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Hako Yamasaki – 綱渡り (1976)

Hako Yamasaki『綱渡り』

山崎ハコの『綱渡り』は、1976年に日本でリリースされた作品。フォークシンガー・ソングライターとして知られる山崎ハコが、70年代の日本のフォーク/フォークロックの空気の中で作り上げたアルバムで、アコースティックな手触りと、歌と言葉の強さが前に出る一枚として捉えやすい。

アーティストの位置づけ

山崎ハコは1957年、大分県日田市生まれの日本のフォーク系シンガーソングライター、ギタリスト、女優。1970年代のフォーク・ブームの流れの中で活動を広げ、1975年から2024年まで継続して作品を発表してきた。『綱渡り』は、その初期の時期にあたる作品で、デビュー間もない時代の表現がまとまっている。

この時期の山崎ハコは、後年の代表的なイメージにつながる、個人的な感情をそのまま言葉に置き換えるような歌い口と、ギターを軸にした曲作りがすでに前面に出ている。70年代の日本の女性シンガーソングライターの文脈で見ると、吉田拓郎周辺のフォークや、岡林信康、中島みゆきらと並べて語られることのある世代性を持った作品群のひとつでもある。

収録曲とアルバムの流れ

収録は全10曲。A面には「向かい風」「白い花」「ひまわり」「天井」「ヘルプ ミー(Help Me)」、B面には「ひとり歌」「ハーモニカ吹きの男」「綱渡り」「歌いたいの」「誕生祝い」が並ぶ。タイトル曲はB3の「綱渡り」。

曲名を見るだけでも、日常の感情や身体感覚に近い言葉が多く、派手な装飾よりも、歌の内容をまっすぐ受け取らせる構成になっていることがうかがえる。アルバム全体としては、静かな曲と、少し張りつめた曲が交互に置かれていて、歌詞の重さと演奏の素朴さが同じ方向を向いている印象がある。

サウンドの印象

ジャンル表記としてはロック、スタイルとしてはフォークロックとアコースティック。実際にも、バンドサウンドで押し切るというより、ギターと歌を中心に据えた編成感が強い。音の数を増やして盛り上げるタイプではなく、フレーズの間や声の置き方で曲を進める作り。

聴きどころとしては、山崎ハコの声の芯の強さ。音域を大きく使うというより、言葉を押し出すような歌い方で、歌詞の一語一語が前に出る。そのため、同時代のフォークロックの中でも、演奏の派手さより歌の圧を感じやすい作品になっている。

代表曲・注目曲

このアルバムでは、まずタイトル曲の「綱渡り」が中心曲として目に入る。曲名そのものが、この時期の山崎ハコの緊張感ある歌世界を端的に示している。ほかにも「向かい風」「ひとり歌」「歌いたいの」といった曲名が、個人の内側にある感情をそのまま題材にしていることを伝える。

「ヘルプ ミー(Help Me)」のように英語を織り込んだ題もあり、70年代の日本のフォークが持っていた外来ポップスとの接点も見える。とはいえ、全体はあくまで山崎ハコ自身の言葉と歌の重心でまとまっている。

同時代の文脈

1976年という年は、日本のフォークがシンガーソングライター中心の音楽として広く定着していた時期。『綱渡り』もその流れの中にあり、アコースティックな編成で内面を描く作品として自然に位置づけられる。メロディの親しみやすさだけでなく、歌詞の切実さや語り口の近さが前に出るところが、この時代のフォークロックらしいポイント。

山崎ハコはのちに作品数を重ねていくが、『綱渡り』はその初期段階で、すでに作家性の輪郭が見えるアルバムとして受け止めやすい。デビュー初期の作品を追うときに、その後の代表曲や後年の表現へつながる入口として置かれることが多い一枚だろう。

まとめ

『綱渡り』は、山崎ハコの初期の持ち味である、言葉の強さとアコースティックな土台がはっきり出た1976年作。派手な展開よりも、歌そのものを聴かせる作りで、70年代日本のフォークロックの空気をそのまま閉じ込めたような作品になっている。

トラックリスト

  • A1 – 向かい風 (5:17)
  • A2 – 白い花 (5:16)
  • A3 – ひまわり (3:15)
  • A4 – 天井 (5:29)
  • A5 – ヘルプミー (4:18)
  • B1 – ひとり唄 (3:38)
  • B2 – ハーモニカ吹きの男 (3:34)
  • B3 – 綱渡り (5:31)
  • B4 – 歌いたいの (4:12)
  • B5 – 誕生祝い (6:59)

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2026.07.05
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