカットだ。深溝の12インチ45回転仕様によって、アルバムLPでは味わえない図太いキックのアタックとベースの解像度、そして抜けの良いハイハットの質感が余すところなく盤面に刻み込まれている。

ニューヨークのアンダーグラウンドから世界のメインストリームへ

Side Bには、マドンナと初期からのコラボレーターであるスティーヴ・ブレイ(Steve Bray)の共作による「Stay」をカップリング。ロジャースのプロデュースによるメロウかつダンサブルなエレクトロ・ファンクであり、マドンナが本来持っていたストリート由来のブラック・コンテンポラリー感覚が濃厚に息づいている。

DanceteriaやFunhouseといったニューヨークのクラブカルチャーから飛び出し、MTVという映像メディアを味方につけて世界のメインストリームを塗り替えたマドンナ。その過渡期における生々しいフロアのエネルギーと、ナイル・ロジャースをはじめとする超一流ミュージシャンたちの技巧が奇跡的なバランスで結実した、まさに歴史的価値の高い12インチ盤である。

トラックリスト

  • A - Like A Virgin (Extended Dance Remix) (6:07)
  • B - Stay (4:04)
2026.05.03
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