The Pineapple Thief – All The Wars (2023)

The Pineapple Thief「All The Wars」
The Pineapple Thiefは、Bruce Soordを中心に活動してきたイギリスのプログレッシブ・ロック・バンド。1999年に始動し、内省的なメロディと緻密なアレンジを軸に作品を重ねてきた。「All The Wars」は、そうしたバンドの流れの中にある作品で、ロックを土台にしながら、プログレ寄りの構成感と繊細な音作りが前面に出た一枚として位置づけられる。
作品の輪郭
全体の印象は、派手さよりも組み立ての細かさに重心があるタイプ。ギターは輪郭をくっきり立てすぎず、音の重なりの中でじわじわ存在感を出していく。リズム面も、単に押し切るというより、拍の置き方や展開の切り替えで曲の流れを作る場面が目立つ。
録音の質感は比較的クリアで、各パートの分離が意識された仕上がり。空間の使い方も含めて、音数を詰め込みながらも窮屈になりにくい作りになっている。ボーカルは楽曲の中心に置かれつつ、演奏全体の流れに自然に溶け込む印象。
サウンドの特徴
- ギター主体のロック・サウンド
- 変化のあるリズムと曲展開
- 音の輪郭がはっきりした録音
- メロディを前に出しつつ、演奏で密度を作る構成
バンドの中での位置
The Pineapple Thiefは、Bruce Soordの音楽的な視点を核にしながら、時期ごとに編成を変えつつ進んできたバンド。元々はソロ的なプロジェクトとして始まり、その後はバンド形態へと発展している。そうした流れを踏まえると、「All The Wars」も、作曲者の感覚とバンドとしての演奏性が交差する地点にある作品として見えてくる。
プログレッシブ・ロックの文脈では、技巧の誇示よりも曲全体の流れや質感を重視するタイプの音作り。2000年代以降の英国プログレ周辺でよく見られる、メロディ重視でありながら構成は緻密、という方向性とも重なる。
ひとことで言うと
ロックの骨格に、プログレらしい構成感と繊細な音の積み重ねを置いた作品。演奏の緊張感と録音の整った質感が印象に残る一枚。
トラックリスト
- A1 Burning Pieces
- A2 Warm Seas
- A3 Last Man Standing
- A4 All The Wars
- A5 Build A World
- B1 Give It Back
- B2 Someone Pull Me Out
- B3 One More Step Away
- B4 Reaching Out