Jordi Sabates – Ocells Del Més Enllà (1975)

Jordi Sabatés『Ocells Del Més Enllà』について

Jordi Sabatésは、バルセロナ出身のジャズ・ピアニスト、作曲家。1960年代のポップ・バンドPic-Nicから活動を始め、その後はToti Solerとの共演や、ジャズ・アンサンブルJarkaでの仕事など、カタルーニャ音楽圏の中で幅広く動いてきた人物だ。『Ocells Del Més Enllà』は1975年に録音・発表された作品で、Sabatésのソロ活動を語るうえで外せない時期の1枚といえる。

作品の位置づけ

1970年代半ばのJordi Sabatésは、ジャズの語法を軸にしながら、ロックやラテン系の要素も取り込んだ音作りを進めていた時期にあたる。本作もその流れの中にある作品で、いわゆる純粋なピアノ・ジャズだけではなく、当時のスペインのモダンなインストゥルメンタル作品として捉えられる内容だ。

録音は1975年、バルセロナのGema Studiosで行われている。地元の音楽シーンと密接につながった制作環境がうかがえる点も、この時代のSabatésらしいところだ。

サウンドの印象

実際に聴くと、ピアノを中心にした楽器の動きがはっきりしていて、フレーズの組み立てにジャズらしい即興性がある。そこにエレクトリックな質感やラテン寄りのリズム感が加わり、ひとつのジャンルに収まりきらない構成になっている。ジャズ・ロックやコンテンポラリー・ジャズの枠内で語られることが多いのも納得しやすい。

メロディは短い単位で進み、装飾を重ねるよりも、音の間やリズムの変化で展開していくタイプに近い。派手な見せ場を前面に出すというより、曲ごとの構造を追っていく楽しさがある作品だ。

同時代の文脈

1970年代のスペイン、とくにカタルーニャ周辺では、ジャズ、ロック、フォーク、現代音楽が交差する動きが見られた。Sabatésはその中心のひとりで、Toti SolerやPau Ribaらとの関係も含めて、単独のジャズ・ピアニストというより、シーン横断型の音楽家として見たほうがわかりやすい。

同時代のヨーロッパ・ジャズやジャズ・ロックの文脈で見ると、即興を前面に出しつつも、曲の輪郭を崩しすぎない点が特徴として立つ。ローカルな音楽文化と、当時の国際的なジャズ感覚が同居している作品群のひとつだ。

再発盤について

2003年盤はオリジナルの1975年盤から見れば再発にあたる。作品そのものは1975年の録音・発表を基準に理解するのが自然だが、再発盤では入手しやすさの面で現在のリスナーに届きやすくなっている。録音年の明確さもあり、1970年代スペインのジャズ作品として整理しやすい1枚だ。

まとめ

『Ocells Del Més Enllà』は、Jordi Sabatésのソロ作の中でも、1970年代半ばの活動を示す記録として位置づけやすい作品だ。ピアノを軸にしたジャズの感触、ロックやラテンの要素、バルセロナの音楽シーンとの接点が、ひとつのアルバムの中でまとまっている。

派手なヒット曲を前面に押し出すタイプではなく、アルバム全体の流れで聴くタイプの作品。Sabatésという音楽家の経歴を踏まえると、ここには彼の持つ横断性がそのまま表れているように見える。

トラックリスト

  • Ocells Del Més Enllà (15:35)
  • A1.1 – Part I – Andante
  • A1.2 – Part II – Allegro
  • A1.3 – Part III – Allegro Ma Non Presto
  • A2 – Children’s Song (1:10)
  • B1 – Tryada (7:20)
  • B2 – Acuario (3:20)
  • B3 – Gingers (4:32)
  • B4 – Tema Para El Richmond’s (1:44)

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2026.09.10
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