Passport – Oceanliner (1980)
Passport『Oceanliner』(1980)
ドイツのジャズ・フュージョン・バンド、Passportが1980年に発表したアルバムが『Oceanliner』です。バンドは1970年にKlaus Doldingerを中心に始まり、Passport名義では1971年以降の活動で知られています。ジャズを土台にしながらロック寄りの推進力も持つグループで、この作品もその流れの中にある1枚です。
作品の位置づけ
Passportは1970年代を通じて、欧州ジャズ・ロック/フュージョンの重要な存在として活動してきました。『Oceanliner』は1980年作として、その時期のPassportのサウンドを確認できるタイトルです。Klaus Doldingerを軸に、時代ごとに多くの演奏者が参加してきたバンドでもあり、本作もそうした流動的な編成の中で作られています。
サウンドの印象
レコード情報上のジャンルはJazzとRock、スタイルはFusionとJazz-Rockです。Passportらしく、ジャズの即興性を残しつつ、ロックのリズム感やアンサンブルの推進力が前に出るタイプの作品として捉えられます。タイトルから受けるイメージの通り、曲が流れるように展開していく構成が想像しやすい一方で、演奏面では緻密さのあるグループ・サウンドが核になっているはずです。
この時期のジャズ・フュージョンは、Weather ReportやReturn to Forever、Mahavishnu Orchestraのような米国勢と並べて語られることが多いですが、Passportはそこに西ドイツのバンドらしい硬質さと、ヨーロッパのジャズ文脈を持ち込んだ存在です。『Oceanliner』も、その延長線上で聴ける作品です。
参加メンバー
クレジットにはKlaus Doldingerのほか、Udo Lindenberg、Alphonse Mouzon、Guillermo Marchena、John Mealing、Curt Cress、Wolfgang Haffner、Patrick Scales、Peter O’Maraら、多数の演奏者名が並びます。Passportは時期によって編成が変わるため、こうした多人数のクレジットはこのバンドらしい特徴です。リズム隊や鍵盤、管楽器が入れ替わりながら、作品ごとに色合いを変えていく流れが見えます。
レーベルと盤の情報
本盤はAtlantic Recording Corporationのリリースで、表記には「Ⓟ Ⓒ 1980 WEA Musik GmbH. Printed in U.S.A.」「A Warner Communications Company」とあります。US盤として流通したものです。ランアウトには、ほとんどの情報が手書きで、”ATLANTIC STUDIOS D.K” のみ機械刻印とされており、当時の制作・プレスの仕様がうかがえます。
同時代の文脈
1980年前後のジャズ・ロック/フュージョンは、70年代後半の拡張路線から、より整理された構成やソリッドな演奏へと向かう流れがありました。Passportもその時代感の中で、派手な技巧だけで押し切るというより、バンド全体のまとまりや音の運びで聴かせるタイプのグループとして位置づけられます。Klaus Doldingerのバンドとして長く続いている点も含め、単発の企画盤ではなく、継続するプロジェクトの一時点として見える作品です。
『Oceanliner』は、Passportのディスコグラフィーの中でも1980年時点のバンド像をそのまま示すタイトルです。ジャズとロックの接点を、ヨーロッパ側の視点で聴かせるアルバムとして記録されている1枚です。
トラックリスト
- A1 – Departure (4:54)
- A2 – Allegory (3:40)
- A3 – Ancient Saga (4:15)
- A4 – Oceanliner (5:52)
- B1 – Rub-A-Dub (4:39)
- B2 – Uptown Rendezvous (3:32)
- B3 – Bassride (4:09)
- B4 – Scope (2:12)
- B5 – Seaside (5:28)