Neuronium – Supranatural (1987)
Neuronium『Supranatural』(1987)
Neuroniumの『Supranatural』は、1987年にUKでリリースされた電子音楽作品だ。バルセロナを拠点に活動してきたNeuroniumにとっては、ミシェル・ウイゲンを中心とする体制が定着した時期のアルバムで、クレジット上は Neuronium 名義ながら、実質的にはウイゲンの意志が強く反映された一枚として位置づけられる。
Neuroniumというグループ
Neuroniumは1976年に、キーボード/シンセサイザーのMichel Huygen、キーボード/シンセサイザー/ギターのCarlos Guirao、マルチ楽器奏者のAlbert Giménezによって結成された。初期にはEMI-Harvestから『Quasar 2C361』(1977年)と『Vuelo Quimico / Chemical Flight』(1978年)を発表し、その後も編成を変えながら活動を継続している。
Huygenはこのプロジェクトの音楽を「psychotronic music」「cosmic electronic music」と表現しており、少なくともプロフィール上は、電子音響を中心に据えた宇宙的なイメージの作品群として整理できる。
『Supranatural』の位置づけ
本作は1986年12月から1987年3月にかけてバルセロナで録音され、1987年6月に最終ミックスが行われた。クレジットには「Issued under licence from Michael Huygen」とあり、Neuroniumという名称がMichel Huygenの登録商標であることも記されている。つまり、この時期のNeuroniumは、グループ名でありながらHuygenの主導性が強いプロジェクトとして見えてくる。
1980年代のNeuroniumは、初期メンバーの変動を経て、HuygenとSanti Picóの組み合わせが中心になっていく流れにある。『Supranatural』もその時代の延長線上にある作品として捉えやすい。
音の印象
ジャンル表記はElectronic、スタイルはElectro、Ambient。実際の音像も、その枠組みを外れない。シンセサイザーのレイヤーを軸に、リズムを強く前面へ出すというより、音の持続や空間の広がりで聴かせるタイプの作品として受け取れる。電子音楽としての構造がはっきりしていて、派手な展開や大きな歌メロを中心に置く作りではない。
同時代のヨーロッパの電子音楽、たとえばVangelisや、よりアンビエント寄りのシンセ作品を好む文脈と並べて語られやすいタイプでもある。実際、NeuroniumはVangelisとのコラボレーション作『A Separate Affair』の存在でも知られており、1980年代のスペイン発電子音楽の流れを考えるうえで外せないグループだ。
この時期のNeuroniumらしさ
『Supranatural』では、バンドというよりも、Huygenの制作ユニットとしてのNeuroniumが前に出ている。録音地がバルセロナであること、そしてUK盤として出ていることからも、ローカルな制作環境と国際流通の両方を持った作品として見てよさそうだ。
Neuroniumのディスコグラフィーの中では、初期のEMI-Harvest期とはまた違う、より後年の成熟した電子音響の局面に置ける一枚。1980年代半ばのNeuroniumを追うなら、その流れを確認できる作品として重要な位置にある。
補足
- 録音: 1986年12月〜1987年3月、スペイン・バルセロナ
- 最終ミックス: 1987年6月
- リリース: 1987年、UK盤
- 名義: Neuronium
- 主な表記: Electronic / Electro / Ambient
派手なヒット曲で押す作品ではなく、シンセサイザー主体の構築感をじっくり聴かせるアルバムだといえる。
トラックリスト
- A1 – When The Goblins Invade Madrid (3:35)
- A2 – Digitron (3:55)
- A3 – Priorite Absolue (6:43)
- A4 – Europe Is Europe (5:44)
- B – Sundown At Tanah Lot (17:30)