Vangelis – Beaubourg (1978)

Vangelis『Beaubourg』(1978)について

『Beaubourg』は、Vangelisが1978年に発表した作品。電子楽器を中心にした作りで、ジャンル表記はElectronic、スタイルはAbstract、Experimentalとなっている。一般に知られる劇伴的な大作や、旋律を前面に出した作品とは少し距離があり、かなり集中して聴くタイプのアルバムとして位置づけられる1枚だ。

Vangelisというアーティストの流れの中で

Vangelisは、ギリシャ出身の作曲家・編曲家・演奏家。Aphrodite’s Childでの活動を経て、1970年代後半にはソロで独自の電子音楽を深めていく。後年の『Chariots of Fire』や『Blade Runner』のような、広い層に届く作品とは違い、『Beaubourg』はより実験寄りの時期を示すタイトルとして見ておきたいところだ。

この時期のVangelisは、シンセサイザーの音色や音の重なりそのものを作品の中心に置く傾向が強い。メロディを追うというより、音の動きや質感を聴かせる方向性で、1970年代後半の電子音楽、プログレッシブ・ロック周辺の実験的な流れとも近い空気がある。

内容の印象

『Beaubourg』は、まとまった曲調やフックを前面に出す作品というより、長い時間をかけて音響が変化していく構成が印象に残る。聴感としては、リズムで押す場面よりも、電子音が層になっていく場面の比重が高い。音の立ち上がり方や余韻の置き方に耳が向く作りで、アルバム全体がひとつの連続した体験として進むタイプだ。

実際に聴くと、派手な展開を求める作品ではなく、断続的に現れる音の断面を追う感覚が強い。曲ごとの区切りよりも、ひとつの大きな流れとして捉えたほうが輪郭がつかみやすい。Vangelisの作品群の中でも、かなり実験性の高い側に入る印象がある。

タイトルと時代感

タイトルの『Beaubourg』はパリのポンピドゥー・センターを指す呼び名として知られている。1970年代後半という時代に、現代建築や都市空間のイメージと電子音楽を結びつけたような感触もある。音の冷たさや機械的な印象を強めるというより、都市の内部を歩くような不安定さや、空間の広がりを感じさせる方向の作品だ。

同時代の文脈

同時代の電子音楽やアンビエント周辺を見渡すと、Klaus SchulzeやTangerine Dreamのようなドイツ系シンセサイザー音楽とも比較されやすい。ただしVangelisの場合は、シーケンスを積み上げる手法だけに寄らず、より即興的で、鍵盤のタッチや音の流れに独特の手触りがある。そこが作品ごとの個性として出ている。

日本盤の仕様

この日本盤は、Japanese picture/text insertとwide obi-strip付きでのリリース。日本盤としての資料性も持っている。1978年当時の国内盤らしく、帯やインサートを含めたパッケージで楽しめる仕様になっている。

まとめ

『Beaubourg』は、Vangelisのディスコグラフィーの中でも、旋律中心の代表作とは別の位置にある実験的な作品。1978年という時期の電子音楽の空気を、かなりストレートに感じさせる内容だ。聴きどころは、曲の分かりやすさよりも、音が組み上がっていく過程そのものにあるアルバムと言える。

トラックリスト

  • A – Beaubourg Part I
  • B – Beaubourg Part II

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2026.08.06
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